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家計

いま現在貯金額が少ないことで「このままの預金額で老後を過ごして大丈夫か?」と不安に感じている方も多くいるのではないでしょうか。

数年前に「老後2,000万円問題」が社会問題になったように、老後の収支の赤字額次第では預貯金が底を突くことも考えられます。そうならないように、できるだけ早い段階から貯金額を増やしていくことが必要です。

本記事では老後までに貯めておきたい貯金額「600万円」の根拠や、600万円の貯金を貯めるために実践したい節約・資産運用の方法を解説します。

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20代で貯金が600万円ある人の割合はどれくらい?

金融広報中央委員会の資料によれば、20代で600万円以上の貯蓄(株式や投資信託などの金融資産を含む)をしている方の割合は以下のとおりです。

【2人以上世帯・金融資産を保有していない世帯を含む】

100万円未満 21.6%
100万円~200万円未満 9.9%
200万円~300万円未満 8.2%
300万円~400万円未満 4.7%
400万円~500万円未満 4.7%
500万円~700万円未満 4.1%
700万円~1,000万円未満 2.3%
1,000万円~1,500万円未満 1.2%
1,500万円~2,000万円未満 0.0%
2,000万円~3,000万円未満 2.3%
3,000万円以上 0.6%

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和5年調査結果」

500~700万円の資産を保有している人はわずか4%前後です。700万円以上の資産を持っている人の割合を合計しても8~10%と決して多くありません。

貯蓄が600万円であるだけで、全体の上位10%に入っていることが分かるでしょう。

20代で起こるイベントにかかるお金の平均

貯蓄600万円というのは平均年収が500万円以下の日本人としては満足できる水準かもしれません。

しかし、将来の出費を見据えたとき、本当に貯金600万円で足りるのかをしっかり考えておく必要があります。

ここでが20代で起こるかもしれないライフイベントの種類と概要から、貯金600万円が妥当なのかを見ていきましょう。20代で発生する可能性のあるイベントは以下のとおりです。

  1. 結婚にかかる費用
  2. 出産・育児にかかる費用
  3. 教育にかかる費用
  4. 住宅を購入するのにかかる費用

結婚にかかる費用

ゼクシィによると、結婚式にかかる費用としては、以下のようなものがあります。

結納式 25.6万円
婚約指輪 43.3万円
結婚指輪(2人分) 30.8万円
挙式・披露宴・ウエディングパーティ 356.3万円
新婚旅行 53.4万円
新婚旅行土産 5.4万円
合計 456.9万円

出典:ゼクシィ結婚トレンド調査 2023首都圏

結婚式と披露宴にかかる費用だけでも356.3万円が必要で、結納式や結婚指輪、ハネムーンまで全てを合わせると456.9万円もかかることになります。

年収600万円の3分の2を超える出費であり、両家からのお祝い金やご祝儀を加味しても事前に貯金や対策が必要でしょう。

出産・育児にかかる費用

厚生労働省の資料によれば、2022(令和4)年度の入院分娩費用などの出産費用の全国平均は482,294円でした(正常分娩のみ・室料差額等を除く)。

施設別にも出産費用に違いがあり、公的病院を選択するのが一般的にはもっとも安く出産できる可能性があります。

  • 公的病院:463,450円
  • 私的病院:506,264円
  • 診療所・助産所:478,509円

出典:厚生労働省「出産費用の見える化について」

教育にかかる費用

厚生労働省によれば、公立・私立幼稚園・小学校ごとの「1年間・子ども1人あたりの学習費総額」は以下のとおりになっています。

学校の種類 費用
公立幼稚園 165,126円
私立幼稚園 308,909円
公立小学校 352,566円
私立中学校 1,666,949円

出典:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」

幼稚園でも小学校でも、公立に通わせるか私立に通わせるかによって、教育費用に大きな差が出ます。特に小学校の費用差は大きく、公立では6年間で約212万円のところ、私立では約1,000万円もかかる計算です。

