医療保険の入院給付金の日額は5,000円で十分?入院時の自己負担額の実態や最適額の決め方を解説!

中西 諒太

監修者:中西 諒太

アパレル販売員をしながら独学で宅建士を取得。
賃貸仲介・売買仲介・賃貸管理会社にて勤務を経て独立、株式会社了を設立。
現在は、不動産賃貸業・不動産関連Webメディア運営・監修を手掛けている。
会社ホームページはこちら:https://ryoestate.com/

「医療保険の入院給付金をいくらにすればいいかわからない…」
「日額5,000円で十分って聞いたけど本当?」
と悩んでいませんか?

はじめて保険に加入するとき、医療保険を選ぶ方が多く、医療保険への加入率は9割を超えています。実に多くの人が病気やケガへのリスクに備えているのです。しかし、いざ契約しようとするとき、入院日額をいくらに設定するべきか迷う人も多いでしょう。

そこで本記事では、入院費用の実態調査の結果から、日額5,000円で十分かどうかを徹底分析しました。最適な金額を設定する上で大切な5つの条件やメリット・デメリット、日額5,000円で十分な人の特徴も紹介します。最後まで読めば、あなたに最適な入院給付金の日額がわかるでしょう。

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目次

入院時には自己負担額はいくらかかる?令和4年度の実態を調査

医療保険では、いくら備えておけば安心なのでしょうか。少なすぎず、多すぎず、妥当な金額を抑えておきたいところです。本章では、生命保険文化センターが行った調査結果をもとに入院費用の自己負担額の実態をお伝えします

令和4年度の入院に関するデータ:

  • 入院1回あたりの自己負担額
  • 入院1日あたりの自己負担額
  • 入院1回あたりの逸失収入

入院期間中は当然働けません。収入が減ってしまうため、その金額も抑えておきましょう。入院給付金の日額を設定するうえで、必ず役立つのでご確認ください。

入院1回あたりの自己負担額の平均は19.8万円

まずは、入院1回あたりいくら支払っているのかについての調査結果をお伝えします。なお、治療費だけでなく、食事代・差額ベッド代・交通費・日用品なども含めた自己負担額です。高額療養費制度を利用した場合は、利用後の金額を表しています。そのため、より実態に即したデータと言えるでしょう。

入院1回あたりの自己負担額 割合
5万円未満 9.4%
5~10万円未満 26.5%
10~20万円未満 33.7%
20~30万円未満 11.5%
30~50万円未満 10.1%
50~100万円未満 5.8%
100万円以上 3.0%
平均額 19万8,000円

参照元:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」

入院1回あたり、10~20万円支払ったケースが最も多い結果になりました。全体の平均額は約20万円です。この自己負担額20万円を貯蓄から捻出できるかが医療保険加入のボーダーとなるでしょう。なお、入院日数が長くなるにつれて、自己負担費用が高くなる傾向があります。そのため、50万円を超える高額費用が発生したケースも一部存在しています。

入院1日あたりの自己負担額は平均2万700円

入院1回あたりの費用が理解できたところで、続いては1日あたりにかかる費用の調査結果をお伝えします。トータルの入院費用を、実際の入院日数で割った結果は以下のとおりです。

入院1日あたりの自己負担額 割合
5,000円未満 13.8%
5,000~7,000円未満 8.8%
7,000~10,000円未満 11.5%
10,000~15,000円未満 23.3%
15,000~20,000円未満 7.9%
20,000~30,000円未満 16.0%
30,000~40,000円未満 5.5%
40,000円以上 13.2%
平均 2万0,700円

参照元:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」

入院1日あたりの自己負担額は、平均で20,700円でした。最も多く分布しているのは、1万円~1.5万円という結果に。入院にかかった費用すべてを医療保険でカバーしたい人は、入院給付金の日額を2万円に設定すると安心できるでしょう。

なお、 近年の入院日数は短期化している傾向にあります。同調査によると、入院を経験した約半数の人は、7日以内に退院していることがわかりました。

入院により失われた収入(逸失収入)は平均30.2万円

入院している間は、仕事を休まなければいけません。本来であれば得られたはずなのに入院で得られなかった収入のことを「逸失収入」と呼びます。過去5年間に入院し、逸失収入があった人への調査結果は以下のとおりです。

入院1回あたりの逸失収入 割合
5万円未満 14.2%
5~10万円未満 25.5%
10~20万円未満 24.8%
20~30万円未満 7.1%
30~50万円未満 13.5%
50~100万円未満 5.7%
100万円以上 9.2%
平均額 30万2,000円

