ワンルーム投資では、家賃収入からローン返済のほかに、管理費、修繕積立金、賃貸管理手数料、固定資産税などが差し引かれ、費用の見積もりが甘いと、想定した利益が手元に残りません。
本記事では、ワンルーム投資のランニングコストを3つの周期に分けて、金額の目安と上がりやすい費用、家賃9万円の物件で年間いくらかかるかの試算、抑える方法まで解説します。購入前に確認する書類もチェックリストにしました。


ワンルーム投資のランニングコストは家賃の約3割が目安
ワンルーム投資のランニングコストとは、ローン返済とは別に、物件を持ち続けるあいだ払い続ける費用の総称で、家賃収入の20〜30%程度を見込む考え方が一般的です。
費用は、毎月払うもの、毎年払うもの、入退去や設備の更新で不定期に発生するものに分かれ、1つずつの金額が小さく見えても、積み上げると年間数十万円になります。
購入前の収支計算でローン返済だけを見ていると、毎月の手残りを過大に見積もり、空室や修繕が重なった年に持ち出しが発生する原因になります。
費用の全体像は、次の表のとおりです。
ローン返済を除いたランニングコストは、家賃収入の2〜3割が目安です。
| 周期 | 費用 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 毎月 | 管理費・修繕積立金 | 物件ごとに設定(管理組合が決定) |
| 毎月 | 賃貸管理手数料 | 家賃の3〜5%程度 |
| 毎年 | 固定資産税・都市計画税 | 評価額×1.4%、都市計画税は最大0.3% |
| 毎年 | 火災保険料 | 補償内容と期間で変動 |
| 毎年 | 所得税・住民税 | 不動産所得に応じて課税 |
| 不定期 | 原状回復費 | 2万〜9万円程度 |
| 不定期 | 入居者募集の広告料 | 家賃1〜2か月分 |
| 不定期 | 設備の交換費用 | エアコンや給湯器の故障時に発生 |
毎月かかる費用は管理費・修繕積立金・賃貸管理手数料
毎月必ず払う費用は、管理費、修繕積立金、賃貸管理手数料の3つで、空室でも管理費と修繕積立金は止まりません。管理費は、廊下やエントランスの清掃、エレベーターの保守、管理員の人件費など、共用部の維持に使われます。
修繕積立金は、外壁や屋上防水などの大規模修繕に備えて、管理組合が区分所有者から集めて積み立てる費用です。賃貸管理手数料は、入居者の募集、家賃の集金、クレーム対応を管理会社に任せる対価で、家賃の3〜5%程度が相場です。
毎年かかる費用は固定資産税・都市計画税・保険料
毎年かかる費用の中心は固定資産税と都市計画税で、納税通知書に従って年4回前後に分けて納めます。税額は、評価額に標準税率1.4%を掛けた固定資産税と、評価額に最大0.3%を掛けた都市計画税の合計で決まり、ワンルームでは年に数万円から数十万円になります。
火災保険料は、築年数や構造、補償内容で変わり、数年分をまとめて払う契約が多いため、年額に直して収支へ組み込みます。不動産所得が出る年は、所得税と住民税も費用として見込む必要があります。
不定期にかかる費用は原状回復・広告料・設備交換
入退去のたびに発生する原状回復費と広告料、設備の交換費用は、年額に均して積み立てておくと収支がぶれません。退去時の原状回復費は、クリーニングや壁紙の張り替えを含めて2万〜9万円程度が相場で、通常の使用による傷みや経年劣化の修繕は、オーナーの負担が原則です。
新しい入居者を募集する際は、仲介会社へ家賃1〜2か月分の広告料を払うのが一般的で、空室が長引くほど負担が重くなります。エアコンや給湯器の故障は、数万円から十数万円の突発的な出費になるため、毎月数千円を積み立てておくと安心です。
空室の期間も固定費は止まらない
空室の期間も、ローン返済、管理費、修繕積立金、固定資産税は毎月かかるため、家賃収入がゼロの月は費用が丸ごと持ち出しになります。1か月の空室で9万円の収入が消えるうえに、広告料として家賃1か月分の9万円がかかると、合計18万円が手元から減ります。
