大学生になると生活の幅が広がり、どうしても出費が多くなります。学費や下宿代を自分で支払う場合はバイトを増やしても、生活していくにはかなり大変です。そんな時に「国民年金保険料納付するように」と国から通達があっても、負担が大きくて困ってしまうでしょう。
そこで本記事では、学生納付特例制度の利用、親による立て替え、新型コロナウイルスの影響下で収入減の際の保険料免除など、負担を緩和する方法をご紹介します。
自分に合った方法を選ぶことで、国民年金保険料に対処でき、未納になることを避けられます。
20歳になると国民年金に加入する
日本国内在住の20歳~60歳の人は、国民年金への加入義務があります。そのため、20歳になるとたとえ収入のない学生であっても、国民年金機構から国民年金に加入したというお知らせが送られてきます。国民年金への加入を拒否することはできません。
学生は国民年金の第1号被保険者に該当し、毎月定められた保険料を納めます。毎月1万円以上の保険料を納付するのは、学生にとっては厳しいです。「そのお金があれば外食やレジャーももっと可能だし、生活も楽になるのに」と思うでしょう。
そこで、学生に対しては「学生納付特例制度」が設けられています。
学生は「学生納付特例制度」を利用できる
学生にとって、バイトで稼いだお金から国民年金保険料を捻出するのは大変です。そこで利用したいのが、在学中なら保険料納付が猶予される「学生納付特例制度」です。
学生本人の所得が一定以下なら利用できます。親の所得は関係ありません。
「学生納付特例制度」の具体的なイメージをつかむため、次の4つのポイントについて確認しておきましょう。
- 学生の6割以上は学生納付特例制度を利用している
- 学生納付特例制度は保険料の「免除」ができるわけではない
- 将来受け取る年金を減らさないためにも、余裕があれば「追納」しよう
- 学生納付特例制度の申請方法
学生の6割以上は学生納付特例制度を利用している
「学生納付特例制度を使いたいのは自分だけなのでは」と不安に思っている人は、安心してください。学生の6割以上が学生納付特例制度を利用しています。
厚生労働省年金局の調査によると、学生全体のうち、学生納付特例制度を利用している人が65.3%、納付している人が23.0%、1号期間滞納者が9.1%(※)です。
※出典:厚生労働省年金局「平成 29 年国民年金被保険者実態調査 結果の概要」
滞納している人は、学生納付特例制度を知らないのかもしれません。学生納付特例制度は学生の特権でもあるため、利用できる制度は積極的に使うのがおすすめです。
学生納付特例制度は保険料の「免除」ができるわけではない
学生納付特例制度関して、ひとつ気をつけておきたい点があります。誤解する場合があるのですが、学生納付特例制度は保険料を免除するのではありません。あくまで、学生である期間中の保険料納付を猶予しているだけです。
そのため、学生納付特例制度を利用すると、その期間は老齢基礎年金の受給資格期間にカウントされますが、金額に関しては納付していない扱いになってしまいます。将来受け取れる年金額を減らさないためには、「追納」が必要です。
将来受け取る年金を減らさないためにも、余裕があれば「追納」しよう
追納とは、支払いを猶予されていた期間の保険料を後から支払うことです。10年以内であればさかのぼって納付できます。ただし、10年を超えると追納をする権利は失われます。学生納付特例制度を利用した場合は、少しでも余裕ができれば早めに追納しましょう。
なお、追納をするためには年金事務所で申し込みを行ないます。厚生労働大臣が承認した後、納付書が渡され、支払います。追納の申し込みは郵便で行うことも可能です。
学生納付特例制度の申請方法
では、学生納付特例制度はどのように申請すればいいのでしょうか。以下で、
- 申請に必要な書類
- 申請書類の提出先
についてご紹介します。
申請に必要な書類
申請に必要な書類は以下の3点です。
- 申請書
- 年金手帳 または 基礎年金番号通知書
- 学生等であることまたは学生等であったことを証明する書類:在学証明書の原本や学生証の写し
申請は年度ごとに行なう必要がある点にご注意ください。前年度から続けて利用できる人には、日本年金機構から3月末までに案内が届きます。
申請書類の提出先
申請書類の提出先は以下の通りです。
- 住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口
- お近くの年金事務所
申請書類の提出は郵送でも可能です。住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口まで送付してください。
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親が子どもの保険料を立て替え払いをすることで節税も可能
子どもが自分で国民年金保険料を払うのが難しい場合は、親が立て替えて支払うのも選択肢のひとつです。
「大学生になっているのに、そんなに甘やかせない」と言われるかもしれません。実は、親が子どもの国民年金保険料を代わりに払うことで、親自身の節税になります。
年金保険料は社会保険料控除として、納付額の100%が所得から控除されます。生計を同じくする親族の場合、国民年金保険料は代わりに払った人の所得控除として申告することが可能です。親にとっては節税となり、子どもの未納状態も防げるのでまさに一石二鳥です。
新型コロナウイルスの影響による減収をした場合は保険料免除の対象になる場合も
「新型コロナのせいでバイトが減って、国民年金保険料を払うのが厳しい」という学生の人も多いのではないでしょうか。そのような場合は、2020年5月1日から開始された臨時特例免除申請を利用できます。
この臨時特例措置においても、通常の学生納付特例制度と同様に10年以内であれば追納が可能です。追納しないとやはり学生納付特例制度と同じく将来受け取れる年金額が減るのでご注意ください。
対象となる人
以下の2点をいずれも満たした場合、この特例措置を利用できます。
- 2020年2月以降に、新型コロナの影響で収入が減少した
- 2020年2月以降の所得等の状況から、今年の所得が現行の国民年金保険料の免除等に該当する水準になると見こまれる
対象期間
また、この臨時特例措置の学生についての対象期間は、現在次の通りです。
- 2019年度分:2020年2月~2020年3月
- 2020年度分:2020年4月~2021年3月
- 2021年度分:2021年4月~2022年3月
申請方法
臨時特例措置を申請するために、通常の学生納付特例制度申請時の必要書類と、次の2点の書類を用意する必要があります。
- 国民年金保険料免除・納付猶予申請書
- 所得の申立書
申請手続き先は、通常の学生納付特例制度と同じで、住所地の市区町村役場の国民年金担当窓口または年金事務所です。新型コロナウイルス感染拡大を避けるためにも、郵送の手続きが推奨されています。
まとめ:学生でも国民年金保険料納付の義務が発生!支払い猶予が必要な場合は忘れずに申請を
学生納付特例制度の利用、親による立て替え、新型コロナウイルスの影響下で収入減の際の保険料免除など、国民年金保険料支払いの負担を緩和する方法をご紹介してきました。バイトの給料が収入のすべてであることが多い学生にとって、保険料を支払うのは大変です。
しかし、国民年金保険料を未納状態にしておくと、万一不運な事故で重度の身体障害者になってしまっても、障害を負った際に受け取れる障害基礎年金を受け取れません。
老後の年金額を減らさないため、もしものときに障害基礎年金を受け取れるようにするため、学生納付特例制度を利用したり、親に立て替えてもらうなどして、未納とならないよう注意しましょう。