住宅を購入するのにかかる費用

住宅金融支援機構の資料によると、住宅購入にかかる平均的な費用は以下のとおりです。

住宅の種類 費用
注文住宅 3,863万円
土地付き注文住宅 4,903万円
建売住宅 3,603万円
マンション 5,245万円
中古戸建 2,536万円
中古マンション 3,037万円

出典:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」

住宅購入にはローンを組むことが一般的であり、上記の全額を用意する必要はありません。実際に住宅を購入する時に必要になるのは「頭金」と「諸費用」です。

頭金と諸費用の金額は住宅によっても異なるので一概には分かりませんが、頭金が住宅の購入価格の10%、諸費用が10%の20%と考えて準備を進めておくと良いでしょう。

土地付注文住宅なら「4,903万円×20%=約981万円」となり、1,000万円くらいを現金で用意しておくとスムーズにローンを組める可能性が高いと判断できるでしょう。

独身で600万円以上の貯金がある人はどれくらいいるの?

金融広報中央委員会の資料によると独身(単身世帯)で資産600万円以上を持っている人の割合は以下のとおりです。

【単身世帯・金融資産を保有していない世帯を含む】
 

100万円未満 23.0%
100万円~200万円未満 10.9%
200万円~300万円未満 5.3%
300万円~400万円未満 4.9%
400万円~500万円未満 2.6%
500万円~700万円未満 4.0%
700万円~1,000万円未満 2.2%
1,000万円~1,500万円未満 1.6%
1,500万円~2,000万円未満 0.0%
2,000万円~3,000万円未満 0.0%
3,000万円以上 0.0%

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和5年調査結果」

500万円~700万円の資産を持つ人が全体の4.0%、700万円以上の年収を持つ人と合計しても約8%です。単身世帯では1500万円以上の貯蓄をしている世帯はいませんでした。

貯金が600万円あるということは、単身世帯としてはかなり資産を保有していると考えらえます。

退職までに解決しておきたい「65歳で600万円ないと詰む」現実

「老後に突入するまでに、どのくらいの貯金があれば良いのか?」ということについて気になる方は多いのではないでしょうか。

ここからは総務省の家計調査の結果から老後の収入と生活費を比較し、毎月の収支が赤字になるのか、どれくらいの金額が不足するのかについて確認していきましょう。

結論からいえば、仮にひとり身であったとしても、最低600万円の貯蓄がないと詰んでしまうかもしれません。

年金だけでは1年で〇万円不足する可能性がある

総務省「家計調査」の最新データによると、65歳以上の単身世帯の1ヵ月あたりの消費支出と非消費支出の合計は「157,673円」です。老齢年金などの社会保障給付は126,905円であり、1ヵ月当たり30,768円の不足が発生します。

一方、65歳以上の夫婦二人世帯の1ヵ月あたりの消費支出と非消費支出の合計は「282,497円」です。老齢年金などの社会保障給付は244,580円であり、月37,916円が不足します。

日本人の平均寿命から老後は20年以上で計算するべき

毎月の赤字額がどれくらい続くのかが明らかになれば、生涯の不足金額が鮮明になってきます。

厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると、2021年の日本人の平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳です。65歳から年金を受け取り始めると仮定した場合でも、20年以上の老後生活をするものと考えておくべきでしょう。

たとえば単身世帯の高齢者が65歳から年金を受け取りはじめて20年を過ごすと仮定した場合、「30,768円×12ヵ月×20年=738万4,320円」となり、約740万円が不足する計算になります。

高齢夫婦二人世帯の場合は「37,916円×12ヵ月×20年=909万9,840円」となり、不足額は1,000万円弱になる計算です。

以上のことから、単身者であっても最低600万円~1,000万円程度の預貯金がないと、将来的に老後破産を起こす可能性があります。

【年代別】貯蓄額の平均値・中央値

最低限600万円の貯蓄がないと、安心して老後生活を送ることが難しいことは分かりました。実際のところ、どれくらいの貯蓄額を持っていることが一般的なのでしょうか。

「令和5年(2023年) 家計の金融行動に関する世論調査」のデータから、二人世帯と単身世帯の貯蓄額の平均値・中央値をまとめました。

なお、平均値と中央値の違いは以下のとおりです。

「平均値」とは?