ワンルームは1室だけを持つ投資家が多く、空室になった瞬間に収入が全額止まる点が、複数戸を持つ場合との大きな違いです。数か月分の固定費と広告料に相当する現金を手元に残しておけば、空室が長引いても返済を止めずに済みます。
ワンルーム投資の管理費・修繕積立金はいくら?上がる理由と注意点
管理費と修繕積立金は、家賃が変わらなくても毎月払い続ける固定費で、値上がりすると収支に直接響くため、購入価格や利回りと並べて必ず確認する費用です。
ワンルームマンションは、専有面積が小さくても、エレベーターやオートロックなどの設備の有無によって、管理費と修繕積立金が物件ごとに大きく違います。
購入前に現在の月額を見るだけでなく、値上がりの予定と積立金の残高、滞納の有無まで確認しておくことが、将来の赤字や一時金の請求を避ける近道です。
管理費と修繕積立金に関わる論点を、全国の平均、新築の増額、積立金の不足、購入前の書類の順に、公的な調査の数字を交えて整理します。
修繕積立金は全国平均で月1万円台に達している
修繕積立金の月額は、全国の分譲マンションで1万円台に達していて、長期でみると上昇が続いています。国土交通省のマンション総合調査は、管理組合と区分所有者を対象に実施され、全国の分譲マンションの実態をつかむ基礎資料です。
ワンルームの修繕積立金は、全国平均より低い物件も高い物件もあるため、平均は比較の物差しとして使い、検討する物件の実額を重要事項調査報告書で確認しましょう。
令和5年度のマンション総合調査では、月/戸当たりの修繕積立金の平均が13,054円で、平成11年度の7,378円から約77%上がっています。
新築は段階増額で購入後に積立金が上がる
新築マンションでは、最初の修繕積立金を低く設定して数年ごとに引き上げる段階増額積立方式が広く使われ、購入時の月額は将来の金額を示していません。調査では、段階増額積立方式を採用する管理組合が全体の47.1%で、均等積立方式の40.5%を上回ります。
2015年以降に完成したマンションでは、段階増額積立方式の割合が81.2%にのぼります。国のガイドラインは、段階増額の初期額を均等積立の基準額の0.6倍以上とする目安を示しており、初期額が低い物件ほど将来の値上がり幅が大きくなる計算です。
築浅の物件を選ぶときは、現在の月額だけでなく、長期修繕計画に書かれた将来の増額時期と金額を確認しましょう。
積立金が計画に足りないマンションは珍しくない
修繕積立金の残高が長期修繕計画に対して不足しているマンションは、決して珍しくありません。不足分は、月額の値上げや、大規模修繕の前に区分所有者から集める一時金で補うのが一般的で、いずれもオーナーの負担増につながります。
一時金の額は工事の規模や戸数で変わるため、購入前に積立金の残高と修繕計画の資金計画を確認することが欠かせません。
令和5年度の調査では、残高が計画に対して不足しているマンションが36.6%、不足していないマンションが39.9%で、残りの23.5%は不明でした。
購入前は重要事項調査報告書と長期修繕計画を確認する
購入前には、重要事項調査報告書と長期修繕計画書を入手して、月額の推移と積立金の残高を確認します。重要事項調査報告書には、管理費と修繕積立金の月額、滞納額、積立金の残高、今後の値上げ予定の有無などが記載されます。
書類は、仲介会社を通じて管理会社へ依頼すれば取得できるため、売買契約の前に書面で受け取り、担当者の口頭説明だけで済ませないようにしましょう。
段階増額積立方式の修繕積立金は、購入時の月額から将来上がる前提で設計されています。
- 管理費と修繕積立金の月額、過去の改定履歴
- 修繕積立金の残高と積立方式(均等か段階増額か)
- 長期修繕計画の期間と、次回の大規模修繕の予定時期
- 一時金を徴収する予定の有無
- 管理費と修繕積立金の滞納額
ワンルーム投資の賃貸管理手数料・募集費用はいくら?管理会社に払う費用
