年収700万円あると、不動産投資に「挑戦できそう」と感じる人は多いです。しかし現実には、年収だけでスムーズに進むほど単純ではありません。
銀行の見方、自己資金の有無、そして何より「買う物件の中身」で、結果は大きく変わります。うまくいく人ほど、買う前に数字を細かく確認しています。
この記事では、年収700万円の人が不動産投資を始めるときに知っておきたい借入の目安、審査で見られる点、最初に選びやすい物件、毎月の手残りの考え方を、現実ベースでわかりやすくまとめます。
年収700万で不動産投資は本当に可能なのか?現実的に考える
この章では、年収700万円の人が「できる・できない」を分ける現実的な条件を整理します。年収の数字だけで判断せず、銀行目線と投資目線の両方から考えます。
結論:条件しだいで可能だが「買える物件」は限られる
結論として、年収700万円でも不動産投資は十分に可能です。ただし、どんな物件でも買えるわけではなく、買える範囲は人によって変わります。
たとえば「頭金なしで都心の高額物件をいきなり買う」といった話は、一般的には難しいことが多いです。銀行が慎重になるのはもちろん、毎月の返済が重くなりやすいからです。
現実的には、価格が抑えめで、家賃が安定しやすい物件から始める人が多いです。最初は「大きく儲ける」よりも「失敗しにくい形」を選ぶことが大切です。
また、買える物件が限られるのは悪いことではありません。むしろ選択肢が絞られる分、数字と条件を丁寧に見ていけば、ムダな買い物をしにくくなります。
金融機関が見るのは年収だけでなく勤務先・勤続年数・信用情報だから
不動産投資ローンの審査では、年収は大事ですが、それだけで決まりません。銀行は「この人は長く安定して返してくれるか」を一番気にします。
そのため、勤務先の安定性(会社の規模や業種)や勤続年数は強い材料になります。年収が同じでも、勤続が長い人のほうが評価されやすい場面はよくあります。
さらに重要なのが信用情報です。クレジットカードの支払い遅れ、携帯分割の延滞、ローンの遅れがあると、年収が高くても印象が悪くなります。
逆に言えば、年収700万円+支払い遅れなし+勤続が安定という組み合わせは、ローン面での土台がしっかりしている状態です。まずは自分の状況を客観的に整理することが、最初の一歩になります。
最初は「区分マンション」や「小さめ一棟」からが現実的だから
年収700万円の人が最初に取り組みやすいのは、区分マンション(マンションの1室)です。物件価格が比較的手ごろで、管理の仕組みも整っていることが多いからです。
区分マンションは、修繕や清掃などを管理会社や管理組合が回してくれるため、「やることが多すぎて続かない」という状態になりにくいです。初心者でも手順が見えやすい点は大きなメリットです。
一棟物件も不可能ではありませんが、最初から大きすぎる一棟は現実的な負担が重くなりがちです。建物全体の修繕や空室対策など、判断することが増えるためです。
そのため、一棟を狙うなら「小さめ」「価格が抑えめ」「家賃の根拠がはっきりしている」など、管理と数字が読みやすい物件からが安全です。最初は学びながら勝ち残れるサイズを選ぶのが現実的です。
投資用ローンは住宅ローンより審査がきびしいから
投資用ローンは、マイホームの住宅ローンより審査がきびしいことが多いです。銀行から見ると、投資は「利益を狙う活動」なので、景気や空室の影響を受けやすいと考えるからです。
その結果、金利が住宅ローンより高くなりやすく、自己資金(頭金)を求められるケースも増えます。ここを知らないと、計画が一気に崩れます。
また、投資用ローンでは「その物件の家賃で返せるか」も見られます。借りる人の年収だけでなく、物件の家賃や空室リスクもセットで判断されるイメージです。
住宅ローンの感覚で“借りられる前提”で動くのは危険です。投資用は前提が違うと理解して、資金計画を少し保守的(安全側)に置くことが重要です。
物件価格より「毎月の手残り」を先に見るべきだから
不動産投資で失敗しやすいパターンは、「買えた」ことに安心してしまうことです。買えたかどうかより、持ち続けられるかどうかが本当の勝負になります。
その判断に必要なのが、毎月の手残り(キャッシュフロー)です。家賃収入からローン返済を引くだけでなく、管理費、修繕費、固定資産税、空室期間の損失も考えます。
たとえば、見た目の家賃が高くても、修繕が多い建物や、管理費が高い物件だと手残りは減ります。さらに、空室が1〜2か月出るだけで、年間の結果が大きく変わることもあります。
だからこそ、物件価格や利回りより先に「毎月いくら残るのか」を確認してください。手残りが薄い物件は、少しのトラブルで赤字になりやすく、精神的にも続きません。
年収700万の人が不動産投資で借入できる金額の目安とは?
