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ワンルームマンション投資は負債になる?資産と借金の差額で見る債務超過の判断基準

ワンルームマンション投資は資産づくりとして勧められますが、ローンで購入した時点では物件という資産と同時に数千万円の負債を抱えることになります。新築をフルローンで買った場合、購入直後に売却すると残債が売却価格を数百万円上回る債務超過の状態になっていることが珍しくありません。

ワンルームマンション投資の負債を考えるときは、次の3点に分けて整理すると判断を誤りません。

  • 物件の価値とローン残債のどちらが大きいか
  • 負債が住宅ローンの審査や信用情報にどう影響するか
  • 債務超過がいつ解消し、それまでに何ができるか

記事では新築2,500万円をフルローンで買った場合と、中古1,800万円を頭金200万円で買った場合を比べながら、資産と負債の差額がどう推移するかを試算します。年収500万円の会社員が住宅ローンを申し込んだ場合に返済比率がどう変わるかや、負債を減らすための具体的な方法まで解説します。

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目次

ワンルームマンション投資は資産か負債か

ワンルームマンションは家賃を生む資産である一方、購入に使ったローンは毎月返済しなければならない負債であり、どちらか一方だけで評価することはできません。資産と負債を並べて差額を見れば、投資が財産を増やしているのか、借金を背負っているだけなのかを数字で判断できるようになります。

購入の条件によって、資産と負債の差額は大きく異なります。新築をフルローンで買った場合と、中古を頭金ありで買った場合を比べると次のとおりです。

項目新築2,500万円・フルローン中古1,800万円・頭金200万円
借入額と条件2,500万円・1.9%・35年1,600万円・2.0%・30年
購入直後の売却見込み約1,900万円約1,700万円
購入直後の差額約600万円の債務超過約100万円の資産超過
10年後の残債約1,946万円約1,169万円
10年後の売却見込み約1,900万円約1,550万円
10年後の差額約46万円の債務超過約381万円の資産超過

貸借対照表で見るとローンは負債、物件は資産

個人の財産を貸借対照表の形で整理すると、物件の時価は資産の側に、ローンの残債は負債の側に載り、資産から負債を引いた差額が純資産になります。純資産がプラスであれば物件を売ってローンを完済しても手元にお金が残り、マイナスであれば売却しても借金の一部が残る状態だと判断できます。

物件の時価は購入価格ではなく、今売った場合に成約する見込みの価格で評価する必要があり、仲介手数料などの売却費用を差し引いた金額で考えるのが現実的です。販売会社の資料には購入価格が資産の金額として書かれていることがありますが、実際に換金できる金額とは大きな開きがあります。

ローンの残債は金融機関の返済予定表に年ごとの金額が記載されているため、特定の時点の負債をいつでも正確に把握できます。物件の時価は近隣の成約事例から概算できるので、年に1回は資産と負債を並べて差額の推移を確認しておくと判断を誤りません。

純資産の推移は、毎年の元金返済によって負債が減るペースと、築年数の経過によって物件の時価が下がるペースの競争で決まります。元金の返済が物件の値下がりを上回っていれば純資産は年々増えていき、反対であればローンを返しても財産は減り続けることになります。

購入直後は負債が資産を上回る債務超過になりやすい

新築ワンルームの分譲価格には販売会社の広告費や利益が含まれており、購入した瞬間に中古の相場で評価し直されるため価値が大きく下がります。2,500万円の新築をフルローンで買った場合、購入直後に売れる価格は1,900万円前後にとどまり、残債2,500万円との差額600万円が債務超過として残ります。

債務超過の状態で売却するには、残債と売却価格の差額を自己資金で埋めなければ抵当権を抹消できません。600万円の債務超過であれば、売却費用を含めて650万円前後の現金を用意できない限り、売りたくても売れない状態が続きます。

中古1,800万円を頭金200万円で買った場合は、借入額が1,600万円に抑えられているため、購入直後の売却見込み1,700万円を下回らず債務超過になりません。頭金を入れることは毎月の返済を軽くするだけでなく、出口で身動きが取れなくなる事態を避けるための備えにもなります。

債務超過の大きさは購入価格が相場に対してどれだけ割高だったかで決まるため、購入前に周辺の成約事例と比べて価格の妥当性を確かめておくことが最も効果的な対策です。

家賃で負債を返せているかが良い負債と悪い負債の分かれ目

借金を抱えること自体が悪いわけではなく、家賃収入でローンの返済と経費をまかなえていれば、入居者が負債を返してくれている状態になります。反対に毎月の家賃で返済をまかなえず給与から手出しをしている場合は、自分の収入で負債を返しているのと同じで、借金が生活を圧迫する悪い負債になります。

