妊娠・出産は非常に喜ばしいことですが、一方で「出産費用はどれくらいかかるのだろう」と不安を抱く人もいるでしょう。子育てにはお金がかかるため、出産費用はできるだけ抑えたいものです。
そこで本記事では、出産費用を抑える裏ワザを紹介します。また、出産に際して知っておきたい補助金や公的制度も併せて解説しますので出産時にはぜひ参考にしてください。
出産費用の平均はいくら?
妊娠を希望している人やこれから出産を控えている人は、出産に必要な費用が気になるでしょう。分娩施設ごとの平均値と中央値は以下の通りです。
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
全体 | 460,217円 | 451,120円 |
公的病院 | 443,776円 | 440,530円 |
私的病院 | 481,766円 | 467,805円 |
診療所(助産所を含む) | 457,349円 | 449,300円 |
参考:厚生労働省「第136回社会保障審議会医療保険部会資料(PDF)」
上記の表から分かる通り、出産費用の平均は約46万円です。しかし、46万円が全額自己負担になるわけではなく、後述する出産育児一時金を利用することで医療費はさらに軽減されます。
ただし、通常分娩か帝王切開かなど、出産方法や分娩施設によって医療費に差が生じます。そのため、出産費用は個人差が大きく、上記の金額は目安として考えると良いでしょう。
なお、出産育児一時金などの補助金や公的制度が利用できるとはいえ、出産の際には少なからず自己負担が発生することを考慮し、出産前にまとまったお金を準備しておくことが大切です。
出産費用を抑えるための裏ワザ5選
出産費用を抑える具体的な方法を5つご紹介します。出産にかかる費用をできるだけ軽減し、子育てにより多くのお金を回すためにも参考にしてみてください。
①クレジットカードで払う
会計時にクレジットカード払いをすると、クレジットカードのポイントをつけることができてお得です。また、出産に伴う入院費用は、出産育児一時金の直接支払制度を利用しても数万円~数十万円の自己負担が発生するケースがあります。クレジットカード払いなら、現金が財布になかったとしても支払うことができるため便利です。
ただし、クレジットカード払いを受け付けていない医療機関もあるため、事前に確認しましょう。
②休日や深夜の診察を避ける
計画分娩などを除き、出産日は誰にもわかりません。時には、夜中に陣痛が始まったり、祝日や連休中に破水することも考えられます。外来の受付時間外や夜間、祝日に入院すると深夜料金や時間外料金が加算されるため、可能な範囲で受付時間内に受診することで医療費を抑えることができます。
③分娩費用を予め確認する
先述の通り、利用する医療機関によって出産費用は異なります。できるだけ出産費用を抑えたい人は公的病院の利用を検討しましょう。
また、出産費用の概算金額をホームページに掲載している施設もあります。出産を予定している医療機関・分娩施設の平均的な出産費用が知りたい場合は、それぞれの施設に問い合わせてみましょう。
④里帰り出産する
出産費用は地方よりも都市部のほうが高額になることが多いです。そのため、地方での里帰り出産を検討すると、いくらか出産費用を軽減できます。
ただし、里帰り先での出産の際は医療機関に空きがある場合に限られます。妊娠が分かったら分娩を希望する医療機関に早めに連絡しましょう。
⑤入院時は大部屋を希望する
通常分娩であれば、産後5日間ほど入院が必要です。入院時に個室を選択すると差額ベッド代が発生し、自己負担額も大きくなります。そのため、出産後の入院では大部屋を選び、医療費をできるだけ抑えると良いでしょう。
帝王切開の場合は通常分娩よりも入院日数が長くなることを考えると、大部屋を希望することによる医療費の削減効果は非常に大きいです。
出産時に受け取れる補助金について
出産時には、分娩費用の他にもさまざまな費用がかかります。子供が生まれると生活費や教育費が必要になるため、補助金を利用して出産費用を極力抑えましょう。
出産時に受け取れる補助金について以下で解説します。
出産育児一時金
妊娠4ヶ月以上の人が出産すると、健康保険による給付として一児につき42万円の出産育児一時金が支給されます。直接支払制度を利用すると、被保険者は退院時に高額な医療費を支払う必要がありません。
出産時は分娩費用の他に処置代や差額ベッド代、入院費用などがかかり、医療費の総額は数十万円になることが一般的です。出産育児一時金を利用することで自己負担額は非常に軽減されるため、必ず申請しましょう。
直接支払制度とは?