この章では、年収700万円の人が借りられる金額を「どんな考え方で決めるのか」を説明します。年収倍率だけに頼らず、返済の安全さまで含めて目安を作ります。
目安は「年収倍率」と「返済負担率」の両方で決まる
借入額の話でよく出るのが年収倍率です。年収の何倍まで借りられるか、というざっくりした考え方で、検討の入口としては役に立ちます。
ただし、年収倍率だけで「この金額ならOK」と決めるのは危険です。銀行は返済負担率、つまり毎月どれだけ返済に回るかも見ます。
返済負担率が高すぎると、生活費が圧迫され、少しの出費で返済が苦しくなるからです。投資は長期戦なので、日々の生活が苦しい計画は続きません。
目安を作るなら、年収倍率で上限をイメージしつつ、返済負担率で“安全な範囲”に戻すという順番が現実的です。数字を二重にチェックすることで、無理な借入を避けやすくなります。
借入上限は「他のローン(車・カード)」があると下がる
不動産投資のローンを考えるとき、見落としがちなのが他のローンです。車のローン、カードローン、教育ローン、奨学金などがあると、審査の見え方が変わります。
銀行は「合計で毎月いくら返しているか」を見ます。不動産だけで返せそうでも、他の返済が多いと安全ではないと判断されます。
また、クレジットカードの分割払いやリボ払いがあると、毎月の負担が読みにくくなるため、評価が下がることがあります。金額が小さくても、積み重なると影響します。
借入上限を上げたいなら、小さなローンを整理して家計の形をシンプルにするのが有効です。これは「節約」ではなく、銀行が安心して貸せる状態を作るという意味があります。
金利の違いで毎月返済が大きく変わるからシミュレーション必須
不動産投資では、金利が少し違うだけで、毎月の返済が大きく変わります。特に借入期間が長い場合は、差が積み上がって影響が出ます。
さらに、金利が上がる可能性があるタイプのローンだと、将来の返済額が増えることもあります。最初の数字だけ見て安心すると危険です。
だからこそ、購入前にシミュレーションが必須です。家賃が少し下がった場合、空室が出た場合、修繕が必要になった場合も想定します。
「うまくいったら」ではなく「少し悪くなったら」でも持ちこたえられるかを確認してください。ここをやるだけで、危ない物件を避けられる確率が上がります。
オリックス銀行・住信SBIネット銀行などは条件が合うと選択肢になりやすい
年収700万円の会社員が検討する場面で、ネット銀行系が候補に上がることがあります。手続きがわかりやすく、比較的スピード感を持って検討できることがあるからです。
ただし、どの銀行でも通るわけではありません。物件のエリアや築年数、家賃の安定性、自己資金の割合など、条件の相性があります。
また、同じ年収でも、勤続年数や既存の借入の状況で結果が変わります。金融機関側の基準も時期によって変わるため、過去の体験談だけで決めないことが大切です。
現実的な動き方としては、最初から1行に絞らず、条件に合いそうな複数の選択肢を比較することです。比較することで、金利や融資期間だけでなく、必要な自己資金の考え方も見えてきます。
地方銀行・信用金庫は「エリア内物件」だと強い場合がある
地方銀行や信用金庫は、地元の物件に強いことがあります。地域の家賃相場や需要をよく知っているため、判断が早いケースもあります。
特に「その金融機関の営業エリア内の物件」を買う場合、前向きな条件が出ることがあります。反対に、エリア外だと取り扱い自体が難しいこともあります。
また、地方の一棟や小規模物件では、大手より地元金融機関のほうが相談しやすい場面があります。物件の特性を理解したうえで話が進むと、条件がまとまりやすいからです。
ただし、どんな場合でも重要なのは、融資が出るかではなく、返せる計画になっているかです。借りられた金額が正解ではなく、手残りとリスクを見て「持ち続けられる金額」を基準に判断してください。
年収700万で不動産投資を始めるには自己資金はいくら必要?
