大学に進学を希望する子供がいて「仕送りはいくら必要なの?」と疑問を抱いていませんか。大学生になった子供が一人暮らしをすることは喜ばしい反面、生活費をカバーしてあげる必要があります。
そこで本記事では、大学生への仕送りで必要になる金額の詳細を解説します。仕送りを捻出できない場合の対策までご紹介しますので、大学費用の計画的な準備にぜひご活用ください。
大学生の子どもへの仕送りの平均額・相場は?
大学生への仕送り金額の平均には、さまざまなデータがあります。
結論からお伝えすると、仕送り額は「7~8万円」が平均です。ただし、私立大学に進んだケースに関しては10万円を超える金額になる場合もあります。私立大学のほうが、国公立よりも学費が高いためです。
「全国大学生活協同組合連合会」「日本学生支援機構」「日本政策金融公庫」のそれぞれが発表している公的なデータから、仕送りの平均額を読み取っていきましょう。
全国大学生活協同組合連合会の調査結果
全国大学生活協同組合連合会(以下、全国大学生協連)の「第57回 学生生活実態調査」によれば、2021年の仕送り額の平均は「71,880円」でした。
年ごとの推移を見ると不景気という世相を反映してか、1995年からは10万円以上の高額な仕送り額は減少傾向です。
一方、5万円未満(0円を除く)や5~10万円の仕送り額は横這いから微増で推移しています。
日本学生支援機構の調査結果
日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」によれば、大学(昼間部)の家庭からの給付(仕送り)の平均額は1,144,700円でした。単純に12で割ると95,392円が1ヶ月の仕送り額です。
ただ、どの大学に進んでも10万円弱の仕送りが必要ということではありません。国立・公立・私立によって学費が全く異なるので、どの大学に進学するかによって結果は異なります。
仕送り額の平均 | |
---|---|
国立大学 | 77,325円 |
公立大学 | 64,333円 |
私立大学 | 101,592円 |
参考までに、国立・公立・私立のそれぞれの学費の平均は以下のとおりです。
平均的な学費 | |
---|---|
国立大学 | 入学料:282,000円 授業料:535,800円(年額) |
公立大学 | 入学料:387,275円 授業料:534,271円 |
私立大学 | 入学料:245,951円 授業料:930,943円 施設設備費:180,186円 |
国公立の大学では学費の差は小さい一方、私立では施設設備費がかかることも含めて、明らかに高い費用が必要です。
このことからも、私立学生の「学費込みの仕送り」は国公立より高額にする必要があることが分かります。
国公立大学と私立大学の学費等の詳細に関しては、以下の記事を参考にしてください。
日本政策金融公庫の調査結果
日本政策金融公庫「令和3年度教育費負担の実態調査結果」によれば、平均的な仕送り額は79,833円でした。
全国大学生活協連の結果に近い数字になっています。
仕送りなしの世帯は約10%に留まっており、一人暮らしで大学に通っている子供の親はほとんどの場合、子供に仕送りを行っていることがわかります。
3つの機関の発表を総合すると、やはり7~8万円、私立大学の場合は10万円、年間でいえば84~120万円が必要ということでしょう。
注意点として「上記のデータは3つとも全国平均で割り出されている」という点があります。東京や大阪など家賃相場や物価の高い地域に関しては、さらに多くの金額が必要になってくるでしょう。
1人暮らしの大学生の生活費はいくら?平均額を確認
仕送りは、「学生自身では不足してしまう生活費を補ってあげる」というのが本来の主旨です。
妥当な金額を決める際、大学生が得られる収入から必要な生活費などの支出を差し引くと参考になるでしょう。
大学生一人暮らしの平均的な収入
親元から離れて生活するにあたり、仕送り以外にも「アルバイト」「奨学金」を生活費に充てている場合があります。
全国大学生協連「第57回学生生活実態調査『下宿生の生活費』」、日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査『家庭からの給付』」から、大学生一人暮らしの平均収入をまとめました。
全国大学生協連:
収入項目 | 金額 |
---|---|
奨学金 | 20,380円 |
アルバイト | 29,130円 |
定職・その他 | 3,900円 |
仕送り | 71,180円 |
合計 | 125,280円 |
日本学生支援機構:
収入項目 | 金額 |
---|---|
奨学金 | 31,100円 |
アルバイト | 30,541円 |
定職・その他 | 3,600円 |
仕送り | 95,391円 |
合計 | 160,633円 |
仕送りまで含めた大学生の平均収入は、1ヶ月あたり12~15万円程度です。1年間で150~180万円程度の収入を得ているケースが多いことが分かります。
大学生の平均的な支出額とその内訳
全国大学生協連「第57回学生生活実態調査『下宿生の生活費』」から、大学生の平均的な支出をまとめた結果が以下の通りです。
支出項目 | 金額 |
---|---|
食費 | 24,680円 |
住居費 | 53,920円 |
交通費 | 3,850円 |
教育娯楽費 | 11,760円 |
書籍費 | 1,700円 |
勉学費 | 1,900円 |
日常費 | 7,520円 |
電話代 | 3,110円 |
その他 | 2,310円 |
貯金 | 14,300円 |
合計 | 125,040円 |
生活費のなかで高い割合を示している項目が「家賃」「食費」です。
支出の合計は約12万円と、収入と支出の平均が近い数値になりました。仕送り込みでも楽な生活は難しいことが分かります。
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【結論】大学生への仕送り額の目安は?
