「出産」「育児」という大きなライフステージが待ち構えている女性にとって、ライフプランを設計することは非常に大切です。どのような人生を歩みたいのかライフプランを通じて考えておくことで、子育てに忙しい毎日のなかでも自分の人生設計のために必要なお金や取り組みを準備することができます。
ただ、ライフプランをどうやって作れば良いのか、迷って行動できない女性も多いはず。
本記事では女性向けのライフプランの概要やライフプランを立てるべき理由、ライフプラン作成の流れ・ステップ、作成のコツなどを紹介します。
女性が知っておくべき「ライフプラン」とは?
ライフプランとは、日本語にすると「人生設計」のことです。
どこに住み、誰と生活し、どのような仕事に就き、何歳で結婚して何歳で何人の子どもを産むか、仕事は何歳まで続けるか、など、ライフプランの作成を通じて人生の大まかな計画を立てることができます。
また同時に、「マイホーム購入」「車の買い替え」「子どもの大学入学」など、人生のイベントのなかでお金がかかるイベントとタイミングを把握し、逆算してお金を貯めることもできるでしょう。
女性がライフプランを立てるべき理由
ライフプラン(人生設計)は、性別に関係なく作成したいものですが、女性のほうが男性よりもライフプランを作成することの重要度が高いと考えることができます。
女性がライフプランを立てるべき理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- 結婚や出産で家計のバランスが崩れることがあるから
- 将来の不安を取り除くきっかけになるから
- ライフステージごとの仕事のキャリアが明確になるから
- 家計の負担を減らせる可能性があるから
- 支出が重なる時期が分かるメリットがあるから
結婚や出産で家計のバランスが崩れることがあるから
女性のライフプランが重要な理由は、結婚や出産で家計のバランスが今までよりも悪くなることがあるためです。
女性のなかには、結婚に特別な憧れを抱いている方も少なくありません。
「前撮り」「結婚式」「披露宴」、さらにはハネムーンまで含めると、祝儀で戻る分を考えないと400~500万円近い金額がかかってもおかしくないでしょう。
また、結婚や出産のタイミングで仕事を続けることが困難になり、正社員を退職する人もいます。
このような理由から収支のバランスが崩れやすいため、その後の人生で使えるお金を確保するためにも、ライフプラン作成を通じて計画的にお金を準備することが大切です。
将来の不安を取り除くきっかけになるから
ライフプランを作成すると、今後の人生でどのような出来事が何歳くらいに起きて、そのために何をしなければいけないかが明確になります。
人生設計が明確になることで、逆算して何をしなければいけないかしっかり把握できるようになります。
目的意識を持って仕事に臨めることで、漠然とした将来の不安を解消するきっかけになるでしょう。
ライフステージごとの仕事のキャリアが明確になるから
ライフプランを立てると、それぞれのライフステージごとにどのような仕事をしなければいけないかが明確になります。
例えば独身のころは、きたるべき結婚や出産に向けてバリバリ仕事をしてお金を貯めることができます。一方、妊娠や出産のあとは子育てが優先になるため、働く時間は今までよりも確保できなくなります。
夫婦での話し合いやどれくらい家庭にお金が必要なのかによって、出産後にどのようなキャリアを進むべきかが想像しやすくなるでしょう。
実際、「男女共同参画白書」によれば、女性の年齢階級別正規雇用比率は20~24歳あるいは25〜29歳をピークに低下するとされています。
出典:令和6年版男女共同参画白書
ライフプランを先に作っておくことで、自分がどのようなキャリアを歩むかが明確になり、仕事先を考えるときの1つの指標になるでしょう。
ただ、なかには「子育てを優先したいから正社員として働くのは無理だけど、正社員の頃のように稼いでみたい」という希望を持つ方もいるかもしれません。
事前に計画を立てて準備をすれば、フリーランス(個人事業主)やテレワークなど、子育てと収入を両立できる働き方を目指すことも可能でしょう。
家計の負担を減らせる可能性があるから