この章では、年収700万円の人が不動産投資を始めるときに必要になりやすい自己資金を、できるだけ現実的に整理します。ポイントは「頭金」だけでなく、購入時にまとめて出ていく現金と、買った後に困らないための現金を分けて考えることです。
頭金0円でも可能な場合はあるが諸費用は基本「現金」だから
「頭金0円で買えます」と言われることはあります。たしかに、条件が合えばフルローンに近い形で融資が付くケースもあります。
しかし、ここで注意したいのは、頭金が0円でも購入時の諸費用までローンに入れられるとは限らないことです。
多くの場合、諸費用は現金で払うのが基本です。つまり「物件代は借りられても、手元に現金がないと契約が進まない」状況になりやすいです。
さらに、買った直後に設備が壊れたり、空室期間が出たりすると、追加の現金が必要になります。頭金0円を狙うほど、手元資金の厚みが重要になります。
諸費用の目安は「物件価格の7〜10%」をまず想定する
自己資金を考えるうえで、まず押さえたいのが諸費用の目安です。目安としては、物件価格の7〜10%を最初に見積もると、資金計画が崩れにくくなります。
たとえば2,000万円の区分マンションなら、140万〜200万円ほどの現金が必要になるイメージです。もちろん物件やローン条件で上下しますが、最初に幅を持って考えることが大切です。
「思ったより諸費用が高い」と感じる人は多いですが、これは不動産の世界では普通のことです。逆に、この部分を甘く見ていると、契約直前に資金が足りなくなるリスクが上がります。
まずは物件価格を決める前に、諸費用込みでどこまで出せるかを考えると、現実的な物件選びがしやすくなります。
仲介手数料・登記費用・火災保険・ローン手数料がまとまってかかるから
諸費用が大きくなりやすい理由は、細かい支払いが「同じタイミングで一気に」来るからです。
代表的なのは、仲介手数料、登記費用(登録免許税や司法書士費用など)、火災保険料、ローン事務手数料です。
これらは毎月少しずつ払うのではなく、契約から決済までの短い期間でまとまって必要になります。つまり、資金が足りないと「いい物件が見つかったのに買えない」という事態が起きます。
購入前に諸費用の明細を出してもらうと、現金がどこで必要になるのかがはっきりします。見積もりを取らずに進めるのは、かなり危険です。
区分マンションは「数十万〜数百万円」でも始めやすいケースがある
年収700万円の人が現実的に始めやすいのは、やはり区分マンションです。価格帯が比較的低く、金融機関の融資も付きやすいことがあるからです。
区分の場合、物件によっては頭金をほとんど入れずに進められ、自己資金は諸費用中心で数十万〜数百万円に収まるケースもあります。
ただし「少ない自己資金で買える=安全」とは限りません。毎月の手残りが薄い物件だと、トラブルが起きたときに耐えられないからです。
自己資金が少ないほど、購入後の現金残高が重要になります。始めやすさと安全さは別物だと理解しておくと失敗を減らせます。
現金は生活防衛費(生活費6か月分)を残してから使う
自己資金を投資に回すときに、必ず守ってほしいのが生活防衛費です。これは、病気や失業、急な出費があっても生活を守るための現金です。
目安は生活費の6か月分です。家賃や住宅ローン、食費、光熱費、保険など、毎月必ず出ていくお金を基準に考えます。
不動産投資は、空室や修繕で想定外の出費が出ることがあります。そのとき生活防衛費まで使ってしまうと、投資どころか日常生活が不安定になります。
