家賃は、毎月の支出において大きな割合を占めています。「家賃が下げられたら生活がもっと楽になるのに」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。そこで活用していただきたいのが、家賃助成制度です。
本記事では、家賃助成制度の種類や概要、具体的な事例などを解説します。家賃助成制度は種類によって受給条件が異なっているため、各制度を検討して利用可能な助成制度を探してみましょう。
家賃助成制度を活用することで、家賃の支払いがお得になり生活にゆとりができます。充実した暮らしを送るためにも、ぜひ本記事をご一読ください。
家賃補助制度とは?
家賃補助制度とは、賃貸住宅に住む人々に対して、企業や自治体が家賃の一部を支払う制度を指します。企業の場合、家賃補助は福利厚生の一環として提供されています。
一方、自治体では子育て世代や高齢者、障害者などさまざまな家庭状況の人々が対象です。安心して住宅を維持できるようにするための施策として行われています。次に、会社の福利厚生による家賃補助制度について詳しく解説します。
会社の福利厚生による家賃補助制度とは?3つの特徴を紹介
会社の福利厚生による家賃補助制度は「住宅手当」として知られています。ただし、すべての会社で用意されているわけではないため、会社によってはない場合もあります。
受給範囲は「賃貸住宅に住む従業員」であることが一般的です。受給条件は家族数や地域など、会社によって異なることが多いため、利用の際はお勤め先に確認することをおすすめします。
- 会社の家賃補助制度は福利厚生に含まれる
- 受給条件は会社によって違う
- 実家暮らしでもらえるかは会社の規定によって違う
以下で、会社の福利厚生による家賃補助制度について詳しく解説します。
会社の家賃補助制度は福利厚生に含まれる
会社による家賃補助は、福利厚生に含まれます。福利厚生とは、従業員の負担を減らすために会社が給与以外に支払う手当です。通常の給与やボーナスに加えて支給されます。住宅手当以外にも、通勤手当や家族手当、出張手当などが福利厚生として知られています。
福利厚生は、従業員の経済的負担を緩和し会社に定着させるために作られており、その内容は会社によって異なるため注意が必要です。お勤め先にどのような福利厚生があるか調べておきましょう。
受給条件は会社によって違う
住宅手当が設けられていても、受給条件が会社によって異なるため、事前確認が必要です。家族構成や地域など、条件は会社のルールに従って定められています。対象者も、賃貸物件に居住する従業員のみを対象にしている場合や、家族も対象にした場合などさまざまです。
一般的には、住宅手当を含む福利厚生は大企業ほど充実しており、支給される金額も大きいです。中小企業はそもそも住宅手当が無い場合も多く、用意されていても月額1~2万円程の場合があります。近年は住宅手当を廃止する企業が増えており、新規企業には無い場合も見られます。
実家暮らしでもらえるかは会社の規定によって違う
「実家が賃貸だけど、実家暮らしではもらえないのかな」と思う方もいるかもしれません。住宅手当は会社が独自に決める福利厚生なので、「実家暮らしなら無理」と諦めるのは早計です。実家暮らしでも住宅手当がもらえるかどうかは、会社の規定次第です。
親とは別に世帯を構えていたり、親を扶養に入れていたりすると、実家暮らしでも支給されることがあります。
各自治体の家賃補助制度とは?3つの特徴を紹介
各自治体による家賃補助制度は、居住者の経済的負担を減らし、居住者がその自治体に定住するよう支援するために設けられています。自治体によって受給対象者や条件は異なります。各自治体の家賃補助制度は以下のとおりです。
- 受給の条件は各自治体に問い合わせる
- 家賃以外も負担してもらえる可能性がある
- 自分で申請する必要がある