データをすべて足し合わせたうえで、データの個数で割った値

「中央値」とは?

データを小さい順(または大きい順)に並べたときに、中央にある値
※偶数のときは中心に最も近い2つの値の平均値が中央値になる

平均値は極端な数字に引っ張られることがあるため、主に中央値を参考にすると良いでしょう。

20代の貯蓄額の平均値・中央値

1.二人世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 403万円 171万円
金融資産を保有しない世帯を含む 249万円 30万円

2.独身・単身世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 219万円 103万円
金融資産を保有しない世帯を含む 121万円 9万円

30代の貯蓄額の平均値・中央値

1.二人世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 856万円 337万円
金融資産を保有しない世帯を含む 601万円 150万円

2.独身・単身世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 912万円 300万円
金融資産を保有しない世帯を含む 594万円 100万円

40代の貯蓄額の平均値・中央値

1.二人世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 1,236万円 500万円
金融資産を保有しない世帯を含む 889万円 220万円

2.独身・単身世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 964万円 500万円
金融資産を保有しない世帯を含む 559万円 47万円

50代の貯蓄額の平均値・中央値

1.二人世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 1,611万円 745万円
金融資産を保有しない世帯を含む 1,147万円 300万円

2.独身・単身世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 2,288万円 555万円
金融資産を保有しない世帯を含む 1,391万円 80万円

60代の貯蓄額の平均値・中央値

1.二人世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 2,588万円 1,200万円
金融資産を保有しない世帯を含む 2,026万円 700万円

2.独身・単身世帯の場合

  平均値 中央値
金融資産を保有する世帯のみ 2,240万円 1,100万円
金融資産を保有しない世帯を含む 1,468万円 210万円

中央値をみると、特に「金融資産を保有しない世帯を含む」単身世帯の貯蓄額がどの世代でも少ないという特徴があります。一部の高年収の方を除き、単身世帯の多くは二人世帯よりも貯金額が少ないということでしょう。

要因としては「働き手を増やせない」ということが挙げられます。共働きであれば2人分の退職金を受け取れることもあり、特に60代の貯蓄額について単身世帯と二人世帯で大きな差が出ています。

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貯金600万円を目指して資産を増やすための方法【支出編】

金融資産を保有していない世帯を含む中央値をみると、多くの世帯で600万円の貯金額には届いていないことが分かりました。600万円の貯金をつくることは決して簡単ではなく、収入と支出の両面を改善していく必要があるでしょう。

まずは、支出を抑えることで収支改善を図りましょう。基本給を1万円上げることは容易ではありませんが、毎月の支出を1万円抑えることができれば増える貯金額は同じです。

ここでは、貯金600万円を貯めるための方法のうち、「支出」に関するものを3つ紹介します。

1.固定費を見直して支出を減らす

支出には毎月変動する「変動費」と、毎月一定の費用が必要な「固定費」があります。

支出を見直す場合、まず、固定費を見直すことがおすすめです。毎月一定額が必ずかかる固定費を一度節約できれば、その後もずっと節約効果が維持されます。

固定費を見直すポイント 節約方法の詳細
スマホの月額料金 ・格安SIMに切り替える
・新しい料金プランを検討する
生命保険の保険料 ・不要な特約を解約する
・他社の保険に切り替える
家賃 ・家賃が安い物件に引っ越す
・賃貸から実家住まいに切り替える

2.収支状況を把握して無駄をなくす

貯金をするうえで、毎月の収入と支出のバランスを把握することが大切です。

家計簿をつけることで使途不明なお金や無駄使いになっている部分が明確になり、支出の見直しがしやすくなります。家計簿アプリを利用すると銀行口座やキャッシュ決済と連携されて自動的に家計簿が作られていくため、ノートに手書きをする必要がありません。

家計簿を作ることが面倒に感じる場合、支払いを現金からクレジットカードに変えるだけでも効果があります。

支払明細がアプリに記録されるため、簡易的な家計簿として利用できるでしょう。また、支払った金額に応じてポイントが貯まり、キャッシュバック等に利用して収支改善にも役立ちます。

