日本証券業協会の調査によるとNISAの口座数は年々増加傾向にあり、投資を始める人が増えています。しかし、手元の資金が十分でないまま投資を始めると、万が一の際に困るかもしれません。そのため、投資を始める前に生活防衛資金を貯めておくことが重要です。
本記事では生活防衛資金の概要を解説した上で、世帯別の生活防衛資金の目安もご紹介します。これから投資を始める人は、本記事を参考にしながら、まずは生活防衛資金を確保しましょう。
生活防衛資金とは万が一に備えて貯めておくお金のこと
生活防衛資金とは、万が一の際の支出に備えて投資に回さずに貯めておくお金のことをいいます。
人生には、失業や突然の病気・ケガによる入院、さらに災害などさまざまなリスクがあり、予測できないことが起こるかもしれません。これらのリスクに直面すると、収入が減る可能性があるほか、予想外の支出がかさんで当面の生活費にも困るでしょう。そのような時に、生活防衛資金があれば当面の生活費として活用でき、金銭的な不安を軽減できます。
仮に手元の資金を全て投資に回してしまった場合、運用実績次第では資金を全て失うことにもなりかねないため、投資を始める際には、生活防衛資金は必ず確保しておきたいものです。
なお、生活防衛資金は貯蓄とは別に管理するべきだといわれています。貯蓄はマイホームの購入や旅行などを目的として用意するお金です。一方の生活防衛資金は「万が一の事態に対応するためのお金」ですので、貯蓄とは目的が異なります。
ライフプランに影響を及ぼさないためにも、貯蓄とは別に生活防衛資金をしっかりと準備しておきましょう。
【世帯別】生活防衛資金の目安
万が一の事態に備えて準備すべき生活防衛資金の金額は、家族構成などに応じて必要額が異なります。また、毎月の生活費を考慮した金額の生活防衛資金を準備することで、いざというときに慌てずに済むでしょう。
世帯別の生活防衛資金の目安は以下の通りです。
独身の場合
独身や一人暮らしの場合は、生活費の3~6ヶ月分が生活防衛資金の目安と考えましょう。単身者は、収入のすべてを自分だけで使えるという特徴があるほか、家族にかかるお金が必要ないため、突発的なリスクに遭遇しても生活を立て直しやすいと言われています。
総務省統計局の2021年の家計調査報告によると、2021年の単身世帯の消費支出の月平均額は155,046円であり、約45~90万円程度を生活防衛資金として準備しておくと安心です。
参考:総務省統計局「家計調査報告[家計収支編]2021年(令和3年)平均結果の概要(PDF)」
夫婦2人の場合
夫婦2人の場合は、独身と比べて準備すべき金額が大きくなります。夫婦2人の世帯も生活費の3~6ヶ月分が生活防衛資金の目安であり、家計調査報告による消費支出の平均が279,024円であることを考えると約85~170万円程度の資金を貯めておくことが望ましいです。
ただし、夫婦2人の場合は共働きかどうかによっても生活防衛資金の金額に差が生じるため、収入と支出を確認した上で適切な生活防衛資金の金額を決めましょう。
子供がいる場合
子供にかかる費用や教育費を削ることは難しく、子供がいる世帯はしっかりと生活防衛資金を確保しておく必要があります。子供がいる世帯の生活防衛資金の目安は生活費の6ヶ月~1年分で、夫婦二人以上世帯の生活費を元に計算すると170~340万円程度です。
生活防衛資金の金額を決める上では、子供の年齢や人数も考慮し、教育費や生活費がかさむことが予想される場合は多めに生活防衛資金を準備すると万が一の際にも当面の生活に困ることはないでしょう。
生活防衛資金を無理なく貯めるにはどうすればいい?
