「不動産投資はやめとけ」や「不動産投資は損をする」などと言われることが多いようです。そのように言われ、不動産投資を諦めるべきか悩んでいる人も多いでしょう。
結論から言えば、「不動産投資は知識がないならまだやめておけ」と言われているものと認識すべきです。当然ながら、不動産投資に成功している人はいます。
そこでこの記事では「不動産投資はやめとけ」と言われる理由と、おすすめできない人などを紹介します。「不動産投資で成功する人」になるためのポイントがわかるので、ぜひ不動産投資を検討している人は参考にしてください。
「不動産投資はやめとけ」と言われる理由とは?
「不動産投資はやめとけ」と言われる理由は、簡単にいうと容易に儲けられるものではないからです。投資元本が保証されているわけではありません。また、場合によっては損切りを検討する場面も出てきます。
知識がないならやめておいたほうが良いというのは事実であり、リスクを知ってやるのと、リスクを知らずにやるのとでは大きな違いがあります。
起こりうる損失について知り、備えておくことで、不動産投資で利益を出すことが可能です。以降で「不動産投資はやめとけ」と言われる理由について紹介していきますので、事前に把握しておきましょう。
リスクを知らずに割高物件を買ってしまう人が多い
「不動産投資はやめとけ」と言われるのは、知識がないまま不動産投資を始め、利益が出にくい割高物件を買ってしまう人が多いという背景が考えられます。
例えば、投資用不動産(収益物件)が掲載されているサイトで示されているその物件の利回りは、表面利回りであることがほとんどです。表面利回りはあくまでも目安であり、実質利回りとは異なります。
表面利回りと実質利回りの違い
- 表面利回り:家賃収入を物件価格で割ったもの
- 実質利回り:家賃収入からさまざまな諸費用を引いた額を物件価格で割ったもの
仮に表面利回りが8%でも、空室や諸費用の負担、借入金の返済を考慮すると利回りがマイナスになる場合もあります。
ただし、諸費用や借入金の返済負担などを事前に想定して収益性を検討するのは、初心者には難しいのが現実です。
年金の足しや節税対策になるのか十分に検討しない人が多い
不動産投資は、年金の足しや節税対策になると言われることがあります。たしかに間違ってはいませんが、本当にこの手法が適切であるかを検討する必要があります。
その理由は、iDeCoで年金資産を形成するなど他の手法をとったほうが良い場合や、節税対策にならない場合があるからです。生命保険も同様です。詳しくは以下の記事を参考にしてください。
そもそも不動産投資で利益を得る仕組みとは?
不動産投資は、知識がないならやめておくべきです。まずは不動産投資で利益を得る仕組みについて説明します。
インカムゲイン | 入居者から受け取る家賃収入
不動産投資は、物件を買って入居者に貸すことで、家賃収入を得ることが基本です。このように、資産の保有によって得られる利益のことをインカムゲインといいます。
金融商品を一定期間保有したときに得られる利益のこと。利子や配当金、収益分配金等がある。
銀行にお金を預けたときの利子(利息)や株式の配当金、投資信託の分配金などがインカムゲインの主な例です。なかでも家賃収入は、比較的安定していてその額が大きいという特徴があります。一度入居者を確保できれば、退去まで安定した家賃収入を見込めます。
また、物件自体の利回りが株式と同じ場合であっても、不動産は金融機関から資金を借入れて購入できるため、より少ない自己資金で大きな利益を狙える点が特徴です。
キャピタルゲイン | 物件価格の値上がり益
地価の上昇が見込まれる場合など、不動産を買ったときより高く売ればキャピタルゲインを得ることもできます。しかし、不動産投資ではキャピタルゲインよりも継続的にインカムゲインを得ることにより利益を出す方法が一般的です。
本当に不動産投資はやめておくべきか?メリットを紹介
不動産投資のメリットについて、あらためて解説していきます。「やめとけ」と言われてやめるのは簡単ですが、不動産投資のメリットを知ったうえで判断してみましょう。
家賃収入という大きなインカムゲイン(不労所得)を得られる
不動産投資は家賃収入という大きなインカムゲインを得られます。また、家賃収入は不労所得に分類可能です。物件の選定から購入までは投資家自ら行いますが、物件の維持管理など運営面は管理会社に委託できます。
そのため、不動産投資はサラリーマンの副業や兼業として始めることも可能です。本業が忙しい人でも不労所得を獲得できます。
高所得者ほど所得税や住民税の節税ができる
不動産投資は、高所得者ほど所得税や住民税の節税が可能です。
どのような節税かと言うと、不動産所得で赤字を出して節税できた額より、不動産を売ったときの納税額のほうが低ければ節税になります。節税額と納税額の差は、高所得者(高税率)ほど多くなることが特徴です。