3.用途別の資金管理をしてお金の使い道を考える

無駄なお金の管理をするために、目的別に口座を分けることも検討しましょう。実際に口座を分ける際は「給与受け取り用の口座」「貯金用の口座」「緊急出費用の口座」の3つがおすすめです。

給与受け取り用の口座にお金が振り込まれた直後に「貯金用口座」「緊急出費用口座」に入金する「先取り貯蓄」を実践すれば確実に貯金でき、残ったお金は自由に使えるためストレスもかかりません。

貯金600万円を目指して資産を増やすための方法【運用編】

支出を絞ることができたら、次は資産運用をすることで効率的に貯蓄額を増やすことに取り組みましょう。

20~30代なら30年以上の運用期間があり、リスクをとった投資を活用することがおすすめです。

近年は70歳までの雇用が企業の努力義務になっていることもあり、すでに50代を迎えた方でも老後までに15~20年の時間があるため、資産の一部を投資に振り分ける時間は十分にあります。

ここでは、貯金600万円を貯めるための方法のうち、「運用」に関するものを4つ紹介します。

1.預貯金

まず、老後生活や投資の土台になる預貯金を増やすことを考えましょう。仕事を長期間離れたり退職したりといったリスクも考えて、最低でも生活費の3~6ヶ月分は用意しておきたいところです。

預貯金は元本が保証されているうえ使いたい時にすぐ引き出せるため、リスク性商品への投資の経験が浅い人は預貯金をメインにすると良いでしょう。

ただし、低金利下の現在では、預貯金だけで効率的に資産を増やすことはできません。「年齢と同じ割合の預貯金で資産を守り、残りを投資に振り向ける」など、自身のリスク許容度に見合う範囲でリスクのある投資を活用しましょう。

2.積立保険

積立保険も、低リスクの資産運用の手段として選択肢になります。一定の保険料払込期間を超えて解約すると払い込んだ保険料を超える解約返戻金を受け取れるタイプの保険なら、万が一の死亡リスクに備えながら、資産運用に活用できます。

口座から自動的に保険料が引き落とされていくため、預貯金で持っているとついつい使ってしまう方でも自然と資産運用が可能です。

ただし、最大まで運用してから解約しても、後述するNISAやiDeCoといった制度を利用した投資信託よりもリターンで負ける可能性もあります。

また、保険料払込期間中に解約すると解約返戻金の金額は払い込んだ保険料を下回るため注意が必要です。

3.NISA制度を活用した積立投資

初めて投資をスタートする方は、2023年までは「つみたてNISA」、2024年以降は新NISAの「つみたて投資枠」を活用した積立投資がおすすめです。

NISAは、「NISA口座(非課税口座)」の中で毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。

2023年までの現行制度では「一般NISA」「つみたてNISA」に分かれています。

  • 一般NISA:年間120万円が最長5年間まで非課税。株式にも投資ができる
  • つみたてNISA:年間40万円が最長20年まで非課税。特定の投資信託のみ投資できる

現行制度は両者から1つを選択する形ですが、2024年からは「成長投資枠」「つみたて投資枠」が併用可能になります。投資限度額についても成長投資枠が従来から2倍の年間240万円、つみたて投資枠が3倍の年間120万円まで増額します。

非課税期間も無期限になって終わりを気にせずに投資できるため、今後の資産運用の中心的な存在になるでしょう。このNISA制度で積立投資をするメリットについて紹介します。

「投資信託」は価格が変動する商品ですが、タイミングをずらして毎月一定額を購入することで、一括購入よりも価格変動リスクを抑えられるメリットがあります。最初に設定したタイミング・金額で自動的に積み立てられていくため、ひんぱんに売買を繰り返すことが難しい多忙な人でも長期投資が可能です。

4.iDeCo

iDeCoは自分自身で掛金を拠出して運用商品を選定し、運用も自分自身で行う私的年金制度です。運用した元本と利益の合計額は最短60歳以降に受け取れます。

「掛金の拠出」「運用」「受け取り」のそれぞれで税制優遇を受けられる点が大きなメリットです。

  • 掛金の拠出時:掛金の全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除になる
  • 運用時:運用益が出た際に本来課税される20.315%の税金が非課税になる
  • 受取時:年金として受け取るなら「公的年金等控除」、一時金なら「退職所得控除」の対象

