「価値のある資産を持ちたい」と思ったときに、いったいどの資産を選べばよいのでしょうか。資産にはさまざまなものがあります。実物資産もそのひとつです。
今回は、実物資産とはどのようなものか、実物資産を保有するメリット、デメリットを解説します。
実物資産とは
実物資産とは、実物が存在しており、それ自体に価値があるものを指します。たとえば貴金属や土地・建物などの不動産が実物資産といわれています。実物に価値があることから、価値が下がることはありますが、ゼロになる可能性は低いです。
また、実物資産に対して金融資産があります。金融資産とは、「そのもの自体に資産価値を持っていないもの」と定義されています。たとえば、株式や紙幣、有価証券、商品券などが金融資産です。
「そのもの自体の価値が無い」とは、株式や紙幣を例にするとわかりやすいです。今は発行されませんが、株式を購入して得られる株券は、その会社が倒産すれば価値がなくなります。
紙幣も発行する国の信用がなくなると、紙切れのように価値がなくなります。このように紙幣や証券自体の価値はなく、それを裏付けされる他のなにかの価値を表しているという特性があります。
実物資産の種類
先述した実物資産の種類を詳しく紹介していきます。
貴金属
貴金属とは、具体的には金・銀・プラチナ・ダイヤモンドなどが該当します。これらはそれ自体に価値があるのですが、その価値を裏付けているのが希少性です。大量に発掘されるものには価値がありません。限られた量しかないことから、資産価値が高いのです。
不動産
土地・建物などの不動産も実物資産です。一戸建て・マンション・アパートなどの建物や畑・山・森などの土地は実物資産となります。このほかに太陽光発電システムなども含まれます。
実物資産のなかでも『不動産』は、投資商品として、収益を期待されてニーズが高まっています。
所有する土地・建物を自宅として自分で使用する以外に、他人に貸し出す、または太陽光発電システムから生まれた電力を販売するなど、運用することで収益が得られます。
コレクション品
コレクション品は、種類が多岐にわたります。絵画や記念コイン・クラシックカー・酒類(ワインやウイスキーなど)やスニーカーまで、限定品やプレミアがついたものなどです。
コレクション系の資産には、投資目的に保有するものから、個人の趣味レベルのものまでを含むので、幅が広いのです。
ゴッホやバンクシーなど有名な画家の絵画は、オークションで高値が付いたことが話題になっています。このように美術品にはビジネス市場が成り立っていますが、いっぽうではアンティークコインや切手、フィギュア人形などの市場は狭く、投資に不向きな実物資産もあります。
だたし、深い嗜好を持つマニア同士のなかで価値が生まれて高値で取引される品もあります。最近では限定生産されたスニーカーに高値が付くことがあり、転売目的で購入したい人が増えています。
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実物資産のメリット・デメリット
実物資産を保有することにはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
実物資産のメリット
金融危機でも影響が少ない実物資産の中でも金は、資産価値が高いとされ、人気のある商品です。『有事の金』とも言われています。金融危機が発生しても、値崩れなどの影響を受けることが少ないのが特徴です。
実際にリーマンショックや東日本大震災などによる金融危機が発生したときに、金の価格が上昇しています。
インフレにも強い実物資産はインフレーションに強い資産です。インフレーションとは現金に対してモノの価値があがる、つまり物価が上がることです。
今までは1本100円だったジュースが、インフレによって150円に値段が上がると、ジュース1本に対して現金の価値が下がったといえます。銀行預金に1億円あったとしても、現金1億円で買えるものはインフレによって目減りしてしまいます。このように金融資産はインフレによって価値が下がります。
一方でマンションを保有すると、マンションの価格はどうなるでしょうか。物価の上昇と比例して不動産の価格が上がるといわれています。これが「実物資産がインフレに強い」といわれる理由です。
価値がゼロになることがほとんどない実物資産はそのもの自体に価値があるので、資産価値が目減りしにくい、またゼロになりにくいという特性があります。資産価値が高いということが保有するメリットのひとつです。
実物資産のデメリット
破損や盗難のリスクがある資産が壊れたり、汚れたり、あるいは盗まれる可能性があります。天災などの影響でマンションが破損する、または倒壊するなどが起きれば、資産価値は目減りするでしょう。
または絵画や宝石など持ち運びができる資産であれば、盗まれることで資産価値がゼロになってしまいます。
例外として、その実物資産が劣化したり、壊れたりする場合には資産価値が失われてしまうこともあります。
保有コストがかかる現物資産は、それを保有することでコストがかかるのがデメリットのひとつです。例えば不動産を保有すれば、固定資産税がかかってきますし、美術品には湿度管理などが必要なものもあり、保管サービス料がかかります。
また、宝飾品には保険をかける、あるいはセキュリティサービスを利用する必要があり、安全に保有するための費用がかかります。
実物資産への投資でうまく資産運用するコツ
実物資産でうまく資産運用をする、コツを紹介します。
実物資産の中でも不動産投資がおすすめ
不動産は実物資産のなかでも、ほかの資産とは違う特性を持っています。それは、収入源になるポイントが多いのです。購入価格金額と売却価格の差額で得られる利益のほかに、不動産を他人に貸すことで賃料を取ることができます。貸し出した保有マンション・駐車場などの家賃収入が見込めます。
不動産投資は、先に不動産を購入しなければなりません。初年度はとくに経費が膨らみ赤字になることもあります。
サラリーマンが副業で不動産投資を始める場合には、給与所得から不動産取得による赤字分を差し引くことができます。そのため、納めるはずの税金を抑えることができます。
不動産は、相続資産にもなります。子や孫まで資産を残したいと思う人が不動産を購入しています。相続するにあたっては、現金で残すよりも相続税を抑えることができます。
実物資産と金融資産両方保有する
実物資産には、インフレや金融危機に強いという特性があります。金融資産である預金・預貯金・債券・株式や生命保険は流動性があります。つまり現金化しやすいという特性を持っています。
金融機関は、融資を決める際に、貸し先の資産の流動性を重要視します。資産の流動性を持つ金融資産と金融危機に強い実物資産は、両方を組み合わせることで、それぞれのデメリットがメリットで調和され、リスク回避できるようになります。
「資産は一つのかごに盛るな」という格言がありますが、1つの投資に集中させるよりも、いくつかの投資に分散させた方が良いのです。
まとめ
どれかひとつの資産に絞って運用し、大きなリターンを狙うよりも、実物資産と金融資産に分けて資産を持つことでリスクを回避することになり、結果として資産を育てていくことができます。これから資産運用を始めるならば、資産をいくつかの形に分けて保有する、分散投資を心掛けていくと良いでしょう。