投資用マンションを買ったのに、毎月の家賃ではローン返済や管理費を賄えず、給与から数万円を補っている人は少なくありません。持ち出しが続くと、家計を圧迫するだけでなく、売却の判断や次の投資の融資審査にも影響するため、仕組みを理解して早めに対処することが重要です。
本記事では、持ち出しが生まれる仕組みを家賃9万円の物件で試算し、原因、購入前に確認する計算方法、減らす方法、税金との関係、続けるか売るかの判断基準までを解説します。


投資用マンションの持ち出しとは?毎月の手出しが生まれる仕組み
投資用マンションの持ち出しとは、家賃収入だけでは毎月のローン返済と費用を払えず、不足分を給与や貯蓄から補う状態を指し、手出しやマイナスのキャッシュフローとも呼ばれます。
毎月の収支は、家賃収入からローン返済、管理費、修繕積立金、賃貸管理手数料、税金や保険料の月額換算を引いて求めるため、ローン返済が大きいほど赤字になりやすくなります。
都心のワンルームは価格が高く利回りが低いため、フルローンで買うと、家賃より返済と費用の合計が大きくなる例が珍しくありません。
家賃9万円の物件で毎月の収支を試算すると、次の表のようになります。
家賃9万円でも、返済と費用の合計が約11.2万円なら、毎月約2.2万円の持ち出しです。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 家賃収入 | +90,000円 |
| ローン返済(2,500万円・35年・金利2.0%) | −82,800円 |
| 管理費・修繕積立金 | −15,000円 |
| 賃貸管理手数料(家賃の5%) | −4,500円 |
| 固定資産税・都市計画税(月額換算) | −5,000円 |
| 火災保険料(月額換算) | −1,250円 |
| 原状回復費・広告料(3年に1回の退去で月額換算) | −3,900円 |
| 毎月の収支 | 約−22,500円(年間約−27万円) |
持ち出しは家賃からローン返済と費用を引いた不足額
持ち出しの額は、家賃収入からローン返済と毎月の費用を引いた不足額で決まり、家賃を上げるか、返済と費用を下げない限り、毎月同じ金額が出ていきます。試算では、ローン返済が約8.3万円、費用が約3.0万円で、支出は約11.2万円となり、家賃9万円との差の約2.2万円が不足します。
年間では約27万円になり、10年続けば約270万円を給与や貯蓄から補う計算です。持ち出しの額は物件ごとに違うため、購入前に自分で計算しましょう。
元本の返済分は持ち出しでも純資産の増加にあたる
毎月の返済には元本の返済が含まれるため、持ち出しがあっても、ローン残高が減る分だけ純資産が増える面があります。10年後のローン残高は約1,954万円で、約546万円の元本を返済した計算です。
ただし、物件価格が購入後に下がると、元本を返しても資産価値が目減りするため、ローン残高と査定額の差が重要になります。
試算の1年目は、返済のうち元本が約49.8万円、利息が約49.5万円で、年間の持ち出し約27万円を元本の返済額が上回ります。
持ち出しがあること自体より、期間と上限を決めないことが危険
持ち出しがあること自体は誤りではありませんが、持ち出しが続く期間と総額を決めずに保有すると、家計が耐えられなくなる危険があります。持ち出しを許容できる条件は、次の3つがそろっている場合です。
- 給与収入が安定し、持ち出しを毎月補っても生活費に影響しない
- 生活防衛資金とは別に、空室や修繕に備える現金がある
- 売却して残債を返せる見通しがあり、出口を決めている
投資用マンションで持ち出しが生まれる4つの原因
持ち出しは、購入価格に対して家賃が低いことに加えて、管理費と修繕積立金の上昇、空室や家賃の下落、金利の上昇によって、購入後に大きくなる場合があります。
原因ごとの影響は、家賃9万円の試算物件で数字にすると、規模の違いがはっきり分かるため、購入前にどの原因が自分の物件に当てはまるかを確認できます。
原因ごとの影響の大きさは、次の表のとおりです。
試算の物件では、ローン返済が家賃の約92%を占めています。
| 原因 | 試算での影響 |
|---|---|
| フルローンの返済 | 返済額が家賃の約92%を占め、費用を払うと赤字になる |
| 修繕積立金が月3,000円上昇 | 年間3.6万円の負担増 |
