病気やケガが原因で働けなくなるリスクは誰もが抱えています。長期間働けなくなった場合、以前に比べて収入が大幅に減少することも考えられます。
そのため、働けなくなった場合の収入の減少に備えて就業不能保険が注目されるようになりましたが、「就業不能保険は必要ない」と考える人もいます。
今回は、就業不能保険の概要を解説した上で、就業不能保険は必要ないと言われる理由をご紹介します。就業不能保険の必要性を考えるときに、ぜひ参考にしてください。
就業不能保険は働けない期間の収入を補う保険
「急に働けなくなったらどうしよう」という不安を抱いたことがある人も多いのではないでしょうか。病気やケガを理由に長期間働くことができない場合、収入が減少することが考えられます。
就業不能保険は、働けなくなった場合の収入の減少をカバーする保険であり、保険会社が定める就業不能状態に該当すると所定の給付金を毎月受け取ることが可能です。
仮に、働けない状態になったとしても、生活費はこれまでとほとんど変わらずかかるでしょう。就業不能保険に加入することで、収入の減少分を給付金で補い、生活水準を大きく下げることなく療養に専念できる点が大きな特徴といえます。
一般的な就業不能保険は、給付金を受け取り始めてから就業不能状態が回復するまで、もしくは保険期間が満了するまで給付金を受け取ることができます。
就業不能時に利用できる公的保障
働けなくなった際の備えは、生命保険会社が販売している保険以外にも公的保障が利用できることがあります。
ただし、保険料の納付状況などによって公的保障の受給可否が異なりますので、詳細は最寄りの年金事務所等で確認してください。
会社員の場合
病気やケガで休職し、事業主から十分な報酬を得ることができない場合、会社員は加入している健康保険制度から傷病手当金を受取ることが可能です。傷病手当金の支給期間は受給開始日から通算して1年6ヶ月で、支給金額は以下の式を用いて算出します(令和4年1月1日から、支給期間中に途中で就労するなどの期間があっても、支給開始日 から起算して1年6か月は、繰り越して支給可能になります)。
傷病手当金の1日あたりの支給額:支給開始日以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した金額÷30日×3分の2
また、就業不能時の公的保障として障害年金があります。ケガや病気を原因として障害を負った際に認定された等級に応じて年金を受け取ることができ、会社員は障害基礎年金と障害厚生年金を受給可能です。
なお、障害年金の等級は、障害手帳の等級とは異なり、国民年金保険法、厚生年金保険法により定められています。障害基礎年金は、障害等級1~2級、障害厚生年金は、障害等級1~3級の場合に支給されます。
働けなくなった際に備えて就業不能保険への加入を検討している場合、まずは会社員が受け取ることができる公的保障の詳細を確認しておきましょう。
自営業者の場合
一方、個人事業主やフリーランスなどの自営業者は会社員に比べて公的保障が手薄といえます。自営業者は傷病手当金を受け取ることができないほか、厚生年金に加入していないため障害厚生年金も受給できません。
自営業者が働けなくなった場合の公的保障は、障害基礎年金しかないことを考慮すると、自営業者が就業不能保険に加入する必要性は高いといえます。
「就業不能保険は必要ない」と言われる主な理由
もしもの事態に保険で備えておくことは大切ですが、公的保障があることなどを理由に、就業不能保険は必要ないと思うかもしれません。就業不能保険は必要ないと言われる主な理由は以下の通りです。
それぞれの理由を確認した上で、就業不能状態になったときに十分対処できるかどうかチェックしてみてください。
理由1:会社員は傷病手当金があるため
会社員が働けなくなった場合、傷病手当金がもらえるから大丈夫だと思うでしょう。
自営業者に比べると会社員は公的保障が手厚い一方、傷病手当金の通算受給期間は1年6ヶ月と定められています。
復職や休職を繰り返して、通算受給期間を超えると傷病手当金を受け取ることができないため、就業不能状態が継続すると途端に生活費の負担が大きくなるでしょう。
理由2:共働き世帯は配偶者の収入が変わらずあるため
共働き世帯であれば、自分自身が就業不能状態に該当したとしても、「配偶者の収入があるから就業不能保険は必要ない」と考える人がいます。
しかし、世帯収入という観点から考えると、一方が働けなくなって収入が減少すると家計への影響が非常に大きいです。
共働きだからと安易に考えず、必要に応じて就業不能保険への加入を検討すると良いでしょう。
理由3:十分な資産や貯蓄があるため