参照元:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」

逸失収入の平均額は約30万円という結果でした。多く回答されているのは「10~20万円未満」と「10~20万円未満」です。逸失収入を入院日数で割った1日あたりの逸失収入は、平均21,000 円でした。

いざ入院になった際は入院費用などの出費が気になるかもしれませんが、逸失収入も思ったより高額になります。入院給付金の日額を検討する際には、逸失収入も忘れずに考慮しましょう。

入院給付金日額5,000円は高い?最適な額を決める5つの条件

入院時の自己負担額や逸失収入がわかりましたが、検討すべき項目はこの2点だけではありません。以下の5つの条件も考慮し、あなたに最適な入院日額を求めましょう。

入院給付金日額を決める条件:

  1. 高額療養費の上限額はいくらか
  2. 入院の際に大部屋ではなく個室を希望するか
  3. 入院にあたり医療費のほかに必要な費用はいくらか
  4. 医療保険の入院一時金や手術給付金があるか
  5. 会社のお見舞い金や健康保険の傷病手当金があるか

なかには、申請しないと受け取れないお金もあります。特に若いうちは入院する機会が少ないので、知らない人も多いでしょう。それぞれ詳しく解説します。

①高額療養費の上限額はいくらか

高額療養費制度とは、医療機関で支払った金額が1ヶ月で上限額を超えた場合にその超えた金額が支給される公的医療保険制度です。加入している健康保険組合から支給され、限度額は年齢・収入によって異なります。平均的な所得の会社員であれば、1ヶ月の自己負担額の上限は約8万円程度です。

適用区分 ひと月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円~ 252,600円 +(医療費 – 842,000)× 1%
年収約770~約1,160万円 167,400円 +(医療費 – 558,000)× 1%
年収約370~約770万円 80,100円 +(医療費 – 267,000)× 1%
~年収約370万円 57,600円
住民税非課税者 35,400円

参照元:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」

例えば、年収約370~770万円の人に、100万円の医療費が発生したと想定しましょう。保険適用で3割負担なので、病院の窓口では30万円を支払います。上限額は保険適用前の総医療費で計算します。

80,100円 +(総医療費1,000,000円 – 267,000円)× 1% = 87,430円

100万円の治療を受け30万円支払っても、自己負担額の上限は8万7,430円。約21万円は高額療養費として支給されます。

たとえ高額な医療費が発生しても、高額療養費制度により自己負担額は大きく抑えられるのです。あなたの自己負担額が知りたい場合は、全国健康保険協会のサイトから簡単に算出できます。

②入院の際に大部屋ではなく個室を希望するか

入院費を左右する要因のひとつとして、差額ベッド代が挙げられます。具体的に金額がいくら違うのかを理解した上で、大部屋と個室のどちらを希望するかを決めましょう。

部屋タイプ 1日当たり平均徴収額(推計)
1人部屋 8,221円
2人部屋 3,122円
3人部屋 2,851円
4人部屋 2,641円
平均 6,527円

参照元:厚生労働省「第488回中央社会保険医療協議会・主な選定療養に係る報告状況|令和3年9月」

差額ベッド代の平均額は6,527円でした。金額が最も高い1人部屋と、最も安い4人部屋の差は5,580円です。7日間入院すると、約4万円の違いが生じます。

個室を選べばプライバシーが守られ、静かな入院生活が送れるメリットが。快適な個室を選びたい人は、個室費用もカバーできるような入院日額を設定する必要があります。

③入院にあたり医療費のほかに必要な費用はいくらか

入院給付金日額を決める際には、病院に支払う医療費以外に発生する費用をあらかじめ計算しましょう。具体的には、入院生活に必要な日用品代や暇つぶし用の娯楽費・家族がお見舞いにくる際の交通費などがあります

専業主婦の方が入院するケースでは、家族の外食代やベビーシッター代が必要となるかもしれません。余裕を持った金額を設定しておくと、万が一の際にも安心です。

④医療保険の入院一時金や手術給付金があるか

医療保険の中には、入院給付金だけでなく一時金や給付金が受け取れる商品もあります。入院一時金はケガや病気で入院すると受け取れる給付金で、入院日数に関わらず一律の金額が支給されます。所定の手術を受けた場合は、手術給付金が受け取れるでしょう。

近年の入院日数は減少傾向のため、一時金タイプの保険は増加しています。支給される給付金の金額を加味して、足りない分を入院給付金で補ってください。

⑤会社のお見舞い金や健康保険の傷病手当金がある

会社員や公務員の場合、病気やケガのため4日以上仕事に就けなかった際は傷病手当金が支給されます。給与の支払いがないことが条件なので、有給休暇で休んだ場合は受け取れません。

