投資用マンションを売却する場合、売却の時期や方法、売却手順をおさえているかどうかで利益の大きさが変わります。
この記事では、投資用マンションの適切な売却時期や売却手続きの流れを解説します。売却時の注意点もわかりやすく紹介しますので、投資用マンションをこれから購入する人や、売却を検討している人はぜひ参考にしてください。
投資用マンションの適切な売却時期
投資用マンションの売却で得られる利益の大きさは、売却する時期によって左右されるといっても過言ではありません。そのため、投資用マンションの適切な売却時期を把握しておくことが大切です。それぞれの適切なタイミングを理解し、いつ売るべきかじっくり検討しましょう。
金利が低いとき
金利が低い時期は、投資用マンションの適切な売却時期の1つです。金利が下がると、投資用マンションの価格を決める際に用いる還元利回りが下がります。
投資用マンションの売却価格は、年間の純利益を還元利回りで除して算出するため、還元利回りが下がるとより高値で売却することが可能です。
また、定期預金の金利が低い時期は、不動産投資によって大きな利益が得られるかもしれません。
大規模修繕が行われる前
大規模修繕が行われる前に売却することも適切だと言われています。一般的に、マンションの大規模修繕費用は、毎月の修繕積立金から支払われます。修繕費用が不足する場合は、追徴金が発生することもあり、予想外の出費がかさむ可能性があります。
また、修繕中は足場を組むなど見た目が悪くなり、非常に売却しにくい時期です。大規模修繕が行われる時期を避けるとともに、簡単な修繕を日頃から行っておくと売却しやすくなります。
購入から5年以上経過したとき
投資用マンションを売却すると、売却益に対して所得税が課せられます。購入から5年以内に売却した場合は短期譲渡所得として、所得税30%と住民税9%が課せられます。しかし、購入後5年以上経過した場合は長期譲渡所得として、所得税15%、住民税5%となり、課税額が減少します。
そのため、購入から5年以上経過したときも、売却の1つのタイミングといえます。
公示価格や路線価が上昇しているとき
投資用マンションを売却する際には、「どれくらいの値段で売れるだろう」と気になる人が多いのではないでしょうか。売却時は公示価格と路線価の確認が必要です。
公示価格は、国土交通省「標準地・基準地検索システム」にて、調べたい物件の都道府県・市町村や用途地域を指定して検索することができます。
路線価は、公示価格の約8割といわれており、不動産の相場を考える際に役立ちます。全国の路線価は、国税庁「路線価図・評価倍率表」で確認できます。
路線価や公示価格が上がっているときは不動産の資産価値も上昇している傾向にあります。
公示価格とは?
公示価格は、毎年3月に国土交通省より公表される地価算定の基本となる価格です。2名の不動産鑑定士(鑑定評価員)の鑑定評価をもとに決定され、売り急ぎなど特殊な事情がない売買で成立すると認められる価格であるため、不動産取引の際に参考とされています。
路線価とは?
路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡あたりの土地価格を路線価といいます。路線価は、主に相続税や贈与税を計算することに用いられる指標で、国税庁が公表しています。
物件に入居者がいるとき
入居中の人がいる時期も、売却を検討する絶好の機会といえるでしょう。なぜなら、次の入居者を探す必要がなく、入居募集コストや空室リスクを負わずに済むからです。入居中の人がいる状態での売却は、オーナーチェンジ物件といわれ、投資用マンションの売却には最適です。
なお、空室はマイホームとして購入する人も売却対象に含むことができるため、入居者がいないからといって売却を諦める必要はありません。
減価償却できる期間が終わる前
減価償却費は建物の耐用年数の期間内だけ計上されるという特徴があり、耐用年数が過ぎると減価償却費が計上されないため、税金の負担が途端に上がります。税金が上がれば、不動産投資におけるキャッシュフローが悪化することにつながりかねないため、減価償却できる期間が終了する前に物件を手放すか検討すると良いでしょう。
居住用マンションとは計算方法が異なる
投資用マンションと居住用マンションでは、売却価格の計算方法が異なります。投資用は、将来生み出される利益から予測する「収益還元法」で計算され、居住用は、近隣マンションの取引価格を基に予測される「取引事例比較法」で計算されます。
収益還元法の計算式