働けなくなった場合に必要なお金は資産や貯蓄で補うことができるため、就業不能保険は必要ないと考える人もいるでしょう。
十分なお金があれば、当面の生活費や治療費を捻出することは可能ですが、就業不能状態が長引くと、それだけ資産や貯蓄を切り崩すことになります。
就業不能状態が長期間継続することも視野に入れ、収入の減少分は保険でカバーすることも一案です。
理由4:障害年金を受け取ることができるため
会社員・自営業者共に、障害年金を受け取ることができるため、仮に働けなくなっても大丈夫だと考えるかもしれません。
しかし、障害年金を受給するためには、法令により定められた障害等級表に該当する必要があり、働けなくなったからといって必ずしも障害年金が受給できるとは限らない点には注意が必要です。
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就業不能保険に加入すべきか検討する際のポイント
働けなくなるリスクを考えると、「やはり就業不能保険に加入すべきだろうか」と悩むかもしれません。
就業不能保険は働けない期間の収入の減少を補う保険ですが、就業不能保険が必要な人とそうでない人がいます。
就業不能保険に加入すべきか判断に迷った場合は、以下のポイントを中心に考えると良いでしょう。
ポイント1:収入の減少に対応できるほどの資産や貯蓄があるか
病気やケガを原因として長期間働くことができなくなった場合でも、生活費はかかります。
収入が減少したときに、減少分を資産や貯蓄で十分に賄うことができない場合は、就業不能保険に加入する必要性が高いといえます。
なお、就業不能時は収入が減少するだけでなく、治療費の負担が生じることが少なくありません。医療保険に加入していたとしても、少なからず自己負担が発生する可能性を考慮し、収入の減少分は就業不能保険で準備しておくと安心です。
ポイント2:公的保障で毎月の生活費はカバーできるか
就業不能保険に加入すべきか検討する際には、公的保障で生活費をカバーできるのかという点もポイントの1つです。
先述の通り、働けなくなった場合には公的保障として何らかの手当金や年金を受け取れる可能性があります。しかし、公的保障から受け取るお金を生活費に充当しても十分でないケースも考えられます。
傷病手当金や障害年金のおおよその受給額を算出し、これらの公的保障だけでは毎月の生活費を補うことができない場合は就業不能保険への加入が最適といえるでしょう。
ポイント3:扶養家族がいるか
子どもなど扶養家族がいると、生活費や教育費の負担が大きくなりがちです。しかし、働けなくなったからといって、いきなり生活費などを大幅に削ることは難しいです。
また、収入の減少が理由で子どもの進路にも影響が出かねず、扶養家族がいる場合、働けなくなった場合の影響は非常に大きいといえます。そのため、扶養家族がいる場合は積極的に就業不能保険の加入を検討すると良いでしょう。
就業不能保険を選ぶ際の注意点
就業不能保険の詳細を知ると、「早速、就業不能保険に加入したい」と考える人もいるでしょう。しかし、より適切な保険があったり保険内容が重複したりするなど、商品選びの際にはいくつかの注意点があります。
まず、働けなくなった場合の収入の減少を全て就業不能保険でカバーしようとせず、公的保障を加味した保障額を設定することを心がけることが大切です。
また、就業不能保険には免責期間が設定されていることが多く、就業不能状態に該当してから所定の日数が経過しない限り給付金を受け取ることはできません。加入前に、免責期間の日数を確認しておくと良いでしょう。
さらに、免責期間と併せて給付金の受給要件も確認が必要です。給付金の受給要件は保険会社ごとに異なり、特に精神疾患の取り扱いについては詳細を確認しておくと安心です。
免責期間とは?
免責期間とは、保険金や給付金が支払われないと決められている期間のことをいいます。就業不能保険の場合、免責期間中に就業不能状態と診断されたとしても給付金を受け取ることはできませんので注意が必要です。
まとめ:就業不能保険の加入前に公的保障の詳細や貯蓄を確認しよう
今回は就業不能保険の概要を解説した上で、「就業不能保険は必要ない」と言われる理由などをご紹介しました。働けなくなったときの収入の減少に備えられるほど資産や貯蓄があって、公的保障で生活費をカバーできるのであれば就業不能保険は必要ないかもしれません。
しかし、働けなくなると収入が減少するだけでなく、治療費の負担が生じる可能性があり、もしもの事態のときのお金は就業不能保険で準備しておくと安心です。
働けなくなった場合に備えて、公的保障の詳細や貯蓄状況を確認した上で、就業不能保険への加入を検討しましょう。