学級崩壊やいじめなどの教育を取り巻く環境によって、子供の進学先に私立を選ぶ家庭が増えています。私立は設備や教育カリキュラムなどを独自に設けているため、公立に比べて学費が高くなります。中学校から大学まで私立を選んだ場合など、莫大な教育費が必要です。
この記事では、子供がいるサラリーマン、経営者の方におすすめしたい資産形成方法について解説します。子供の教育費にそなえるために役立ててください。
目次
子供の教育費にはいくらかかる?
そもそも幼稚園もしくは保育園から大学までに、教育費はいくら必要なのでしょう。ここでは、大学までにかかる費用の目安を解説します。
幼稚園もしくは保育園でかかる費用
幼稚園は、公立と私立の2つにわかれます。公立で年間に必要な教育費は12万円程度で、私立では33万円程度かかります。さらに、学校給食費や学校外活動費が加わると、公立で22万円程度、私立で52万円程度の費用が必要です。保育園は、認可もしくは認可外で費用が異なります。年間でかかる費用は、認可保育園で25万円程度、認可外保育園で47万円程度です。
2019年10月から、幼児教育が無償化となったため、対象となる幼稚園や保育園などを利用する3~5歳の子供は無料になります。ただし、幼稚園は月額2万5,700円までの制限が設けられています。
※参考:調査結果の概要|文部科学省
小学校でかかる費用
小学校で必要になる年間の教育費は、公立で6万円程度、私立で90万円程度です。学校給食費や学校外活動費を加えると、公立でかかる総額は32万円程度、私立では159万円程度の費用がかかります。6年間で必要になる教育費の総額は、公立で192万円程度、私立で959万円程度です。
※参考:調査結果の概要|文部科学省
中学校でかかる費用
中学校でかかる年間の教育費は、公立で13万円程度、私立で107万円程度となっています。給食費は小学校よりも少ない反面、部活動を含む学校外活動費が年間で30万円以上かかります。給食費や学校外活動費を加えた年間の総額は、公立で48万円程度、私立では140万円程度です。3年間で必要な教育費の総額は、公立で146万円程度、私立では421万円程度です。
※参考:調査結果の概要|文部科学省
高校でかかる費用
高校でかかる年間の教育費は、公立では28万円程度、私立は71万円程度です。高校は義務教育ではないため、給食費はかかりません。学校外活動費は、公立で17万円程度、私立で25万円程度となっています。年間の総額は、公立が45万円程度、私立が96万円程度です。また、3年間に必要な教育費の総額は、公立で137万円程度、私立では290万円程度です。
※参考:調査結果の概要|文部科学省
大学でかかる費用
大学は、国公立・私立でかかる費用はそれぞれ異なります。主な内訳は、入学料と授業料です。国立に進学した場合の年間総額は81万円程度です。公立の場合、地域内と地域外で入学料が変わります。地域内の年間総額は76万円程度で、地域外は93万円程度と地域内の学生よりもやや高めに設定されています。私立では施設設備費が加わるため、133万円程度の年間費用が必要です。
4年間にかかる教育費の総額は、国立が242万円程度、公立が187~254万円程度、私立では436万円程度です。
※参考:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令|文部科学省
※参考:平成30年度学生納付金調査結果|文部科学省
※参考:私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について|文部科学省
教育費にかかる総額とは
幼稚園から大学までにかかる教育費の総額は、いくら必要になるのでしょう。幼稚園から大学まで、すべて公立の場合は、729万円~978万円程度の費用がかかります。一方、幼稚園から大学まですべて私立に進学した場合は、2,015万円~2,264万円程度の教育費が必要になります。
※参考:調査結果の概要|文部科学省
※参考:国立大学等の授業料その他の費用に関する省令|文部科学省
※参考:平成30年度学生納付金調査結果|文部科学省
※参考:私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について|文部科学省
子供がいる家庭が資産形成すべき理由とは
従来は、子供1人あたり1,000万円程度の教育費がかかると言われていましたが、子供を私立に進学させる場合は、2倍以上の膨大な教育費が必要です。
また、年金制度に頼らずに老後も現在の生活水準を保つためには、老後資金を貯めておかなければなりません。だからこそ、子供がいる家庭は、早い時期から資産形成を行ったほうがいいでしょう。
子供がいる人におすすめの資産形成とは
資産形成には、様々な種類があります。そのなかから、子供がいる人におすすめの方法を解説します。
不動産投資
不動産投資とは、自分でマンションやアパートなどの不動産を購入して、家賃収入や売買による差額で利益を得る投資方法です。高い売買益を得るためには、駅前や地価が高い人気の土地でなければ難しいでしょう。