収益還元法による価格は、1年間の純収益を還元利回りで除した算出されます。純収益とは、年間賃料から固定資産税などの諸経費を差し引いた金額で、「NOI」とも呼ばれます。還元利回りは、年間収益総額を不動産価格で除して算出します。
(不動産売却価格)=(1年間の純収益)÷(還元利回り)
1年間の収益が1,200万円、諸経費が200万円、不動産価格が2億円の場合、還元利回りは6%で、純収益が1,000万円となり還元利回り6%を除することで、売却価格は約1億6,660万円となります。
売却時に必要な費用
投資用マンションを売却する際に必要となる費用について解説します。仲介手数料
仲介手数料は、投資用マンションを売却した際に、不動産会社の売却仲介業務に対して支払われる費用です。仲介手数料の上限は、売却価格帯を3つに分けて算出されます。200万円以下の価格帯は5.4%、200~400万円の価格帯は4.32%、400万円以上の価格帯には3.24%を掛けて算出した額の合計が上限となります。
計算が複雑となるため、通常は簡略化し「売却価格×3%+6万円」で算出します。
・売却価格が1000万円の場合
(200万×5.4%)+(200万×4.32%)+(600万×3.24%)≒ 38万円
1000万×3% + 6万円 = 36万円
印紙税
投資用マンションの売却時には、契約書を作成する際には必ず印紙税を支払う義務があり、不動産売買契約書に添付する収入印紙代が必要となります。印紙税は、契約金額100~500万円では2,000円、500~1,000万円では1万円、1,000~5,000万円では2万円となります。
不動産譲渡所得税
投資用マンションを売却した際に得られる譲渡所得には不動産譲渡所得税が課せられます。譲渡所得とは、譲渡収入から取得費と譲渡費用を差し引いた金額となります。譲渡収入とは、固定資産税の清算金を含めた売却価格のことです。
取得費は、減価償却費を差し引いた不動産購入代金と購入時の諸経費、譲渡費用は仲介手数料・印紙代など売却のための諸経費となります。
抵当権抹消登記の費用
投資用マンションを売却した際には、売却した不動産の抵当権抹消登記のための費用が必要となります。不動産売却時には、金融機関などが所有する抵当権を抹消する必要があります。必要な費用は、登録免許税と手数料で、合計5000~2万円となります。いずれも手続きを依頼した司法書士に支払います。
売却費用(税抜) | 仲介手数料(税抜) |
---|---|
200万円以下の場合 | 5%以内の金額 |
200万円超400万円以下の場合 | 4%+2万円以内の金額 |
400万円超 | 3%+6万円以内の金額 |
ローンの繰上げ返済の手数料
投資用マンションを売却した際に、ローンの残債があれば、繰り上げ返済時に、金融機関に対して事務手数料の支払いが発生します。抵当権抹消手続きと同時に司法書士に依頼して行われます。金額は金融機関や金利タイプにより異なり、1~3万円となります。
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投資用マンション売却の流れ
投資用マンションを売却するには、2つの方法があります。不動産会社が売り手と買い手の間に立ち、マンションの宣伝や売買プラン立案などで取引をサポートする「仲介」と、売り手から不動産会社がマンションを買い取る「買取」です。ここでは、不動産会社に仲介を依頼する際の一般的な流れについて解説します。
1.情報収集を行う
売却予定のマンションと似た条件の物件の売値などの情報収集を行いましょう。売却できる相場を知っておくと、値下げ交渉をされた場合などの価格調整が必要なときに役立ちます。また、登記簿謄本・購入時の売買契約書・重要事項説明書・登記済権利書・固定資産税納税通知書・物件の図面などの書類を準備し始めましょう。
2.不動産会社を探す
仲介を依頼する不動産会社を探しましょう。不動産一括査定サービスを利用すると便利です。1度に複数の不動産会社に査定を依頼し、売却プランを比較検討できます。自分の売却希望価格を調整する資料としても有益です。
3.不動産会社と契約を結ぶ
不動産会社を決定し、媒介契約を結びます。媒介契約の方法は、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3つあります。
一般媒介契約は、複数の会社と媒介契約が結べます。売り手が自ら見つけた買い手と売買契約する際に、不動産会社は介入できません。
