不動産投資で自己資金はいくら必要?諸費用や利回りを考慮した調達方法を解説します

監修者

鳥谷威

有限会社バード商会代表

鳥谷威

CFP認定者/1級ファイナンシャルプランニング技能士。

資産運用のひとつとして不動産投資を検討する際に、自己資金はどの程度必要なのか気になる人も多いでしょう。「自己資金ゼロでもできる」「一定の自己資金がないと難しい」など、さまざまな意見を耳にすると、悩んでしまうかもしれません。

そこで本記事では、自己資金を用意する3つの理由と、資金額の目安、少ない自己資金で不動産投資を始める方法を解説します。自己資金ゼロで不動産投資を行う方法も紹介しているので、自己資金が少ない人はぜひ参考にしてください。

適切な自己資金を用意できると、不動産投資をスムーズに進められます。本記事を参考に、どの程度自己資金を用意すべきか検討してみてください。

目次

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自己資金を用意する3つの理由

「不動産投資をするのに自己資金は不要なのでは」と思う人もいるかもしれません。しかし、可能な限り自己資金を用意することをおすすめします。理由は次の3点です。

  1. 頭金を支払うため
  2. 諸費用の支払いに備えるため
  3. ローン審査に通りやすくするため

自己資金があれば、これら3つに対応できるため、不動産投資をよりスムーズに行うことが可能です。

①頭金を支払うため

自己資金は頭金を支払うために用意します。頭金とは、融資を受けて不動産を購入する際に最初に支払う現金です。少なくとも不動産価格の5%~10%を用意できると、借入およびローン返済をしやすいです。

さらに、不動産価格の10%~20%程度を準備すると、審査に通る可能性が高まるでしょう。

②諸費用の支払いに備えるため

不動産を購入する場合、不動産価格に加えて、手続きに関する諸費用の支払いが発生します。主な諸費用は次の5点です。

  • 事務手数料:融資額によって異なる
  • 印紙税:融資の契約書を作成する時に必要となる
  • 登記費用:不動産の名義変更時に必要となる
  • 団体信用生命保険料:融資を受ける時に加入する
  • 火災保険料:建物の購入時に義務付けられる

諸費用の目安としては、不動産価格の10%程度です。

③ローン審査に通りやすくするため

自己資金は、ローン審査に通りやすくするためにも必要です。近年、経済や社会の不確実性が増しており、金融機関の融資姿勢が厳しくなる傾向があります。融資姿勢の厳格化は、求められる自己資金の割合の上昇などに見られます。

また、自己資金の実存性を確認するために、自己資金を自行の口座に預けさせる金融機関も存在するぐらい、審査が厳しいです。ローン審査をよりスムーズに通過するためにも、自己資金を一定用意する必要があるといえるでしょう。

自己資金の目安は?物件価格の20%程度

「結局、自己資金はどの程度必要なのか」と気になる人も多いでしょう。一般的には、不動産価格の20%~30%が必要といわれます。しかし、実際に投資を始める人はどの程度用意しているのでしょうか。最新調査から、実際に不動産投資をしている人の自己資金割合を紹介します。

自己資金充当額は不動産購入価格の2割未満という人が、全体の60%以上を占めています。一方で、購入価格の5割以上を充当した人も20%弱いるため、自己資金の準備は個人差が大きいといえるでしょう。

出典:野村不動産ソリューションズ株式会社「2021年度不動産投資に関する意識調査」

自己資金が少ないほうが利回りは高い

「自己資金が必要ならば、できるだけ多く用意しないと」と思うかもしれません。実は、自己資金が少ない方が利回りは高くなります。利回りとは、投資金額に対する利益の割合です。利回りが高いほど投資の回収が早まります。

利回りについて詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

自己資金を一定額にとどめてローンを活用すると、レバレッジが働いて効率よく利益を得られる可能性があります。全額自己資金の場合と、ローンを組んだ場合でどれほど利回りに差が出るのか、具体例を用いてシミュレーションしてみましょう。

例として、次の不動産を購入したとします。

  • 不動産価格:4,000万円
  • 年間家賃収入:200万円
  • 年間諸経費:60万円

自己資金の割合で、利回りがどう異なるのか、以下で検証してみましょう。

全額自己資金の場合の利回り例

上記の物件を、全額自己資金で購入した場合の利回りを算出します。

実質利回りは「(年間家賃収入ー年間諸経費)÷不動産価格×100%」で求められます。実際の数値を入れてみましょう。

(200万円ー60万円)÷4,000万円×100%=3.5%となり、全額自己資金の場合は利回りが3.5%であるとわかります。

ローンを組んだ時の利回り例

上記の不動産を、ローンを組んで購入した際の利回りを見てみます。次のローンを組んだとしましょう。

  • 自己資金:不動産価格の20%=800万円
  • ローン:3,200万円
  • 年間ローン利息:64万円

この場合、実質利回りは「(年間家賃収入ー年間諸経費ー年間ローン利息)÷自己資金×100」です。数値を式に代入しましょう。

(200万円ー60万円ー64万円)÷800万円×100%=9.5%となります。全額自己資金の場合が3.5%であったのに対し、利回りが大幅にアップしているとわかります。

自己資金ゼロで不動産投資は可能?