生活を守る現金を先に確保し、残りの範囲で投資に使うという順番が、長期で続けるための基本です。
年収700万の人におすすめの不動産投資の始め方
この章では、年収700万円の人が「無理なく、現実的に」不動産投資を始める手順をまとめます。いきなり物件を買うのではなく、相場・金融機関・管理の順に土台を作ると失敗しにくくなります。
SUUMO・LIFULL HOME’S・at homeで相場感を作る
最初にやるべきことは、相場感を作ることです。相場感がないまま営業トークを聞くと、高い物件を「普通」だと思ってしまう危険があります。
SUUMO、LIFULL HOME’S、at homeなどで、エリアごとの価格帯、家賃の水準、築年数と価格の関係を見ていきます。
ここで大事なのは、1日だけ見て終わりにしないことです。少なくとも数週間、同じ条件で眺めると、相場のレンジが見えてきます。
相場がわかると、割高な物件を自然に避けられるようになります。これが初心者にとって最大の防御になります。
不動産投資会社はRENOSY(GA technologies)などで比較して相談する
次に、情報源を一つに偏らせないことが重要です。投資会社にはそれぞれ得意な物件や販売方針があるため、同じ質問でも答えが変わります。
RENOSY(GA technologies)などの知名度が高いサービスも含め、複数社を比較して相談すると、説明の違いが見えてきます。
比較するときは、紹介される物件だけでなく、リスクの説明が具体的かを見ましょう。いい話しか出ない場合は注意が必要です。
「この条件ならやめた方がいい」と言ってくれる担当者は、長期的には信頼しやすい傾向があります。
物件は「購入前に管理会社へ見積もり」と「賃料査定」を取る
物件選びで大切なのは、買う前に運用の現実を固めることです。特に重要なのが管理費用と賃料の根拠です。
購入前に管理会社へ管理委託の見積もりを取り、実際に毎月どれくらい費用がかかるのかを確認します。
同時に、賃料査定を取って「この家賃で本当に貸せるのか」を第三者目線でチェックします。販売資料の家賃は強気に書かれていることもあるからです。
管理費と賃料が固まると、手残りの計算が現実になります。ここを飛ばすと、買った後に「想定より残らない」が起こりやすくなります。
先に金融機関へ事前相談して借入条件の当たりを付ける
物件探しより先に、金融機関へ事前相談を入れるのも有効です。借入の上限や金利、期間の見込みがわかると、探すべき物件価格帯が絞れます。
これをやらないと、買いたい物件が見つかってから「その条件では借りられない」となり、時間が無駄になりやすいです。
事前相談では、年収、勤務先、勤続年数、他の借入状況、自己資金などを整理して伝えると話が早く進みます。
借入条件の当たりを付けてから物件を探すと、現実に近い判断ができ、ブレにくくなります。
1件目は「守りの条件(駅近・築浅寄り・需要強い)」を優先する
1件目は、攻めるより守るのが基本です。最初から難しい物件に手を出すと、問題が起きたときに対処できず、投資自体が嫌になりやすいからです。
守りの条件としては、駅から近い、需要が強いエリア、築年数が古すぎない、間取りが一般的で借り手が広い、などが挙げられます。
派手な利回りよりも、空室になりにくいことを優先すると、精神的にも資金的にも安定しやすいです。
最初の目的は大勝ちではなく、失敗しない経験を積むことだと考えると、物件選びの基準がはっきりします。
年収700万でも無理なく始められる不動産投資の種類とは?
