奨学金の返還口座は変更できる?返還手続きやさまざまな制度も紹介

貸与型奨学金は必ず返還しなければなりません。奨学金の返還中に、時には返還口座を変更したいと思うこともあるでしょう。返還口座は所定の手続きを行うことで変更することができます。

今回は奨学金の返還口座の変更手続きを含め、振替日取扱金融機関など返還の際に知っておきたいさまざまな情報をご紹介します。また、返還が厳しくなった場合に利用できる諸制度も予め確認しておくことが大切です。

無理のないペースで確実に奨学金を返還できるよう、返還手続きについて理解を深めましょう。

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目次

リレー口座による奨学金の返還

奨学金のうち、利息が付く貸与型奨学金は返還しなければなりません。奨学金の返済のことを正しくは返還といい、口座振替を利用した返還が求められます。奨学金を返還する際は、毎月の振替日や口座振替ができなかった場合などについて予め確認しておきましょう。

リレー口座とは

日本学生支援機構が貸与する奨学金は口座振替により返還します。このときに利用する口座は、「あなたの返還金が後輩奨学生たちの奨学金としてリレーされる」という意味から、リレー口座と呼ばれます。なお、振替手数料は無料です。

振替日

奨学金の返還には毎月支払う月賦と、半年に一度支払う半年賦と月賦を組み合わせた2種類の方法があります。それぞれの振替日は以下の通りです。

返還方法 振替日
月賦 毎月27日
月賦と半年賦併用 月賦
半年賦 1月および7月の27日

参考:日本学生支援機構「口座振替(リレー口座)について」

なお、振替日が金融機関の休業日の場合、翌営業日に振替られます。振替日の前日までに口座残高を確認しましょう。

取扱金融機関

リレー口座として利用できる取扱金融機関は以下の通りです。取り扱っていない金融機関があるため、普段利用している金融機関が含まれているか確認しておきましょう。

取り扱っている金融機関
ゆうちょ銀行、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、信託銀行(三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行のみ)、信用金庫、労働金庫、信用組合、農業協同組合、信用漁業協同組合連合会および一部の漁業協同組合(宮城県漁業協同組合、JFしまね漁業協同組合、山口県漁業協同組合、大分県漁業協同組合)

引用元:日本学生支援機構「口座振替(リレー口座)について」

なお、以下の金融機関を利用した奨学金の返還はできません。返還の際に慌てることがないよう、返還可能な金融機関の口座を開設しておきましょう。

取り扱っていない金融機関
外国銀行、インターネット専業銀行(楽天銀行、住信SBIネット銀行、ソニー銀行、ジャパンネット銀行、じぶん銀行等)、その他一部銀行(イオン銀行、新生銀行、セブン銀行、あおぞら銀行等)、一部信用組合

引用元:日本学生支援機構「口座振替(リレー口座)について」

返還口座は変更可能

奨学金の返還中に、返還口座を変えたいこともあるでしょう。奨学金の返還口座を変更する場合、金融機関窓口での変更と郵送による変更の2種類の方法があります。

返還口座の変更申し込みから新口座による振替までに1~2ヶ月程かかるため、口座の変更を希望する場合は余裕を持って申し込みましょう。

方法1:金融機関窓口で変更

日本学生支援機構のホームページから金融機関窓口用の口座振替書を申請すると、数日後に申込書が届きます。申込書に記入・押印の上、金融機関に提出します。

方法2:郵送による変更

郵送で返還口座振替の変更を行う場合、日本学生支援機構のホームページから申込書を印刷するか、インターネット・電話・FAXを利用して日本学生支援機構に申込書の送付を依頼します。

申込書に記入・押印の上、封筒に84円切手を貼り付けて郵送しましょう。

口座振替ができなかった場合

奨学金の返済期間中、残高不足などを理由に口座振替ができないこともあるでしょう。その場合は、振替られなかった回数に応じた金額がまとめて引き去られるほか、電話や書面にて返還を督促されます。

振替不能1回目

振替ができなかった月の翌月に、当月分と合わせて2ヶ月分合わせて徴収(併徴)されます。また、口座振替ができなかった時点で督促の電話に加え、本人に「奨学金返還の振替不能通知」が届きます。

振替不能2回目

2ヶ月連続で振替できなかった場合、3月目に3ヶ月分がまとめて振り替えられます。なお、2回目の振替不能を迎えると、延滞金を支払う必要があるため、返還すべき金額の合計が増える点には注意しましょう。

さらに、連帯保証人に「奨学金の返還について」という通知が発送されます。延滞金の支払いを避けるためにも、2回以上の振替不能はできるだけ避けましょう。

振替不能3回目

振替不能月が3ヶ月連続となる場合は、4月目に4ヶ月分の返還金と延滞金が振替られます。振替不能のお知らせに延滞金の金額が記載されていますので、確認した上で、振替日までに必要な金額を準備しましょう。

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奨学金の返還が厳しい場合に利用したい3つの制度

被災や解雇など、さまざまな理由で返還が難しくなることもあるでしょう。その場合には返還を一定期間猶予してくれる制度などがあります。ここでは以下の3つの制度を解説します。

  1. 減額返還
  2. 返還期限猶予
  3. 返還免除

①減額返還

通常通りの返還は難しいものの、返還金額をいくらか減らすと返還が継続できる場合には減額返還制度を利用しましょう。この制度は災害や傷病、失業などの事情が発生した際に利用できます。

減額返還制度を利用することにより、一定期間、当初設定した毎回の返還金額を2分の1または3分の1に減額して返還することが可能です。なお、返還期間は減額返還制度の利用期間に応じて延長されます。また、利息を含む返還予定総額は変わりません。

経済的な事情で減額返還制度を利用する場合の収入基準は、給与所得者は年間収入金額325万円以下、給与所得以外の所得のある方は年間所得金額225万円以下です。

②返還期限猶予

返還期限猶予制度は、一定期間返還を待ってほしい場合に利用します。返還自体を一定期間猶予し先送りにすることで、制度利用後のスムーズな返還を目的としています。ただし、元金や利子が免除されるわけではありませんので、制度利用後はすみやかに再び返還しましょう。

返還期限猶予制度を利用する場合の収入基準は、給与所得者は年間収入金額300万円以下、給与所得以外の所得のある方は年間所得金額200万円以下です。

③返還免除

返還未済の奨学金の全部または一部の返還が免除されるのが返還免除制度です。返還免除制度に該当するのは以下のケースです。

  • 奨学金を貸与されていた本人が死亡したとき
  • 心身の障害により労働能力を喪失、もしくは労働能力に高度な制限が発生したとき
  • 平成15年度以前に大学院の第一種奨学生に採用された方が、所定の要件を満たして教育または研究の職に就いたとき

場合によっては医師の診断書が必要になることがあります。返還免除制度の詳細は以下でご確認ください。

参考:日本学生支援機構「返還免除」

まとめ:奨学金の返還口座は変更可能!貸与型奨学金は必ず返還しよう

今回は奨学金の返還口座の変更手続きを含め、奨学金の返還について解説しました。返還口座は変更でき、仮に振替られなかった場合は翌月にまとめて振替られます。

返還が厳しい場合は減額返還などの制度の利用を検討しながら、計画的に奨学金を返還しましょう。

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