不動産投資を始める際に『都心部』と『地方』なら「どちらの物件を購入するか」悩む方も多いでしょう。都心部のほうが不動産需要は高く、空室リスクが少ないなど始めやすいと思われがちですが、実は地方都市にもメリットがあります。
ここでは、不動産投資で地方都市を選ぶメリットとデメリットに加え、物件を選ぶポイントについて紹介します。
目次
地方都市での不動産投資とは
不動産投資というと、人口の多い東京・大阪・福岡などの大都市部が注目されます。東京は全国から人が集まるため賃貸需要は高いです。一方で初期費用が莫大となりやすく、いざ不動産投資を始めるには、相応の資金を用意しなくてはなりません。
このように都心部ならではの不動産投資事情から地方都市に目を向ける投資家も増えています。東京には都会ゆえのメリットがあるように、地方都市にしかないメリットもあるからです。
地方で不動産投資を行うメリット
地方で不動産投資を始めるメリットとして主にあげられるものは、次の4つです。
- 少ない資金で不動産投資を始められる
- 都心部と比べて利回りが高いことがある
- 固定資産税が安い
- 競合が少なく、物件の差別化がしやすい
メリット①:少ない資金で不動産投資を始められる
地方都市で不動産投資を行うメリットのひとつが、都心部に比べると土地代も物件価格も安いことです。
不動産投資への銀行融資は、年々厳しくなっており、一棟建もマンションも融資実行額が減少傾向となっています。多くの銀行が消極的な融資姿勢へ転じている中、副業で不動産投資を始める場合のフルローンは期待できないのが現状です。
不動産投資にあてられる資金の用意が難しい以上、自己資金を増やすか、購入予定の不動産価格を抑える必要があります。地方都市であれば、東京よりも専有面積の広い物件を比較的安く購入することも不可能ではありません。
都市部では手に届かない優良物件も、地方都市であれば似た条件の物件に安価に投資できることは、大きなメリットです。
メリット②:都心部と比べて利回りが高いことがある
地方都市のほうが、不動産投資の利回りが高い場合もあります。利回りとは、投資金額に対する収益の割合のことです。
不動産投資において、その物件を購入するかどうか判断するときは利益が出るか、どの程度の収益が期待できるかを重視しなくてはなりません。利回りは物件の収益力を判断するひとつの指標として、注目すべきポイントです。
地方都市は、都心と比べると土地の価格が安い傾向にあります。不動産の購入価格が抑えられるため、家賃の設定次第では高利回りを期待できます。
メリット③:固定資産税が安い
不動産投資を考える時に忘れてはならない支出のひとつが、固定資産税です。固定資産税とは土地や建物など固定資産の所有者が納める義務を負う地方税で、毎年「課税標準額×1.4%」の金額が課税されます。
前述のとおり、地方都市のほうが土地代など不動産にかかる費用が安くなるため、仮に同じ広さ・素材・設備の物件を所有した場合、東京よりも固定資産税は安くなります。
不動産投資における課税標準額とは、固定資産税評価額をもとに算出される金額のことです。各自治体が個別に算定しており、一般的には不動産の売買価格(実勢価格)の7割程度を見ておけば良いでしょう。
また不動産は、譲渡や相続時に現金よりも税金面で優遇されるため、節税対策にもなるといわれています。
不動産投資と節税については、以下の記事もご覧ください。
メリット④:競合が少なく、物件の差別化がしやすい
地方都市は東京と比べると、不動産に注目する投資家の数も少ない傾向にあります。競争が激しくないため、工夫次第で人気の高い物件へ育てることができます。
また、都心部は不動産投資家が多いのに対して、地方都市はいわゆる地主大家が多い点も特徴のひとつです。所有する物件の内装リフォームや集客に力を入れていないケースもあり、差別化がはかりやすいメリットがあります。
設備やデザインにこだわるなど、工夫次第で入居率を維持しやすくなるでしょう。
地方で不動産投資を行う時に意識すべきリスク
メリットの多い地方都市での不動産投資ですが、リスクもあります。あらかじめ地方都市ならではの特徴や傾向、注意点を知っておき、失敗リスクを軽減させることが不動産投資を長く続けるコツです。
地方都市で不動産投資を始めるうえで知っておきたい注意点は、次の4つがあげられます。
- 賃貸需要が少なく空室リスクが高い
- 需要と供給のバランスが変化しやすい
- 物件を売却したいときに買い手が見つかりにくい
- 融資難易度が高い
リスク①:賃貸需要が少なく空室リスクが高い
田舎暮らしブームの傾向から、地方で暮らすことを好む層もいますが、東京一極集中の傾向が終わったわけではありません。通勤通学や生活の利便性を重視して東京へ移り住む人も多く、地方の中には人口が減少傾向を見せる都市がいくつもあります。
空室が多いと想定収益は得られません。集客のために家賃の見直しや礼金・敷金の減額サービスなど、施策次第では投資家の負担が増えるリスクも考えられます。