この章では、年収700万円の人が選びやすい不動産投資の種類を整理します。それぞれの特徴を理解し、難度とリスクを把握したうえで、自分に合う形を見つけることが大切です。
区分マンション投資:金額が小さめで始めやすい
区分マンション投資は、マンションの1室を買って貸す方法です。物件価格が比較的小さく、ローンを組むときのハードルが低くなりやすいのが特徴です。
管理の多くを管理会社に任せられるため、会社員でも運用しやすいです。入居者対応や建物の共用部分の管理を自分で抱え込みにくい点はメリットです。
一方で、毎月の手残りは大きくなりにくい傾向があります。管理費や修繕積立金が固定でかかるため、数字が薄い物件も多いからです。
「買いやすい」からこそ、手残りと出口(売るとき)まで含めて判断することが大切です。
中古ワンルーム:利回りは出やすいが修繕と空室の見極めが重要
中古ワンルームは、価格が抑えめで利回りが高く見えることがあります。そのため、初心者が興味を持ちやすいジャンルです。
ただし、利回りが高い背景にはリスクがあることも多いです。築年数が進んでいる場合、設備交換や内装の修繕が増え、費用がかさむことがあります。
また、エリアによってはワンルームの供給が多く、競争が激しいこともあります。家賃を下げないと決まらない状況だと、手残りが一気に減ります。
「修繕が出る前提」と「空室が出る前提」で数字を組むと、判断が現実に近づきます。
中古アパート(小規模):融資と管理の難度が上がるが伸びしろもある
中古アパートの小規模一棟は、複数戸あるため、家賃収入の合計は大きくなりやすいです。区分よりも伸びしろを感じる人も多い投資です。
一方で、融資のハードルは上がります。物件の担保評価やエリアの需要、建物の状態が厳しく見られやすいからです。
管理面でも、修繕の範囲が広くなります。外壁、屋根、共用部、給排水など、手入れが必要な箇所が増えるため、資金計画が甘いと苦しくなります。
管理体制と修繕計画が組めるなら強いが、最初から背伸びしすぎないことが重要です。
戸建て賃貸:物件選び次第で堅いが修繕が重くなることがある
戸建て賃貸は、一戸建てを買って貸す方法です。ファミリー層に合えば長く住んでもらえることがあり、空室が減りやすい面があります。
また、マンションのような管理費や修繕積立金が毎月固定でかからないため、月次の見え方がシンプルになる場合もあります。
ただし、修繕の負担が重くなることがあります。屋根や外壁、給湯器、配管など、建物の修理をオーナーが直接負担する場面が出やすいからです。
購入前に建物状態をよく確認し、修繕費を見込んだうえで利回りを判断することが欠かせません。
J-REIT:現物が不安なら少額で分散できる
J-REITは、不動産を保有する投資法人にお金を出し、分配金を受け取る仕組みです。現物不動産のように物件を選び、入居者対応をする必要はありません。
少額から始めやすく、複数の不動産に分散投資しやすいのが強みです。「まず不動産の値動きや収益の感覚をつかみたい」人には合う場合があります。
一方で、株と同じように価格が動くため、買った直後に値下がりする可能性もあります。また、ローンを使ってレバレッジをかける形とは性格が違います。
現物の管理に自信がない場合の選択肢として有効ですが、目的(安定収入なのか、資産形成なのか)を決めてから使うとブレにくくなります。
年収700万で不動産投資を行う際のリスクと注意点
年収700万円あれば不動産投資に挑戦できる可能性は十分ありますが、収入があるからこそ「借りられる範囲が広がり、リスクも大きくなる」点に注意が必要です。特に最初の1件目は、想定外の出費や空室が起きたときに耐えられる設計になっているかが重要です。
