働き方が多様化している現代、勤めている会社を早期に退職し、経済的に自立して新たな生活を送る「FIRE」という考え方があります。
この記事では、FIREを実現するのに適した投資方法として不動産投資について詳しく解説します。
そもそもFIREとは?理解するための基礎知識を解説
FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、簡単にいうと「経済的自立と早期退職」です。退職後も継続的な資産運用を行うことが前提とされ、投資などで収入を得ながら生活を送ります。FIREと似た意味の用語として、アーリーリタイアとセミリタイアがあります。これらの違いについて解説します。
FIREとアーリーリタイアやセミリタイアとの違い
FIREとよく似ている言葉に、アーリーリタイア(早期リタイア)やセミリタイアがありますが、この3つはそれぞれ意味が異なります。
アーリーリタイア(早期リタイア)はFIREと似た概念です。FIREは完全に今の仕事を辞めず、主に資産運用により生活資金の一部を得ることが前提とされています。一方アーリーリタイアでは、今の仕事を基本的に辞めて、資産運用で生活資金を得るという意味合いで使われている場合が多いです。
アーリーリタイアを実現するために、どのように資産をためておけば良いか(Financial Independence、経済的自立)」という、実現方法についても意味合いを含んでいる点が異なります。
セミリタイアは、FIREとほぼ同じ概念です。どちらも仕事を完全に辞めるのではなく、資産運用を組み合わせることで元の仕事の時間を減らして、自分のスタイルで働くことを意味しています。セミリタイア(FIRE)後は主に資産運用から生活資金を得ますが、完全に仕事を辞めなくても、セミリタイアやFIREを実現しているといえます。
とはいえ、ほぼ同じ意味合いや混同して使われる場合も多く、明確に定義が決まっているわけではありません。そのため、どのような意味で使われているかは、場面に応じて個別に確認するほうが良いでしょう。
資産の基準目安額は4%
FIREを実現させるために重要となるのが「4%ルール」です。
4%ルールとは、資産を切り崩さず生活費を賄うことができる運用益の利率に関するルールのことです。この4%を、運用する資産の基準目安額となるように運用を続けることで、FIREを安定的に続けることができます。
FIREするために必要な資産の算出例
先に述べた4%ルールに従うと、一年間の生活資金に対してどの程度の準備資金が必要かがわかります。
例えば、不動産投資に関して一年間の生活資金が400万円(夫婦二人の平均)なら、25倍の一億円の資金が必要です。具体的には、年間支出の25倍(「投資元本(100%)÷支出(4%)」)の資産を築き、年利4%の運用益であれば、資産を切り崩さず生活費を賄うことができます。
【方法】不動産投資でFIREを実現させる4つのステップ
ここでは、不動産投資でFIREを実現させる4つのステップを見ていきましょう。
ステップ1:不動産投資に関する知識やリスクを学ぶ
不動産投資でFIREを実現させるために、まず始めるべきことは「不動産投資に関する知識やリスクを学ぶこと」です。
不動産投資をする際には、仲介業者に物件の契約条件についての相談をしたり、物件の紹介や契約のサポートを受けたりします。しかし、仲介業者のいうことがすべて正しいとは限りません。
自分で不動産投資に関する知識やリスクを学ぶことで、仲介事業者などの言い分を鵜呑みにせず、正しい投資判断ができるようになります。
また、不動産投資にはどうしても空室、災害などのリスクがあります。不動産投資のリスクについて学ぶことで、その対策を自分で立てることもできます。
ステップ2:エリアと物件の選定を行う
不動産投資に関する一連の知識を身につけたら、次は投資するエリアと物件の選定を行います。不動産投資の対象となるエリアや物件はさまざまですが、大切なのは目的に合った物件を選ぶことです。
不動産投資でFIREを実現させるためには、1棟物件や金融機関の評価の高い物件、高利回りの物件をおすすめします。
高利回りの基準は、都市部のワンルームマンションであれば、新築で約4%以上、築年数20年以上で5~9%以上を見込んでおくといいでしょう。
ステップ3:収支のシミュレーションをする
投資用物件を選ぶ際は、「収支のシミュレーション」が重要です。投資によって、将来的にどのくらいの収入が得られ、どれぐらいの支出が必要なのかを確認します。
不動産投資では、不動産の購入や売却時の諸費用、修繕積立金や固定資産税などの維持費などがかかります。また、想定外の出費があることも多いので、それらをカバーできる収入が見込めるのかどうかを、しっかりと判断する必要があります。
ステップ4:銀行融資の事前審査に申し込む
収支のシミュレーションを行い、問題のない物件を選ぶことができたら、次は銀行融資の事前審査に申し込みます。不動産投資に対する融資の審査は、申し込み者個人(投資家)と物件の両方が審査対象になります。
申し込み者個人(投資家)の審査では、その人に返済能力があるかを見ます。物件の審査では、物件の収益力はもちろんのこと、物件の価値(返済が滞った場合に競売などを行うため)も判断材料となります。そのため、人によって借入金の上限も異なるほか、審査に落ちることもあります。