出産前に、被保険者等と医療機関等が出産育児一時金の受け取りに関する契約を結び、医療機関等が被保険者等の代理として協会けんぽや国民健康保険に出産育児一時金を申請して、直接出産育児一時金が支給される制度を直接支払制度といいます。
出産育児一時金が医療機関等に直接支払われるため、医療機関等の窓口で高額な出産費用を支払う必要がない点が特徴です。
産科医療補償制度
産科医療補償制度は、分娩に関連して発症した重度の脳性麻痺の子供とその家族の金銭的な負担を補償し、同様の事例の再発防止に向け産科医療の質の向上を目的とした制度です。補償対象と認定される3つの基準を満たした場合、総額3,000万円が補償されます。
補償には申請期限が設けられているため、産科医療補償制度の認定基準を満たす場合は速やかに申請しましょう。なお、産科医療補償制度の詳細は以下でご確認ください。
参考:公益財団法人 日本医療機能評価機構「産科医療補償制度」
出産手当金
出産を理由に無収入になる期間が生じることのないように設けられた制度です。出産手当金の支給対象は勤務先で健康保険に加入している人です。出産日以前42日から出産日の翌日以降56日までを範囲として出産のために会社を休み、給与の支払いがなかった期間に対して出産手当金が支払われます。
産休中の収入の減少を補ってくれる制度であり、出産費用を抑えるためにも必ず申請しましょう。なお、自営業者など国民健康保険加入者は出産手当金の対象にならない点には注意が必要です。
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出産時に利用できるその他の公的制度について
出産時には、補助金以外にもさまざまな公的制度を利用できることがあります。制度ごとに対象者は異なりますので、詳細を確認し、出産費用を抑えるために公的制度を積極的に利用しましょう。
医療費控除
医療費控除は、1年間に申告者および生計を一にしている配偶者や親族のために支払った医療費が一定額を超えると所得控除される制度のことをいいます。
一般的に、医療費控除は以下の通り算出します。
(実際に支払った医療費)-(保険金等で補てんされた金額)-10万円
1年間の医療費が10万円以上になった場合(総所得金額が200万円未満の人は総所得金額等の5%)、医療費控除を受けることができます。妊娠中の検診や通院費用も医療費控除の対象ですので、妊娠・出産に関連した医療費を正しく把握しておきましょう。
高額療養費制度
出産時にはさまざまな理由で医療費が非常に高額になることも想定されます。そのような場合には高額療養費制度を利用しましょう。高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口における1ヶ月の負担額が上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給してくれる制度のことをいいます。
上限額は年齢や所得によって異なるため、出産前に詳細を確認しておくことが大切です。また、高額療養費制度には、さらに負担を軽減する世帯合算や多数該当の仕組みがあります。帝王切開や吸引分娩で出産した場合は、高額療養費の対象となる点を覚えておきましょう。
産前産後期間の国民年金保険料免除制度
次世代育成支援の観点から、自営業者など国民年金の第1号被保険者が出産した場合、産前産後の国民年金保険料が一定期間免除される制度があります。具体的には、出産予定日または出産日が属する月の前月から4ヶ月間の国民年金保険料が免除されます。
免除された期間は保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されるため、申請するメリットは非常に大きいです。なお、この制度は出産後でも届出できる一方で、届け出をしない限りは免除になりません。出産や育児には多額の費用がかかるため、この制度を利用して国民年金保険料の負担を軽減しましょう。
参考:日本年金機構「国民年金保険料の産前産後期間の免除制度」
まとめ:出産費用を抑える裏ワザ多数!補助金や公的制度も要確認
出産は事前に思い描いている通りに進まないことも多く、想定外の出産費用がかかることもあるでしょう。そのため、今回ご紹介した裏ワザを実践することで、少しでも出産費用を抑えることが可能です。
また、出産時に利用できる補助金や公的制度の詳細を知っておくことで、出産費用に関する不安を軽減し、安心して出産に臨めるでしょう。