| 空室が3か月続く | 年間27万円の収入減 |
| 金利が1%上昇 | 月約1.3万円(年約16万円)の返済増 |
購入価格に対して家賃が低く、フルローンの返済が重い
購入価格に対して家賃が低い物件は、返済額が家賃に近づくため、費用を払うと必ず赤字になり、フルローンで買うほど赤字幅が広がります。都心のワンルームは、立地の評価が価格に反映されて利回りが低くなりやすく、表面利回りが4%台でも、費用を引いた実質利回りは2%台に下がります。
借入金利が実質利回りを上回ると、返済が収益を食いつぶすため、利回りと金利の差を購入前に確認する必要があります。
管理費と修繕積立金が購入後に上がる
管理費と修繕積立金は、購入後に値上がりする場合があり、家賃が変わらなければ値上がり分が丸ごと持ち出しの増加になります。国土交通省のマンション総合調査では、修繕積立金の月額の平均が平成11年度の7,378円から令和5年度の13,054円へ上がり、新築では段階増額積立方式が多く採用されています。
修繕積立金が月3,000円上がれば、年間で3万6,000円の負担増になるため、購入前に長期修繕計画の増額予定を確認しましょう。
空室と家賃の下落で収入が減る
空室が出ると家賃収入がゼロになる一方で、ローン返済と管理費は止まらないため、数か月の空室でも持ち出しが一気に膨らみます。試算の物件で3か月の空室が出ると、家賃27万円が入らないため、1年間の持ち出しは約27万円から約54万円に増えます。
築年数が進むと募集家賃が下がる傾向もあり、同じ部屋でも家賃が下がれば、返済額が変わらない分だけ持ち出しは増えます。下落幅は、周辺の同条件の募集賃料の推移から確認でき、過去の募集履歴を管理会社に尋ねると、購入前に下落の傾向をつかめます。
金利が上がると返済額が増える
変動金利でローンを組んでいる場合は、金利が上がると返済額が増え、家賃が変わらなければ増えた分だけ持ち出しが膨らみます。試算の物件で金利が2.0%から3.0%に上がると、月の返済額は約8.3万円から約9.6万円へ約1.3万円増え、毎月の収支は約−3.6万円になります。
金利が4.0%まで上がると、月の返済額は約11.1万円になり、家賃9万円を大きく上回るため、金利の上昇余地を購入前に試算する必要があります。
投資用マンションの持ち出しを購入前に計算する方法
持ち出しは、購入後に発覚するものではなく、購入前に家賃、返済額、費用の数字がそろえば、ほぼ正確に計算できるため、契約の前に自分の手で確認しておくことが欠かせません。
販売会社のシミュレーションは、費用や空室の前提が甘い場合があり、数字を信じて購入すると、想定より大きな持ち出しが発生する恐れがあります。
計算に必要な数字は、次の5つです。
持ち出しの計算には、家賃、返済額、費用の3つの数字があれば足ります。
- 家賃:同じ条件の募集賃料と、過去の入居履歴で根拠を確認した金額
- ローン返済額:借入額、金利、返済期間から計算した月額
- 管理費と修繕積立金:重要事項調査報告書に記載された月額と増額予定
- 固定資産税と火災保険料:納税通知書と保険の見積書の年額
- 入退去の費用:原状回復費と広告料を、退去の頻度で割った月額
毎月のキャッシュフローは家賃から返済と費用を引いて求める
毎月のキャッシュフローは、家賃収入からローン返済と費用の月額換算を引いて求め、販売会社の資料ではなく、自分で集めた数字で計算します。費用は、管理費と修繕積立金のように毎月払うものだけでなく、固定資産税、火災保険料、入退去の費用を、年額から月額に直して含めます。
家賃は、募集中の同じ条件の部屋の賃料や、過去の入居履歴から根拠を確認し、満室を前提にせず、年に1〜2か月の空室を織り込んで計算しましょう。
損益分岐の家賃を求めると買ってよいか判断できる
持ち出しがゼロになる損益分岐の家賃を求めると、相場の家賃との差が分かり、買ってよい物件かを数字で判断できます。試算の物件は、損益分岐の家賃が相場より約2.2万円高く、家賃が約25%上がらない限り、持ち出しは消えません。
損益分岐を下回る家賃が続く物件は、毎月持ち出しが出るため、頭金を入れるか、購入を見送る判断が必要です。
損益分岐の家賃は、毎月のローン返済と毎月の費用の合計で求めます。試算では、約82,800円と約29,650円を足した約112,450円です。
金利上昇と空室を別々に試算して現金で賄えるか確認する
