「医療費控除を受けたいけど、e-Taxで確定申告したいのにやり方がわからない!」
毎年確定申告をしないでいたサラリーマンでも、医療費控除を受けるなら確定申告が必須です。そこで、上記のようにe-Taxで確定申告する方法がわからないという悩みも出てくることでしょう。
しかし、e-Taxで確定申告書を提出すればさまざまなメリットを受けることができます。
そこで今回は、次のようなことを解説していきます。ぜひ本記事で紹介する手順を参考に、e-Taxで確定申告するメリットを実感してください。
- 医療費控除とは?
- e-Taxとは?
- 医療費控除をe-Taxで確定申告するとこんなメリットがある
- 医療費控除をスマホからe-Taxで確定申告する手順(やり方と書き方)
- 医療費控除は過去分も受けられるのか?
医療費控除とは?
医療費控除とは、ご自身と家族のために支払った医療費の額をもとに、一定の計算式にしたがってご自身の所得から差し引けるものです。
つまり所得控除の一種で、税金を抑えられる見込みがあります。
医療費控除の控除額計算式など、概要を以下にまとめました。
項目 |
内容 |
概要 | 支払った医療費の一部を所得から控除できる所得控除の一種 |
控除額 | 下記①もしくは②の計算結果で、いずれか低いほう |
※200万円が限度 | |
①1年間の医療費総額 - 保険金などで補てんされる金額 -10万円 |
|
②1年間の医療費総額 - 保険金などで補てんされる金額 -総所得金額等が200万円未満の人は所得合計額の5% |
|
必要書類・手続き | 医療費控除の明細書を確定申告書に添付して提出 ※1 |
※1:医療費控除の明細書は、確定申告書作成コーナーで入力することにより自動的に作成されます。
参照:国税庁「令和2年分 確定申告特集 医療費控除を受ける方へ」
医療費控除について、詳しくは以下の記事で詳しく解説しています。医療費控除とは何かから詳しく知りたい人は、ぜひあわせて参考にしてください。
e-Taxとは?
e-Taxとは、個人所得税や贈与税の申告などの国税手続きをインターネットで行えるシステムで、「イータックス」と呼ばれます。
e-Taxがあることによって、今ではスマホやパソコンを使って自宅で確定申告を完結できるようになりました。ちなみに、所得税ではなく法人税や消費税の申告においては、一部の大企業はe-Taxを利用した申告が義務となっています。
個人においても、国税庁は積極的にスマホやタブレットでの確定申告を推進しています。例えば、タブレットで2次元バーコードを表示してスマホで読み取ればタブレットで申告書を作成できます。
さらに、これまでマイナポータルAPやe-Taxアプリといった2つのアプリをインストールする必要がありましたが、マイナポータルAPのみで利用できるようになっています。
参照:e-Tax(国税庁)「令和3年1月から順次、e-Taxが便利になります。」
医療費控除をe-Taxで確定申告するとこんなメリットがある
医療費控除のために確定申告書を作成し提出する際、必ずe-Taxで行わなければならないわけではありません。
しかし、e-Taxで確定申告することで次のような大きなメリットがあるのです。それぞれ解説します。
- 自宅でスマホなどから確定申告ができる
- 医療費控除の明細書を自動作成してくれる
- 還付金の振り込みが早くなる
自宅でスマホなどから確定申告ができる
先ほども紹介しましたが、e-Taxを使えば自宅で確定申告書を税務署に送信できます。
e-Taxを使用しない場合、国税庁のホームページから各種様式をダウンロードして確定申告書を作成。その後、郵送や持参などにより税務署へ提出しなければならず、大変手間がかかります。
医療費控除の明細書を自動作成してくれる
確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成すれば、医療費控除を受けるために必要な明細書を自動作成してくれます。
もし確定申告書の内容にミスがあり、本来納めるべき所得税を納めなかった場合は過少申告加算税などが発生してしまいます。
そのため、少しでもそのようなミスを防ぐためにも確定申告書等作成コーナーの利用がおすすめです。
還付金の振り込みが早くなる
納めすぎた所得税があるなら、医療費控除を受けるために確定申告をすれば還付金が振り込まれます。
例えば、サラリーマンが医療費控除を受けられる場合です。この場合、源泉徴収により医療費控除を考慮していない所得税を納めていますので、確定申告により還付を受けられる可能性があるのです。
しかし、税務署としても個人所得税や消費税の確定申告期間が重なると大量の申告書をチェックしなければなりません。そのため、通常は目安として1ヶ月から1ヶ月半かかってしまうようです。
