不動産投資を考えるとき、「中古区分マンション」は比較的少額から始められるため人気のある投資商品です。しかし実際には「儲からない」「失敗しやすい」といった声も多く聞かれます。なぜ中古区分マンション投資はうまくいかないケースが多いのでしょうか。
この記事では、中古区分マンションが儲からないと言われる理由や、典型的な投資失敗のパターン、さらに注意すべきリスクについて詳しく解説します。これから投資を検討している方にとって、損をしないための重要な情報となるでしょう。
知識を持って冷静に判断することで、中古区分マンション投資の落とし穴を避けることができます。


なぜ中古区分マンションは儲からないと言われるのか
中古区分マンションは少額から投資できる手軽さが魅力ですが、実際には多くのオーナーが思ったように利益を得られていません。その理由を具体的に見ていきましょう。
新築に比べて資産価値が上がりにくいから
中古区分マンションは、購入時点ですでに建物の価値が下がっているケースが多いです。新築物件のように需要が集中するタイミングを過ぎているため、将来的な値上がりを期待しにくいのです。
特に築年数が経過している物件では、売却時にさらに価格が下がるリスクがあります。資産価値の上昇を狙ったキャピタルゲインよりも、むしろ損失を出す可能性が高いのが実情です。
中古区分マンションは「資産価値の上昇」より「下落リスク」を考えるべき投資対象なのです。
購入時点で将来の出口戦略を明確に持たないと、思わぬ損失につながります。
修繕積立金や管理費の負担が大きいから
中古区分マンションでは、月々の修繕積立金や管理費の負担が避けられません。築年数が経過すればするほど、修繕積立金は高額になっていきます。
表面利回りだけを見て「利益が出そう」と思っても、実際にはこれらの固定費用で手残りが減ってしまうのです。中には赤字経営に陥るオーナーも少なくありません。
収益シミュレーションでは必ず修繕積立金や管理費を含めて計算する必要があります。
この点を軽視して投資すると、「想定外の赤字」になる可能性が高いです。
入居者が入れ替わるたびに空室リスクがあるから
区分マンションは一戸単位での投資になるため、入居者が退去するとその間の収入はゼロになります。一棟マンションのように他の部屋で収益をカバーすることができないのです。
さらに、築年数が古くなると新築や築浅物件との競争が激しくなり、入居者募集に時間がかかるようになります。その結果、空室期間が長期化し、収益が安定しない状況に陥ります。
「一部屋しか持っていない」という構造上、空室リスクの影響が大きい点が中古区分マンション投資の弱点です。
購入前に周辺の需要や入居者ニーズを徹底的に調査する必要があります。
中古区分マンションが儲からない典型的な投資失敗パターン
中古区分マンション投資で失敗するオーナーには、共通するパターンがあります。ここではよくある失敗の原因を解説します。
利回りを確認せずに立地だけで購入してしまう
「駅近だから安心」「都心だから大丈夫」といった理由だけで購入する人は少なくありません。しかし、立地が良くても利回りが低ければ、ローン返済や固定費を差し引いた後に利益が残らないことがあります。
特に人気エリアの物件は購入価格が高いため、利回りが悪化しやすい傾向があります。
立地の良さだけで判断するのは危険で、必ず利回りやキャッシュフローを確認する必要があります。
不動産投資は「収益性」で判断することが基本です。
不動産会社の「節税メリット」だけを信じてしまう
中古区分マンション投資では「節税になります」といった営業トークがよく使われます。確かに減価償却を利用すれば一時的に節税効果がありますが、それが長期的な利益につながるとは限りません。
節税効果ばかりに注目すると、収益性が低い物件を掴まされる危険があります。
節税は「おまけ」であり、投資判断のメインにしてはいけません。
必ず「節税後にどれだけキャッシュが残るのか」を計算しましょう。
修繕積立金の将来値上げを考慮していない
中古区分マンションでは、将来的に修繕積立金が値上げされる可能性が非常に高いです。築年数が進むにつれて修繕費用は増えるため、管理組合が積立金の値上げを決定するのは自然な流れです。
購入時点での修繕積立金だけを見て「大丈夫」と判断すると、後から支出が増えて赤字になるリスクがあります。
長期的にどのくらいの修繕費が発生するのかをシミュレーションしておくことが不可欠です。
修繕履歴や長期修繕計画を必ず確認することをおすすめします。
サブリース契約で家賃収入が減額される
