不動産投資に興味はあるものの、原資が必要なため、自分の年収でも始められるか目安を知りたい人も多いのではないでしょうか。不動産投資は金融機関から融資を受けて始めるケースが多いですが、融資を受けるためにもある程度の年収は必要です。
この記事では、不動産投資を始められる年収の目安、不動産投資家の平均年収、融資で審査される属性などについて解説します。
目次
不動産投資を始められる年収はいくらから?
不動産投資は、マンションなどの不動産を購入して、第三者に貸し出したり売却したりすることで利益を得る投資です。何千万円もの資金が不動産の購入にはかかるため、金融機関から融資を受けて不動産投資を始める人がほとんどです。
不動産投資を全額自己資金で始める人もいますが、近年ではサラリーマンをしながら不動産投資する人も増えてきました。ローンを活用しながら不動産投資を始める場合、投資をする人の年収がローン審査のカギを握ります。
「不動産投資に必要な年収=不動産投資で融資を受けられる年収」のため、ある程度の年収がないと融資を受けにくくなります。
融資を受けられる基準となるのは年収700万円
金融機関によって異なりますが、不動産投資を始めたい人に融資をする場合の基準は、年収700万円とされています。
とはいえ、上記はあくまでも目安です。金融機関によって審査の難易度は異なるため、年収700万円あっても、必ず不動産投資で融資が受けられるとは限りません。
たとえば、メガバンクや地方銀行では、年収1,000万円を基準に融資の判断をしていることもあります。
年収500万円のサラリーマンでも融資を受けられる可能性はある
年収700万円が不動産投資で融資を受けられるひとつの基準と説明しましたが、年収が700万円を下回るからといって、融資が受けられなくなるわけではありません。
年収500〜700万円でも、融資にプラスとなる要素があれば、融資を受けられる可能性はあります。
融資を受けられる基準は、やはり金融機関で変わってきますが、物件価格20%以上の自己資金の用意がある場合、ひとりでは年収700万円に満たなくても世帯年収で700万円以上になる場合、などは評価が高いです。金融機関と十分に交渉する価値はあるでしょう。
ただし、「年収300万円」といったように、基準を大きく下回る場合は、たとえプラスの要素があっても融資を受けられる可能性は低くなってしまいます。基準の年収から大きく離れている場合は、まずは年収を上げることから考えた方が良いでしょう。
不動産投資家の平均年収・平均年齢
ここまで、不動産投資で融資が受けられる年収の目安について説明してきました。では、融資基準ではなく、実際に不動産投資をしている不動産投資家についてはどうでしょうか。
不動産投資家の年収については、とある住宅ローン関連の会社が行った調査によると、平均年収は約1,060万円、最多の年収は700万円台であることがわかりました。
平均年収や最多年収の額からも、多くの投資家が融資を受けており、それに伴い、金融機関の審査基準に近い額になっていると推測できます。
さらに、不動産投資家の平均年齢は43歳、不動産投資家のうち最も多いのが30代後半から50代前半の投資家で、全体の63%を占めています。
一方、20代は全体の4%程度で、20代から不動産投資を始めている人も少なからずいることもわかりました。
不動産投資を始める前に準備したい!物件購入時の頭金
動産投資における頭金とは、物件価格からローン借入額を引いた金額のことです。一般的に物件価格の10〜20%が相場とされています。不動産投資ローンは収益物件の購入が目的となるため、住宅ローンとは区別される点に注意しましょう。
頭金を入れた分ローンの借入額が少なくなるため、返済の負担が少なくなります。頭金を多く準備しておくことは、金融機関の審査も通りやすくなる効果があるため有効な手段です。
しかし、頭金など自己資金の比率を大きくすると投資として、レバレッジ効果が薄れてしまうというデメリットもあります。
不動産投資においてのレバレッジ効果とは、自己資金の額を減らしより大きな物件を購入することで、投資効率を高めることです。自己資金を多く用意しすぎるとローンの比率が下がるので、不動産投資のメリットのひとつであるレバレッジ効果が薄れてしまうことになります。
不動産投資ローンは年収別で融資額は?
