不動産投資ファンドとは?特徴やメリット・デメリットを解説

出口 慎一

監修者:出口 慎一

大学卒業後、大手ゼネコンにて中・高層マンションの施工管理に従事。6年間の経験を経て、木造建築に興味を持ち注文戸建て住宅専門施工の工務店に転職して現在に至る。
現在までに250棟以上の注文住宅を引き渡す。現在は監理建築士をしながら施工管理も行い、土地の選び方から建築プラン及び施工のアドバイスを行う。
資格は、1級建築士、宅地建物取引士、2級福祉住環境コーディネーター、2級建築施工管理技士、2級管工事施工管理技士等を保有。

不動産も代表的な投資方法として知られています。しかし、物件価格が高額なため簡単に始められる方は少ないでしょう。

そこで、少額からでも投資できる不動産投資ファンドが注目されています。今回は、不動産投資ファンドがどのような投資なのか解説し、メリットやデメリットも紹介します。

目次

「不動産投資ファンド」とは

そもそもファンドとは投資方法のひとつで、専門家に運用を代行してもらう仕組みのことです。投資家から集めた資金でプロが運用を行い、出資者は得られた利益の中から出資の割合に応じて分配金を受け取ることができます。

そして、金融商品が不動産に特化しているタイプを「不動産投資ファンド」と呼び、得られる収益は『インカムゲイン』と『キャピタルゲイン』の2種類に分けられます。

  • インカムゲインとは…家賃収入などで発生する利益を意味します。
  • キャピタルゲインとは…物件売買による売却益のことです。

ファンドによって『インカムゲイン』を重視していたり『キャピタルゲイン』を重視していたりするので、運用の仕方や条件の違いなどを考慮して選びましょう。

不動産投資ファンドの種類と特徴を知ろう

不動産投資ファンドには主にふたつの種類があります。それぞれの特徴を解説します。

不動産投資信託(REIT)

不動産投資信託(REIT)は「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づいた運用が行われ、投資法人が発行した商品を取得することで配当金を受け取れます。

投資口は公募ファンドと私募ファンドの2種類に分かれています。

公募ファンド

証券取引所に上場して幅広く多くの投資を募るファンドで、誰でも取引できます。

株式と同じような方法で売買できることから流動性が高く、また換金性にも優れているのが特徴です。

そのため、値動きも大きくなりやすく、キャピタルゲインを狙った投資としても人気があります。一般的にはJ-REITと呼ばれ、商品によっては10万円以下の少額投資も可能です。

私募ファンド

事業法人や機関投資家などを対象とした、一部の投資家にのみ販売されるものを私募ファンドといいます。

公募ファンドとは違い、投資口は証券取引所に上場していません。投資額は最低数億円からという高額な商品が多く、ハイリスクハイリターンな運用が一般的です。

市場での売買が行えないため、流動性が低い点も公募ファンドとの大きな違いでしょう。

不動産特定共同事業

不動産特定共同事業法に基づいて投資を行う事業を、『不動産特定共同事業』といいます。投資家から集めた資金で不動産投資を代行し、投資額に応じた分配金を出す点は不動産投資信託と同じです。

しかし、運用期間や物件が定められていることからリターンの予想もしやすく、中期〜長期的な運用向きだといわれています。

購入できる商品は「不動産小口化商品」と呼ばれ、高額な物件でも小口化で比較的低額に設定されており、複数の投資家と共同所有するシステムです。

契約方法には3つのタイプがあります。

任意組合型


不動産を投資した人たちで共同所有するスタイルで、事業者との間に任意組合契約を結びます。

物件を所有することになるため、登記に手数料も必要なため、現物不動産投資に近い感覚の投資です。また、分配金による収益は不動産所得として扱われます。

不動産特定共同事業の中では投資額は比較的高価な傾向ですが、通常数億円もする高額物件も、一口数百万単位程度から所有できる魅力があります。

匿名組合型

分配システムなどの大まかな仕組みは任意組合型と同様ですが、匿名組合型は事業者のみが不動産の所有権を保持し、投資家には所有権がありません。

そのため不動産登記簿に名前が載ることがなく、匿名で不動産投資を行うことができます。投資家はファンドと匿名組合契約を結ぶと、組合に金銭を出資します。任意組合が共有持分になるのに対し、匿名組合型は債権を持つことになります。

相続の節税効果が少なくなりますが、比較的少額から始めることができます。先述のとおり、投資家に不動産の所有権がないので、利益は雑所得の扱いになります。

賃貸型

物件を投資家が共同で購入して、事業者に運営してもらう契約です。所有権は投資家が持ち、事業者に運営を委託します。そして、事業者は賃貸収入を投資家に分配します。

任意組合型と同様に、投資額は高額になりやすいのが特徴です。

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不動産投資ファンドをするメリット・デメリット

不動産投資ファンドを利用する前にメリットやデメリットを把握してより理解を深めましょう。

不動産投資ファンドのメリット

不動産投資ファンドのメリットは主に3つあります。

メリット1.比較的少額で始められる

不動産ファンドは小口化された商品が多いため、少額から不動産を始めることができます。通常の不動産投資では、手が出ない都心一等地の物件も、数万円〜数十万円からと、比較的出資しやすい金額ではじめることができます。

メリット2.資産を分散させられる

投資先を分散させることを分散投資と呼びます。分散投資を行うことで価格変動によるリスクを低減することができます。

不動産投資ファンドは少額な商品が多いので、複数の物件に投資しやすく、特定の商品で損失が出たとしてもカバーできます。

メリット3.運用をプロに任せられる

自力で賃貸物件の運用をするには、入居者募集から物件の管理全般を行い、物件選びから運営までの幅広いノウハウや労力も必要です。専門的な知識と多額の資金がなければ簡単には始められません。

しかし、不動産投資ファンドであれば収益性の高い物件をプロが選定し、投資家が所有権を取得した後も維持や管理をしてもらえるため、安心でリスクが少なく手間も省けます。

不動産投資ファンドのデメリット

ここからは、不動産投資ファンドで注意が必要なデメリットについて解説します。

デメリット1.利回りが低くなりやすい

不動産の運用を運営会社が行うため、報酬や委託費用などが発生し、支出が大きくなることから投資家の手取りは少なくなりやすいです。また、小口化されて多くの出資者を募りやすい反面、ひとり当たりの分配金はどうしても少なくなります。

デメリット2.ファンドによって売却制限がある

ファンドによっては換金に時間や制限がかかるため、一定期間売却できない可能性もあります。また、解約自体が禁止されているファンドもあるため、投資先は慎重に選ばなければなりません。

条件によっては、長期間保有するつもりで不動産ファンドを検討する必要もあるでしょう。

デメリット3.運用方針を任意で変更できない

運用方針については投資家の意向は反映されません。個人で運用する場合は、状況に応じて戦略を変えることができますが、不動産投資ファンドでは投資先を変更するしかありません。

途中で方針の変更ができないため、投資前にホームページやパンフレットなどで、自身の考えと合っているかを入念に確認しましょう。

まとめ

不動産投資ファンドは、プロが運用する商品に出資することで分配金が受け取れる投資方法です。

通常の不動産投資よりも低額で始められ、分散によりリスクを抑えつつ、運用の手間もかからないという魅力があります。

ただし、利回りは比較的低くなりやすく、ファンドによっては売却に制限があるタイプもあるため、投資前には注意事項をしっかり確認することが大切です。

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