購入前には、金利が1%上がった場合と、空室が3か月続いた場合を別々に試算し、どちらの場合でも手元の現金で持ち出しを賄えるかを確認します。試算の物件は、金利が3.0%に上がると毎月約3.6万円、空室が3か月続く年は年間約54万円の持ち出しになります。
現金に余裕がなければ、購入は避けるのが安全です。余裕の目安は、年間の持ち出しの数年分を、生活防衛資金とは別に確保できることです。
投資用マンションの持ち出しを減らす方法
持ち出しを減らす方法は、借入額を減らす、返済額を下げる、家賃と費用を見直す、繰上返済を使うの4つがあり、物件や資金の状況に合わせて、効果の大きいものから組み合わせるのが現実的です。
効果の大きさは、家賃9万円の試算物件で比べると分かりやすく、頭金と借換えが毎月の返済額を直接下げるため、家賃や費用の見直しより金額が大きくなります。
方法ごとの効果は、次の表のとおりです。
試算の物件で頭金250万円を入れると、毎月の持ち出しは約2.2万円から約1.4万円に下がります。
| 方法 | 毎月の効果 | 年間の効果 |
|---|---|---|
| 頭金250万円を入れる(借入2,250万円) | 約8,300円 | 約9.9万円 |
| 金利を2.0%から1.5%へ借り換える | 約6,300円 | 約7.5万円 |
| 家賃を3,000円上げる | 3,000円 | 3.6万円 |
| 賃貸管理手数料を5%から3%へ下げる | 1,800円 | 約2.2万円 |
頭金を入れて借入額を減らす
頭金を入れて借入額を減らすと、毎月の返済額が下がり、持ち出しを直接小さくできます。試算の物件で頭金250万円を入れて借入額を2,250万円にすると、月の返済額は約8.3万円から約7.5万円へ約0.8万円下がり、毎月の収支は約−1.4万円になります。
頭金が多いほど毎月は楽になりますが、手元の現金が減るため、空室や修繕に備える予備資金は別に残しておく必要があります。
返済期間と金利を見直す
返済期間の延長や、金利の低いローンへの借換えで、毎月の返済額を下げて持ち出しを減らす方法があります。試算の物件で金利を2.0%から1.5%へ下げられれば、月の返済額は約8.3万円から約7.7万円へ約0.6万円下がります。
返済期間の延長は、毎月の返済額を下げる一方で、総返済額と完済年齢が上がるため、借換え時の手数料と合わせて、全体の損得を計算しましょう。
借換えの審査では、物件の担保評価と本人の収入が確認され、築年数が進んだ物件ほど、希望した条件で借り換えられない場合があります。
家賃と費用を見直して収支を改善する
更新時や空室時に募集家賃を相場に合わせて見直し、管理会社の手数料や保険料を比べることで、毎月の収支を少しずつ改善できます。家賃を月3,000円上げられれば年3.6万円の改善、賃貸管理手数料を家賃の5%から3%に下げられれば年約2.2万円の改善になります。
ただし、家賃を上げすぎると空室が長引き、かえって収入が減るため、周辺の募集賃料と比べて判断しましょう。
管理会社の変更を検討するときは、手数料の安さだけでなく、入居者の募集力や家賃回収の実績も比べると、空室の増加による損失を避けられます。
繰上返済は期間短縮型と返済額軽減型を使い分ける
繰上返済には、返済期間を短くする期間短縮型と、毎月の返済額を減らす返済額軽減型があり、持ち出しを減らすなら返済額軽減型が向いています。期間短縮型は総返済額の軽減効果が大きい一方で、毎月の返済額は変わらないため、毎月の持ち出しは減りません。
繰上返済に使う現金が減ると、空室や修繕に備える資金が不足するため、手元の現金を一定額残したうえで実行しましょう。
返済額軽減型は、残りの返済期間を変えずに毎月の返済額を下げる方法で、金融機関によって繰上返済の手数料や最低額が決まっているため、事前に条件を確認します。
投資用マンションの持ち出しと税金の関係|帳簿上の赤字と現金の持ち出しは別
投資用マンションの持ち出しは、不動産所得の赤字の額と一致しないため、給与との損益通算で税金が戻っても、現金の持ち出しがなくなるわけではありません。
帳簿上の赤字には、現金が出ていかない減価償却費が含まれ、元本の返済は経費にならないため、2つの数字にずれが生じます。
試算の物件で、帳簿上の赤字と現金の持ち出しを比べると、次の表のとおりです。
試算の1年目は、帳簿上の赤字が約10.1万円、現金の持ち出しが約27万円です。