いざというときのために普段から生活防衛資金を準備しておくことが大切ですが、目標額によってはすぐに準備できないかもしれません。そこで、生活防衛資金を貯める以下の4つの方法を確認した上で、無理なく実践できる方法で生活防衛資金を確保しましょう。
方法1:毎月少しずつ積み立てる
毎月少しずつ積み立てていくことで、生活防衛資金を確実に貯めることができます。例えば、毎月の給与から一定額を生活防衛資金として先取りすると生活防衛資金が徐々に貯まっていきます。
生活防衛資金用の専用口座を作って普段の生活費とは別の口座に生活防衛資金を準備すると良いでしょう。
方法2:ボーナスから一括で貯める
毎月少しずつ積み立てる方法も有効ですが、目標とする生活防衛資金を貯めるにはある程度の時間が必要です。そこで、ボーナスを生活防衛資金に充当すると数十万~百万円といった大きな金額をすぐに準備できます。
なお、ボーナスの全額を生活防衛資金とする必要はなく、半分だけ生活防衛資金にするだけでも目標とする生活防衛資金を貯めるスピードは格段にアップします。
方法3:収入を増やす
「いまの給与では生活防衛資金に回すお金の余裕がない」と考える人もいるでしょう。そこで、副業で収入を増やして生活防衛資金に充当するお金を確保する方法もおすすめです。最近は副業を解禁する企業も増え、スキルや知識を活かしてさらにお金を稼ぐチャンスはたくさんあります。
ただし、中には副業を禁止している企業もあるため、副業を始める前には就業規則を必ず確認しましょう。
方法4:支出を減らす
収入を増やしながら支出内容も見直すことで、さらに効率良く生活防衛資金を貯めることができます。住居費や保険料は毎月定額を支払っていることが多く、例えば不要な生命保険を解約するだけでも生活防衛資金にいくらか回すことができるでしょう。
無駄な支出がないか確認するために、家計簿を利用するなどして毎月の収支は常に確認しておくことが大切です。
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生活防衛資金に関する3つの注意点
生活防衛資金を貯めることは大切ですが、貯める上でいくつか注意点があります。自分の世帯に応じた適切な生活防衛資金をしっかりと準備するためにも、生活防衛資金に関する以下の3つの注意点は必ず確認しましょう。
注意点1:リスクのある方法で貯めない
生活防衛資金は余剰資金を元に準備するお金であり、投資を利用して貯めることは避けましょう。投資は大きな利益を得られる可能性がある反面、場合によっては投資資金の全てを失うことも考えられます。
そのため、生活防衛資金を貯めるために、投資などリスクのある方法を用いるのは避け、手元の余剰資金を生活防衛資金に回しましょう。
注意点2:少額から始める
生活防衛資金を貯めることを意識しすぎる余り、毎月の収支バランスが崩れるという状況は避けましょう。生活防衛資金は家族構成や収入によって異なり、毎月準備できるお金もさまざまです。まずは自分自身のペースで少額から生活防衛資金の準備を始めましょう。
その際には、家計や収支のバランスを加味し、生活に大きな影響を与えることなく続けられる金額を積み立てることが重要です。
注意点3:投資を始めるタイミングを決めておく
投資を始めるために生活防衛資金を貯める人は、事前にいつ投資を始めるのかタイミングを決めておきましょう。生活防衛資金を貯めることに注力するあまり、投資を始めるタイミングを見失うと投資機会の損失となり、資産形成やライフプランにも影響が出かねません。
また、どのような投資方法を利用するかについても予め検討しておくと、生活防衛資金が貯まった時点でスムーズに投資を始められます。
生活防衛資金が貯まったらスタートしたい投資方法3選
生活防衛資金が貯まれば、それぞれの投資方法の特徴を理解した上で早速投資を始めようと考える人も多いでしょう。しかし、投資の種類や詳細を知らずに始めると、大きな失敗につながりかねません。
ここでは、投資信託や不動産投資、株式投資について解説します。投資初心者が知っておくべき知識ですので、ぜひ確認してください。
投資信託
ファンドと呼ばれることもある投資信託は、投資家から集めたお金を資金として、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品のことをいいます。元本は保証されていないものの、少額でも始められ、さまざまな国や資産に投資できる点がメリットです。
投資信託に組み込まれている資産は、国内外の債券や株式、不動産などさまざまな種類があり、投資信託を利用することで必然的に投資先が分散されます。過去に投資の経験がない人や、できるだけリスクを小さくしたい人におすすめの投資方法です。
不動産投資
アパートやマンションといった不動産を購入し、運用することで利益を得る投資を不動産投資といいます。入居者がいる限り長期的に安定した収益が見込めるため、幅広い層から注目されている投資方法です。
不動産投資では、新築か中古か、マンションかアパートかといった選択肢があり、選べる物件も多岐にわたります。中でもワンルームマンション投資はマンションの1室を購入して家賃収入を得る方法で、単身者向けのマンションを選ぶと少ない予算で不動産投資を始めることができます。
ただし、空室ができると家賃収入は減ってしまうほか、突発的な修繕などで出費がかさむリスクがあるため、資金計画を投資前にしっかりと練る必要があります。
株式投資
株は、将来性が期待できる企業や、良いサービスや商品を提供している企業の株を購入して応援することでさまざまな利益を得る投資方法です。
ある企業の株を購入する人、したい人が増えれば、1株あたりの株価が上がるため、利益を得ることができます。株は自由に売買できる金融商品のため、購入したときよりも株価が値上がりしたタイミングで売却すれば、キャピタルゲインと呼ばれる売買差益が期待できます。
また、企業が配当金を株主に還元することもあるほか、自社サービスの割引券や自社商品がもらえる株主優待が用意されている銘柄もあります。身近な企業や気になる企業の業績や将来性を考慮し、少額から株式投資を始めてみましょう。
まとめ:投資を始める前に、生活防衛資金を確保して万が一に備えよう
生活防衛資金の目安や貯め方を解説しました。生活防衛資金は家族構成や収入に応じて異なります。無理のない方法で確実に準備することが大切です。
投資を始める前には生活防衛資金を確保した上で、投資信託や不動産投資などご自身に合う方法を選んで投資を始めましょう。