新築2,500万円のフルローンでは月々の返済が約8万1,500円となり、家賃9万2,000円から管理費や税金を差し引くと毎月1万円前後の手出しが発生します。中古1,800万円のケースでは返済が約5万9,100円に抑えられるため、同じ条件でも毎月5,000円前後の黒字を確保できます。

毎月の収支が黒字であっても、物件の価値が残債を大きく下回っていれば売却時に損失が確定するため、月々の収支と純資産の両方を見る必要があります。どちらか一方だけが良くても安心はできず、両方がプラスで推移していることが健全な投資の条件になります。

R-EAL編集部

新築をフルローンで買うと、購入直後に600万円前後の債務超過になりやすくなります。頭金を入れた中古なら、購入直後から資産が負債を上回ります。

ワンルームマンション投資の負債が生活に与える影響

投資用ローンの残債は、物件の収支とは別に、本人の信用力を評価する場面で負債として扱われます。マイホームを買うときの住宅ローン審査や、クレジットカードの利用枠、相続の場面まで影響が及ぶため、投資を始める前に把握しておく必要があります。

自分では投資として割り切っていても、金融機関から見ればほかの借入と同じ負債として扱われる点を押さえておく必要があります。

負債が影響する主な場面を整理すると、次のとおりです。

場面影響の内容確認するもの
住宅ローンの審査返済比率が上がり借入可能額が減る年収に対する年間返済額
信用情報借入残高と返済状況が登録される全国銀行個人信用情報センター
相続団信がなければ残債も相続される団体信用生命保険の加入状況

住宅ローンの審査で返済比率に加算される

住宅ローンの審査では、年収に対する年間返済額の割合である返済比率が重視され、多くの金融機関は30%から35%を上限の目安としています。投資用ローンの返済額も返済比率の計算に含まれるため、ワンルームを持っているだけで住宅ローンの借入可能額が大きく減ることになります。

年収500万円の人が投資用ローンを年間約98万円返済している場合、返済比率はすでに19.6%です。3,500万円の住宅ローンを金利0.5%・35年で組むと年間返済は約109万円増え、合計の返済比率は41%を超えて多くの金融機関の基準を上回ります。

家賃収入の扱いは金融機関によって異なり、家賃の7割から8割を年収に加算する方法や、投資用ローンの返済額と相殺して計算する方法があります。家賃収入で返済をまかなえている物件であれば審査への影響は小さくなるため、確定申告書で不動産所得が黒字であることを示せるかどうかが重要です。

マイホームの購入を数年以内に予定している場合は、ワンルームを買う前に住宅ローンの事前審査を受けて借入可能額を確認しておく方法があります。投資用ローンを組んだあとでは借入可能額が下がるため、順番を入れ替えて住宅ローンを先に組むほうが選べる物件の幅は広がります。

信用情報に借入残高が記録される

投資用ローンを組むと、借入額や残高、毎月の返済状況が信用情報機関に登録され、ほかの金融機関が審査の際に照会できる状態になります。銀行の投資用ローンは主に全国銀行個人信用情報センターに登録され、住宅ローンや自動車ローンを申し込んだときにも残高がすべて確認されます。

返済を滞りなく続けていれば、信用情報に借入があること自体が不利に働くわけではなく、むしろ返済実績として評価される面もあります。問題になるのは返済が61日以上遅れた場合で、延滞の記録が異動情報として登録されると、完済後も5年間は新たな借入が難しくなります。

信用情報は本人であれば開示請求によって内容を確認でき、インターネットや郵送で申し込むと1,000円前後の手数料で取り寄せられます。住宅ローンを申し込む前に自分の登録内容を確認しておけば、審査で想定外の指摘を受ける事態を防げます。

投資用ローンの契約時には、信用情報機関への登録に同意する書面に署名しているため、登録されることを前提に家計全体の借入を管理する必要があります。複数の物件を短期間に買い進めると残高が一気に膨らみ、ほかの金融機関が追加の融資に慎重になる原因にもなります。

相続では残債も相続の対象になる

団体信用生命保険に加入していれば、ローンの契約者が亡くなった時点で残債は保険金で完済され、遺族には負債のない物件が残ります。ただし団信に加入していないローンや、完済時の年齢が団信の上限を超えて保障が切れたローンでは、残債が負債として相続の対象に含まれます。