ライフプランを作成して、目標達成のために必要な金額と支払いのタイミングがわかれば、大きな費用が発生するタイミングに合わせて準備を進めることができます。
- 結婚・出産費用
- マイカーの購入費用
- マイホームの購入・建築費用
- 子どもの養育費
- 老後の生活費
- 夫婦や親の介護費用
事前に計画的な貯金ができれば、イベントの直前になって慌てて貯金を始める必要がありません。毎月コツコツと貯金を進めることは必要ですが、余裕を持って少額からの貯金による準備ができます。
先にライフプランを作っておくことで、家計にかかる負担を減らすことも可能でしょう。
支出が重なる時期が分かるメリットがあるから
ライフプランを作成しておくと、出費が重なるイベントがくるタイミングがわかります。
イメージしやすいのは、結婚・出産の関連でしょう。「両家顔合わせ」「結納式」「結婚式」「ハネムーン」そして出産と、1~2年のあいだに立て続けに大きな費用がかかるイベントが発生する可能性があります。
このようなイベントが重なる時期を事前に把握しておき、逆算して準備することで費用を自分たちで準備することもできるでしょう。
女性のライフプランに影響する重要なライフイベント
理想的なライフプランを立てるためにも、女性の人生でどのような重要なライフイベントがあるか、あらためて確認しておきましょう。
人生のあらゆるイベントは性別関係なく起こり得るもので、女性も成人してから老後を迎えるまでさまざまなライフイベントがあります。
なかでも多くの女性が重要なライフイベントとして認知しやすいのは以下の3つです。
- 結婚
- 出産
- 子育て
結婚
昨今は「晩婚化」「独身の増加」といった話も聞きますが、やはり多くの女性にとって結婚は特別なものではないでしょうか。
いまご自身が独身であれば、「何歳までに結婚したか」「どのような結婚式を挙げたいか」「いくらくらいのお金を使いたいか」といった結婚式や披露宴の大まかな計画を立ててライフプランに組み込むと良いでしょう。
また、結婚式関連の出費やタイミングだけでなく、結婚を機に退職するのか、退職するなら結婚費用や子育ての費用はどうやって捻出するのかまで考えておくと良いでしょう。
出産
結婚のあとにイメージするのは、やはり「妊娠・出産」でしょう。何歳ごろに出産したいのか、子どもは何人ほしいのか、そのための出産費用をどうするかは事前に考えておく必要があります。
出産に関するお金を考えるときは、公的な保障まで含めて費用負担を考えましょう。例えば、国民健康保険に加入している被保険者の人が令和5年4月1日以降に出産する場合、従来の42万円から8万円増額された50万円を受け取れます。
出典:全国健康保険協会|子どもが生まれたとき
とはいえ、個室などを選択した場合の差額ベッド代や食費などによっては50万円でも出産費用全額をカバーできない可能性もあります。
公的な給付金を除いていくらの貯金が必要かを計算しておき、計画的に準備を進めましょう。
子育て
出産後におとずれる大きなライフイベントが子育てです。
いまは成人年齢が18歳に引き下げられましたが、それでも18年間は子どもを守って育てるのが母親の大きな役割になります。
幼稚園・保育園や学校だけでも、以下のようにさまざまなところに進学し、そのたびに入学準備や学費、給食費などにお金を使うことになるでしょう。
- 保育園・幼稚園
- 小学校
- 中学校
- 高校・高等専門学校
- 大学・短大・専門学校
- 大学院
- 海外留学 など
大学などは子どもの名義で奨学金を借りることもできますが、卒業後は子どもに借金返済をさせることになります。
子どもの学費を親が用意してあげたいと思うなら、計画的な準備が欠かせません。
また、学校の費用だけでなく、塾やスポーツ少年団などの習い事に通わせる場合の費用も含めて考えなければいけません。
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女性が理想的なライフプランを作る際の流れステップ
ここからは、女性の方が理想的なライフプランを作るときの流れをステップ別に解説します。
ライフプランの作り方に正解はありませんが、一例として以下のような5つのステップで作成することができます。