「自己資金が低い方が良いとわかったけれど、自己資金ゼロではさすがに難しいのでは」と諦める人もいるかもしれません。実際は、不動産投資は自己資金ゼロでも可能です。自己資金がない場合の選択肢となるローンは、次の2つです。

  1. 物件金額をすべてローンで賄うフルローン
  2. 手数料もすべてローンで賄うオーバーローン

2つのローンは、ローンで賄う範囲が異なります。それぞれのローンについて、以下で解説します。

方法①物件金額をすべてローンで賄うフルローン

フルローンは、物件金額をすべてローンで賄います。そのため、頭金は不要です。物件購入時の手続きに関する手数料など、諸費用のみ用意する必要があります。

方法②手数料もすべてローンで賄うオーバーローン

物件金額だけではなく、手数料など諸費用もすべてローンで賄うのがオーバーローンです。物件購入時に現金は一切不要です。

少ない自己資金で不動産投資を始める方法

「自己資金が用意できなくても不動産投資が可能なのか」と安心した人も多いのではないでしょうか。少ない自己資金で不動産投資を始める際は、次の2点に注意が必要です。

  • 初期費用を抑える
  • ローン審査に通るように工夫をする

この2つの方法を実践すると、自己資金が少ない場合でも不動産投資に成功する可能性が高まります。各方法について、以下で解説します。

初期費用を抑える

初期費用をできるだけ抑えましょう。印紙税など税金は定められているため、抑えられません。しかし、不動産登記を依頼する司法書士への報酬や、仲介手数料はひと手間かけると抑えられる可能性があります。

相場より安価で請け負ってくれる司法書士もいるため、依頼する前に比較検討することをおすすめします。また、不動産会社が売主の物件なら直接取引なので、仲介手数料は発生しません。仲介手数料を半額や無料にする不動産会社もあるため、会社選びの際にチェックしてみましょう。

ローン審査に通るように工夫をする

自己資金が少ない場合、ローン審査に通るように工夫をすることも必要です。不動産投資の場合、一般の住宅ローンよりも審査が厳しいです。そのため、個人で行うと時間と労力がかかる上に、審査落ちすることもあります。

不動産投資のローンをスムーズに通すには、金融機関と提携している不動産業者を選ぶことをおすすめします。MIRAP(ミラップ)なら全力でサポートしてくれるため、ローン審査に通るか不安がある人はおすすめです。MIRAP(ミラップ)の資料請求はこちらです。

厳しい審査を通るためには、次の2点に注意する必要があります。

  1. 資産価値の高い物件に投資する
  2. 個人属性を活かす

審査通過のコツ①資産価値の高い物件に投資する

資産価値の高い物件を選ぶことが大切です。ローン審査を行う際、物件価値があると評価されると、審査をクリアできます。立地や周辺環境、築年数、構造、家賃相場などから収益性や売却価値が算出され、融資額と融資年数が決定されます。

審査通過のコツ②個人属性を活かす

不動産投資だけではなく、クレジットカードの申込などでも審査される個人属性を活用しましょう。ローン審査の際に、申込者に融資の返済能力があるかを判断する基準となります。個人属性が高いと、少ない自己資金でも融資を受けることが可能です。

高い個人属性とは、次のような条件です。該当する人はぜひ、個人属性をフル活用してローンを申し込んでください。

  • 職業の安定性が高い
  • 年収が高い
  • 役職や地位が高い
  • 年収が500万円以上

まとめ:不動産投資の資金は諸費用や利回りを考慮して用意しましょう

不動産投資の自己資金が必要な理由、用意すべき目安額、少ない自己資金で不動産投資を始める方法などを紹介しました。自己資金ゼロでも不動産投資は可能ですが、返済能力などの個人属性の高さが求められます。一方、自己資金比率が高いと利回りが悪くなります。

不動産投資の自己資金は、手続き関連の諸費用や利回りを計算して用意しましょう。適切な自己資金を投入することで、審査通過がしやすくなる上に、高い利回りを期待できます。

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