ただし、e-Taxで提出した場合には3週間ほどで処理されるため、還付金が早めに振り込まれることを期待できます。
参照:国税庁「【税金の還付】」
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医療費控除をスマホからe-Taxで確定申告する手順(やり方と書き方)
ここからは、実際に医療費控除をスマホから確定申告する手順を解説していきます。
確定申告書作成に必要な書類などを準備しておく
まずは、確定申告書の作成に必要な書類などを準備しておきましょう。具体的には次のようなものです。
- 医療費の領収書
- 健康保険から送付された医療費のお知らせ(医療費通知)
- 給与所得者は源泉徴収票
- マイナンバーカード
※医療費控除を受けるには医療費控除の明細書も必要ですが、ここでは確定申告書作成コーナーで明細書を自動作成する前提で解説します。
マイナンバーカードについては、e-Taxで確定申告書を送信するなら原則として必要です。現在はID・パスワード方式で送信できるため、必ずしもマイナンバーカードは必要ではありません。
ただし、今後もe-Taxを使う予定があるのならば持っておきましょう。
また、医療費控除の特例としてセルフメディケーション税制というものもあります。この場合は少しだけ準備するべき書類が増えるので注意しましょう。詳しくは以下の記事をご確認ください。
e-Taxを使うための利用者識別番号を取得する
e-Taxを利用するなら、e-Tax上のIDとも言える利用者識別番号を取得しなければなりません。利用者識別番号を取得する方法は数多くありますが、ここでは主な以下の3つを紹介します。
- マイナンバーカード方式で取得する
- ID・パスワード方式で取得する
- Webまたは書面で開始届出書を提出して取得する
なお、利用者識別番号の取得にマイナンバーカードは必須ではありません。実際にe-Taxを利用する前の準備作業については、以下の資料で詳しく解説されています。
参照:
国税庁「(共通)e-Taxで送信するための準備編」
国税庁「スマートフォンで初めてマイナンバーカード方式を利用する場合の画面の流れ【Android・iPhone 共通】 ~令和3年1月4日以降~」
マイナンバーカード方式で取得する
マイナンバーカード方式とは、マイナンバーカードと暗証番号を使ってe-Taxで確定申告書を送信する方式のことです。
「受付システム ログイン」でマイナンバーカードを読み取ると、マイナンバーカード方式の利用開始画面から手続きを進められます。
ID・パスワード方式で取得する
ID・パスワード方式はその名のとおりIDとパスワードだけで確定申告書を送信できる方式です。この方式では、次のいずれかの方法で利用者識別番号を取得します。
- 確定申告書等作成コーナーでID・パスワード方式の届出を送信する(マイナンバーカードが必要)
- 税務署に行って本人確認を経てID・パスワード方式の届出を送信する(マイナンバーカードは不要)
ID・パスワード方式は、マイナンバーカードを持っていない人がe-Taxで確定申告書を送信するための暫定的な措置です。具体的には、マイナンバーカードが普及するまでの措置とされています。
マイナンバーカードはICカード内に電子証明書が入っているため、電子署名をしたうえで確定申告書を送信できます。しかし、マイナンバーカードを持っていないと電子証明書を取得するのは簡単ではありません。
そこで、税務署に行って厳格な本人確認を経て利用者識別番号を取得するのです。
Webまたは書面で開始届出書を提出して取得する
マイナンバーカード方式もID・パスワード方式も、確定申告書をe-Taxで送信するための方式です。しかし実は、利用者識別番号を取得するだけならマイナンバーカードがなくて税務署に行かなくても取得できます。
具体的には、「e-Taxの開始(変更等)届出書」をWebで税務署に提出。または、「電子申告・納税等開始(変更等)届出書」を紙面で税務署に提出します。
確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成する
それでは、医療費控除のために確定申告書等作成コーナーで確定申告書を作成する流れを紹介していきます。なお、これまで紹介してきたマイナンバーカード方式またはID・パスワード方式は利用できるようになっているものとします。
ここからは、確定申告書作成コーナーの実際の画面を用いながら解説します。下記は、所得控除の入力画面です。なお、医療費控除について入力する前に源泉徴収票をもとに給与所得を入力しておきましょう。
この画面で、上から2番目にある医療費控除の欄から「入力する」を選択します。