相続人は物件という資産と残債という負債をあわせて引き継ぐことになり、債務超過の物件であれば相続によって借金を背負う結果になりかねません。相続を放棄すればローンを引き継がずに済みますが、預金など他の財産もすべて放棄することになり、手続きは相続の開始を知ってから3か月以内に行う必要があります。

ノンバンクの投資用ローンのなかには団信の加入が任意になっている商品もあるため、契約時に加入の有無と保障の範囲を確認しておきます。家族に負債を残さないためには、団信の加入状況を記した資料を家族と共有しておくことが実務上の備えになります。

R-EAL編集部

投資用ローンの返済額は住宅ローンの返済比率に加算されます。マイホームの購入を予定しているなら、先に借入可能額を確認しておきます。

負債が重荷になっているかを判断する3つの指標

ワンルームマンション投資の負債が健全な範囲に収まっているかどうかは、感覚ではなく具体的な数字で判断できます。資産と負債の差額、毎月の手出しと返済比率、債務超過が解消する時期という3つの指標を並べれば、保有を続けるか手放すかの判断材料がそろいます。

3つの指標と、注意が必要な状態の目安は次のとおりです。

指標計算方法注意が必要な状態
債務超過額残債 − 売却見込み額 + 売却費用年収の半分を超えている
手出しと返済比率年間返済額 ÷ 年収手出しが年12万円超・返済比率25%超
解消の時期残債と売却見込み額の推移を比較10年以上先まで解消しない

残債と売却価格の差である債務超過額

債務超過額は、ローンの残債から物件の売却見込み額を差し引き、仲介手数料などの売却費用を加えて求めます。売却見込み額は近隣で築年数と広さが近い物件の成約価格から見積もり、販売会社の査定だけに頼らず複数の不動産会社の査定を比べて判断します。

債務超過額は1回計算して終わりではなく、毎年の残債の減少と相場の変動によって変わるため、年に1回は同じ方法で計算し直します。前の年より債務超過額が縮んでいれば投資は正しい方向に進んでおり、広がっていれば早めに対策を考える必要があるという判断の目安になります。

債務超過額が年収の半分を超えている場合は、急な失業や病気で返済が滞ったときに売却して清算する手段が取れなくなります。手元の貯蓄で差額を埋められるかどうかを基準に、許容できる債務超過の上限を決めておくと判断に迷いません。

売却費用は売却価格の4%前後が目安で、2,000万円の物件なら約80万円を見込んでおく必要があります。残債と売却見込み額がほぼ同じでも売却費用の分だけ持ち出しが発生するため、実際には残債が売却見込み額を80万円以上下回ってはじめて手元にお金が残ります。

査定を依頼する際は、投資用物件の売買を得意とする不動産会社を含めて3社以上に声をかけると、相場から大きく外れた査定額に惑わされずに済みます。

毎月の手出しと年収に対する返済比率

毎月の家賃から返済と経費を差し引いた収支がマイナスであれば、不足分を給与から補填していることになり、負債の返済を自分の収入で肩代わりしている状態です。手出しが年間12万円を超え、なおかつ投資用ローンの返済比率が年収の25%を超えている場合は、生活費や貯蓄を圧迫し始めている水準と考えられます。

返済比率は住宅ローンの審査と同じ考え方で計算でき、投資用ローンの年間返済額を税込みの年収で割って求めます。複数の物件を持っている場合は返済額を合計して計算するため、1件ごとには小さな手出しでも、まとめると家計に大きな負担をかけていることがあります。

手出しの金額は家賃の下落や修繕積立金の値上げによって年々増えていくため、今の金額だけでなく5年後の見込みも計算しておきます。家賃が1割下がり修繕積立金が倍になった場合の収支をあらかじめ試算しておけば、将来の負担増に備えられます。

年収に対する返済比率が高い状態で転職や休職によって収入が下がると、手出しの負担が一気に重くなります。返済比率には収入が2割下がった場合でも生活が回るだけの余裕を残しておくと、想定外の事態にも慌てずに対応できます。

債務超過が解消する時期

元利均等返済のローンは返済が進むにつれて元金の減るペースが速くなるため、物件の値下がりより残債の減少が上回った時点で債務超過は解消します。新築2,500万円のフルローンでは10年経っても約46万円の債務超過が残り、資産と負債が逆転するのは11年目から12年目あたりになる計算です。

解消の時期は購入時の頭金と借入期間、物件の値下がりのペースによって大きく変わり、頭金を入れて借入期間を短くするほど早まります。中古1,800万円を頭金200万円で買ったケースでは購入直後から資産が負債を上回っており、解消を待つ必要がありません。