中古区分マンションでも「サブリース契約」を勧められることがあります。「空室リスクをなくせる」と思いがちですが、実際には数年で家賃が減額されるケースが多発しています。
また、オーナーから解約しようとすると違約金を請求される場合もあります。結果として、安定収入どころか赤字を抱えるオーナーも少なくありません。
サブリース契約は「リスク回避」ではなく「リスクの先送り」にすぎない場合が多いのです。
契約する前に仕組みを理解し、本当に必要かどうかを慎重に判断するべきです。
中古区分マンションが儲からない理由と注意すべきリスク
ここまで見てきたように、中古区分マンション投資には構造的な弱点があります。ここでは特に注意すべきリスクを整理します。
中古マンションは資産価値が下がり続けるリスクがある
築年数が経過すると建物の価値は下がり続けます。立地条件がよほど良くない限り、売却時に購入価格より高く売れることはほとんどありません。
そのため、キャピタルゲインを狙う投資には不向きです。多くの場合はインカムゲイン(家賃収入)のみを期待する投資になります。
「出口戦略」を考えずに購入すると、最後に大きな損をする可能性があります。
購入前に「何年後に、どのくらいの価格で売却できそうか」を見極めることが必要です。
管理組合の運営状況が悪いと資産価値が落ちる
マンションは区分所有者の共同管理によって維持されています。管理組合の運営が不透明であったり、修繕積立金が不足していると、将来的に大規模修繕ができず、建物の価値が大きく下がることになります。
購入時には「管理組合の運営状況」「修繕積立金の残高」「過去の修繕履歴」を必ず確認すべきです。
管理の質はそのまま資産価値に直結するため、物件そのもの以上に重要です。
良い立地でも管理組合が機能していなければ、投資は失敗に終わるでしょう。
築古物件では大規模修繕費の負担が重くなる
築年数が古い物件では、外壁補修や配管の交換など高額な大規模修繕が必要になります。これらの費用は管理組合だけでは賄えず、所有者に追加の負担が求められる場合があります。
こうした修繕費用は数十万円から数百万円単位になることもあり、収益性を大きく損ないます。
築古物件に投資する際は、大規模修繕の履歴と将来の計画を必ず確認しましょう。
表面的な利回りの高さに惑わされないことが重要です。
家賃相場の下落で収益が安定しない
周辺地域の家賃相場は常に変動しています。人口減少エリアや新築物件が次々と供給されるエリアでは、家賃が下落する傾向が強いです。家賃が下がると、利回りも当然悪化します。
さらに、競争が激しくなることで空室期間が長引き、収益が安定しなくなる可能性もあります。
「今の家賃が将来も続く」と考えるのは非常に危険です。
将来の人口動態や地域の開発計画を確認し、家賃相場の見通しを持つことが大切です。
中古区分マンションで儲からない人の共通点
中古区分マンション投資で失敗する人には、いくつかの共通点があります。知識不足や準備不足が原因で、安易に購入してしまい、結果として赤字経営に陥るケースが多いのです。
不動産投資の知識が浅いまま購入している
不動産投資は専門的な知識が求められる分野です。しかし、中古区分マンションは「少額から始められる」といった手軽さから、知識が浅いまま参入する人が多い傾向があります。
営業担当者の説明をそのまま信じて契約してしまうと、将来的なリスクを見落とす可能性があります。
不動産投資は知識の有無がそのまま成功と失敗を分ける要因になります。
自己学習や専門家への相談を怠らないことが重要です。
利回りよりも「購入しやすさ」を重視してしまう
「価格が安い」「ローンが通りやすい」といった購入しやすさに惹かれて物件を選ぶ人は多いですが、これでは収益性が確保できません。購入がゴールになってしまい、その後の経営で苦労するケースが目立ちます。
購入のしやすさではなく、利回りやキャッシュフローを基準に判断することが大切です。
短期的な負担の軽さに惑わされず、長期的に利益が出るかどうかを冷静に見極めましょう。
複数の物件を比較せずに契約してしまう
営業担当者から紹介された1件だけを見て契約するのは非常に危険です。他の物件と比較していないため、その物件が本当に収益性のある投資先かどうか判断できません。
最低でも数件以上を比較し、条件や利回り、修繕状況などを確認してから判断するべきです。
比較検討を怠ると「もっと良い物件があったのに」と後悔することになります。
不動産投資は情報戦であることを忘れてはいけません。
出口戦略を考えずに長期保有してしまう
「とりあえず持っていれば儲かる」と考えて出口戦略を持たずに購入する人も失敗しやすいです。築年数が経過すると資産価値が下がり、売却が難しくなるため、結果的に赤字で保有し続けることになります。