例えば、家賃の負担が他地域と比較して重い東京都23区では、受給対象者がファミリーからシングル、高齢者まで幅広いです。一方、高齢化や過疎化に悩む地方では、Iターンなどをはじめとする移住者を増やすために、さまざまな移住支援が行われています。
高齢者については、家賃補助以外にも国から支援が得られるケースもあります。65歳以上で年金生活を送っている方は、下記記事も合わせてご覧いただけると幸いです。
受給の条件は各自治体に問い合わせる
前述のとおり、自治体の家賃補助を受給する条件は、各自治体によって異なるためお住まいの自治体に確認してみましょう。「義務教育修了前の子どもを扶養し同居している」などの子育てファミリーへの支援や、新婚夫婦を対象とした支援が多くみられます。
また、学生や社会人のシングルの定住に向けての支援もあります。ただし、受給条件は家族構成や所得制限など、自治体によってさまざまです。
なお、子育てファミリーについては、自治体による家賃補助以外にも国から手当を受け取れる場合があります。興味のある方は下記記事も合わせてお読みください。
家賃以外も負担してもらえる可能性がある
「どの程度家賃補助をしてもらえるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。自治体による家賃補助制度は、居住および定住の支援と促進を目的にしているため、家賃以外を負担してもらえることも。
場合によっては、引っ越し費用の実費や敷金・礼金・仲介手数料まで家賃補助に含まれます。ただし、補助を受給するためには各種条件を満たす必要があるため、各自治体の条件をよく確認してください。
自分で申請する必要がある
自治体による家賃補助制度を申請する場合、自分で応募する必要があります。自治体から「このような制度があり、いつからいつまでが申請期間です」とお知らせがあるわけではありません。
各自治体によって、家賃補助制度の募集時期や申請期間は異なります。自分で調べて当該時期に応募しなければならないため、お住まいの自治体の家賃補助制度を調べておきましょう。
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特定優良賃貸住宅とは?3つの特徴を解説
特定優良賃貸住宅とは、中堅所得者用に作られた、専有面積や構造、広さなどの法的基準を満たした良質な賃貸住宅です。間取りも2LDK・3LDKと広く、駐車場やオートロックも完備しているハイグレードな住まいです。
特定優良賃貸住宅では、国や自治体から家賃補助が適用されます。礼金や敷金、更新料、仲介手数料も不要です。特定優良賃貸住宅の主な特徴を3つ解説します。
- 家賃がやすい
- 入居条件が厳しい
- 住宅が古い
補助を受けられるのは最長で20年間です。年数を重ねるごとに補助額が減少しますが、20年という長期間補助を受けられるのはお得だといえるでしょう。
家賃が安い
家賃補助制度の特徴の1つは、住宅賃貸料が安いことです。入居する世帯の収入に応じて、国と地方自治体が一部の家賃を補助してくれます。
収入が低いほど、補助額が増えるため、低所得の家庭は家賃負担が少なくなることがメリットです。しかし、最近では地域や場所によって、民間の賃貸住宅の賃料も下がってきているところが多く、お得な制度ではなくなってきています。
入居条件が厳しい
特定優良賃貸住宅の設備や建具は、建物の築年数によって大きく異なります。古い物件では、網戸がなかったり、キッチンのコンロを入居者が自分で用意したりしなければなりません。
一方、新築の場合は物件の品質が高い一方で、入居は多くの場合、抽選となり、競争率が高くなります。
住宅が古い
特定優良賃貸住宅に移るためには、いくつかの要件を満たす必要があります。その中で最も重要な要件は「家族の年間収入が一定の上限を超えてはいけない」ことです。
厳しい審査よりも、年収が条件に合わない理由で利用できない人が多いことが実情です。
全国の家賃補助制度をご紹介!最大8万円も家賃補助があるって本当?