住宅ローンの借入可能額は年収の5〜7倍程度ですが、不動産投資においては一般的なサラリーマンの受けられる融資額は年収のおよそ10倍になる可能性があります。勤務先・勤務年数・ローン返済残高などさまざまな条件で融資額が決まるためです。
年収500万円でも、評価される資産があれば7,000万円の融資も受けられる場合もあります。しかし、年収額は借入額の評価における比重が高いため、一般的には年収が高いほど借入額は多くなります。
年収1000万円の不動産投資ローン融資額
年収1,000万円以上の場合、借入可能額は5,000万円〜1億円が目安です。
新築マンション1棟購入できる金額を借りられるくらいの年収となります。
年収700万円の不動産投資ローン融資額
年収700万円以上の場合、借入可能額は3,500万円〜7,000万円が目安です。
中古マンション1棟購入できる金額を借りられるくらいの年収となります。
年収500万円の不動産投資ローン融資額
年収500万円以上の場合、借入可能額は2,500万円〜5,000万円が目安です。 アパート1棟購入できる金額を借りられるくらいの年収となります。 初めて不動産投資をする方には、まずは区分所有物件への投資からはじめてもいいでしょう。区分所有のワンルームマンションは500万円前後で購入可能です。
融資を受ける際に審査される「属性」の種類
不動産投資では、金融機関は申込者の年収を見ますが、年収だけで融資が実行されるか決まるわけではありません。融資にあたっては、申込者の「属性」もチェックされます。
属性とは、社会的状況や経済的状況など、信用の判断材料になる基準のことです。年収も属性のひとつではありますが、年収以外にもチェックされる項目があります。以下、不動産投資で融資を受ける際に審査される属性について見ていきましょう
不動産投資で融資を受ける際に審査される4つの属性について見ていきましょう。
- 勤務先や収入
- ローン
- 家族構成
- 資産
審査される属性①:勤務先や収入
ある程度の収入が安定してあるかという点で、勤務先や収入が審査の対象になります。
勤務先では正社員などの安定した雇用条件であることや、職種も評価される可能性が高いです。特に、収入が高く、一般的な退職の年齢のあとも仕事を続けやすい医師や士業、収入も雇用も安定している公務員は評価されやすい傾向にあります。
収入に関しては、収入額だけでなく、収入が安定しており大きく増減しないかも重要なチェックポイントです。一般的に、個人事業主よりも、収入が安定しているサラリーマンの方が評価は高くなります。
審査される属性②:ローン
不動産投資で融資を受ける際には、ローンの審査もあります。ローンの審査とは、「ほかにローンを利用していないか」「利用している場合はどのくらいの額のローンを利用しているか」といったことです。
ローンの額はもちろんのこと、ローンの契約先が多いと、審査に通りにくくなる可能性があります。不動産投資を考えるなら、ローンの返済を進めたり、ローンの返済先をまとめたり、できるだけローンがマイナスポイントにならないようにしましょう。
ただしローンでも、住宅ローンの評価は金融機関によって違いがあります。住宅ローンを組んでいても、持ち家の方が生活基盤は安定していると評価する金融機関もあるためです。
不動産投資前に見直しは行った方が良いですが、住宅ローンに関しては過度に不安になる必要はないでしょう。
審査される属性③:家族構成
家族構成に関しては、単身より配偶者がいる方が、審査が通りやすい傾向にあります。
理由は、契約者の返済が難しくなっても、配偶者を連帯保証人とすることによって、金融機関が残債を回収できる可能性が残るためです。
審査される属性④:資産
銀行に預けている現金(預金)や、所有する土地や有価証券などの資産も、不動産投資の融資における審査対象です。
金融機関は、返済が難しくなったとき、融資額を回収できるかどうかで融資を判断しますので、換金できる資産が多いほど評価は高くなります。
持ち家がある場合、ローン返済中の持ち家ではなく、ローンを完済した持ち家がある方が有利です。