| 項目(1年目) | 不動産所得(帳簿) | 現金の収支 |
|---|---|---|
| 家賃収入 | +108万円 | +108万円 |
| 管理費・修繕積立金・手数料・税・保険・入退去費 | −35.6万円 | −35.6万円 |
| ローン利息 | −49.5万円 | 返済の一部 |
| ローン元本の返済 | 経費にならない | −49.8万円 |
| 減価償却費(建物1,500万円・RC造) | −33.0万円 | 現金は出ない |
| 合計 | 約−10.1万円 | 約−27.0万円 |
元本の返済は経費にならず減価償却費は現金が出ない
ローン返済のうち、利息は経費になりますが、元本の返済は経費にならず、減価償却費は経費でも現金は出ていきません。試算の1年目では、元本返済の約49.8万円が帳簿に表れず、減価償却費の約33万円が帳簿だけに表れるため、帳簿上の赤字は約10.1万円、現金は約27万円の不足になります。
帳簿上の赤字だけを見て持ち出しが小さいと判断すると、資金繰りを見誤るため、必ず現金の収支を別に確認しましょう。
赤字は給与と損益通算できるが還付は持ち出しの一部にとどまる
不動産所得の赤字は、給与所得などと損益通算でき、源泉徴収された所得税や翌年の住民税が減る場合があります。所得税率20%と住民税10%の人でも、戻る税金は帳簿上の赤字の3割にとどまるため、現金の持ち出しの大半は自己負担です。
試算の還付額は、帳簿上の赤字約10.1万円に税率30%(所得税20%+住民税10%)を掛けた約3万円です。現金の持ち出しは約27万円のまま残ります。
節税効果を目的に赤字の物件を買うと、税金が減る額より持ち出しの額のほうが大きくなるため、節税は持ち出しを正当化する理由になりません。
土地の借入利息にあたる部分は損益通算できない
不動産所得の赤字のうち、土地の取得に充てた借入金の利子にあたる部分は、損益通算の対象外とされています。区分所有のワンルームでは、土地の持分に対応する借入金の利息が、通算できない部分にあたるため、赤字の全額で税金が戻るとは限りません。
還付額は、申告の際に税理士へ確認すると、土地と建物の按分が正確になり、見込み違いを避けられます。
土地と建物の按分は、売買契約書の価格内訳や固定資産税評価額の比率を基に決めるのが一般的で、計算の根拠を残しておくと、確定申告の際に説明できます。
投資用マンションの持ち出しが続くときの判断|保有か売却か
持ち出しが続くときは、保有を続けるか売却するかを、残債と査定額の差、持ち出しの累計額、生活への影響の3つで判断し、期限を決めて見直すことが重要です。
判断を先延ばしにすると、持ち出しの累計が増え、築年数の経過で査定額が下がる場合もあるため、早い段階で数字を並べて比べる必要があります。
判断の目安は、次の表のとおりです。
査定額がローン残高を上回れば、売却で残債を完済して現金が残ります。
| 状況 | 判断の目安 | 次の行動 |
|---|---|---|
| 査定額が残債を上回る | 売却で現金が残る | 複数社の査定を取り、売却を検討する |
| 査定額が残債を下回る | 売却に不足額の現金が必要 | 持ち出しの累計と比べ、保有か売却かを試算する |
| 貯蓄が減り続けている | 生活防衛資金を割る前に判断が必要 | 余裕のあるうちに査定を取る |
残債と査定額を比べて売却できるかを確認する
売却できるかどうかは、ローン残高と売却査定額の差で決まり、査定額が残高を上回れば現金が残り、下回れば不足額の現金が必要です。試算の物件は、10年後の残高が約1,954万円で、査定額が残高を超えれば売却で残債を完済できますが、売却費用も差し引いて考える必要があります。
複数の不動産会社から査定を取り、年に1回は残債との差を確認しておくと、売却の判断が遅れません。
持ち出しの累計と今後の見込みを試算して判断する
持ち出しの累計額と今後5年の見込みを試算し、売却して損失を確定する場合と、保有して持ち出しを続ける場合の総額を比べて判断します。試算の物件で年約27万円の持ち出しが5年続くと約135万円、10年続くと約270万円で、同じ期間の元本返済額と物件価値の変化を合わせて比べます。
試算に使う家賃は、現在の家賃ではなく、今後の下落を見込んだ数字に置き、金利が上がった場合の返済額も、別の計算として並べておきましょう。売却の場合は、売却費用と税金を引いた手取りで比べないと、損益を過大に見積もります。
