マンション投資での詐欺は避けられる!よくある手口やリスク回避策を紹介

監修者

神原卓志

不動産の取引についての記事を100本以上執筆。住宅ローンや不動産経営の記事が得意分野。 https://guntaro.blog/about-contact/

神原卓志

簿記2級/不動産実務検定2級

マンション投資を始めてみたいと思いつつも、詐欺の可能性を心配している人もいるのではないでしょうか。事前に詐欺の手口を知っておくことで回避できる可能性もあります。この記事では、マンション投資にありがちな詐欺の手口、リスク回避策を紹介します。不動産投資での資産運用を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

目次

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マンション投資における詐欺のほとんどは回避できる

マンション投資をはじめとする不動産投資での詐欺被害といわれるものは、実はほとんど回避できるものです。確かにマンション投資は投資初心者でも始めやすいことから、初心者を狙った詐欺が後を絶ちません。詐欺に遭わないためにはその手口を知ると同時に、不動産投資に関する知識を身につけることが重要です。

マンション投資における詐欺とは?

マンション投資詐欺とは、言葉巧みに投資話を持ち掛けて、価格と価値が釣り合わない粗悪な物件を購入させたり、代金を持ち逃げしたりすることをいいます。会社員・公務員など安定した収入のある人や投資初心者などがターゲットにされがちです。

マンション投資に多い詐欺の手口と対策

被害を未然に防ぐには、マンション投資にありがちな詐欺の手口と対策を知っておくことが大切です。

手付金詐欺

契約前に多額の手付金を要求し、物件の引渡しをせずに雲隠れする手口です。検討する時間を与えず契約を急かしたり手付金の支払いを迫ったりする場合は、手付金詐欺を疑いましょう。

対策

言われるままに手付金を払うのではなく、検討したい旨をはっきりと伝えます。そのうえで、現地での物件確認、関係者の本人確認、契約内容の確認などを納得できるまでしっかり行いましょう。

偽装満室詐欺

満室で高利回りの物件として一棟アパートなどを売りつける手口です。実際には空室だらけで家賃収入が見込めない物件なのに、一時的に詐欺グループが入居して満室を偽装します。契約後は一斉に退去するため、もとの空室だらけの物件に戻ります。

対策

現在の入居者がいつから入居しているかを確認しましょう。春は移動の多い季節ですが、春でもないのに複数の部屋でばたばたと入居があった場合には、偽装満室かもしれません。入居時期について明確な回答が得られない場合も要注意です。

二重譲渡詐欺

二重譲渡とは、購入希望者以外の第三者に同じ物件を売却することをいいます。第三者が先に登記を済ませた場合、購入希望者は代金を支払ったにもかかわらず物件を手に入れることができません。二重譲渡詐欺は、この第三者が詐欺グループの一員です。

対策

決済前に必ず登記の内容を確認しましょう。チェックポイントは登記の日付、売主を名乗る人に所有権があるかどうかです。できれば本契約とは関係のない司法書士に依頼して、登記簿に不自然な点がないか確認してもらうことをおすすめします。

空室(家賃)保証詐欺

空室(家賃)保証とは、不動産会社が物件を一括で借り上げて経営し、オーナーに決まった家賃を保証するというシステムです。空室リスクを軽減できるという点で魅力的ですが、デメリットも多いことはあまり知られていません。

対策

毎月の手数料や家賃保証の免責期間など、サブリース契約は不動産会社に有利に傾きがちです。契約事項に著しく不利な条件がないかをきちんと確認することが大切です。説明を省こうとする場合には特に注意しましょう。

デート商法詐欺

飲み会の席などを利用して親しくなり、不動産などの高額な商品を購入させる手口です。詐欺師がファイナンシャルプランナーや投資コンサルタントを名乗って信用させるケースもあります。

対策

甘い言葉を鵜呑みにせず、冷静に物件情報を確認することが一番の対策です。不動産購入後に詐欺と気づいた場合には消費生活センターに相談しましょう。2019年6月から消費者契約法が改正により、デート商法など不当な勧誘による契約の取り消しが可能となっています。

マンション投資の詐欺に遭いやすい人とは?

会社員や公務員など安定した収入のある人、医師や会社役員などの高所得者はマンション投資詐欺に狙われがちです。これらの職業は金融機関の信用度が高く、多額の融資が受けられます。物件を購入できる可能性が高いため、詐欺グループのターゲットになりやすいのです。

マンション投資の詐欺|こんなキーワードに注意

次に紹介するキーワードが出てきたら、マンション投資詐欺を疑ってみてください。

「節税できる」

不動産投資の節税効果が得られるのは、給与所得があり、かつ不動産投資の収支が赤字である場合です。物件の状態によっては利益が出て、かえって所得税が増える可能性があります。

「年金対策」

「ローンを払い終えたら家賃がすべて収入になる」というのが根拠ですが、ローンを払い終えた頃には建物も老朽化して借り手がつくかどうかはわかりません。築年数が経つにつれてメンテナンス費用などの出費が増えることも想定すべきです。

「将来値上がりする」

「将来値上がりするから損はしない」と、相場よりも高めの物件を勧められることがあります。しかし、本当に値上がりするかどうかは誰にもわかりません。信憑性が低い話には耳を貸さないようにしましょう。

