副業NGの企業でも不動産投資が可能な理由とは?注意点も解説

監修者

出口慎一

出口慎一

1級建築士、宅地建物取引士、2級福祉住環境コーディネーター、2級建築施工管理技士、2級管工事施工管理技士

給与以外の収入を得るために、不動産投資を始めたいと考える人は多いです。しかし、副業を禁止している企業で働いている場合は、不動産投資が副業に該当するのかどうか分からず、不動産投資をなかなか始められない人もいるでしょう。

結論からお伝えすると、副業を禁じている企業であっても不動産投資を行うことができる場合があります。本記事では、副業として不動産投資を行うメリットに加えて、不動産投資を始める際の注意点も解説します。

勤務先の就業規則を確認した上で、副業として不動産投資を始めてみましょう。

目次

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不動産投資は副業に当たらないと考える企業が多い理由

近年は、副業を認める企業が増えています。数多くある副業の中でも、不動産投資は副業に該当しないとする企業も多く、副業を始めたいと考える人には最適といえるでしょう。ここでは、不動産投資は副業に当たらないと考える企業が多い理由を解説します。

理由1:情報漏洩のリスクが低いため

他社への情報漏洩を危惧して、副業を禁じている企業も少なくありません。特に、本業の業務と関連した副業に携わる場合は、情報漏洩のリスクは高いといえます。

しかし、不動産投資は機密情報などが漏れる可能性は低く、企業側も不動産投資は副業に該当しないと考えるケースが多いです。

理由2:副業を行うことは自由であるため

「勤務先では副業を禁じられている」と考えて、副業を始めることを諦める人も多いですが、日本国憲法第22条では「職業選択の自由」が国民の権利として保障されています。この権利は、副業にも当てはまり、一般的には「従業員の勤務時間外の行動を制限できない」「制限できたとしても限定的」と解釈されています。

そのため、副業は従業員の権利であり、自由に副業に取り組むことができます。

しかし、中には就業規則で副業を禁止している企業もあります。会社とのトラブルを避けるためにも、就業規則は必ず確認してください。

理由3:相続などでやむを得ないケースがあるため

不動産投資は、積極的に副業の意思に関係なく物件を保有するケースがあり、副業にはあたらないと考える場合があります。

例えば、親族や親からの相続譲渡により不動産を取得する場合もあるでしょう。また、転勤を理由に、居住していないマイホームを一時的に貸し出す会社員もいます。

このように、保有している物件を貸し出して収益を得る不動産投資を禁止することは難しく、副業禁止の会社でも家賃収入は例外とするケースが少なくありません。

理由4:不動産投資は資産運用であるため

副業を禁止している企業でも、株式などを投資対象とした運用は禁止していない企業が多いです。これらが副業に当たらない理由は、株式や投資信託の売買を資産運用としてみなされているからです。

同様に、不動産投資も副業ではなく資産運用と考えれば、副業禁止の会社に勤めていても問題ありません。

ただし、不動産投資の規模が大きくなると、投資ではなく副業とみなされる可能性があります。不動産投資における事業規模とは、一般的に5棟10部屋以上とされています。

戸建などの建物は5棟以上、マンションやアパートの場合は10室以上の貸し出しをしていると事業として不動産経営を行っていると判断される基準です。

また、物件数以外にも、収入を得るための労働を伴っていると事業とみなされる場合があります。自ら集客や物件管理を行っていると労働していると判断されますので、管理業務は不動産会社に委託すると安心です。

理由5:本業に支障が出にくいため

副業禁止の企業が多い理由は、本業に支障が出る可能性が多いと考えられるからです。

例えば、日中の通常業務を夜に深夜まで別の仕事をしていたら本業の日中の業務に支障が出ると判断する企業が多数だと思われます。

しかし、不動産投資は多くの時間や労力を割くような仕事ではないため、本業に支障が出るという理由で不動産投資が禁止されることは原則ありません。

副業で不動産投資を始めるメリット

さまざまな目的で副業を始める人が増えています。不動産投資は、本業と両立しやすいという特徴があり、不動産投資を始めるメリットも多いです。副業で不動産投資に取り組むメリットを以下で解説します。