また、なかにはお見舞い金制度を設けている健康保険組合もあります。これらが支給されれば、入院時の金銭的負担は軽くなるでしょう。

一方で、国民健康保険に加入している自営業の人には同様の制度はありません。医療保険で手厚くカバーする必要があります。

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日額5,000円・日額10,000円に設定するメリット・デメリット

医療保険の入院給付金額は、1日につき5,000円もしくは10,000円のタイプが一般的です。

入院給付金日額の設定金額によるメリット・デメリット:

  1. 日額5,000円にするメリット・デメリット
  2. 日額10,000円にするメリット・デメリット

どちらを選べばいいかわからない方に向けて、それぞれのメリット・デメリットをお伝えします。医療保険を契約したあとは、保険料の支払いが解約するまで続きます。手厚くカバーしたいと思うかもしれませんが、毎月の保険料も忘れずに検討しましょう。

①入院給付金日額を5,000円にするメリット・デメリット

日額5,000円にすると、毎月の保険料が安く抑えられます。生活に余裕が生まれ、浮いたお金を貯蓄に回すことも可能です。

しかし、入院が長引き医療費が高額になった場合、経済的負担は大きくなるデメリットがあります。日額10,000円の保険と比較すると、半分しか支給されません。不足した分は、貯蓄から補填することになります。

②入院給付金日額を10,000円にするメリット・デメリット

入院給付金日額を10,000円に設定するとより多い金額が支給されることが1番のメリットです。また、入院一時金や手術給付金も連動して多くなることが一般的。医療費以外の費用にも充てられ、安心した入院生活が過ごせるでしょう。

しかし、日額5,000円の保険に比べ、毎月の保険料は高くなります。支払う保険料が家計を圧迫しては意味がありません。無理なく支払える金額かを確認してください。

医療保険の入院給付金日額が5,000円で十分なのはどんな人?

入院給付金日額を5,000円にするメリット・デメリットが理解できました。しかし、入院給付金日額が5,000円で十分な人がいる一方で、十分でない人も存在します

医療保険に加入する際は、適切な金額を見極めることが大切です。双方に適している人をお伝えするので、あなたがどちらに該当しているかを確認してください。

①入院給付金の日額が5,000円で十分な人とは

以下の3点に当てはまる人は、入院給付金日額は5,000円で十分足ります。保険料を安く抑えつつ、入院へのリスクに備えてください。

入院給付金日額が5,000円で十分な人:

  • 万が一に備えて貯蓄が十分にある人
  • 個室を希望しない人
  • 手術給付金や入院一時金が受け取れる人

医療費や逸失収入・その他の出費など、入院した場合は想像以上にお金がかかります。日額5,000円の給付金では足りないかもしれませんが、貯蓄からカバーできれば問題はありません。

一時金が受け取れるタイプの医療保険は、入院日数に関わらず受け取れるので、より安心できるでしょう。また、個室を選ばず大部屋で入院生活を過ごせば、医療費を安く抑えられます。日額5,000円の保険で十分足りるでしょう。

②入院給付金の日額が5,000円で十分ではない人とは

一方で、以下の3点に当てはまる人は、日額5,000円の保険では不足する可能性が高いです入院した際、なるべくお金の心配はしたくありません。より手厚い医療保険で備えておく必要があります。

入院給付金日額が5,000円で十分ではない人:

  • 貯蓄があまりない人
  • 個室を希望する人
  • 自己負担額を医療保険で補いたい人

生命保険文化センターの調査結果から、入院1日あたりの自己負担額は約2万円でした。日額5,000円が支給されても、残り15,000円は貯蓄から捻出する必要があります。

貯蓄があまりない人やすべてを医療保険で補いたい人は、日額5,000円の医療保険では足りません。保険料は高くなりますが、日額1万円~2万円の保険で備えておくと安心です。

まとめ:さまざまな条件を考えて入院給付金日額を決定しよう

病気やケガで入院となった場合、1回あたり約20万円、1日あたり約2万円の自己負担が必要です。仕事をしている人は逸失収入も忘れてはいけません。安心して治療に専念できるよう、医療保険で備えておく必要があります。

不足分を貯蓄からカバーできる人・一時金が受け取れるタイプの保険に加入している人は、日額5,000円の医療保険で十分です。毎月の保険料を抑えつつ、入院へ備えておきましょう。

貯蓄があまりない人・個室を希望する人は、手厚い給付金が受け取れる保険を検討してください。毎月の保険料は高くなりますが、入院時の金銭的負担は軽くなるでしょう。

高額療養費制度や傷病手当金など、あなたが受けられる制度を今一度確認してください。そのうえで医療保険の日額を計算すると、あなたに最適な入院給付金日額がわかるでしょう。

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