「クーリングオフ」

クーリングオフ制度が適用されるのは、「宅建業者」が「事務所以外」で行った契約に限られます。契約を宅建業者の事務所で行った場合は適正な営業行為とみなされ、クーリングオフは適用されません。気軽に契約しないようにしましょう。

「保険代わり」

物件購入にローンを組んだ場合、団体信用生命保険に加入します。万一のことがあれば保険でローンが完済されて遺族の資産になるため、「生命保険代わり」といわれることもあります。しかし、売却するにしろ賃貸事業を継続するにしろ、労力がかかることに注意が必要です。

「高利回り」

利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。表面利回りは想定を含むざっくりとした計算にすぎません。重視すべきはローン返済や維持費などの経費を差し引いた実質利回りです。高利回りに惑わされず、現実的な利回りを計算するようにしましょう。

「家賃保証がある」「サブリース」

家賃保証やサブリース契約には、オーナーとって不利となる条件が多いため注意が必要です。会社が倒産した場合、保証家賃は未払いとなる可能性も少なくありません。サブリース契約の際にはオーナーに対し、借地借家法に基づき家賃が減額され得ること等を書面に記載して説明しなければなりません。こういった説明義務を怠る会社にも要注意です。

マンション投資の詐欺に対するリスク回避策

詐欺被害に遭わないために、どのような対策が打てるのでしょうか。ここでは、マンション投資詐欺のリスク回避策を2つ紹介します。

不動産投資に関する知見を深める

回避策の1つは、マンション投資を含む不動産投資全般についての知見を深めることです。知見を深めることで、相手の話の矛盾に気づくことができます。詐欺なのか信頼できる情報なのかを判断できるようになるでしょう。

信頼できる不動産会社を見つける

信頼できる不動産会社を見つけることは、不動産投資のキーポイントです。不動産会社と信頼関係を築くことで良い物件を紹介してもらえたり、不動産投資に関する相談にのってもらえたりなどのメリットがあります。不動産業界の情報にも敏感なので、新しい詐欺の手口についての注意喚起も期待できるでしょう。

信頼できる不動産会社の見つけ方

信頼できる不動産会社は不動産投資の実績が豊富です。また、不動産投資のデメリットやリスクも隠さずに教えてくれます。顧客目線でシミュレーションしてくれるかどうかも、信頼できる不動産会社を見極めるポイントです。

マンション投資詐欺に関する相談先は?

ここまで紹介したポイントに注意すれば、マンション投資詐欺による失敗はかなりの確率で回避できるでしょう。すでに詐欺被害に遭ってしまった、または詐欺かもしれないと悩んでいる場合は、次に紹介する団体や専門家に相談することをおすすめします。

行政や専門機関

免許行政庁

しつこい勧誘や脅迫的な行為は宅地建物取引業で禁止されています。もしそのような手口による勧誘で不本意に契約をしてしまった場合は、具体的な日時、会社名、やりとりなどを免許行政庁に連絡してください。

消費者庁

消費者庁が管轄する国民生活センターでは、消費者のさまざまなトラブルについての情報提供や電話・対面での無料相談を行っています。年末年始(12月29日~1月3日)以外は土日祝日も含めて毎日利用可能です。

消費生活センター

消費生活センターは、消費生活全般の苦情や問い合わせなどを専門相談員に相談できる機関です。「もしかしたら詐欺かも」といった内容にも応じてくれるので、被害に遭う前に気軽に相談してみましょう。

宅地建物取引業保証協会

詐欺の相手が不動産会社の場合は、所轄の全国宅地建物取引業保証協会もしくは不動産保証協会に連絡しましょう。還付金の請求ができます。被害者が複数人の場合は先着順となるため、早めに行動することをおすすめします。

専門家

弁護士

法的トラブルに発展した場合には法律の専門家である弁護士に相談すべきです。弁護士選びに迷うなら、「法テラス(日本司法支援センター)」を利用してみましょう。法テラスは国が設立した法律支援法人で、法的トラブルの解決に必要な情報やサービスの提供が受けられます。

不動産投資コンサルタント

不動産投資の知識・経験が豊富なプロフェッショナルで、物件の選び方や運用方法など不動産投資に関する的確なアドバイスが期待できます。コンサルタントを名乗る詐欺が疑われる場合は、「公認不動産コンサルティングマスター認定証」を持っているか確認してみましょう。

ファイナンシャルプランナー

資産運用の相談は、お金に関する幅広い専門知識を持つファイナンシャルプランナーがおすすめです。不動産投資では特に重要なキャッシュフローについて相談してみましょう。

金融機関担当者

資産運用計画やローン返済計画などに関しては、金融機関の資産運用担当者に相談するのも1つの方法です。不動産会社の説明が信用できるものかを確認する手だてにもなります。堅実な事業計画をアピールできれば融資の審査にも有利となるでしょう。

まとめ

不動産投資詐欺の手口は巧妙かつ多岐にわたります。不動産に関する知見を深めることでほとんどは回避できますが、初心者のうちは判断が難しいこともあるかもしれません。

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