不動産取得税とは、不動産の取得に対してかかる地方税です。中古マンションなどを購入するときに、税金がどのくらいかかるのかを知りたい人は多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産取得税の計算方法について解説します。税金が下がる特例措置や軽減措置も紹介するので、不動産投資を検討する際の参考にしてください。
目次
不動産取得税とは
まず最初に、まず最初に、不動産取得税の概要について解説します。税金がかからないケースもあるので、確認しておきましょう。
不動産取得税は不動産を取得したときにかかる税金
不動産取得税は、不動産を取得したことに対して都道府県に支払う地方税です。
土地や建物の価値などに応じて税額が決定します。建物は新築でも中古物件でも課税対象です。また、未登記の物件を取得したときや、譲渡を受けた場合でも不動産取得税がかかります。
納税額が高額になる場合もあるため、不動産投資をする前には不動産取得税の支払いも含めて資金計画を立てましょう。
不動産取得税以外に中古マンションにかかる税金について詳しく知りたい人は、次の記事をご覧ください。
不動産取得税の申告と納付
不動産を取得したときは、不動産の所在地を所管する都道府県税事務所に申告(不動産取得税申告書の提出)をしなければなりません。申告をしないと、あとで解説する不動産取得税の軽減制度を利用できなくなる場合があります。
申告してから4~6ヶ月後に都道府県税事務所から納税通知書が届くので、指定された口座に振り込むなどして納税します。納付期限は、都道府県によって異なりますが、通知書が届いてから30~60日ほどです。
不動産取得税がかからないケース
不動産を取得しても、不動産取得税がかからないケースもあります。 不動産を相続で取得した場合、相続税が課されるため不動産取得税はかかりません。法人の合併によって不動産を取得した場合も、事業の移転とみなされるため非課税です。 また、不動産価値が極端に低い場合も、税金がかかりません。税金がかからないのは、次の不動産価格(課税標準額)です。
- 土地:10万円未満
- 家屋(新築や増築、改築により取得):23万円未満
- 家屋(売買などにより取得):12万円未満
マンションを売却したときにかかる税金について詳しく知りたい人は、次の記事をご覧ください。
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不動産取得税の計算方法
次に、不動産取得税の計算方法を解説します。税額を計算するときは、課税標準額や特例がポイントとなります。
不動産取得税の税率
不動産取得税の計算式は、原則以下のとおりです。
- 不動産取得税=課税対象となる不動産の価格×4%
不動産取得税の税率は原則4%ですが、土地・住居用の不動産の場合には3%になります。この取扱は、2024年3月31日までの特例措置です。
不動産取得税の課税対象(課税標準額)
課税対象となる不動産の価格を「課税標準額」といい、固定資産評価額が適用されます。固定資産評価額とは、所定の基準に基づいて総務大臣が決定し固定資産課税台帳に登録された不動産の価格のことです。
課税標準額(=固定資産評価額)は実際の購入価格より低いのが一般的で、土地が購入価格の約7割、建物が約5~6割です。
中古マンションを購入した場合、「専有の建物」と「共用の建物(玄関や通路など)」、「共用の土地」という3つの不動産に対して不動産の価格を評価し、不動産取得税が課されます。共用の建物と土地に対する課税は、自分の持分に対してのみです。
宅地の課税標準の特例
2024年3月31日までに取得した宅地(住居用の土地)については、特例で土地の評価額が2分の1になります。この措置を「課税標準の特例」とよびます。
中古マンションの共用の土地について、持分の固定資産評価額が1,000万円の場合、課税標準額は500万円です。税率は3%なので、特例によって土地に対する税額は、30万円から15万円に半減します。
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中古マンションの不動産取得税の軽減措置
課税標準の特例のほかにも、不動産取得税の負担を減らす軽減措置があります。軽減措置は、新築物件と中古物件で異なるので注意しましょう。本記事では、中古マンションに適用される不動産取得税の軽減措置について解説します。
建物に対する軽減措置
不動産取得税の軽減措置は、建物と土地のそれぞれに対して異なる措置が設けられています。 中古マンションの建物部分に適用される軽減措置を受けるには、次の3つの条件を満たす必要があります。
- 課税床面積が50~240平方メートル
- 居住用の住宅であること
- 所定の耐震基準を満たすこと
課税床面積には共用建物の持ち分も含まれます。 条件を満たした中古マンションの課税標準額は、築年数により次の金額が控除されます。課税標準額2,000万円で800万円の控除が受けられる場合、課税対象額は2,000万円から1,200万円に下がります。
中古マンションの建物に対する控除額:
新築された日 | 控除額 |
---|---|
平成9年4月1日以降~ | 1,200万円 |
平成元年4月1日~平成9年3月31日 | 1,000万円 |
