「不動産投資は割に合わない」という意見を聞いたことがある人もいるでしょう。不動産投資を
始めようか迷っている人にとっては、その意見は正しいのか、なぜ割に合わないのか気になる方もいるのではないでしょうか。
本記事では、不動産投資が割に合わないといわれる理由と、不動産投資で失敗しないためのポイントを解説します。不動産投資を始めるかどうか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
不動産投資が「割に合わない」と言われる理由
うまくいけば大きな資産を形成できる可能性がある不動産投資ですが、中には「割に合わない」と考える人もいます。「不動産投資は割に合わない」と言われる理由として、不動産投資には特有のリスクがあります。
不動産投資を始める際には、まずはさまざまなリスクを確認することが大切です。
理由1:空き室リスク
不動産投資が割に合わないといわれる理由のひとつに、空室リスクがあります。不動産投資によって得られる主な利益は、家賃(インカムゲイン)と売却益(キャピタルゲイン)の2種類です。
不動産は、短期間で気軽に売買できるものではなく、多くの場合インカムゲインを狙うことになるでしょう。しかし、インカムゲインは、所有する不動産の借り手がいて初めて得られるものです。もし借り手がいなければ、不動産投資で利益を得ることはできません。
そのため、ローンの返済や、管理会社に支払う管理費用などを考えると、むしろマイナスになる可能性もあります。
空室リスクは赤字に直結するため、物件は慎重に選びましょう。
理由2:多額の修繕費用
不動産投資を始めるときに、ほとんどの人が物件の購入費用をチェックするでしょう。しかし、「購入後のコストがどれくらいかかるか」まで確認しているでしょうか。
国土交通省の「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」によると、賃貸住宅では以下の年数を目安に修繕が必要とされています。
修繕箇所 | 修繕タイミング |
---|---|
屋根 | ・塗装、補修:11~15年目 ・防水、葺替:21~25年目 |
外壁 | ・塗装:11~18年目 ・タイル張り補修:12~18年目 |
階段・廊下 | ・鉄部塗装:4~10年目 ・塗装、防水 |
給排水管 | ・高圧洗浄:5年目 ・取替:30年目 |
給湯器・エアコン | ・交換:11~15年目 |
参考:国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック(PDF)」
修繕箇所は、屋根や外壁など複数に及び、修繕のタイミングもばらばらです。
経過年数ごとの修繕費用の目安も見てみましょう。
RC構造20戸、1LDK~2DKの場合の修繕費用
経過年数 | 修繕費用 |
---|---|
5~10年目 | 約9万円/戸 |
11~15年目 | 約55万円/戸 |
16~20年目 | 約23万円/戸 |
21~25年目 | 約116万円/戸 |
26~30年目 | 約23万円/戸 |
参考:国土交通省「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック(PDF)」
物件全体では、1回の修繕で数百万円、数千万円の費用がかかる可能性があり、入退去時のメンテナンスや災害時は、さらに修繕費用が膨らみます。
こうした修繕費用について何らかの対策をしておかなければ、たとえ利回りが良い物件でも赤字になることがあるでしょう。特に中古物件は、すでに新築から年数が経っているため、購入後すぐに多額の修繕費がかかるかもしれません。購入前に、物件の状態をよく確認することが重要です。
理由3:賃借人とのトラブル
運用が順調でも、入居者とのトラブルに見舞われる可能性もあります。一例として、家賃滞納や騒音トラブルが考えられます。一般的に、賃貸トラブルは管理会社が対応しますが、トラブルが長期化する場合や影響が大きい場合、不動産オーナーの心理的な負担となりうることを知っておきましょう。
理由4:時間と労力がかかる
投資を始めるときには、できるだけ早く多くの利益を得たいと思う人がほとんどです。しかし、不動産投資は一度に多くの利益を得ることは難しく、一攫千金を夢見て始めると、割に合わないと感じるでしょう。
また、ローンの金利次第では利益が出にくくなることがあります。金利が高いとその分総返済額が高くなり、利回りに大きく影響するかもしれません。定期的にローン金利をチェックし、金利が高いと思ったらローンの借り換えを検討しましょう。
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理由5:災害リスク
地震や火災といった災害が原因で物件に何らかの損害が生じると、資産価値は一気に下がります。さらに、修繕費用がかさみ、これまで黒字だったとしても簡単に赤字に陥るでしょう。日本は、地震を始めさまざまな災害が起こることが想定されます。 物件を選ぶ際は、ハザードマップで災害リスクを確認したり、災害に強い保険への加入を検討しましょう。不動産投資に不向きな人の特徴
不動産投資が「割に合わない」と感じる人には、いくつか特徴があります。ここで紹介する特徴に該当する場合、不動産投資には不向きといえるかもしれません。該当するかどうか、チェックしてみましょう。
特徴1:決断力が欠けている
不動産投資が「割に合わない」と感じる人の特徴の1つに、決断力が欠けていることが挙げられます。不動産投資では、さまざまな場面で決断を迫られます。例えば、物件の購入や売却は、適切なタイミングを逃すと赤字に陥るでしょう。
不動産投資は、他の投資方法に比べて必要になる金額が大きくなることがあり、重大な場面で決断できるかどうかが成功の鍵といっても過言ではありません。
優柔不断な人は、失敗するリスクが高く、結果として不動産投資が「割に合わない」と感じるでしょう。
特徴2:リスクを回避したがる