リスク②:需要と供給のバランスが変化しやすい
地方都市は大学や企業の移転、商業施設の閉鎖などが人口に大きく影響します。これらの施設がなくなると、利用者はもちろん該当施設で働く人も外の地域に流出してしまい、不動産の需要は減少します。
東京よりも、周辺施設の存在が与える影響は大きくなりがちです。地方都市で不動産投資をする際は、不動産の需要と供給のバランスが崩れやすい点に注意しなくてはなりません。特に不動産投資初心者の場合、投資すべきエリアの見極めは難しいといえます。
リスク③:物件を売却したいときに買い手が見つかりにくい
不動産投資において重要になるのが、収益が見込めない場合の損切りです。早めに不動産を手放すことで赤字によるダメージを抑えることができます。
しかし、東京と比べると地方都市の物件は需要が少ないため、売却したい時に買い手を見つけられない可能性があります。地方都市で不動産投資をするのであれば、このようなリスクを想定して、不動産をいつどのように売却するか出口戦略を立てておくことが重要です。
リスク④:融資金融機関が限定されているため融資難易度が高い場合がある
4つ目のリスクは、融資金融機関が地方では限定されているため。融資難易度が高い場合があることです。
一般的に投資難易度は、都市銀行と地方銀行では、大手である都市銀行の方が融資評価が厳しいといわれますが、そもそも、地方物件に対しては融資を行わない大手の金融機関もあります。
地元に根付いた信用金庫や金融機関であれば、融資をしてくれる場合があります。ただし、営業エリアに自身も住んでいることが必要とされる場合があるため、融資難易度は高くなります。
融資に関しては、提携融資を行っている地元の不動産会社に問い合わせることも一案です。地元の金融機関と提携しているため融資を受けられる可能性があります。
地方の不動産投資を失敗しないために!物件選びのコツ
前述のような地方都市ならではのリスクを考慮し、不動産投資を成功させるためには、物件選びが大切です。デメリットを十分に理解したうえでリスクマネジメントを行うことが、失敗を避けるコツです。
最後に、地方都市で投資用物件を選ぶときのポイントを4つ紹介します。
物件選びのコツ①:賃貸需要のある物件を見極める
地方都市にも賃貸需要があるエリアは存在します。人口の推移や企業・商業施設など周辺の環境を見て、総合的に判断しましょう。地元エリアに強い不動産業者から情報収集をする方法もおすすめです。
また、エリアごとの賃貸需要の傾向も確認しておきたいポイントです。『単身者が多いのか』、『ファミリーが多いのか』で集客しやすい不動産のタイプは異なります。
物件選びのコツ②:駐車場がある物件を選ぶ
地方では移動手段が車である地域が多く、駅が近いことよりも駐車場の有無が重視されることは珍しくありません。公共交通機関がある程度揃っている中心都市でも、車は必要不可欠です。
夫婦や親子で複数の車を所有しているケースもあるため、物件敷地内もしくは周辺に駐車場を確保しておくと集客につながります。駐車場スペースの確保が難しい場合は、近隣の月極駐車場を入居者専用駐車場として借りる対策も効果的です。
物件選びのコツ③:複数種の大規模施設があるエリアを選ぶ
学校や企業が複数集まっているエリアや、ターミナル駅周辺は、地方でも賃貸需要が高いエリアです。学生寮や社宅としての需要を狙えます。
ただし、近隣の学校や企業の工場、商業施設などが閉鎖されることも考えられます。そのため、複数の施設(複数の学校、複数の企業)のあるエリアをおすすめします。
物件選びコツ④:管理会社は慎重に選ぶ
地方都市に投資用物件を購入するときは、日ごろのメンテナンスや入居者対応、客付けなどを管理会社に委託します。集客率を下げないためにも、管理会社選びは慎重に行いましょう。
大手の管理会社は安心感はありますが、必ずしも行きわたったサービスを提供しているとは限りません。地域密着型の管理会社であれば、様々な設備業者、工事会社ともコネクションがあり頼りになります。
実績があるところに任せるためにも、管理会社の管理戸数や入居率は必ず確認してください。委託契約後は、こまめな連絡や定期的な訪問を行うなど良好な関係を築く努力も必要です。
まとめ:地方ならではの不動産投資の注意点を理解して、物件の選定と購入タイミングを検討しましょう
不動産投資は、管理会社に日ごろの管理や客付け業務などを委託すれば、都会暮らしの人でも遠方の地方都市の物件で投資できます。地方都市なら不動産にかかる費用を抑えられるため、その分初期費用を抑えたり、リフォーム費用に充てて周囲の競合と差別化をはかることも可能です。
ただし地方都市ならではの需要の変化などリスクも存在することに注意しなくてはいけません。収益が見込めるかどうか、物件単位ではなく地方全体の傾向や需要を確認したうえで、慎重に物件を選びましょう。