管理会社に払う費用は、毎月の賃貸管理手数料と、入居者を募集するときの広告料などに分かれ、委託する範囲と契約の形式によって、実際に手元に残る家賃が大きく変わります。
ワンルーム投資は、会社員が本業の傍らで運営する例が多く、入居者対応や設備トラブルへ自分で動く時間をとれないため、管理会社へ委託するのが一般的です。
費用と手間のバランスを考えるうえで、手数料の相場と契約の違いを知っておくことが、収支の見積もりの精度を上げます。
管理方式ごとの費用の違いは、次の表のとおりです。
広告料の「AD100」は家賃1か月分、「AD50」は家賃0.5か月分の報酬を意味します。
| 管理方式 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 賃貸管理委託 | 入居者募集、家賃の集金、クレーム対応、退去立会い | 家賃の3〜5%程度 |
| 自主管理 | すべてオーナー自身が対応 | 手数料は不要、手間と対応力が必要 |
| サブリース(家賃保証) | 管理会社が借り上げて入居者へ転貸 | 家賃の一部が差し引かれる(契約で確認) |
賃貸管理手数料は家賃の3〜5%が相場
賃貸管理手数料は家賃の3〜5%程度が相場で、家賃9万円の物件なら月2,700〜4,500円、年間で約3万2,400円〜5万4,000円です。手数料の範囲は、入居者の募集、家賃の集金と送金、更新手続き、退去立会い、クレーム対応などで、会社ごとに含まれる業務が違います。
手数料が安くても、入居者募集や設備の手配が別料金になる契約もあるため、見積もりは業務範囲まで含めて比べましょう。
サブリースは保証額から管理会社の取り分が引かれる
サブリースは空室でも一定の家賃が入る反面、保証額が実際の家賃より低く設定され、差額が管理会社の収益になる仕組みです。契約には家賃の見直し条項が設けられるのが一般的で、数年ごとに保証額が下がり、当初の想定どおりの収入が続かない場合があります。
契約前に、保証額の見直し時期、解約の条件、免責期間の有無を契約書で確認し、事業者の説明だけで判断しないようにしましょう。
入居者募集の広告料は家賃1〜2か月分
入居者を募集するときの広告料は、家賃の1〜2か月分が一般的で、空室が出るたびに発生する不定期の費用です。広告料は、客付けをした仲介会社へ成約時に支払う報酬で、家賃9万円の物件では1か月分なら9万円、2か月分なら18万円かかります。
広告料は、募集条件を良くして早く入居者を決める手段にもなりますが、物件の競争力が低い場合は、家賃の見直しとの比較で判断する必要があります。入居期間が短いほど年換算の負担が重くなるため、更新時の家賃据え置きや設備の不具合への迅速な対応で、入退去の回数を減らしましょう。
ワンルーム投資の固定資産税・都市計画税・所得税はいくら?税金のランニングコスト
税金のランニングコストには、毎年納める固定資産税と都市計画税、家賃収入にかかる所得税と住民税があり、物件を持つ限り避けられない費用です。
固定資産税と都市計画税は、自治体が評価した建物と土地の評価額に税率を掛けて決まり、毎年1月1日時点の所有者に対して納税通知書が送られます。
家賃収入から経費を引いた不動産所得には、給与所得などと合算して所得税と住民税がかかるため、課税される所得額によって負担は人ごとに異なります。
税金の種類と計算の基準は、次の表のとおりです。
固定資産税は1月1日時点の所有者に課され、所得税と住民税は家賃収入が出た翌年に納めます。
| 税金 | 計算の基準 | 納める時期 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 評価額×標準税率1.4% | 納税通知書に記載の期限(年4回前後) |
| 都市計画税 | 評価額×最大0.3%(市街化区域内) | 固定資産税と同時 |
| 所得税 | 不動産所得を給与所得などと合算して累進課税 | 翌年2〜3月の確定申告 |
| 住民税 | 前年の所得に応じて課税(税率は約10%) | 翌年6月以降 |
固定資産税と都市計画税は評価額に税率を掛けて決まる