ただし、現金収支は黒字で不動産所得の赤字という関係を作るためには、1年当たりの減価償却費を大きく取るようにしなければなりません。具体的には、不動産を購入する際に建物の割合を高めたり、耐用年数が短い木造の中古物件を購入したりします。
また、土地分の支払利息を超える赤字金額がなければ、損益通算によって節税はできないことに注意が必要です。
不動産という現物資産を持っておくとインフレ対策になる
不動産は、現物資産に該当します。現物資産とは、株式や投資信託のようなものではなく、その物自体に形と価値があるものです。
また、インフレとは物価が継続して上昇する状態を指す経済用語です。インフレによって資産の価値が目減りする可能性のことはインフレリスクと呼ばれます。例えば、インフレによって物価が上がると、1万円で購入できたものが3万円になってしまうかもしれません。つまり、物価が上がると1万円というお金の価値が相対的に減ります。
一方、インフレは不動産オーナーにとって有利になると考えられています。家賃が上昇しやすく、借入金の負担が目減りするためです。
万が一の際やローン完済後は年金資産となる
不動産投資にあたって物件を購入するとき、団体信用生命保険付きのローンを組むことが多いです。そのため、死亡や高度障害状態になったときは、住宅ローンの返済義務がなくなります。
これにより、遺族は収支が大きく改善した家賃収入を年金のように受け取ることが可能です。公的年金保険(遺族年金)や生命保険(収入保障保険)と似ています。
当然、団体信用生命保険の利用をすることなくローンが完済した後も年金資産となるでしょう。しかし、建物の老朽化により家賃が下落したり、維持費が増加したりする可能性もあるため注意が必要です。
「自分にとって効率のいい投資って何かな?」とお悩みの方は、投資を始める上で重要なポイントを、まずは押さえておくことが大切です。それは、自分がどのような「投資タイプ」なのかを事前に把握しておくことです。 MIRAPの投資診断ではLINEでカンタンに「投資タイプ」を知ることができます。あなたは一体 なにタイプでしょう?
不動産投資をおすすめできない人とは?
不動産投資は、知識がない状態から始めることに加え、次のような人にはおすすめできません。理由もあわせて紹介しますので、把握しておきましょう。
不動産投資をおすすめできない人
- 5年以内にキャピタルゲインを狙っている人
- 年収500万円以下で手持ち資金に余裕がない人
- 言われたことを疑わず騙されやすい人
- 住宅ローンで自分の家を購入する予定がある人
なお、「おすすめできない人」に当てはまらない場合もぜひ不動産投資を前向きに検討してみてください。
5年以内にキャピタルゲインを狙っている人
そもそも、初心者が不動産投資でキャピタルゲインを得ることは簡単ではありません。通常、建物は古くなると劣化して価値が落ちるため、値上がりどころか値下がりによる損失が出てしまいます。
キャピタルゲインを狙う場合は、例えば中古物件を安値で購入し、リフォームやリノベーションによって再販売するなどでキャピタルゲインを狙います。しかし、すでにこのような方法はプロである不動産業者が行っているため、参入は難しいです。
また、保有から5年を過ぎた後に1月1日を迎える日(目安として6年)までに売却すると、短期譲渡所得として税率が約39%と高くなってしまいます。
以上より、キャピタルゲイン狙いで不動産投資を始めるのはおすすめできません。
年収500万円以下で手持ち資金に余裕がない人
不動産投資は、収入や資金に余裕がない人には積極的におすすめできません。あくまでも目安ですが、年収500万円超えが1つの目安です。
そもそも、金融機関から融資が付かなければ全額自己資金で投資しなければなりません。融資が付いたとしても、金利や期間などの条件によっては、現金収支が厳しくなることがあります。
そのうえ、空室が生じたときや突発的な修繕が生じたときには手持ち資金でまかなう可能性もあるのです。そのため、年収や資金に余裕がない人は積極的に不動産投資をおすすめできません。
言われたことを疑わず騙されやすい人
言われたことを疑わず騙されやすい人は、不動産投資をおすすめできません。不動産投資は知識が必要なものであり、賃貸経営を行うのは投資家自身です。
そのため、自力で物件の収益性をシミュレーションしたり、物件の需要を予測したりしなければなりません。もっとも、頼れる不動産業者や専門家などに相談するのも1つの手です。
住宅ローンで自分の家を購入する予定がある人
不動産投資でローンを組むと、場合によっては他のローンの審査に悪影響が生じます。特に、住宅ローンで住宅を購入する予定がある人は注意が必要です。
そのような場合は、事前に金融機関や不動産業者に相談しておくと良いでしょう。
不動産投資に関するよくあるQ&A
不動産投資のQ&Aをまとめていますので、ぜひ不動産投資の理解を深めるためにお役立てください。
不動産投資は「大きな借金だからやめとけ」はどう考えるべき?
