不動産投資には、さまざまな種類があります。その中でもアパート投資はリスクとリターンのバランスが良く、不動産投資の中でもよく知られている投資方法です。
本記事では、そんなアパート投資のメリットやデメリット、さらには他の不動産投資との違いを解説し、どんな人がアパート投資に向くのかを紹介します。
不動産投資に興味をもち、投資を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アパート投資とは?ほかにどんな不動産投資がある?
アパート投資とは、購入したアパート1棟を賃貸に出して運用し、家賃収入を得る投資方法です。家賃収入から、アパートの購入時に発生する毎月のローンや管理費などの必要経費を引いた金額がアパート投資の利益となります。
マンション投資
アパート投資とよく比較されるマンション投資ですが、大きく異なる点は「購入範囲」と「必要なコスト」です。
マンション投資は通常1室、または数室のみを購入する「区分所有」が一般的で、数十から数百室あるマンションの全部屋を購入するのは、大規模な投資になってしまいます。
区分マンション
区分マンション投資は、マンションを区分(専有部分と共用部分の利用権)ごとに購入するタイプです。ワンルームなど「単身者向け物件」の場合、価格も比較的安価で、流通される物件数も多いため候補を十分に比較してから購入できます。
同じ区分マンション投資でも、床面積が広めの「ファミリー向け物件」を運用するタイプもあります。
一棟マンション
一棟マンション投資は、マンションを1棟丸ごと購入して賃貸経営をするタイプです。このタイプでは、マンションのすべての部屋が運用可能なため、アパート投資に特徴が似ています。ただし、購入のための投資額がアパート物件の購入よりも高額になる場合が多いです。
その他不動産投資
アパート投資、マンション投資以外にも、不動産投資の対象は複数あります。本記事では物件に着目し、戸建てアパート投資について紹介します。所有している戸建て物件を貸し出し、家賃収入を得ます。アパートのため投資金額も比較的低額となるため、サラリーマンのマンション経営も増えています。
不動産投資の種類と特徴については、以下の記事も参考にしてください。
アパート投資のメリット
アパート投資のメリットは、主に以下の4つです。
- 空室リスクを分散しやすい
- リフォームや改修を自由に行える
- 土地が資産として残る
- 収益を見込める期間が長い
では、順に見ていきましょう。
メリット①:空室リスクを分散しやすい
1棟を購入して複数の部屋を運用するアパート投資では、すべての部屋が空室になることは起きづらく、家賃収入が0円になりにくいというメリットがあります。
一方で、基本的に1部屋しか所有しない区分マンション投資では、購入した部屋に入居者がいないと収入が得られません。そのため、収益物件が限定的となり、自分が所有していない部屋に入居者が決まっても利益にはならないのです。
メリット②:リフォームや改修を自由に行える
アパート投資は物件を1棟まるごと購入するため、リフォームや改修を自由に行えるメリットがあります。
例えば、インターネット回線を敷設して使用料を無料にしたり、共用玄関をオートロックにしたりと、ターゲット層に合わせてアパートの付加価値を高めることができます。
ちなみに、区分所有マンションでも部屋のリフォームや改修は可能ではあるものの、共用部分は管理組合の同意が必要で、手間と時間がかかります。また、一棟マンションでは物件規模が大きいため、工事には莫大な費用を要します。
しかし、アパート投資ならどのような工事も好きなタイミングでオーナー自身が自由に決められます。
物件のニーズが変わったときでも運営方針を自在に変更できるのは、大きなメリットといえるでしょう。
メリット③:土地が資産として残る
アパート投資では、建物だけでなく土地も一緒に購入します。そのため、建物の価値がなくなったり、老朽化したアパートを取り壊したりしても、土地が資産として残ります。
残った土地は、さまざまな活用方法を駆使することで収益を発生させることもできます。
例えば、老朽化したアパートを一度建て直して新しい物件にするのも良いですし、土地を整備して駐車場にするのも良いでしょう。土地自体が必要なくなった場合は土地を売却するなど、購入時点の建物やアパート以外にも土地を有効活用して、利益を出すことが可能です。
区分マンション投資は購入する範囲が部屋だけのため土地までは活用できません。何かが原因で部屋の収益ができなくなると、その時点で物件への投資が終了し、利益を出せなくなります。
メリット④:収益を見込める期間が長い
アパート投資の収益を見込める期間について、戸建て投資、区分マンション投資と比較して説明します。戸建て投資との比較においては、物件の残存年数の面でメリットがあります。