元々は加入可能年齢が60歳までと決まっていましたが、法改正されたことで65歳になるまで加入ができます。

受け取り開始年齢の上限も従来の70歳から75歳に引き上げられており、50代・60代の方が始めても十分にメリットを享受できるでしょう。

5.投資信託

投資信託は、運用の専門家が投資家からお金を集めて大きな資金として運用し、得た利益を投資家に分配する投資商品です。ひとくちに投資信託といっても、投資対象の違いで以下の2つに分かれます。

  • インデックスファンド:特定の指数に連動することを目指す値動きをする投資信託
  • アクティブファンド:事前に決められた運用方針のもとで、運用担当者(ファンドマネージャー)が投資をし、企業やその投資割合などを決定し運用する投資信託

日本の株式には例えば日系225という指標があり、日系225と同じ値動きを目指す投資信託の場合、225銘柄に間接的に分散投資していることになります。

証券会社によっては2,000を超える種類の投資信託を扱っているケースもあり、商品によって投資先や購入時手数料・信託報酬などのコストが異なります。

投資信託は、国が用意した非課税投資制度との相性が良いというメリットがあります。

NISAのうち「つみたて投資枠」では金融庁のお墨付きをもらった投資信託を購入し、時間分散をしながらコツコツと資産運用が可能です。また、iDeCoでは投資する商品を「定期預金」「保険」「投資信託」から選んで運用し、得られた利益は全額が非課税になります。

6.債券投資

債券は国や企業が資金調達のために発行する借用証書です。債券を購入すると定期的に利子を受け取れるようになり、満期には元金が返済されます。

日本の国債は利回りが低いですが、信用があります。受け取れる利息が少ない代わりに安心して運用することができます。一方、海外の国債や社債は利回りが高い分だけデフォルトや倒産などのリスクを含んでいる場合があります。

債券そのものを購入する方法のほかにさまざまな債券を1つの投資信託で購入する方法でポートフォリオに加えることができます。

7.不動産投資

不動産投資は文字通りアパートやマンションなどの賃貸物件を購入し、第三者に貸し出すことで家賃収入を得る投資方法です。

月安定した家賃収入(インカムゲイン)を得られるため「不労所得を得たい人にはおすすめの方法といえます。

また、不動産投資は万が一の際に保険としても活用できます。ローンを組む際に自分に万が一のことがあったときにローンの返済が免除される「団体信用生命保険」に加入するため、生命保険と同じように、家族に不動産を残すことが可能です。

ただし、空室が発生した分だけ家賃収入が減少するデメリットがあります。空室が発生しにくい優良物件を見極める知識が必要であり、一人だけで進めるにはリスクが大きな投資です。

8.財形貯蓄制度

財形貯蓄は、一定金額を給与から天引きする形で、企業が連携する銀行口座に自動的に貯金できる制度です。

毎月の給与から自動的に天引きされるので支払い忘れの心配がなく、毎月確実に貯金できるメリットがあります。

財形貯蓄は目的に応じて「住宅用」「年金用」「その他」の3種類があり、住宅用と年金用は一定額まで利益が非課税になる恩恵を受けられます。

ただし、所属する企業が財形貯蓄制度を導入していることが前提であるため、会社員なら誰でも利用できるわけではありません。

貯金600万円に関するよくある質問

最後に、貯金600万円に関してよくある質問と回答をまとめました。600万円前後の貯金があって資産運用に興味がある方はぜひ、読み進めてみて下さい。

貯金600万円は少ないですか?

金融広報中央委員会の資料によれば、500万円~700万円の資産を持つ人が全体の4.0%、700万円以上の年収を持つ人と合計しても約8%しかありません。

貯金・貯蓄が600万円もあるのはごく一部の世帯しかなく、十分に多いといえるでしょう。

貯金600万円あれば何年暮らせますか?