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FIREに成功する人の5つの特徴
FIREに成功する人には、それぞれの特徴があります。ここでは、FIREに成功する人の特徴を5つ紹介します。
成功する人1:早めに不動産投資に着手し長期運用している
FIREを成功させるために重要なのが、できるだけ早い時期から不動産投資に着手していることです。可能であれば、退職前から不動産投資に着手することをおすすめします。融資審査では申し込み者個人(投資家)の審査も行われるため、資産を多く保有していることが融資に有利に働きます。
審査では、職業や年齢、年収のほか、物件の資産価値などをふまえ、返済能力の見定めや担保評価を行います。
定職についている状態の方が、融資が受けやすくなります。逆に、退職後は融資を受けることが難しいので、退職前から不動産投資に着手しましょう。
成功する人2:物件選択に慎重になっている
FIREに成功する人の特徴として、慎重に物件を選択し、優良な物件を選んでいることが挙げられます。
投資家にとって優良な物件とは、空室リスクが低く安定した収入を生み出す物件のことです。エリアや駅からの距離が近い、競争物件が少ないことは優良物件の要素です。空室リスクの低い物件を選択しましょう。
優良物件を選ぶためには、物件の情報収集など、不動産投資に関する勉強を怠らないことが大切です。
成功する人3:経費を差し引いた実質利回りを確認している
FIREを成功させるためには、しっかりとした収支のシミュレーションをすることが必要です。そこで重要なのが、実質利回りです。
利回りには、表面利回りと実質利回りの2つがあります。表面利回りは物件価格に対し、家賃収入がどれだけ得られるかの目安です。あくまで収入の目安のため、キャッシュフローを正確に計算することができません。
一方、実質利回りはコストも考慮した上で計算するので、正確にリターンを算出でき、正確なキャッシュフローを把握することができます。
成功する人4:投資の規模を拡大している
投資の規模を拡大していることも、FIREを成功させる特徴のひとつです。FIREを成功させるためには、家賃収入から得られるキャッシュフローの金額が重要です。家賃収入から得られるキャッシュフローは、投資の規模が同じであれば、毎年ほとんど変わりません。
賃貸経営規模の拡大をすれば、キャッシュフローを増やすことができます。ただし、賃貸経営規模の拡大はリスクを増大させる可能性もあるため、計画は綿密に立てることが大切です。
成功する人5:黒字申告・決算を出し続けている
FIREを成功させるためには、黒字申告・決算を出し続けている必要があります。黒字申告を続けることは経営が好調であることを意味するだけでなく、いざ資金が必要になったときに、銀行から融資を受けやすくなります。逆に、赤字だと銀行から融資を受けにくくなるので注意が必要です。
FIREに失敗する人の4つの特徴
次に、FIREに失敗する人の特徴を4つ見ていきましょう。
失敗する人1:非現実的な投資プランを立てている
FIREに失敗する人の特徴のひとつが、目的のない不動産投資をしていることです。FIREのために不動産投資を始めたはずが、途中から不動産投資自体が目的になってしまうケースは珍しくありません。
「新たなスキルを身に着ける」「悠々自適に過ごす」など、自分が将来どうなりたいか、不動産投資を行う中で再確認し、そのために必要な資産額を育成するために十分な実質利回りかを考える必要があります。
失敗する人2:リターンが低い物件に投資している
リターンが低い物件に投資していることも失敗する人に見られる特徴です。低リスクだからとはいえ、低利回りの物件ばかりでは収益は得られません。
国内の投資物件にリターンが高いものがないのであれば、海外の投資物件を運用することも視野に入れてみましょう。
失敗する人3:想定していた利回りを維持できていない
毎年、想定した利回りが出るとは限りません。空室が増えたり、賃料が下がったりすると当然、利回りも下がります。FIREを成功させるには常に現状を把握し、想定していた利回りを維持できていない場合は、早急に改善策を考えることが重要です。
失敗する人4:ルールを守った客観的な運用ができない
目標収益を明確にして、実質利回りを意識して物件を購入しても、当初想定の運用収益が出るとは限りません。最初に計画やルールを設定し、実際の運用収益が想定以下である場合は、目標をリカバリーするために投資プランを再度設計しなおす必要があります。
ルールを守れず投資物件の見直しができない方は、投資に失敗しやすいでしょう。
まとめ:不動産投資でFIREを実現するためには現実的な計画とルールに基づいて運用しよう
FIREは「経済的自立と早期退職」を意味しています。FIREを実現させるためには、「4%ルール」を覚えておきましょう。目安として年間支出の25倍の資産があれば、早期退職後も十分な生活を送ることができるという考え方です。
これから不動産投資を考えている方は、この記事のポイントをふまえ、計画的に行いましょう。