この章では、年収700万円の人が押さえるべき代表的なリスクを整理し、どこでつまずきやすいかを具体的に説明します。リスクを知ってから買うだけでも、危ない物件を避けられる確率は上がります。
空室リスク:需要の弱い場所だと家賃が下がりやすい
空室リスクは、不動産投資で一番わかりやすく、そして一番ダメージが大きいリスクです。入居者がいない期間は家賃が入らないのに、ローン返済や固定費は出ていきます。
需要の弱い場所ほど、入居者が決まらず、空室期間が長くなりやすいです。さらに競争に負けると、家賃を下げないと決まらない状況になります。
特に注意したいのは「今は埋まっているから大丈夫」と考えることです。今の入居者が退去した後も同じ条件で決まるかは別問題です。
駅距離、周辺の人口動き、近隣の募集状況を見て、退去後に再募集しても勝てるかを事前に確認しておく必要があります。
家賃下落リスク:新築は特に「新築プレミアム」が落ちやすい
家賃はずっと同じとは限りません。築年数が進むほど、同じエリア内で新しい物件が出てくるため、相対的に見劣りして家賃が下がることがあります。
新築物件は特に注意が必要です。新築の間は「新しい」という理由で家賃が高く取れることがありますが、数年たつとその効果が薄れます。
この差が「新築プレミアム」です。購入時の想定家賃が高すぎると、プレミアムが落ちた瞬間に収支が苦しくなります。
購入前に“築5年・築10年で同じエリアの家賃がどうなっているか”を確認し、長期で見ても成立する家賃設定かを見極めましょう。
修繕リスク:給湯器・屋根・外壁など高額になりやすい
不動産は「いつか必ず直すものが出る」資産です。小さな修理ならまだしも、設備や外装の修繕は高額になりやすいです。
区分マンションでも、室内の給湯器やエアコンなど、貸主負担で交換が必要になることがあります。戸建てや一棟になると、屋根・外壁・配管などの範囲が広がり、金額も大きくなります。
さらに、修繕は「必要になったときに避けられない」点が怖いところです。先延ばしにすると入居が決まらなくなったり、クレームで退去につながったりします。
毎月の手残りから修繕用の積立を別枠で確保すること、購入前に修繕履歴や劣化状況を確認することが重要です。
金利上昇リスク:変動金利だと返済が増えることがある
ローンを使う不動産投資では、金利の変化が収支に直結します。特に変動金利の場合、将来金利が上がると返済額が増える可能性があります。
返済額が増えると、毎月の手残りが減り、場合によっては赤字になることもあります。空室や修繕が同時に来ると、家計への負担は一気に重くなります。
「今の金利でギリギリ成立する物件」は、金利が上がった瞬間に危なくなります。だからこそ、最初から余裕のある収支にしておくことが必要です。
金利が上がった場合の返済シミュレーションを購入前に作り、「どこまで上がると厳しいか」を見える化しておきましょう。
売却リスク:出口(売る先・売る価格)が弱いと詰む
不動産投資は「買って終わり」ではありません。最後に売却して資金を回収できるかどうかが、結果を大きく左右します。
出口が弱い物件とは、買いたい人が少ない物件です。需要が弱いエリア、特殊な間取り、状態が悪い建物などは、売るときに値下げしないと動かないことがあります。
さらに、ローン残債より安い価格でしか売れない場合、追加で現金を入れないと売れないこともあります。これが「詰む」状態です。
購入前に“将来誰が買う物件か”を想像し、売却価格の目安を作ることが、リスクを減らす基本になります。
年収700万の人が不動産投資で失敗しないためのポイント
失敗しないためのポイントは、難しいテクニックではなく「買う前の準備」と「数字の作り方」にあります。特に年収700万円は、借入の選択肢が出てくる一方で、無理な買い方もできてしまう年収帯です。
この章では、ありがちな失敗パターンを避けるために、購入前に必ずやっておきたい確認をまとめます。この手順を守るだけで、避けられる失敗は多いです。
