不動産投資を始めようと思っても、資金が足りずに思い留まっている人も多いのではないでしょうか。不動産投資ローンは「投資用の物件を購入するときにのみ受けられる融資」です。
この記事では、不動産投資ローンの金利の説明から相場、金利を抑えるポイントまでを詳しく紹介します。また、住宅ローンとその融資条件や金利条件について比較して説明しています。ぜひ参考にしてください。
目次
不動産投資ローンの成功は金利で決まる
不動産投資は、不動産のあるエリアや物件種類により、物件価格や入居率などが決まります。また、融資を利用して不動産を調達するケースも多いため、利回りも非常に重要です。そのため不動産投資においては、融資の審査条件とそれにより決まる金利条件も重要な要素となります。
利回りと金利の差をイールドギャップと呼びますが、イールドギャップが大きいほど投資パフォーマンスが高くなります。たとえば利回りが低くても、金利を低くして融資を受けられた場合は、投資成功の可能性は上がるといえます。
そもそも不動産投資ローンとは?比較して解説
不動産を購入するために融資を受ける場合、不動産投資ローンのほかにも住宅ローンがあります。それぞれの違いを説明します。
不動産投資ローンと住宅ローンの比較:
不動産投資ローン | 住宅ローン | |
---|---|---|
借入の目的 | ・物件を購入し、誰かに貸して家賃収入を得ること | ・自宅としてその物件に住むこと |
返済原資 | ・毎月その物件から得られる家賃収入が主な返済原資 | ・主に自分の毎月の給料が返済原資 |
融資額 | ・年収の10~20倍と、住宅ローンより限度額が大きい | ・給料の5~6倍、高くても7~8倍が限度 ・審査基準も不動産投資ローンと比べると厳しめである |
融資金利 | ・融資金利は1.5~4.5%と高い水準 | ・毎月の給料が返済原資となっている分、貸し倒れリスクの心配も少ないと判断される ・融資金利は0.5~2.0%と低く設定されている場合が多い |
審査内容 | ・空室リスクといった未来的な危険性など、さまざまな観点を鑑みて総合的に返済能力があるかどうかが判断される ・不動産投資ローンでは、属性に加えて、物件のタイプも審査基準となる ・そのため、年数の経った木造物件などでは融資がつかないケースもある |
・借主の属性が審査基準として重要視される ・単純に給料の高さや勤め先企業の信頼性で判断される ※属性とは、年収や勤務先、ほかの借り入れ情報など、パーソナルな情報のこと |
返済期間 | ・物件の耐用年数に依存する。10年~35年と幅広い | ・物件の耐用年数に依存する。10年~35年と幅広い |
年齢制限 | ・年齢制限がないケースもある | ・給料が主な返済原資という性質上、定年前後の65~70歳未満までが多い |
住宅ローンは、居宅用のローンとして位置付けられているため、自己が居住する物件への利用が前提で、住宅ローンで投資用物件を購入することは不可能です。もし投資用物件と判断されると、一括返済をもとめられてしまうので、注意が必要です。
金融機関ごとのローン金利相場
不動産投資ローンは、さまざまな金融機関で組むことができます。ここでは、金融機関別に金利相場を見ていきましょう。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫は財務省が管轄する金融機関で、金利は固定のみの1.1〜2.9%程度と安いのが特徴です。審査も基準が厳しく、事業計画を求められます。採算がとれるかを事前に予測して収支見込み額を策定するなどの準備が求められます。
投資を行うローン借主本人がローン交渉を行わなければならないという点も特徴です。
女性や高齢者は借入額の上限が増えたり、借入期間が延長されたりするなどの優遇措置がとられるケースもあります。
メガバンク(大手都市銀行)
一般的にメガバンクとは、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3大銀行を指します。金利は1%前後で、それぞれにほとんど違いはありません。また、全国各地に支店があるので、投資する側は遠隔地でも物件を購入しやすいというメリットがあります。ただし、審査はほかの金融機関に比べて最も厳しめの基準となっています。
地方銀行
地方銀行は、エリアによって銀行の性格に差があり、不動産投資に力を注いでいるところもあれば、そうでないところもあります。また、金利も銀行や店舗によって幅があるのも特徴です。たとえばスルガ銀行の場合、金利1.5~4.1%となっています。
信用金庫や信用組合
信用金庫や信用組合は、基本的には地方銀行とあまり差がありません。ただし、不動産投資に熱心なところと、そうでないところで差があるといえます。平均的な金利としては、2.5%前後です。
たとえば、あすか信用組合では金利1.8~2.8%となっています。
金利を抑えるためのポイントとは?
金利を抑えるにはいくつかのポイントがあります。この段落では、金利を抑えるための主なポイントを4つ紹介します。
変動金利を選ぶ
変動金利のほうが、固定金利より安い金利で借りることができます。また、変動金利であっても、一気に金利が変動するわけではありません。金利が上下するタイミングは半年に一回です。また、上昇する場合でも、一気に引き上げると経済の混乱を招くことから、段階的に引き上げられるという性質があります。
融資の審査前に属性を上げる
借主に本当に返済能力があるかどうかは、融資する側として重要なポイントの一つです。たとえば、A氏の給料がB氏の給料の2倍あった場合、貸す側の心理としてはB氏よりA氏にお金を貸したいと思うのは当然です。
年収や財産が十分にある人は返済能力があると判断され、金利も低く設定される可能性があります。審査前に属性を上げておけば、金利が下がった状態でも借りやすくなります。
アパートよりマンションの方が有利
一般的に、アパートよりマンションの方が融資を受けやすく、金利も下がる傾向にあります。マンションのほうが物件一棟当たりの費用が安かったり、立地条件がよく入居者が入りやすく空き室リスクが少ないことが主な理由です。また、耐用年数の観点からも、マンションのほうが有利です。
借り入れ先は年収を参考に選ぶ
年収によって、借り入れ先を選ぶことも大切です。状況によっても変わりますが、500万円以下の場合は、日本政策金融公庫に申し込んでみるのがおすすめです。
一棟不動産投資の場合、年収が500万円~1000万円以下の場合は、オリックス銀行などでも融資が受けやすくなります。1000万円以上の年収の人は、メガバンクを視野に入れても問題ないでしょう。
区分投資の場合は、勤務先や所得によって選択肢が変わります。不動産業者によってはそもそも良い金融機関と提携していなかったり、会社都合で条件の悪い金融機関を優先的に斡旋してくる場合もあるので注意が必要です。
窓口(保証会社)としてはジャックスとオリックスの二強ですが、ジャックスが窓口の場合、実際の融資はイオン銀行、ソニー銀行、じぶん銀行等から選択できてそれぞれ微妙に条件が異なります。
オリックスは不動産会社によって条件が異なります。
返済実績があれば金利引き下げの交渉も可能に
返済実績があれば、他社の最安ローンプランを提示して、金利の引き下げ交渉ができる場合もあります。借り換えされるより、金利を下げて返済を続けてもらったほうがよいという流れに持っていければ、金利引き下げに応じてもらえる可能性が高まります。ただし、交渉が得意でない場合は、個人でやるよりプロにお任せしたほうがよいでしょう。
まとめ
不動産投資においては金利にも種類があり、金利を抑えられれば投資成功につなげられる可能性が高まります。金利引き下げの交渉などは、プロに任せるのも一つの方法です。