- 自己分析をする
- 目標を設定する
- 目標に優先順位を付ける
- アクションプランを策定する
- お金の出入りも記録する
1.自己分析をする
ライフプランを立てるとき、まず重要になるのが自己分析です。
自分自身の欲求や趣味・嗜好を理解することで、理想的な人生の方向性が定まります。
自己分析をするなら「過去」「現在」「未来」にわけて分析する方法があります。
過去 | 過去の成功体験や失敗談から自己分析をする |
現在 | 現在置かれている状況から課題や解決策を模索する |
未来 | 将来の夢や目標、理想的な生き方からライフイベントをイメージする |
2.目標を設定する
次に、自己分析した結果をもとに目標設定を行いましょう。自分が達成したいイベントを明確にすることで、ライフプランの計画やそれを行う手段を考える際に役に立ちます。
仕事に関して目標を立てるときは「転職時期」「年収の目標」だけでなく、自分がなりたい職種やポジションを明確にして目標にすることが大切です。
目指すべき職種やスキルがわかれば、逆算して資格の勉強やスキルアップの副業などに取り組めます。
3.目標に優先順位を付ける
目標出しが終わったあとは、それらの目標に優先順位をつけましょう。優先順位を決めておけば、「絶対に達成したい目標」が明確になり、目標の実現に向けて迷わずに進めるようになります。
例えば「理想のマイホームを建てる」を目標にした場合、ローンを組むために必要な頭金の金額や、ローンでは賄えない庭(外構)などの費用を明確にします。
そのうえで今のぺースの貯金では資金が集まらないと分かれば「趣味や旅行の回数を制限する」「副業を始めて頭金を稼ぐ」など具体的な対策が取れるようになります。
4.アクションプランを策定する
次のステップは、決めた目標を達成するための「アクションプラン」を考えることです。
設定した目標ごとに、どのような準備や行動をすれば目標を達成できるかをリストアップしておきましょう。
例えば「将来的に社会保険労務士の資格をとって、総務部で働きたい」と考える場合、資格を取得するための学習時間や受験費用などをリストアップしていきます。
難易度が高い場合は、「比較的取得しやすく総務・経理で使える資格を狙う」などの中間目標をたてることも考えましょう。
5.お金の出入りも記録する
人生の目標設定やアクションプランの策定といったステップが終わったら、次はそれを達成するためにお金の流れを考えましょう。
- 食費
- 水道光熱費
- 通信費
- 住居費
- 自動車保険料
- ガソリン代
- 教育費
- 生命保険料 など
- 月給
- ボーナス
- 両親からの援助 など
毎日の生活を送るために、収入が支出を上回る黒字の状態を作るのは大前提です。
ただ、黒字なら何でも良いわけではなく、残ったお金を貯金していったときに目標達成の時期までに必要なお金が貯まるかという点をチェックしてください。
ライフプランでは現在の収入をべースに考えますが、転職や昇進で収入が増えたり、退職したり正社員からパート社員に変わったりすることで収入が増減する可能性もあります。
お金の出入りをシミュレーションする際は、将来的に収入が変動することを考えて、複数のパターンを作っておくと良いでしょう。
ライフプラン作成には「健康管理」も欠かせない
ここまで、ライフプランの作成方法やコツについて解説してきましたが、理想的なライフプランを実現するには「健康」が何よりも大切であることは忘れがちです。
心身の健康を損なうと、男女関係なく長く働くことができなくなります。女性の場合は若くして乳がんや子宮頸がんに罹患するリスクがあったり、妊娠や出産によるホルモンバランスの変化があったりなど、さまざまな健康リスクがあるともいわれています。
体調不良で働けないと想定していた収入を稼ぐことができず、ライフプランの実現が遅れたり、実現自体が不可能になったりする可能性もあります。
ライフプラン実現のために行動計画を作成するときは、健康維持に必要な「健康診断や人間ドックの受診」なども盛り込んでおきましょう。
女性のライフプランに関するよくある質問
最後に、女性のライフプランに関してよくある質問と回答をまとめました。
ライフプランとキャリアプランの違いは?