各自治体にどのような家賃補助制度があるのか、具体例を紹介します。次の4件です。
- 千代田区の「次世代育成住宅助成」
- 京都市の「住居確保給付金支援事業」
- 江東区の「借上げ社宅制度」
- 新宿区の「民間賃貸住宅家賃助成」
中には最大8万円の家賃補助がある制度も。お得な制度ばかりなので、特に該当地域にお住まいの方は、ぜひご一読ください。
最大8万円の助成がある千代田区の「次世代育成住宅助成」
千代田区の「次世代育成住宅助成」は、子育てファミリーや新婚世帯への支援を目的としています。内容は次のとおりです。
- 対象:区内に住み替えをする「区内に親がいる新婚世帯・子育て世帯」または「区内に居住する子育て世帯」
- 条件:所得制限と、基準を満たす住戸専有面積、住民税の滞納が無いことなど
- 助成額:世帯人数や受給年数によって異なり、月6,000円~8万円
- 受給期間:最長8年間
千代田区への引越しを考えているご家庭にぴったりの制度です。最長8年間の助成を受けられるため、子どもの教育費の準備にも役立ちます。
離職した方などをサポートする京都市の「住居確保給付金支援事業」
京都市の「住居確保給付金支援事業」は、失職や離職、休業などで収入が減ってしまった方を支援しています。事業概要は次のとおりです。
- 対象:離職などで経済的に困窮し、住居を喪失または喪失する恐れがある人
- 条件:所得制限、主たる生計維持者、誠実かつ熱心に求職活動をすることへの合意など
- 助成額:家賃相当額、ただし上限あり(例:3~5人世帯で5万2,000円)
- 受給期間:3カ月。再支給(1回限り)あり
昨今のコロナ禍で、予期しない離職や休業に追い込まれた方も、この給付金を受けることで3カ月間再就職に向けて集中できます。家を失ってしまう前に、ぜひこの制度を活用してください。
保育従事者が家賃補助を受けられる江東区の「借上げ社宅制度」
江東区の「借上げ社宅制度」は、保育士などの保育従事者向け支援制度の一環として行われています。制度の概要は次のとおりです。
- 対象:保育士などのために借上げ社宅を設置した保育施設運営事業者
- 条件:認可保育園や認証幼稚園に勤務する常勤保育士や看護師が入居した場合
- 助成額:「家賃などに7/8をかけた額」か「戸数×月数×7万1,750円」のうち低い方
- 受給期間:1年間
保育士さんに直接お金が支給されるわけではありませんが、家賃が補助によって安くなります。江東区は待機児童で悩んでいるため、保育従事者に来てもらえるようこの制度を始めました。
区内への定住化を勧める新宿区の「民間賃貸住宅家賃助成」
新宿区の「民間賃貸住宅家賃助成」は、子育てファミリーが区内に定住することを目的とした支援策です。内容は次のとおりです。
- 対象:賃貸住宅に住む子育てファミリー世帯
- 条件:所得制限、家賃制限、義務教育修了前の子どもを扶養し同居しているなど
- 助成額:月3万円
- 受給期間:最長5年間
近年は4倍以上の競争倍率となっており、人気の高さがうかがえます。随時の募集は行なっておらず、年1回の約2週間のみ募集されます。ホームページをチェックし、募集時期を見逃さないようご注意ください。
家賃補助制度を利用する際の3つの注意点
家賃補助制度を利用する際にはいくつかの注意点があります。注意点を知らず、家賃補助制度を利用しようとすると、条件にあわず使用できない場合があります。ここでは、主な3つの注意点を紹介します。
- 会社の家賃補助は課税対象になる
- 居住前に申請条件を確認する
- 申請の期限を確認する
家賃補助制度を利用できるかどうか自分で判断しましょう。
会社の家賃補助は課税対象になる
会社による家賃補助は、課税の対象になります。国税庁の規定によれば、企業が従業員に対して支払う手当は、特定の例外を除いて基本的に給与所得です。
家賃補助は給与所得と指定されており、非課税にはできません。会社からの給与支給には所得税が適用されており、累進課税制度に基づいて、給与額が高くなるほど、徴収される税金も増加します。
居住前に申請条件を確認する
家賃補助制度を利用する前には、必ず申請条件を確認しましょう。市区町村や自治体の補助制度は必ず通るわけではありません。
自分が制度の条件に適しているかどうかの確認を怠ると、準備時間が無駄になる可能性があります。もし、申請の条件にあてはまらない場合、新しい制度を探す時間ができ、他の制度を利用できる可能性が高くなるでしょう。
申請の期限を確認する
地方自治体が提供する補助制度は、年間を通じて申請できる場合もあれば、特定の期間だけ申請受付を行う場合もあります。例えば、年に1回、わずか2週間だけ受け付ける制度も存在します。
そのため、引っ越しをすぐに行わない場合でも、どの自治体がいつ申請を受け付けるのかは常に確認しておくことが重要です。申請期間が開始する前に、どのように手続きを行うのかを理解しておくことも大切です。
家賃補助制度を上手に活用してお得に生活しよう!
家賃助成制度の概要と種類、具体例をご紹介しました。家賃助成制度は受給対象や条件がさまざまであるため、ご自身にマッチする助成を見つけられる可能性が高いです。お勤め先やお住まいの自治体など、幅広くチェックしてみてください。
ご自身に合う家賃助成制度があれば、ぜひ上手に活用してお得に過ごしてください。家賃を節約できるので、その分生活の質を上げたり、貯金を殖やしたりできます。