総務省統計局の「家計調査」によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯の消費支出と非消費支出の合計が432,269円です。

無職になって貯金600万円を取り崩しながら生活すると仮定すると、「約13~14ヶ月分」と試算できます。無職になっても家族を1年以上養うことができるので、転職活動や独立の準備にしっかり時間をかけることができるでしょう。

貯金600万円を超えたらやることはありますか?

貯金600万円を超えたら、資産の一部を投資に充てて資産運用を始めることをおすすめします。

例えば資産の一部の300万円を投資したとして、投資商品に年間5%の値上がりがあれば15万円の利益になります。投資額が100万円の人は同じ投資をしても5万円の利益にしかなりません。高額の資産がある人ほど資産形成には有利です。

貯金を増やすためにはどうすれば良いですか?

貯金を増やすためといっても、収入を増やすには「昇進」「資格取得」「転職」「独立」などを実現することが必要であり、容易ではありません。

てっとり早く貯金や資産を増やすなら、無駄な支出を節約するほうがおすすめです。「固定費を見直す」「収支を記録して無駄な支出を見つける」などの方法で支出を月1万円少なくすれば、収入を1万円増やすのと同様の効果が期待できます。

資産運用はどのようにして行えば良いですか?

資産運用はご自身のリスク許容度に応じて「預貯金」「積立保険」など比較的低リスクな資産運用と、「投資信託」「不動産投資」「株式」などリスクが大きい代わりに大きなリターンを狙える積極的な資産運用から選択しましょう。

ハイリスクハイリターンの投資とローリスクローリターンの預貯金や保険を組み合わせることで、ミドルリスク・ミドルリターンのポートフォリオを構築することも可能です。

貯金が600万円でも住宅ローンは組めますか?

住宅ローンの頭金と諸費用にかかる金額は、事前に現金で集めておくのがセオリーです。フラット35利用者調査によれば、住宅購入者の手持ち金の平均は690万円でした。

出典:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」

貯金600万円は平均的な頭金と諸費用などには及ばないですが、少し頑張ってお金を足せば十分に住宅を購入することは可能でしょう。

20代で貯金600万円は十分ですか?

単身の二人以上世帯で500~700万円の資産を保有している人は4%前後、700万円以上の資産を持っている人の割合を合計しても8~10%しかありません。

ほとんどの人の貯金額が500万円未満であることを考えると十分な金額といえるでしょう。

年収を増やすためにできることはありますか?

貯金を増やすために年収アップを目指すなら、まずは本業の昇進・昇給や資格取得などを目指しましょう。資格手当がある資格は基本給アップだけでなく、転職活動でも高評価につながることがあるのでおすすめです。

また、会社の就業規則で問題なければ、インターネットで稼げるタイプの副業もおすすめです。ネット通販やせどり、Webライティング、データ入力など副業は多岐に渡るので、ご自身が気になるものからスタートしてみると良いでしょう。

支出を減らすためにできることはなんですか?

支出を減らすには、「固定費」の削減を最優先に考えましょう。家賃や水道光熱費、保険料やサブスク料金などは、一度見直すことができればその後ずっと節約効果が継続されます。

節約した金額だけ余分に貯金に回すことができ、効率的に資産形成が可能です。

貯金用口座は用意しておいた方が良いですか?

効率良く貯金して600万円を超える貯蓄を目指すなら、貯蓄用口座と生活費用の口座は別にしておきましょう。給料が入った直後に目標貯金額を貯蓄用口座に入金するように設定しておけば。確実に貯金額を増やせるでしょう。

まとめ:老後に向けて貯金600万円を確保するために資産運用も検討しよう

最新の家計調査の結果を見ると、単身世帯だとしても年金以外に最低600万円の貯金を確保していないと、貯金がなくなって老後破産になることも考えられます。

高齢夫婦二人世帯ではさらに不足額が大きくなることもあり、預貯金額を増やす対策がどの年代の人も欠かせません。

無駄な支出を切り詰めつつ、NISAやiDeCoを始めとした税制優遇制度を活用し、効率的に資産形成をする準備を進めましょう。

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