金融機関に資産を申告したからといって融資の担保になるわけではありませんので、融資が受けられる可能性を広げるためにも、所有する資産と資産額の把握を進めておきましょう。
属性を上げる対策
申込者の属性を上げる対策として代表的なものを2つ紹介します。
- クレジットカードを整理する
- ローンの見直しをする
対策①:クレジットカードを整理する
不要なクレジットカードを整理することも、不動産投資ローン審査の対策になります。融資の審査ではクレジットカードの毎月の支払いの遅延がないか、個人の信用情報が確認されています。
また、クレジットカードの利用残高が多い場合も審査に大きく影響が及びます。利用可能額自体が借金の可能性があるとして、属性を下げる要因にもなるので、不要なクレジットカードは解約するか限度額を下げることをおすすめします。
過剰な枚数のクレジットカードを所有している、もしくはキャッシングの利用可能額の合計が多いだけでも属性を下げる可能性が出てくるため注意が必要です。
対策②:ローンの見直しをする
すでに抱えている住宅ローンや不動産投資ローンは、ローンの見直しや借り換えを検討しましょう。ローンの見直しにより返済比率を下げることが出来れば、融資審査についても有利となります。返済比率とは、毎月の返済額が収入に対して占める割合のことです。
不動産投資ローンを検討する際には、可能な限り繰り上げ返済しておきましょう。返済の資金を不動産購入の自己資金とした方が良い場合もありますので、ローンの金利・年数・借入総額なども比較しながら、慎重に検討するとよいでしょう。
インターネットで気軽にローンの借り換えシミュレーションができるサービスがありますので利用してみましょう。
参考:「ローン借り換えシミュレーション」(一般社団法人全国銀行協会)
年収が低い・自己資金がない時の対策
年収が低い・自己資金がない場合でも必ずしも融資を受けられないということはありません。年収が低い・自己資金がない時の対策2つを紹介します。
- 不動産会社に相談してみる
- 日本政策金融公庫から融資を受ける
対策①:不動産会社に相談してみる
年収が低く、自己資金もなければ融資する金融機関は限られます。審査の厳しいメガバンクでは、断られる可能性が高いといえます。しかし、不動産会社は金融機関とつながりを持っているため、直接相談し金融機関を紹介してもらうというのもひとつの手段です。
現時点で融資を断られたとしても、金融機関からアドバイスを受けて将来的に融資してもらえる可能性も出てきます。積極的に不動産投資の融資をする銀行などの情報もあるため、不動産会社と関係を構築していくとよいでしょう。
対策②:日本政策金融公庫から融資を受ける
日本政策金融公庫とは日本政府が出資する金融機関で、低金利で融資を受けられる、保証人不要など、年収が低い人が融資を受けようとする際にはおすすめです。
民間の金融機関とは違い「経営の成長や安定化」「地域経済の活性化」「金融安定化」を目的として事業を行っているため、相談に乗ってもらえる可能性が高くなります。
さらに、固定低金利で民間の金融機関と違って利益を重視していませんが、返済能力はしっかりとみられます。政府系金融機関のため、税金や公共料金に未払いがあると融資を受けることが難しくなるので注意が必要です。
融資を受けるには事業目的である必要があります。しかし、不動産賃貸事業者として個人でも利用はできます。事業計画や資産状況などの審査もあるため、日本政策金融公庫へ融資の相談をする際には個人事業主として綿密な計画を立てておくとよいでしょう。
まとめ:年収500万円台から融資可能性あり!属性評価を高めよう
不動産投資で金融機関から融資を受ける場合、年収は重要な審査基準のひとつです。本記事でも解説したように、年収700万円を基準にしている金融機関が多いです。
とはいえ、融資を受けられるかどうかは、年収だけで決まるものでもありません。年収以外の属性の評価を高めることも重要です。
不動産投資を始める際は、現在の年収を軸に、「勤務先」や「家族構成」といった複数の要素を踏まえたうえで検討することが大切です。