一方、家賃収入を目的としたマンションやアパートは安定した収益が期待でき、不動産投資のなかでも人気が高いです。資金や時間に余裕がある人は一棟まるごと購入する方法も取れますが、こちらはかなりの資金が必要になります。初期投資やランニングコストを安く抑えたい人はワンルーム投資がおすすめです。
投資信託
投資信託とは、投資のプロに資産運用を任せる投資手法です。複数の投資家から資金を集めるため、少額からでも投資できます。運用成果や投資金額に応じて、利益が分配される仕組みになっています。ただし、元本は保証されていません。
投資のプロであっても、世界情勢や市場状況などで運用成績は変動するため、運用で失敗した場合は投資した資金が減るリスクが高いです。リスクをなるべく抑えるためには、金融商品の種類や投資方法などを複数に分散するリスク分散という考え方が重要でしょう。
学資保険
学資保険は、子供の教育費を確保するための保険で、「貯蓄型」と「保障型」の2種類が販売されています。貯蓄型は、月々の支払額よりも受取額のほうが多い傾向にあります。ただし、学費が上がった場合は教育費が不足する可能性も考えられます。
一方、保障型は生命保険や医療保険による保障があるタイプの学資保険です。万が一、親が亡くなった場合でも、保険料が免除されるうえに保障が継続されます。ただし、特約などをプラスした場合は、支払額よりも受取額が減る可能性があるため、注意が必要です。
子供にプレゼントできる保険
子供にプレゼントできる保険とは、子供が社会人や成人したときに名義変更できる終身保険です。一般的に、終身保険は契約した年齢が低いほど保険料が安い傾向にあります。子供にプレゼントできる保険は、こうした終身保険の特徴を最大限に活用した保険です。
子供の年齢が低いうちに親名義で契約でき、払い込みが完了した時点で子供の名義に変えれば、無料で終身保険の保障を譲れます。教育費に直結した保険ではありませんが、解約返戻金を教育費や進学準備金に活用できます。
NISA
NISA(ニーサ)とは、2014年1月から実施されている個人投資家向けの税制優遇制度です。NISA専用の口座を開設し、口座内で発生した投資信託や株式などで得た配当金や譲渡益などにかかる税金が免除される仕組みになっています。
NISAには、通常タイプの「NISA」と積立タイプの「つみたてNISA」があり、「NISA」の非課税対象額は年間で120万円、非課税の対象期間は最長5年に制限されています。「つみたてNISA」は毎年40万円まで積立でき、非課税の対象期間は最長20年です。
ジュニアNISA
ジュニアNISAとは、20歳未満の未成年者を対象にしたNISAです。通常のNISAとの違いは、非課税の対象年齢だけでなく、年間の投資上限金額や18歳になるまで払い出しが行えないことです。ジュニアNISAの投資上限金額は、年間で80万円です。運用は、基本的に親権者が行います。
ジュニアNISAは未成年者が対象のため、「未成年者非課税適用確認書の交付申請書」「未成年者口座開設届出書」「未成年者の個人番号カード等」などの書類の申請が必要です。
子供がいる家庭が資産運用するときの注意点
子供がいる家庭での資産運用を行うときに注意すべき点はあるのでしょうか。ここでは、子供がいる家庭が資産運用する際の注意点を解説します。
教育費には手をつけない
子供がいる家庭にとって、教育費の負担は避けて通れないため、資産運用は計画的に行う必要があります。子供の将来のために資産を増やしたい気持ちから、リスクが高い投資に手を出して失敗する人も少なくありません。投資を行う場合は、貯めた教育費を削ってまで資産運用に使わないように注意しましょう。
ハイリターンを求めない
子供が成長するにつれ、食費や住居費の節約が難しくなるため、着実に資産を貯める必要があります。上述したように、子供のいる家庭では教育費は欠かせません。投資はリターンが大きいものほどリスクも高くなるため、失敗すれば資産が減少します。ハイリターンを求めすぎないようにしましょう。
老後資金のことも考慮に入れる
子供がいる家庭では教育費の確保を優先するケースが多いです。しかし、子育て世代は教育費だけでなく、子供が結婚して自立した後の夫婦の老後資金や、親の介護に備えておく必要があります。資産運用を行う際は、子供だけでなく夫婦自身や親などを含め、総合的に必要になる資金がいくらなのかを考慮したうえで資産運用にまわす資金を決めましょう。
子供がいる人の資産運用には不動産投資がおすすめ
一般的に、不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」と呼ばれており、さまざまな投資手法の中でも比較的リスクが低いほうだといわれています。そのため、教育費などのまとまった費用が必要な子供がいる人の資産運用におすすめです。不動産投資で資産運用を行えば、教育費だけでなく老後資金を貯められます。
なかでも、需要が高まっているのはワンルームマンションです。近年、高齢化などで一人暮らしの人が増加傾向にある点が要因の1つでしょう。
まとめ
子供がいる家庭では、最低でも1,000万円程度の教育費が必要です。進学先に私立を選択すれば、さらに必要な費用が増えます。効率良く教育費を貯める方法として、不動産投資による資産運用をしてみてはどうでしょうか。