どのような投資方法でも、常にさまざまなリスクが存在します。空室リスクは不動産投資における大きなリスクの1つであり、場合によっては経費が家賃収入を上回り、赤字が続くかもしれません。
他にも、物件価格が下がるリスクはいくつかあり、リスクの大きさと利益を比べるとリスクを負いたくない人には割に合わない投資方法です。リスクの詳細を確認した上で投資を始めましょう。
特徴3:物事を他人任せにしてしまう
物事を他人任せにしてしまう人も、不動産投資は「割に合わない」と感じるでしょう。不動産投資では、管理会社や不動産会社に運営を任せられる一方で、完全に運営を丸投げすることはトラブルの原因になりかねません。
例えば、管理会社が倒産したり、家賃を持ち逃げされたりすることが想定されるため、入居者の情報や入金状況は適宜自分で確認する必要があります。自ら管理するのが面倒に感じる場合は、不動産投資は手間がかかって割に合わないと感じるでしょう。
損失を回避するにはどのような準備をすれば良いか
時には「割に合わない」と思うこともある不動産投資ですが、リスクを知った上で入念に準備することで損失を回避できます。以下で、損失を回避する方法を3つご紹介します。
準備1:不動産投資について勉強する
損失を回避するためには、まずは不動産投資についてしっかりと勉強しましょう。特に、不動産投資における空室・修繕・家賃滞納といったリスクについてはよく理解しておく必要があります。
なぜなら、それぞれのリスクの詳細を知っておくことでリスクを最小化できる可能性が高まるからです。不動産投資に関する知識習得のために、不動産投資セミナーに参加して最新情報を得る方法や、不動産投資家のコミュニティに参加する方法などがあります。
準備2:失敗例から学ぶ
個人で不動産投資を始める際には、物件やエリアが決まれば不動産投資会社を探すことが一般的です。このとき、利用する不動産投資会社が信頼できるかどうかの見極めが重要です。良心的な不動産投資会社であれば、不動産投資のリスクや失敗事例、運用のポイントを教えてくれることがあるでしょう。
投資会社のホームページには、過去の実績が記載されていることが多いため、参考にしてください。また、利用する不動産投資会社の評判も調べておくと安心です。
準備3:不動産投資にかかる税金や費用を確認する
不動産投資において損失を回避するために、税金や費用を確認することも大切です。投資初期には、登記費用や不動産取得税などがかかります。また、維持費用として管理会社への委託費や管理・修繕費がかかることも想定しておかなければなりません。 費用面の確認を怠ると、収支が大幅に悪化するなど大きな影響があります。税金については税理士に確認するなど、概算費用は正確に把握しましょう。
損失を回避するための投資方針
誰しも、不動産投資で損失を出したいとは思わないでしょう。不動産投資において、どのような物件を選ぶかなど、投資方法に留意するだけでも損失を回避できる可能性が高まります。損失の回避方法を確認し、投資の際に活かしてください。
投資方針1:リスクの小さい物件を選ぶ
不動産投資は、選択する物件によっては低リスクでの運用が可能です。昨今は、人口が減少している一方で、単身世帯は増加傾向です。そのため、単身者向けのワンルームマンション投資は比較的低リスクで投資できます。
また、アパート1棟を購入して始めるアパート投資もおすすめです。アパート投資は、複数の部屋を所有しているため、仮に空き室がいくつか生じても家賃収入が0になる事態を避けることが可能です。
投資方針2:投資先を分散させる
分散投資は、不動産投資でも実践できます。不動産投資では投資する地域や時間、物件を分散しましょう。地域を分散させる際は、同一エリアにのみ物件を持つのではなく、離れた場所にも物件を保有することで効果を発揮します。
また、時間を分散させるために、物件を購入するタイミングをずらすことを検討してください。物件の分散を目的として、異なる間取りの部屋に投資したり、中古マンションと新築マンションなど築年数の異なる物件を選ぶことは有効な手段の1つといえるでしょう。
投資方針3:予め損切りルールを決めておく
投資において損失が生じると、「損した分の金額はきっと取り戻せる」「しばらくすれば確実に黒字に転じるはず」などと、現実を直視しない人が少なくありません。不動産投資に限らず、投資の世界では、損失を最小限に抑えることも大切だといわれています。
誰しも、損失が発生している状態は心地良いものではなく、だからこそ損失が小さいうちに損切りができるかどうかでその後の運用の結果が変わります。どの程度の損失が出たら売却するかなど、予め損切りのルールを決めておくことで、いざというときに慌てずに済みます。
「割に合わない」と感じたら売却することも検討しよう
不動産投資のメリット・デメリットを理解し、投資に必要な費用を把握していたとしても、思うように収益が出ないこともあるでしょう。不動産投資にはさまざまなリスクがあり、さらに不動産投資ならではの出費もかさみます。
収支がマイナスになったときや、不動産投資が「割に合わない」と感じたときは思い切って物件を売ることも検討しましょう。先述の通り、予め損切のルールを決めておくことで、素早く売却の判断ができます。
ただし、他の金融商品と比べて不動産は現金化しづらいのが特徴です。時には、売却に数か月以上の時間を要することも考えられます。スムーズな売却のためにも、仲介業者をできるだけ早く探すことを意識してください。
まとめ:不動産投資は「割に合わない」と感じることも!リスクや費用は要確認
不動産投資には、空室リスクや多額の修繕費用が原因で、思うように利益を得られないときがあり、「割に合わない」という気持ちを抱くかもしれません。不動産投資における損失を回避するためにも、投資前の入念な準備と適切な投資方法の選択が大切です。
本記事を参考に、自分が不動産投資に向いているかどうか確認した上で、不動産投資をスタートしましょう。