一般に「人の居住していない物件は傷みが早い」と言われます。これは、入居者がいれば自分の住居として物件を維持管理してくれるからです。アパート投資は、入居率を保つためオーナー側からも定期的な修繕を行うことで、入居者のモラルに頼りがちな戸建て投資より、物件の収益を見込める期間がさらに長くなります。
また、区分マンション投資との比較では、アパート投資のほうが空室リスクを分散しやすいため、不動産投資の続けやすさの面でメリットがあります。アパート投資は、入居率を維持できれば区分マンション投資よりも長期的な収益を見込めるでしょう。
アパート投資のデメリット
アパート投資のデメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
- 戸建てや区分投資と比べて初期費用が高い
- 入居者の見極めが難しい
- 戸建てや区分投資と比べて流動性は低い
デメリット①:戸建てや区分投資と比べて初期費用が高い
アパート投資は初期費用として、土地とアパート両方の購入費がかかります。ほかにも、保険料や登録免許税といった費用も必要です。
新築と中古で金額相場は変わりますが、どちらにせよ戸建て投資や区分マンション投資よりは高くなりがちです。
自身の信用情報によっては融資を受けられない場合もあり、希望の物件を見つけたとしても投資できないケースも考えられます。
また、仮に金融機関からの借入審査を通過したとしても、借入の返済が間に合わない状況だと、経営に失敗したときのリスクが大きいです。借入額は自力で返済できる金額に設定しましょう。収益物件の運営方針や自己資金の観点で、自分に合った借入額を算出することをおすすめします。
デメリット②:入居者の見極めが難しい
アパート投資では、さまざまな入居者トラブル発生のリスクがあります。分譲住宅に比べてターゲット層の入居期間が短くなってしまい、モラルに不安のある入居者を招いてしまう可能性があります。
アパートの管理を外部に委託しない場合は、入居者の見極めが難しいことに加え、さまざまなトラブルにオーナー自身が対処しなければなりません。
デメリット③:戸建てや区分投資と比べて流動性は低い
資産をすぐ売買できるかの「流動性」に着目した場合、アパートの流動性は戸建てや区分マンションより高くありません。これは初期費用の大きさから、戸建てや区分マンションほどには投資参入者が多くないことが理由です。
流動性が低いと、物件を売却したい時に売却の相手方が見つからない可能性が高いため、デメリットとなる可能性があります。
アパート投資の失敗例
アパート投資の失敗例を考えてみましょう。たとえば、アパートが木造だと、鉄筋コンクリート造のマンションと比べると音が響きやすいです。アパート内で入居者が楽器を弾いたり大声で歌ったりすると、騒音トラブルに発展しかねません。
また、入居者がルールを守らないことで、ゴミ出しのマナーやプライバシーに関する問題が発生することもあるでしょう。このようなトラブルが発生するとアパートに悪い噂が立ち、入居者が退去したり新しい入居者が来なかったりして、十分な収益が見込めなくなる可能性があります。
入居率を維持しつつ、モラルの低い入居者をできるだけ引き入れないことが重要といえるでしょう。
アパート投資に向いている人
アパート投資は、投資商品としては、戸建て投資と区分マンション投資の中間の性質があり、それぞれの特徴のとらえ方で向き不向きがあります。では、アパート投資に向いているのはどんな人なのでしょうか。
不動産投資の経験がある人
アパート投資は大きな収益が期待できますが、初期投資の大きさや維持管理の難しさから、失敗したときのリスクも大きいです。そのため、不動産投資の経験がある人のほうが向いています。
なお、不動産投資初心者には区分マンション投資が向いているでしょう。
年収が高い人
ミドルリスク・ミドルリターンなアパート投資は、初期費用のハードルを超える年収がある人に向いている投資方法です。また、購入したアパートの管理を外部に委託すれば、オーナーの管理業務は少なくなるため、本業が忙しい人にもアパート投資は向いています。
ちなみに、アパートはマンションに比べて減価償却費を多く計上でき、年収がある程度高い人は節税効果もあります。節税効果を感じられる年収ラインは1,200万円以上と言われており、それ以下はあまり効果が発揮されないようです。
まとめ:年収が高くて高収益を狙うならアパート投資
アパート投資は、空室リスクを分散して安定した収入が期待できます。また、自分がやりたいように収益物件の運営方針を自由に変更できるメリットもあります。もちろん戸建てや区分投資と比べて初期費用が高く、流動性は低さなどデメリットもありますが、本記事を参考にアパート投資が自分に合っていると感じた人は、ぜひ始め方を検討してみてください。