購入時点で「いつ、どのくらいの価格で売却するか」をイメージしておくことが必要です。
出口を考えずに投資を始めると、資産価値の下落に対応できなくなります。
中古区分マンションは本当に儲からないのか?成功事例との違い
「中古区分マンションは儲からない」と言われがちですが、実際には成功している投資家も存在します。その違いは、物件選びと運用方法にあります。
人気エリア(渋谷区・港区など)の物件は安定して稼げる
東京都心の人気エリアにある物件は、需要が安定しており空室リスクが低いです。特に渋谷区や港区などは人口流入が多く、賃貸需要が見込めるため、安定した収益が得られます。
需要の高いエリアを選べば、中古区分マンションでも十分に利益を出すことは可能です。
立地条件は不動産投資の成否を大きく左右する要素です。
リノベーションで付加価値を高めて収益化している
古い物件でも、リノベーションを行って内装や設備を一新すれば、家賃を高めに設定できます。これにより、同じ築年数の物件との差別化が可能になります。
リノベーションは中古物件の弱点を補い、収益性を高める有効な方法です。
初期費用はかかりますが、中長期的にはプラスの効果が期待できます。
築浅物件を選んで修繕費リスクを抑えている
築浅の中古マンションは、新築より価格が抑えられつつも、修繕リスクが低いため運用しやすいのが特徴です。特に築10年以内の物件は、大規模修繕の時期がまだ先であるため、管理費や修繕積立金が安定しています。
築浅中古を狙うことで、リスクを抑えながら安定収益を得る戦略が有効です。
「築古=安い」だけで選ばないことが成功のポイントです。
出口戦略を持って購入している
成功している投資家は、必ず購入前から出口戦略を考えています。何年後に売却するのか、どのくらいの価格で売るのかを想定し、それを前提に購入判断をしています。
最初から出口を見据えた投資は、リスクを最小化し、利益を最大化できます。
「とりあえず保有する」のではなく、「いつ売るか」を明確にしておくことが重要です。
中古区分マンションが儲からないリスクを減らす方法
儲からないリスクを減らすためには、事前の調査と適切な業者選びが欠かせません。ここでは具体的な対策を紹介します。
信頼できる不動産会社(例:GAテクノロジーズ、RENOSY)に相談する
不動産会社の中には、投資家の利益よりも自社の利益を優先する悪質な業者も存在します。そのため、信頼できる実績のある会社に相談することが重要です。
GAテクノロジーズ(RENOSY)など、透明性の高いサービスを提供している企業を利用することで、リスクを大幅に軽減できます。
どの業者を選ぶかが、投資の成否を決める大きなポイントです。
口コミや評判を事前に確認することをおすすめします。
管理組合の議事録を確認して将来の修繕計画を把握する
中古マンションを購入する際は、管理組合の議事録を必ず確認しましょう。議事録には修繕積立金の状況や今後の大規模修繕計画が記載されています。
これを確認すれば、将来的な費用負担を予測でき、収益シミュレーションに反映させられます。
議事録の確認は「見えないリスク」を知るための重要な作業です。
軽視せず、必ず入手して精査しましょう。
複数の物件を比較して利回りをしっかり計算する
一つの物件だけで判断せず、複数の候補を比較することが大切です。利回りやキャッシュフローを計算し、どの物件が最も効率的に収益を生み出すかを分析しましょう。
比較することで、営業トークだけでは見抜けないリスクが浮き彫りになります。
数字に基づいた判断こそが、不動産投資で失敗しない秘訣です。
感覚ではなく、データを重視する姿勢を持ちましょう。
売却出口を想定したシミュレーションを行う
購入前に、売却時のシミュレーションを行うことが必要です。将来的に売却する価格やタイミングを想定し、それでも利益が残るかどうかを確認しましょう。
出口を想定しない投資は、長期的に見て赤字リスクが高まります。
「買う前に売ることを考える」ことが、成功する投資家の共通点です。
出口戦略を持つことで、損失を最小限に抑えられます。
まとめ
中古区分マンションは手軽に始められる反面、多くのリスクを抱えています。「儲からない」と言われるのは、資産価値の下落、修繕費の増加、空室リスクなど、構造的な課題があるためです。
しかし、正しい知識を持ち、信頼できる不動産会社を選び、出口戦略を持って投資すれば、中古区分マンションでも利益を出すことは可能です。
成功するか失敗するかは「準備と判断力」にかかっています。
安易に飛びつくのではなく、リスクを理解し、慎重に投資を進めていくことが大切です。