買う前に「出口(売却)」を決めてから逆算する
物件を選ぶとき、家賃や利回りだけで判断すると失敗しやすいです。なぜなら、売れない物件は持ち続けるしかなく、問題が起きたときに逃げ道がなくなるからです。
出口を考えるとは、「何年後に、誰に、いくらで売れそうか」を先に考えることです。これができると、買っていい価格帯がはっきりします。
たとえば区分マンションなら、将来も自己居住者や投資家が買いやすい立地かがポイントになります。一棟なら、利回りや金融機関評価で次の買い手がつくかが重要です。
出口が弱い物件は、どれだけ利回りが高く見えても避けるという姿勢が、長期の安定につながります。
管理費・修繕積立金・固定資産税まで入れて収支を作る
収支計算でよくあるミスは、「家賃−ローン返済」だけで黒字判断してしまうことです。実際には、細かい費用が積み重なり、手残りはもっと減ります。
区分マンションなら管理費と修繕積立金はほぼ毎月固定で発生します。固定資産税は年1回〜数回でまとまって来るため、月割りで考えておくべきです。
さらに、募集のたびに広告費が必要になったり、退去後の原状回復費がかかったりします。これらも「起きてから考える」と資金が苦しくなります。
固定費・変動費・空室・修繕まで入れた“現実の収支”を作ってから判断するのが、失敗を防ぐ基本です。
サブリースは「家賃見直し条項」を必ず確認する
サブリース(家賃保証)は、初心者にとって安心に見える仕組みです。しかし、内容を理解せずに契約すると、想定と違う結果になることがあります。
特に重要なのが家賃見直し条項です。これは、市場の状況などを理由に、保証家賃が下がる可能性があるという条項です。
「保証」と聞くと固定だと思いがちですが、実際には見直しがあり得ます。家賃が下がれば、ローン返済とのバランスが崩れ、手残りが消えることもあります。
保証家賃が下がった場合の収支も計算し、さらに解約条件や手数料の仕組みも含めて、契約前に必ず確認しましょう。
相場より高い物件を避けるため複数サイトで比較する
相場より高い物件を買うと、家賃が取れても売却で苦しくなりやすいです。なぜなら、出口では「相場の価格」でしか評価されにくいからです。
そのため、必ず複数サイトで同条件の物件を見比べて、価格と家賃の感覚を合わせます。単発で見るのではなく、同じ条件で何件も見てレンジをつかむことが重要です。
また、似た物件の募集家賃も比較し、「家賃が強気すぎないか」を確認します。売買価格だけでなく、賃料相場も同時に見ないとズレます。
比較の習慣がある人ほど、営業トークに流されにくいので、時間をかける価値があります。
不動産会社1社の言葉だけで決めない
不動産投資では、情報の出どころが偏ると判断が歪みます。1社だけの提案を見ていると、その会社の得意物件や都合のよい前提で話が進みやすいからです。
同じ物件でも、別の会社や管理会社に意見を聞くと、「この家賃は強い」「修繕が近い」など違う視点が出ることがあります。
比較することで、リスク説明の質も見えます。悪い点を具体的に説明できる担当者ほど、現実的な提案をしている可能性が高いです。
複数の意見を集め、共通して危ないと言われる点は避けるという動きが、失敗を大きく減らします。
年収700万の人が不動産投資で成功するためのコツ
成功の定義は人によって違いますが、多くの人に共通するのは「大きな失敗を避けて、安定して続ける」ことです。年収700万円の人が強みを活かすなら、無理な勝負をせず、再現性のある型を作るのが近道です。
この章では、派手なテクニックではなく、実務で効くコツをまとめます。最初の1件で“続けられる形”を作ることがポイントです。
「手残り重視」で無理なレバレッジをかけない