ライフプランは、自分だけでなく、家族全員の将来の夢、出産のタイミング、子育ての方法、いつ退職するか、どのような老後を過ごすかなどを設定することです。仕事だけの目標ではなく、人生全体の目標設定をするのがライフプランといえます。
一方、キャリアプランは自分の仕事の昇進目標や転職先の目標、理想とする仕事のゴールなどの、仕事の夢や希望を叶えるための計画を指します。
仕事のみにフォーカスした目標設定がキャリアプランだと覚えておくと良いでしょう。
ライフプランは誰に相談するべき?
独身なら自分だけで好きなライフプランを立てることができますが、結婚しているとなると話は別です。
まずは夫婦で、どのようなライフプランを作りたいかを考えてみることをおすすめします。夫婦の人生設計を盛り込んだライフプランを作成できれば、目標達成のために夫婦で協力し合うことができます。
また「進学する高校は公立か私立か」「進学する大学は国公立か私立か」「どのような習い事をしてみたいか」など、子どもの進学や教育に関することもライフプランでは大きなウェイトを占めます。
年齢にもよりますが、子どももライフプラン作成に入ってもらうことで、より具体的なライフプランが完成するでしょう。
ライフプランのメリット・デメリットは?
ライフプランを作成するメリットは、今後の人生で起こるイベントや「やりたいこと」が明確になり、それに向かって逆算して行動できるようになることです。
例えば、40歳までに車を買い換えたいというライフプランを立てた場合、必要な金額を「今の年齢から目標の年齢までの月数」で割れば、1ヵ月あたりに必要な貯金額が大まかに分かります。
一方、ライフプランを作成するデメリットはありません。
しいて言えば「作成に時間がかかる」ということですが、人生の目標を理想的な時期までに達成するためにはライフプランの重要性は高いです。
「時間がないからやらない」ではなく、将来のためにも時間をとって若いうちに作成してみることをおすすめします。
人生の4大イベントとは?
いわゆる「冠婚葬祭」が人生の4大イベントと言われています。なかでも「婚(結婚)」「葬(葬式)」の2つは、人生のなかでも大きなライフイベントです。
結婚はもちろん、自分や家族の葬儀の費用を貯めておくことも、理想的なライフプランを作成するためには考えるべきでしょう。
ライフプランに正解はない
ここまで、結婚して子どもが生まれることを想定して、ライフプランの作成のコツなどを紹介してきました。
ただ、ライフプランに正解というものはありません。昨今は結婚しないことを選択する女性もいたり、子どもなしで夫婦だけで過ごしたいと考える人もいたりします。
女性の幸せは多種多様ですから、一般的な幸せだけを考えたライフプランにする必要はありません。
しばらくは独身でいたいと考えるなら、独身として問題なく生活できて理想のキャリアを追い求められるようなライフプランを作成すれば良いでしょう。
まとめ:女性のライフプランは働き方や子育ての仕方までイメージして作成しよう
女性のライフプランを考えるうえで、「出産」「子育て」は非常に大きなイベントです。産休・育休を経たあとに退職して専業主婦になる方もいれば、早々に職場復帰してキャリアウーマンとしての道を再度歩き出す人、転職してパート社員として働き始める人もいるでしょう。
「仕事にはどのくらい携わりたいか」「子どもにどれくらい時間を使ってあげたいか」などの希望によって、理想とするライフプランはそれぞれ異なります。
ご自身の希望を全て書き出してから、理想的なライフプランを作成してみましょう。
ご自身でライフプランを作成するのが難しい場合、ライフプラン作成のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのも有効です。