数字で比べれば、感情ではなく損益で、保有か売却かを決められます。
売却を選ぶときは費用と税金を見込む
売却では、仲介手数料、抵当権の抹消費用、譲渡所得税がかかる場合があるため、手取りの金額で損益を計算します。仲介手数料は、売却価格が400万円を超える場合、売却価格の3%に6万円を加えた額に消費税がかかり、1,900万円なら約69万円です。
所有期間が5年を超えるかどうかで譲渡所得の税率が変わるため、売却の時期は、税率が下がる5年超まで待つかどうかも含めて考えましょう。
投資用マンションの購入前に確認する持ち出しチェックリスト
持ち出しは、購入後に減らすより購入前に避けるほうが確実で、数字の確認を済ませれば、買ってから後悔する可能性を大きく下げられます。
確認する項目は、収支の計算、悪化した場合の試算、予備資金、売却の出口の4つに分けられ、契約の前にすべてを書面と数字で確かめることが重要です。
チェックの項目は、次のとおりです。
- 年に1〜2か月の空室を入れた月次キャッシュフローを、自分で計算したか
- 損益分岐の家賃と相場家賃の差を確認したか
- 金利が1%上がった場合と空室が3か月続いた場合の年間の持ち出しを、手元の現金で賄えるか
- 長期修繕計画の増額予定と、一時金の有無を確認したか
- 売却査定額がローン残高を上回る見通しがあるか
販売会社のシミュレーションを自分の数字で作り直す
販売会社のシミュレーションは、費用や空室の前提が甘い場合があるため、家賃、返済、費用を自分で集めた数字で作り直します。広告料、原状回復費、修繕積立金の値上げ、固定資産税が含まれているかを確認し、含まれていなければ年額で足して計算します。
シミュレーションの家賃が、募集賃料と過去の実績のどちらを根拠にしているのかも確認し、根拠の資料が出ない場合は、より保守的な数字に置き換えます。担当者の説明が口頭だけの場合は、メールなどの記録に残してもらいましょう。
前提条件を書面でもらい、前提の違う複数社の提案を同じ条件にそろえて比べましょう。
持ち出しを前提に買うなら年数と上限を決める
持ち出しを承知で購入するなら、持ち出しを許容する年数と年間の上限額を購入前に決め、超えたら売却する基準を作っておきます。基準がないと、持ち出しが続くうちに売却の判断が遅れ、家計の余力と物件の査定額の両方が下がる恐れがあります。
上限額は、年間の持ち出しが手取り収入の何%に収まるかで決め、家族と共有しておくと、持ち出しが膨らんだときに判断しやすくなります。年数は、完済までの期間ではなく、見直す3年や5年といった区切りで決めると、実行しやすくなります。
基準は、売却査定額が残債を上回っているうちに実行できるよう、毎年見直しましょう。
予備資金を残してから購入する
購入時の頭金と諸費用で現金を使い切らず、年間の持ち出しの数年分と生活防衛資金を、別に残してから購入します。持ち出しは給与から補う前提でも、病気や転職で収入が減ると、返済が止まる危険があるため、現金の余裕が最後の防波堤になります。
予備資金の置き場所は、すぐに引き出せる普通預金にして、投資用の口座とは別に管理すると、持ち出しの補填に使い込んでしまう事態を避けられます。空室が重なった年の持ち出しを想定し、年間の持ち出しの2〜3年分を確保したうえで、購入の可否を決めましょう。
予備資金が足りない場合は、購入を延期して貯蓄を積み上げましょう。
まとめ|投資用マンションの持ち出しは購入前の計算で多くを避けられる
投資用マンションの持ち出しは、家賃収入からローン返済と費用を引いた不足額で、家賃9万円の試算では、毎月約2.2万円、年間約27万円になります。
原因は、フルローンの重い返済、管理費と修繕積立金の上昇、空室と家賃の下落、金利の上昇の4つで、購入前の計算で多くを避けられます。
減らす方法には、頭金、借換え、家賃と費用の見直し、繰上返済があり、帳簿上の赤字と現金の持ち出しは別のため、税金の還付に頼らない資金計画が欠かせません。
確認のポイントは、次の3つです。
- 空室を入れた月次キャッシュフローを、自分の数字で計算する
- 金利上昇と空室で年間の持ち出しを試算し、現金で賄えるか確認する
- 持ち出しの年数と上限、売却の基準を購入前に決める
持ち出しが続いているなら、残債と査定額の差を確認することから始めましょう。