借金をして返済負担が生じることは確かですが、一概に悪いものとは言えません。
不動産投資は賃貸経営であり、借入金を活用しつつ上手に賃貸経営を進めることは有効です。実際、大手企業も金融機関などから借入れをして事業規模を拡大しています。
賃貸経営における借入金は、借入れによって資金効率を高めたり、早期に資産を形成できたりなどのメリットがあるのです。また、借入金の返済は家賃収入が原資となるため、間接的に入居者が負担していると考えることもできます。
不動産投資は「儲からないからやめとけ」はどう考えるべき?
不動産投資は、儲かる場合もあれば損をする(儲からない)場合もあります。この記事で紹介したように、不動産投資で成功するためには知識を付けることが重要です。
不動産投資はハイリスクか?
不動産投資は、一般にミドルリスク・ミドルリターンと言われています。不動産投資におけるリターンは家賃収入であり、入居者さえ確保できれば通常は安定しているため、リターンのブレ(リスク)は大きくありません。
とはいえ、物件の立地や設備などの条件によっては入居が付きにくい場合もあるでしょう。この場合はハイリスク・ハイリターンと言えます。株式や投資信託と異なり、賃貸経営はリスクをある程度コントロールできるのも特徴です。
空室リスクへの対策は?
空室リスクへの対策は、例えば次のような方法があります。
空室リスク対策の例
- 目安として徒歩10分以内の人気エリアにある物件を選ぶ
- 入居募集時に競合物件より見劣りしないかチェックする
- 入居募集に強い管理会社を選ぶ
- サブリース(家賃保証)契約をする
- 入居付けの仲介報酬(AD料)を上げる
確定申告の手続きはどうする?
不動産投資で得る家賃収入は不動産所得に分類されます。不動産所得は、収入から必要経費を差し引いて計算します。
不動産所得の必要経費の例を以下に示しますので参考にしてください。なお、かっこ書きした科目名は一例です。借入金の元本部分は必要経費にはできないことに注意しておきましょう。
不動産所得の必要経費
- ローンの返済利息(借入金利子)
- 減価償却費
- 固定資産税(租税公課)
- 不動産取得税(租税公課)
- 火災保険料(損害保険料)
- 修繕費
- 消耗品費
- 雑費
賃貸経営に関する取引があった場合は、その取引を帳簿に記帳し、保存しておかなければなりません。原則として年末になると帳簿をまとめて決算書などを作成し、決算書をもとに2月16日から3月15日までに確定申告を行います。
なお、マイナンバーカードがあれば自宅からe-Taxを使ってWeb上で確定申告が可能です。確定申告について不安があれば、不動産業者や税理士に相談しておきましょう。
減価償却費とは?
減価償却費とは、建物や建物附属設備の取得価額を、耐用年数にわたって分割して必要経費とするときの金額です。詳しくは以下の記事を参考にしてみてください。
おすすめの不動産投資方法は?
不動産投資には、一棟(戸建てやアパート)や区分マンション(ワンルームやファミリー)などさまざまな投資対象があります。
個別事情によって異なりますが、初心者におすすめなのは比較的投資しやすく、利回りが安定しやすい中古ワンルームマンションです。
まとめ:不動産投資をやめておくべきか十分に検討して判断しましょう
不動産投資はやめとけと言われることがありますが、知識を付けておくと、失敗する可能性を抑えることができます。
「不動産投資はやめとけ」と言われて諦めるのは簡単です。しかし、不動産投資でしか得られない大きなメリットがあります。例えば、融資を利用して少額の資金でも大きな利益を得られたり、インフレに強く安定したインカムゲインを得ることができます。
簡単に諦めるのではなく、知識を深めてリスクを抑えながら、ぜひ大きなメリットのある資産形成を始めてみてはいかがでしょうか。