メリット1:融資の審査が通りやすい

不動産投資で物件を購入する際、多くの人は銀行の融資を利用します。会社員は、安定した収入があると判断されることが多く、融資が通りやすいです。

なお、融資の判断の際には、融資を申し込んだ人の年収勤務先勤続年数も審査対象です。年収が高い、勤務先が大企業である、10年以上継続して同じ会社に勤めているといった項目は、審査の際に有利に働くでしょう。

メリット2:本業に支障が出にくい

投資物件の決定や資金計画などは自分自身で行う必要がありますが、その他の業務は外部業者に委託可能です。

そのため、不動産投資は本業に支障が出にくい投資方法であり、手間や時間があまりかからない点がメリットといえるでしょう。

副業を禁止している企業の中には、本業に支障が出るとの理由で禁止しているケースもあり、本業の業務への影響が小さい不動産投資は例外的に認められていることがあります

不動産投資は、株やFX、暗号資産の取引などのように値動きや関連情報を逐一気にする必要がなく、本業に集中できるでしょう。

メリット3:インフレ対策になる

インフレによって物価が上昇すると、お金の価値は下落します。預金や貯蓄性保険といった形で資産を保有していると、インフレが生じた際に資産の実質的な価値が目減りしてしまいます。

一方、不動産は、物価の上昇に比例して物件の値段も上がり、資産価値の下落を防ぐことが可能です。つまり、不動産投資はインフレ対策の有効な手段の1つといえるでしょう。

不動産投資を副業で行うことが問題視される場合とは

副業で不動産投資を始めるメリットを知ると、「不動産投資を早速始めよう」と感じる人もいるかもしれません。しかし、安易に副業としての不動産投資を始めることは禁物です。時には、副業としての不動産投資が問題視されることがあります。

例えば、投資規模が5棟10室を超えて不動産事業として投資を行っている場合、副業を禁止している企業であれば副業に該当するでしょう。

また、公務員は副業を禁じられており、事業規模での投資にならないように注意が必要です。副業について厳しい規則が設けられていることが多い銀行員も、就業規則の確認が必須といえます。

勤務先によっては、副業を始める際に勤務先に事前申告を義務付けていることがあるため、副業で不動産投資を始める際には予め詳細を確認してください。

副業として不動産投資を始める際の注意点

不動産投資は、本業に支障が出にくい副業の1つであるとご紹介しましたが、不動産投資を始める上で注意すべき点がいくつかあります。

「不動産投資を始めなければよかった」と後悔することのないよう、以下で解説する注意点は必ず確認してください。

本業に支障がない程度に取り組む

不動産投資に限らず、副業を始める場合は、あくまでも本業の業務に支障が生じない範囲で取り組まなくてはなりません。

副業はスキマ時間や休日に取り組むことが多いです。副業に充てる時間が多くなり、充分な休息が取れずに体調を崩すといったことがないよう注意しましょう。

就業規則を確認する

不動産投資は副業に当たらないと考える企業があるものの、実際に不動産投資を始める前に必ず勤務先の就業規則は確認しましょう。就業規則を予め確認することで、副業がバレた際に勤務先とトラブルになる事態を避けられます

中には、「誰にも知られずに不動産投資を始めたい」と考える人もいるでしょう。しかし、公務員や金融機関以外にも副業を禁止している会社はあるため、「副業として不動産投資を始めても良い勤務先かどうか」という点を、事前に明確にしておきましょう。

確定申告が必要になることも

不動産投資によって得た所得が年間20万円を超える場合は、確定申告が必要です。「知らなかった」では済まされないため、不動産投資を始める前に不動産投資に関わる税務知識も習得しておくと安心です。

なお、必要に応じて最寄りの税務署や税理士に相談するなど、専門家に一任することも検討してください。

まとめ:就業規則などを確認し不動産投資を副業として始めてみよう

不動産投資は、一般的に副業にあたらず、副業禁止の会社に勤めていても問題にならないことがほとんどです。しかし、事業規模での不動産投資は就業規則に違反する可能性があります。

事前に就労規則や税金について確認した上で、この機会に副業として不動産投資を始めてみてください。

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