借入を増やせば物件は大きくできますが、同時にリスクも増えます。年収700万円だと借りられる可能性がある分、「背伸び」が起きやすいです。
成功している人ほど、最初からギリギリで回すことを避けます。空室や修繕が起きても耐えられるように、手残りに余裕を持たせます。
手残りが薄いと、少しのトラブルで不安が大きくなり、判断がブレます。投資の継続には精神的な安定も重要です。
“借りられる上限”ではなく“安全に返せる範囲”で買うことが、長期での成功につながります。
入居者が選ぶ条件(駅距離・間取り・設備)を優先する
家賃は入居者が払うお金なので、入居者目線を外すと空室になりやすいです。オーナーが気に入る条件より、住む人が選ぶ条件を優先する必要があります。
わかりやすいのは駅距離です。駅から遠いほど候補から外れやすく、決めるために家賃を下げる流れになりがちです。
間取りも重要で、需要が広い形(使いやすい間取り)は空室に強い傾向があります。設備は古いと競争力が落ちるため、最低限の水準は保つ必要があります。
“貸しやすさ”はそのまま“守りの強さ”です。最初の1件ほど、王道の条件を外さないのが安全です。
信頼できる管理会社を選び、空室対策を仕組み化する
不動産投資は、買った後の運用で差が出ます。その中心が管理会社です。募集の強さ、対応の速さ、修繕提案の妥当さで、結果が変わります。
信頼できる管理会社は、空室が出たときに「家賃を下げる」以外の提案も出してくれます。写真の改善、募集条件の見直し、軽いリフォームなど、現実的な打ち手を持っています。
また、トラブル対応が遅い管理会社だと、入居者の不満が増え、退去につながることがあります。退去が増えると、広告費や原状回復費が積み上がります。
管理会社選びは“利回り”と同じくらい重要です。面談して対応の質を見てから決めると安心です。
確定申告・減価償却・経費の基本を押さえる
不動産投資は、税金の理解で手残りが変わります。難しい話に見えますが、最低限の基本を押さえるだけで十分です。
確定申告では、家賃収入から必要経費を差し引いて所得を計算します。経費には管理費、修繕費、保険、税金、広告費などが含まれます。
減価償却は、建物の価値が少しずつ減るという考え方で、会計上の費用として扱えます。現金が出ていなくても計上できるため、税金面で影響が出ます。
税金を怖がって放置するより、仕組みを理解して“手残りの最適化”をするほうが、長く続けやすくなります。
2件目以降は「同じ勝ちパターン」を横展開する
1件目でやるべきことは、自分の勝ちパターンを作ることです。たとえば「このエリアのこの条件なら決まりやすい」「この管理会社が強い」など、再現できる型を持つことが重要です。
2件目以降で大切なのは、いきなり別ジャンルに飛ばないことです。経験が増えると自信が出ますが、違うタイプの物件は別のリスクが出ます。
同じ条件を横展開すれば、調査の精度も上がり、判断スピードも上がります。結果として、余計な失敗を避けやすくなります。
成功は“当てる”より“再現する”ことです。まずは同じ型で積み上げ、必要なら段階的に広げていきましょう。
まとめ
年収700万円でも不動産投資は可能ですが、成功するかどうかは「借りられるか」ではなく「持ち続けられるか」で決まります。空室、家賃下落、修繕、金利上昇、売却といったリスクは、買った後に必ず向き合うテーマです。
失敗を避けるには、出口から逆算し、管理費や税金まで入れた現実の収支を作り、サブリースや相場のズレを丁寧に確認することが重要です。複数の意見を集めて判断する姿勢も、大きな失敗を遠ざけます。
成功のコツは、手残りを重視して無理な借入を避け、入居者目線の条件と管理体制を固め、税金の基本を押さえながら再現性のある型を作ることです。焦らず、守りの強い1件目から積み上げていけば、年収700万円でも現実的に資産形成を目指せます。