2020年分の所得税確定申告では、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらかを選択できます。今回は「医療費控除を適用する」を選択します。
なお、どちらが節税できる試算できるツールもこの画面の下部からリンクできるので、気になったらぜひ活用してみてください。
この画面では、医療費控除の適用を受けるために必須な医療費控除の明細書をどのように作るかを選択します。今回は「医療費通知や領収書から入力して、明細書を作成する」を選択します。書面かデータを読み込むかも求められるので、今回は「書面」をもとに入力していきましょう。
いよいよ、対象年に支払った医療費を入力していきます。会社から発行された医療費通知(医療費のお知らせ)や領収書をもとに、それぞれ入力してください。医療費通知の1項目ごとや、領収書1枚ごとではなく、病院や薬局ごとにまとめて入力できます。
医療費通知でなくても、手元にある領収書から上画面のように入力できます。
会社から受け取る医療費通知は、確定申告の時期に11月や12月の分が記載されていないこともあります。そのため、11月や12月に支払った医療費があれば、領収書をもとに入力しましょう。
具体的には、診察のための交通費や松葉づえなどの購入費、入院時の部屋代や食事代を記入します。医療費通知に記載されていない医療費も多いので、医療費通知より領収書をもとに入力することをおすすめします。
また、高額な医療費を支払っても、高額療養費など健康保険から補てんされた場合は「補てんされる金額」に記入しましょう。
入力が終わったら、上画面のように自動で計算された結果を確認できます。今回は医療費25万円で5万円が医療費から補てんされたとして、差し引き額は20万円です。
しかし、上の画面では給与所得などを先に入力していないため、正確な医療費控除の額が表示されていません。後からでも所得を入力できますが、医療費控除より先に給与所得などを入力しておいたほうが良いでしょう。
「次へ進む」を選択すると、このように所得控除の入力画面に戻ります。前述しましたが、所得を入力していないのでまだ正確な控除額ではありません。
これで医療費控除の入力は終了です。
確定申告書をe-Taxで送信する
後はその他の事項について、画面の案内にしたがって進めていけば確定申告書を送信できます。
確定申告書を送信する前に、送信用帳票の印刷イメージを確認できるので、一度確認してみてください。医療費控除の明細書が自動的に作成されているのがわかります。手書きで作成するよりも非常に簡単なので、ぜひe-Taxを活用してください。
国税庁もスマホでの医療費控除入力例をまとめた資料を準備していますので、これらもあわせて参考にしてみると良いでしょう。
お手持ちのスマートフォンの機種によって、画面イメージが本記事でご紹介したものと少し異なるかもしれませんが、入力の要領は変わりません。
医療費控除は過去分も受けられるのか?
医療費控除を理解したら、「去年も受けられたのでは?」と感じる人もいるかもしれません。このような場合はどうしたら良いのでしょうか?
過去5年分まで還付申告すれば受けられる
納めすぎていた税金があれば、その年の翌年1月1日から5年間の範囲であれば還付申告によって納めすぎた税金が返ってきます。
例えば、2020年分の確定申告であれば2021年に確定申告を行います。しかし確定申告をせずに医療費控除を受けられなかったとします。この場合、2020年の翌年2021年1月1日から2025年12月31日まで還付申告が可能です。
確定申告書を提出した年の医療費控除を受けるなら更正の請求
もし確定申告書を提出し期限を過ぎてから申告書の税額が多かったことに気づいた場合、更正の請求という手続きが可能です。
先ほど還付申告を紹介しましたが、還付申告は確定申告書を提出していない場合に可能なものです。更正の請求は、確定申告書を提出したにも関わらず間違っていたものを更正するように請求する手続きとなります。
更正の請求は、その年の申告期限から5年以内に更正の請求書を持参または送付によって税務署に提出します。
まとめ:医療費控除を受けるならe-Taxで確定申告しよう!
医療費控除は、雑損控除や寄付金控除などと同様に確定申告しなければ受けられない控除です。
医療費控除を受けられるなら、確定申告をすれば税金が還付されるか、納める税金を抑えられます。
医療費控除を受ける際の一番のネックは医療費控除の明細書を作成することです。その点、確定申告書作成コーナーでは、領収書などをもとに入力するだけで明細書を自動作成してくれます。
医療費控除を受けるなら、ぜひ自宅からスマホやPCを使って確定申告書作成コーナーとe-Taxを利用して、確定申告書を作成しましょう。