専任媒介契約は1社のみと媒介契約を結び、自ら見つけた買い手との売買契約時に不動産会社は介入できません。専属専任媒介契約は1社のみとの媒介契約で、自ら見つけた買い手との売買契約時に不動産会社の介入が必要となります。
4.物件を売り出す
売り出し価格を決定し、物件を売り出します。売り出し価格は不動産会社が物件の価値として提示する査定価格や、収益還元法で算出された売却価格を参考にして決めます。値下げ交渉を想定して余裕をもたせておくとよいでしょう。
5.売却活動
売却活動を開始します。マンションの掃除を行い、内覧の際は購入のメリットをアピールしましょう。買い手から値下げ交渉があれば、売却価格の変更が必要になることもあります。
6.売買契約
買い手と条件の合意ができたら、売買契約を締結し引き渡し日を決定します。このとき手付金の授受がありますが、契約が白紙になる可能性に備え、全額保管しておきましょう。引き渡しと同時に売買決済を行い、契約は完了です。
7.確定申告
譲渡所得がある場合は、短期・長期譲渡所得の基準に沿って所得税などが課されるため、確定申告を行う必要があります。原則として、マンションを売却した翌年の2月16日~3月15日に確定申告を行います。
不動産会社を選ぶポイント
不動産会社選びは、投資マンションの売却で損をしないためには非常に重要です。よいパートナーになってくれる不動産会社選びのポイントを解説します。
話をよく聞いてくれる
担当者が、親身に話を聞いてくれる不動産会社を選びましょう。担当者とのコミュニケーションは非常に重要です。売却の流れ・不動産売買の動向を分かりやすく解説してくれる、安心して頼れる不動産会社をみつけましょう。
免許更新番号だけで決めない
免許更新番号だけで決めないようにしましょう。免許更新番号からは、不動産会社の営業年数がわかります。しかし、営業年数が長いからと質がよいとは限りません。番号が新しくても新進気鋭の意識をもつ会社のほうがやる気があることが多くあり、実績に注目して判断すべきです。
得意分野を確認する
不動産会社の得意分野を必ず確認しましょう。不動産会社が扱う物件には、戸建て・マンション・店舗などがあり、得意分野は異なります。得意とする地域もあり、情報収集の精度も変わります。得意分野をWebサイトなどでよく確認した上で、不動産会社を選ぶことをおすすめします。
投資用マンションを売却する時の注意点
投資用マンションを売却する時の注意点を解説します。
売却時期を見逃さない
投資用マンションの売却には理想的な時期があるため、売却時期を見逃さないことが大事です。おすすめの売却時期は金利が低く、大規模修繕前で5年以上経過しており、人が入居中の時期です。
売却活動に適した時期は、新年度に向けて進学や転勤などで転居する人が増える1~3月です。不動産会社と契約後、売却までは3~6カ月かかるとされるため、準備期間も考慮してこの時期に間にあうように売却の準備を始めましょう。
複数の不動産会社に査定を依頼する
不動産会社は、得意分野が異なるため、1社だけでなく複数の会社に査定を依頼しましょう。査定には、資料をもとにする机上査定と、現地で物件をみる訪問査定があります。不動産会社が出してきた査定額を判断基準の1つとして、比較し、査定額を捻出した根拠なども確認した上で、自分にとって最長の不動産会社を見つけましょう。
不動産会社は「一般媒介契約」で締結する
一般媒介契約とは、複数の不動産会社と契約でき、自分が見つけてきた買い手と不動産会社の介入なしでの売買契約ができます。複数の会社が販売活動をしてくれるため、買い手の幅が広がります。
売却時に必要な手数料・税金を忘れない
売却時に必要な手数料・税金を忘れないようにしましょう。マンションの売却時には、仲介手数料・印紙税・譲渡所得税・抵当権抹消登記手数料・登録免許税・繰り上げ返済手数料が必要となります。
売却してもローン残債が残る場合は要注意
売却してもローン残債が残る場合は注意が必要です。ローン残債より売却額が低く赤字の場合、自己資金で差額を支払う必要があります。ローン残債を支払えない場合、ローン保証会社への返済が続くため、ローン残債を考慮して売却額を決めましょう。
まとめ
投資用マンションには、理想的な売却時期があります。購入してから5年以上経過していて、大規模修繕前、金利が低いなどの時期を選ぶことがポイントです。売却するには、準備期間も合わせて6か月くらいは見ておく必要があり、不動産会社を選ぶことから始めましょう。
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