仕送り額の平均と生活費を見てみると、「家賃+食費」の金額を仕送り金額の目安にできることが分かります。
前述の「平均的な収入」「平均的な支出」を考慮すると、大学生への仕送り額は7万円~10万円程度が妥当でしょう。
ただ、「どの大学に進むか」「下宿か学生寮か」など、条件ごとに仕送り額が異なります。日本学生支援機構の「令和2年度 学生生活調査」を元に、それぞれのシチュエーションごとの仕送りの平均額を紹介します。
国公立・私立別(昼間部)にみる平均仕送り額
大学の種類 | 仕送り平均額 |
---|---|
国立大学 | 927,900円 |
公立大学 | 772,000円 |
私立大学 | 1,219,100円 |
年間の平均 | 1,144,700円 |
下宿・一人暮らしの大学生
大学の種類 | 仕送り平均額 |
---|---|
国立大学 | 1,164,800円 |
公立大学 | 981,300円 |
私立大学 | 1,637,100円 |
年間の平均 | 1,444,200円 |
学生寮に暮らす大学生
大学の種類 | 仕送り平均額 |
---|---|
国立大学 | 659,800円 |
公立大学 | 767,600円 |
私立大学 | 1,414,100円 |
年間の平均 | 1,279,300円 |
いずれのデータでも私立の学生への仕送り額が平均を高くしていることが分かります。そのため実際に仕送り額を決める際は、国公立と私立で分けて考えるべきでしょう。
また、「下宿・一人暮らし」と「学生寮」を比較すると、アパートに住む学生への仕送り額は学生寮を大きく上回ります。
仕送り不足を補う方法
毎月7万円~10万円を仕送りできれば、相場としては子どもが大学生活を送るに足りることが分かりました。ただ、そこまでの金額を捻出できないと感じる親も多いでしょう。
仕送りの相場を親が捻出できそうにない場合、少しでも家計の支出を浮かせる方法や現金そのものを増やす取り組みを考えるべきです。
国の教育ローンを活用する
仕送り額を貯金や毎月の稼ぎから捻出するのが難しい場合、国の教育ローンを利用することも選択肢に入れましょう。
国の教育ローンは正式には「教育一般貸付」と呼び、奨学金と違って親が教育費のためのお金を借りる仕組みです。
借入できる上限額は350万円(一定条件に該当する場合は子供1人あたり450万円)と高額で、固定金利で年1.95%という低金利で借入できます。金融機関や貸金業者のカードローンやフリーローンでは15.0~18.0%の上限金利が設定されていることを考えると、割安で教育資金の借入が可能です。
さらに「ひとり親家庭」「交通遺児家庭」「扶養する子供の人数が3人以上で世帯年収500万円(356万円)以内」などの条件に当てはまると金利が1.55%まで下がり、保証料も通常の2分の1に抑えられます。
親世帯と子供のスマートフォン料金プランを見直す
生活費のうち、固定費を見直すことで仕送り代を捻出する方法もあります。
中でも見直しやすい費用がスマートフォンの通信料金です。毎月の通話時間やインターネットで利用するギガ数から、スマートフォンのプランを見直しましょう。
たとえば「格安SIM」であれば、以下のように定額なプランも登場しています。
UQモバイル「くりこしプラン +5G(S/M/L)(iPhone/スマートフォン/SIM向け)」:
データ容量 | 3GB/月 |
---|---|
月額 | 1,628円(税込)/月~ |
「くりこしプランS +5G」の場合、通話料(税込22円/30秒)などが別途かかります。ただし、LINEやSkypeなどの無料通話を利用すれば通話料金はかかりません。
自宅の通信をWi-Fiにすることでギガを消費せずに通信が可能なので、家族の人数によっては大手キャリアのギガ無制限プランよりも費用を抑えることが可能です。
子供が住む物件の家賃を抑える
大学生の支出の内訳のなかで、もっとも高いのが「食費」「家賃(住居費)」の2つです。これらを削減することができれば、仕送り金額も少なくすることができるでしょう。
ただ、食費を抑えるというのは健康面を考えても現実的ではありません。
一方、家賃を抑えることができれば固定費を削減できます。仕送り金額は据え置きでアルバイトの時間を減らし、学業に打ち込ませることもできるでしょう。
駅から遠い物件や築年数が経過した物件ほど家賃設定が安い傾向にあるため、学業に支障のない範囲で学費を抑えられる物件を選びましょう。
その他、生活をひと工夫するだけでできる節約方法もあります。詳細については、以下の記事を参考にしてください。
まとめ:進学先によって柔軟に仕送り額を変更しよう
国公立・私立大学生の一人暮らしを支えるのに必要な仕送りの相場や、仕送りを捻出するための対策について解説しました。
大学生への仕送り金額の相場は7万円から10万円程度です。特に私立大学に進学した場合には多額の仕送りが必要になります。
両親の収入や貯金から仕送りを捻出するのが厳しい場合、まずは身の回りの固定費を節約したり、子どもが住む物件の家賃を下げたりする対策を行いましょう。国の教育ローンを利用することで、民間から借りるよりもお得に仕送り費用を用意することもできます。
大学生活でかかる費用と学生本人が得る収入を把握し、計画的に仕送りを準備していきましょう。