固定資産税は評価額に標準税率1.4%、都市計画税は評価額に最大0.3%を掛けて決まり、ワンルームでは年間数万円から数十万円の負担になります。評価額は購入価格ではなく、自治体が建物の再建築価格と土地の価格から計算するため、購入価格より低くなるのが一般的です。
都市計画税は市街化区域内の土地や建物にかかる税で、市街化調整区域などでは課されない場合があります。正確な税額は、売主から渡される納税通知書で確認し、購入年の日割り精算の金額も収支へ反映しましょう。
新築の減額はワンルームの多くで使えない
新築住宅の固定資産税を軽減する制度には床面積の要件があり、20㎡台が中心のワンルームは対象外になりやすいのが実情です。新築の戸建てや分譲住宅の購入では、一定期間、固定資産税が2分の1になる軽減が受けられます。
賃貸用のワンルームには適用されない場合が多く、築浅の物件でも通常の税額が最初の年から課されるため、購入前の収支シミュレーションは軽減なしの税額で計算するのが安全です。
新築住宅の固定資産税の減額は、貸家の共同住宅なら1戸40㎡以上280㎡以下が要件で、税額が2分の1になります。25㎡のワンルームは対象外です。
家賃収入には所得税と住民税がかかる
家賃収入から経費を引いた不動産所得は、給与所得などと合算して課税され、会社員は確定申告で所得税と住民税を精算します。不動産所得は、家賃収入から管理費、修繕積立金、固定資産税、保険料、減価償却費などの必要経費を差し引いて計算します。
赤字の場合は、給与所得との損益通算で税金が減る場合があります。損益通算で税金が戻ってきても、キャッシュフローが赤字である事実は変わらないため、節税効果を理由に赤字の物件を選ぶのは避けましょう。
家賃9万円のワンルームで年間いくらかかる?ランニングコストの試算
ランニングコストを実際の数字でつかむために、家賃9万円のワンルームを例にして、毎月と毎年と不定期の費用を年額に直して集計します。
前提の金額は、国土交通省の調査の平均値と一般的な相場を基に置いた仮定で、実際の物件では管理費、修繕積立金、税額が大きく異なります。
試算の結果は、次の表のとおりです。
原状回復費と広告料は、3年に1回の退去を仮定して年額に換算しています。
| 費用 | 月額 | 年額 | 家賃収入に対する割合 |
|---|---|---|---|
| 管理費 | 7,000円 | 84,000円 | 7.8% |
| 修繕積立金 | 8,000円 | 96,000円 | 8.9% |
| 賃貸管理手数料(家賃の5%) | 4,500円 | 54,000円 | 5.0% |
| 固定資産税・都市計画税 | 5,000円 | 60,000円 | 5.6% |
| 火災保険料 | 1,250円 | 15,000円 | 1.4% |
| 原状回復費・広告料(3年に1回の退去) | 約3,900円 | 約46,700円 | 4.3% |
| 合計 | 約29,600円 | 約355,700円 | 約33% |
試算の前提は家賃9万円・満室・3年に1回の退去
試算の前提は、家賃9万円、管理費7,000円、修繕積立金8,000円、賃貸管理手数料は家賃の5%、固定資産税等は年6万円、退去は3年に1回です。原状回復費は5万円、広告料は家賃1か月分の9万円と置き、合計14万円を3年で割って年額に換算しました。
ローン返済は借入額や金利で大きく変わるため、ランニングコストには含めず、別に計算して手残りを求めます。空室の期間は含めておらず、実際には空室による収入減が上乗せされる点に注意が必要です。
年間のランニングコストは家賃収入の約3分の1
毎年のランニングコストは家賃収入の約3分の1にあたり、購入後に減らしにくい固定的な支出が中心を占める試算です。費用の内訳では、管理費と修繕積立金の合計が年間18万円で、ランニングコスト全体の約半分を占めます。