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 | 450万円 |
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 | 420万円 |
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 | 350万円 |
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 | 230万円 |
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 | 150万円 |
昭和29年7月1日~昭和38年12月31日 | 100万円 |
土地に対する軽減措置
中古マンションの土地部分に適用される軽減措置を受けるための条件は、建物が軽減措置の条件を満たしていることです。
条件を満たした場合、土地に対する税額は、次のいずれか多い方の金額が減額されます。
- 4万5,000円
- (1平方メートル当たりの固定資産税評価額÷2)×課税床面積×2×3%
2つ目の計算式はわかりにくいと思いますが、後で解説する不動産取得税の計算シミュレーションで確認ください。土地に対する不動産取得税は大幅に軽減されます。
軽減措置を受けるための手続き
不動産取得税の軽減措置を受けるには、都道府県税事務所に申告(不動産取得税申告書の提出)が必要です。申告書の提出期限は、次の通り都道府県ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。
- 愛知県:不動産取得日から60日以内
- 東京都:不動産取得日から30日以内
- 神奈川県:不動産取得日から10日以内
不動産取得税の軽減措置による節税効果はとても大きいため、事前に提出期限を確認し期限内に申告を済ませましょう。
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中古のワンルームで不動産取得税がいくらかシミュレーション
最後に、中古のワンルームを購入したと仮定して、不動産取得税がいくらになるかシミュレーションしてみましょう。
シミュレーション①:軽減措置を受けられない場合
最初に、不動産取得税の軽減措置が受けられない場合について、税額をシミュレーションしてみましょう。次のモデルケースを使って解説します。
モデルケース①:
- 2003年に新築された中古マンションを、不動産投資用の賃貸物件として2020年に購入
- 課税床面積:45平方メートル
- 土地の固定資産評価額:2,500万円
- 建物の固定資産評価額:1,500万円
この場合、用途や建築基準の条件は満たしますが、課税床面積が50平方メートル未満のため軽減措置の対象外です。ただし、不動産を取得したのが2020年なので特例措置(土地の評価額を2分の1にする特例)は受けられます。
建物と土地、それぞれの不動産取得税は次の通りです。
- 建物=1,500万円×3%=45万円
- 土地=2,500万円÷2×3%=37万5,000円
土地と建物の不動産取得税を合計して、税額は82万5,000円になります。
シミュレーション②:軽減措置を受けられる場合
次に、軽減措置を受けられる場合について、次のモデルケースを使い不動産取得税額をシミュレーションします。
モデルケース②:
- 1998年に新築された東京都の中古マンションを自宅用として2020年に購入
- 課税床面積60平方メートル、持分土地面積50平方メートル
- 土地の固定資産評価額:2,000万円
- 建物の固定資産評価額:1,000万円
軽減措置の条件を満たすため、建物の価格については「中古マンションの建物に対する控除」が受けられます。平成9年4月1日以降に建てられた建物の控除額は1,200万円です。
- 建物の課税価格=1,000万円-1,200万円=-200万円
モデルケース②では、控除額(1,200万円)が建物の価格(1,000万円)を上回るため、建物については不動産取得税がかかりません。
土地については、①「4万5,000円」または②「(1平方メートル当たりの固定資産税評価額÷2)×課税床面積×2×3%」の多い方の金額が税額控除されます。②の金額は次の通りです。
- ②=(2,000万円÷50÷2)×(60平方メートル×2)×3%=72万円
金額の多い②72万円を使って計算すると、土地に対する不動産取得税は次の通りです。
- 土地=(2,000万円÷2×3%)-72万円=-42万円
土地の税額も0円になるため、モデルケース②では、不動産取得税がまったくかかりません。
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まとめ:不動産取得税は高額になるため投資前に税額を確認しよう
不動産取得税は、不動産を取得したことに対して課される地方税です。納税額が高額になるケースもありますが、軽減措置や特例措置が適用されれば大幅に税額を抑えることもできます。
不動産取得税の軽減措置を受けるには、期限内に不動産の所在地を所管する都道府県税事務所に申告をしなければなりません。不動産投資を始める前に税額を確認し、不動産取得後は必ず期限内に申告しましょう。