債務超過が10年以上続く見込みの物件は、債務超過のあいだに家賃の下落や金利の上昇が起きた場合の余力が乏しくなります。解消の時期を返済予定表と相場の推移から見積もり、保有を続けるか繰り上げ返済で早めるかを判断します。

新築フルローンのケースでも、毎年50万円ずつ繰り上げ返済を続ければ債務超過の解消を3年から4年前倒しにできます。

R-EAL編集部

返済予定表で年ごとの残債を確認し、近隣の成約価格と並べれば、債務超過がいつ解消するかを自分で見積もれます。

ワンルームマンション投資の負債を減らす方法

負債を減らす方法は、繰り上げ返済で残債を直接減らすか、物件を売却して負債を清算するかの2つに大きく分かれます。どちらを選ぶかは債務超過の大きさと手元の資金、物件の収支によって決まり、状況に合わない方法を選ぶと損失を広げることになります。

どの方法を選ぶ場合でも、まず現在の債務超過額と毎月の手出しを数字で把握してから判断することが前提になります。

負債を減らす方法ごとの向き不向きは、次のとおりです。

  • 繰り上げ返済は手元資金に余裕があり、物件の収支が黒字の場合に向いている
  • 借り換えは金利差が0.3%以上あり、残債が1,000万円を超える場合に効果が大きい
  • 売却は債務超過が小さく、今後も手出しが続く見込みの場合に向いている

繰り上げ返済で残債を減らす

繰り上げ返済は元金を直接減らすため、支払う利息が少なくなるうえに、債務超過が解消する時期を早められます。返済期間を短くする期間短縮型を選べば利息の削減効果が大きく、毎月の返済額を下げる返済額軽減型を選べば手出しを減らせるため、目的に合わせて使い分けます。

ただし繰り上げ返済に手元資金を使いすぎると、空室や設備の故障といった急な出費に対応できなくなります。家賃の6か月分程度は予備資金として残しておき、残りの資金を繰り上げ返済に回すのが安全です。

借り換えで金利を下げる方法も負債の負担を軽くする手段になり、金利が1.9%から1.5%に下がれば残債1,600万円で月3,000円以上の返済が減ります。借り換えには事務手数料や抵当権の設定費用がかかるため、削減できる利息の総額と比べてから判断します。

繰り上げ返済の手数料は金融機関によって無料から数万円まで幅があり、インターネットから申し込めば無料になる銀行もあります。少額を何度も返済すると手数料がかさむ場合があるため、手数料の体系を確認したうえで1回あたりの金額と回数を決めます。

債務超過のうちに売却するか保有を続けるか

債務超過の状態で売却すると差額を自己資金で埋める必要がありますが、保有を続けて手出しが膨らむより損失を小さく抑えられる場合もあります。毎月1万円の手出しが続く物件を10年保有すれば手出しは120万円になるため、債務超過額が100万円程度であれば今売却して清算したほうが総額の損失は小さくなります。

売却するか保有するかは、今売った場合の持ち出し額と、保有を続けた場合の手出しの累計に将来の売却時の損益を加えた金額を比べて判断します。どちらの金額が小さいかを数字で確かめれば、感覚に頼らずに決断できます。

保有を続ける判断をした場合でも、手出しを減らすために管理委託料の見直しや家賃の改定を進め、負債の負担を軽くしていく必要があります。売却を選んだ場合は、複数の不動産会社に査定を依頼し、債務超過額が最も小さくなる価格で売り出すことが損失を抑える近道です。

R-EAL編集部

繰り上げ返済に回すのは、家賃6か月分の予備資金を残した残りの部分です。手元資金を使い切ると、急な出費で返済が滞る原因になります。

まとめ|ワンルームマンション投資の負債は資産との差額で判断する

ワンルームマンション投資では物件という資産とローンという負債を同時に抱えることになり、両者の差額を見れば財産が増えているのか借金を背負っているだけなのかを判断できます。新築2,500万円をフルローンで買った場合は購入直後に約600万円の債務超過となり、解消するまでに11年から12年かかる計算です。

負債の状態を確認するために見ておく項目は次のとおりです。

  • 残債から売却見込み額を引き、売却費用を加えた債務超過額
  • 投資用ローンを含めた年収に対する返済比率
  • 毎月の手出しの金額と5年後の見込み
  • 団体信用生命保険の加入状況と保障の範囲

債務超過の状態でも毎月の収支が黒字であれば、時間の経過とともに負債は減っていきます。反対に手出しが続いている場合は、繰り上げ返済や売却で負債を早めに整理したほうが損失を抑えられるため、まず返済予定表と近隣の成約価格を並べて差額を確認してみましょう。

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