管理費と修繕積立金は、購入後にオーナーが自分で減らしにくい固定的な支出です。ローン返済を加えると、借入額によっては手残りがマイナスになるため、購入前に月々の返済額を差し引いた収支を、複数の金利で計算しましょう。
家賃収入108万円からランニングコスト約35.6万円を引くと、ローン返済の前に手元へ残る金額は約72.4万円です。
空室3か月と家賃5%下落が重なると手残りが減る
空室が年に3か月あると家賃収入が27万円減り、家賃が5%下がると年間で5万4,000円減るため、ランニングコストが同じでも手残りは大きく変わります。仮に両方が重なると、年間の家賃収入は約108万円から約77万円まで減ります。
ランニングコスト約35.6万円を引いた残りは、ローン返済の前で約41万円になる計算です。ローン返済が年間41万円を超える場合は、試算の条件で持ち出しが出るため、空室と家賃下落を織り込んだ複数のシナリオで確認しましょう。
ワンルーム投資のランニングコストを抑える方法
ランニングコストのうち、管理費、修繕積立金、固定資産税は購入後にオーナーが変えにくく、見直せるのは入居期間、管理会社の手数料、保険料、経費の計上漏れが中心です。
抑えられる金額は1件あたり年に数千円から数万円でも、10年、20年と続けば数十万円の差になるため、早い段階で見直しておく価値があります。
費用を削る際に、必要な修繕や入居者対応の質を落とさないよう、削る費用と守る費用を分けて考えましょう。
9万円の物件で見直したときの効果の目安は、次の表のとおりです。
空室を1か月短くする効果は、家賃9万円の物件で約9万円です。管理手数料を1〜2%引き下げる効果より、大きな金額になります。
| 見直す項目 | 効果の目安(家賃9万円) |
|---|---|
| 空室を1か月短くする | 約9万円(家賃1か月分) |
| 賃貸管理手数料を5%から3%へ下げる | 年約2万1,600円 |
| 退去を3年に1回から4年に1回へ減らす | 年約1万1,700円 |
| 経費の計上漏れを防ぐ | 所得税率に応じて税額が減る |
入居期間を延ばして入退去のコストを減らす
ランニングコストの中で最も効果が大きいのは、入居期間を延ばして、空室と広告料、原状回復費の発生回数を減らすことです。退去を3年に1回から4年に1回に減らせば、広告料と原状回復費を年額に換算した負担が約1万1,700円下がり、空室になる月も減ります。
更新時の家賃据え置きや、エアコンや給湯器の不具合への早い対応は、入居者が引っ越す理由を減らし、長く住んでもらう効果があります。管理会社に退去理由を報告してもらい、家賃や設備に原因があれば改善しましょう。
管理会社の手数料と業務範囲を見直す
賃貸管理手数料を家賃の5%から3%へ下げられれば、家賃9万円の物件で年間約2万1,600円を減らせます。ただし、手数料を下げた分だけ入居者対応や設備の手配が簡略化されるリスクがあるため、手数料の安さだけで管理会社を乗り換えないことが大切です。
複数社の見積もりを取って、募集力と対応の速さを合わせて比べましょう。業務範囲を比べるときは、入居者募集の広告料や設備手配の手数料が別料金かどうかも、必ず確認してください。
火災保険は補償内容と契約期間を見直す
火災保険は、補償内容、契約期間、免責金額を見直すと、保険料を抑えられる場合があります。賃貸に出すワンルームでは、専有部分の内装と設備、入居者への賠償責任への補償が必要になるため、削りすぎないことが前提です。
専有部分の内装と設備は、管理組合が加入する保険では補償されないため、自分で加入する火災保険の補償範囲を、契約書で確認してください。数年分をまとめて払うと割引になる契約もあり、補償の範囲を落とさずに年間の保険料を下げられる場合があります。複数社の見積もりを取って、補償内容と保険料を並べて比べましょう。
経費の計上漏れを防いで所得税と住民税を減らす
管理費、修繕積立金、賃貸管理手数料、固定資産税、火災保険料は、いずれも不動産所得の必要経費になるため、計上漏れは税負担の増加に直結します。賃貸に関する交通費や税理士への報酬も、経費にできる場合があります。
領収書や請求書は年間を通じて整理しておき、確定申告の時期に集計できるようにしておきましょう。不動産専用の口座を作ると、入出金の記録が収支表の元データになり、計上漏れを防げます。
ワンルーム投資で購入前に確認するランニングコストのチェックリスト
ランニングコストは、購入前の書類で、管理費、修繕積立金、税額、管理会社の契約条件をそろえて確認すれば、ほぼ数字でつかめます。
一方で、仲介会社の収支シミュレーションには、広告料、原状回復費、設備交換、将来の値上げが含まれていない例もあるため、自分で数字を足して確かめる必要があります。
確認する書類と項目は、次のとおりです。
- 重要事項調査報告書:管理費・修繕積立金の月額、滞納、改定予定、積立金の残高
- 長期修繕計画書:次回の大規模修繕の時期、見込み額、積立方式
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書:直近の年額
- 賃貸管理委託契約書:手数料の割合、業務範囲、解約条件
- 賃貸借契約書と家賃の履歴:契約期間、更新条件、過去の空室期間
- 火災保険の見積書:補償内容と保険期間
販売会社の収支シミュレーションに入っていない費用を足す
販売会社の収支シミュレーションは、広告料、原状回復費、設備交換、将来の値上げを含まない前提で作られている場合があるため、自分で費用を追加して再計算します。追加する費用の目安は、家賃9万円の物件で、広告料と原状回復費を年額に直した約4.7万円です。
設備交換の積立としての月数千円と、修繕積立金の値上げ分も加えます。シミュレーションの前提が空欄の場合は、担当者に質問して書面で回答をもらい、前提を比べられる状態にしましょう。
家賃の下落と空室を保守的に置いて収支を確かめる
収支の確認は、家賃の下落と空室の期間を保守的に置いて、悪い年でも返済と費用を賄えるかで判断します。過去の家賃推移と、近隣の同条件の募集賃料を比べ、築年数が進むほど家賃が下がる前提で、5年後と10年後の家賃を試算しておきましょう。
空室の期間は、過去の入居履歴を管理会社から取り寄せて実際の期間を確認し、年に1〜2か月は空く前提で組むのが安全です。管理会社には、退去理由と募集から成約までの期間も確認し、空室が長引く傾向がないかを見極めましょう。
悪い年でも黒字を保てる計画なら、金利の上昇や設備の故障が重なっても、慌てずに対処できます。
予備資金を残してから購入する
購入前には、空室や設備故障に備えて、数か月分のローン返済と固定費に相当する現金を、頭金とは別に残しておくことが重要です。頭金や手元資金を使い切ってしまうと、入居者が決まらない月の返済を給与から補うことになり、家計を圧迫します。
予備資金が少ない状態で購入すると、設備の故障や空室が重なったときに、売却を急ぐ判断に追い込まれ、安く手放して損失が確定する恐れがあります。
予備資金の目安は、月のローン返済と固定費の合計の6か月分程度で、物件の空室リスクや自分の収入の安定度に合わせて調整しましょう。
まとめ|ワンルーム投資のランニングコストは年間で積み上げて確認する
ワンルーム投資のランニングコストは、毎月かかる費用、毎年かかる費用、不定期にかかる費用に分けて把握し、家賃収入の約3割を見込むのが目安です。
家賃9万円の試算では、年間約35.6万円がかかり、管理費と修繕積立金の合計が約半分を占めるため、購入前に2つの金額と将来の値上げ予定を書類で確認することが重要です。
ローン返済、空室、家賃下落を加えると手残りが大きく変わるので、複数のシナリオで収支を計算し、数か月分の固定費に相当する予備資金を残して判断しましょう。
確認のポイントは、次の3つです。
- 管理費・修繕積立金の月額、残高、増額予定を書類で確認する
- 広告料・原状回復費・設備交換を年額にして収支へ足す
- 空室と家賃下落を入れた収支で、返済を続けられるか確かめる
購入の判断は、担当者の説明だけでなく、自分で作った収支表で行いましょう。










