神戸市の投資用ワンルームの平均成約価格は2024年の1,347万円から2026年には1,723万円まで上がり、わずか2年で1.28倍になりました。三宮周辺のタワーマンション規制で都心の住宅供給が絞られたことや再開発への期待が価格を押し上げる一方、表面利回りは5.85%から5.14%まで下がっています。
神戸でワンルーム投資を検討するときは、次の3点を押さえておくと判断を誤りません。
- 価格と利回りが直近でどう動いているか
- 市全体の人口が減るなかで需要が保たれるエリアはどこか
- 地震や津波といった災害のリスクをどう確認するか
記事では神戸市の成約データをもとに相場の推移を整理したうえで、タワーマンション規制が需給に与えている影響を数字で確認します。中央区と東部の灘区・東灘区を中心に狙いやすいエリアの特徴や、購入前に確かめておくべき注意点まで具体的に解説します。


神戸のワンルーム投資の相場は価格上昇と利回り低下が続いている
株式会社TOCHUが神戸市の投資用ワンルームの成約事例を集計したデータでは、平均成約価格が2024年から2026年にかけて毎年大きく上がっています。価格の上昇に家賃の伸びが追いついていないため表面利回りは年々下がっており、東京23区と同じく価格だけが先行して上がる局面に入っています。
直近3年間の平均成約価格と表面利回りの推移を並べると次のとおりで、とくに2025年から2026年にかけての1年間で価格が約240万円上がっている点が目を引きます。
| 年 | 平均成約価格 | 表面利回り |
|---|---|---|
| 2024年 | 1,347万円 | 5.85% |
| 2025年 | 1,484万円 | 5.47% |
| 2026年 | 1,723万円 | 5.14% |
平均成約価格は2年で1.28倍
神戸市の投資用ワンルームの平均成約価格は2024年の1,347万円から2026年の1,723万円まで、2年間で376万円上がりました。上昇率は28%に達しており、2017年からの7年間で1.54倍になった東京23区と比べても、短い期間に急激な値上がりが起きていることが分かります。
値上がりの背景には、三宮周辺の住宅供給を抑えるタワーマンション規制と、駅周辺で進む大規模な再開発への期待があります。大阪の物件価格が高くなりすぎたことで、同じ関西圏で割安に買える神戸へ投資家の資金が流れてきた面も見逃せません。
価格が急に上がった局面では、相場の上昇を前提に割高な価格で売り出される物件も増えるため、個別の物件が適正かどうかを見極める目が欠かせません。周辺で築年数と広さが近い物件の成約価格を3件以上集めて比べれば、提示された価格が相場から外れていないかを判断できます。
2024年に1,300万円台で購入した所有者であれば、2年間で400万円近い含み益を得ている計算になり、売却を考える人も増えています。売り物件が増えれば価格の上昇は落ち着くため、今後も同じペースで値上がりが続くと考えるのは避けたほうが安全です。
表面利回りは5.14%まで低下
価格が上がる一方で家賃の伸びは緩やかなため、表面利回りは2024年の5.85%から2026年の5.14%まで0.71ポイント下がりました。利回り5%台前半は東京23区の4.99%とほとんど差がない水準で、地方都市の物件は利回りが高いという従来の前提は神戸では当てはまらなくなっています。
表面利回り5.14%から管理費や修繕積立金、固定資産税などの経費を差し引くと、実質利回りは3%台半ばにとどまります。ローン金利が2%前後であれば手元に残る利ざやは1%台しかないため、家賃収入だけで利益を出すには頭金を多めに入れる必要があります。
利回りが下がった局面で購入すると、将来金利が上がって市場の求める利回りが戻ったときに価格が下がるリスクを抱えることになります。利回りが0.5ポイント上がれば価格は約9%下がる計算になるため、値上がりを当てにせず家賃収入で成り立つかどうかを基準に判断します。
神戸の物件で利回りを確保するには、価格が上がった築浅の物件より、築15年から20年程度で価格がこなれた物件を選ぶ方法があります。築年数が進んだ物件は修繕積立金の値上げや設備の交換が控えているため、長期修繕計画で今後の負担を確認したうえで判断します。
大阪・東京と比べた価格水準
神戸のワンルームは大阪と比べて新築で200万円前後、中古で170万円前後安く買える一方、利回りは大阪をわずかに上回る水準で推移しています。東京23区の平均成約価格2,254万円と比べれば500万円以上安く、同じ自己資金でも借入額を抑えて購入できる点が神戸の強みです。
三宮駅周辺の新築で駅から徒歩5分以内のワンルームの家賃相場は7万8,000円前後で、都内の同じ条件と比べると1万円から2万円ほど低い水準です。物件価格の差ほど家賃の差は大きくないため、価格の安さが利回りの高さにつながりやすい構造になっています。
ただし価格が安いぶん、売却するときの買い手の数も東京ほど多くはなく、成約までの期間が長くなりやすい点は考慮しておく必要があります。出口で買い手が付きやすいのは三宮や元町など中心部の駅近物件に限られるため、エリアの選び方が売却のしやすさを大きく左右します。
神戸のワンルームは2年で1.28倍に値上がりし、利回りは5.14%まで下がりました。東京との利回りの差はほとんどなくなっています。
神戸でワンルーム投資が注目される3つの理由
神戸市全体の人口が減っているにもかかわらずワンルームの価格が上がっているのは、都心部に限れば住宅の供給が絞られ、単身者の需要が集まっているためです。規制と人口の動き、再開発という3つの流れが同じ時期に重なったことで、中心部の物件に投資家の関心が集まっています。
神戸のワンルーム需要を支えている要因を整理すると次のとおりです。
| 要因 | 内容 | 投資への影響 |
|---|---|---|
| タワーマンション規制 | 2020年7月から三宮周辺で住宅建築を制限 | 都心の新規供給が絞られる |
| 中央区の人口増加 | 2020年から2026年で3.4%増 | 単身者の賃貸需要が保たれる |
| 三宮の再開発と大阪への近さ | 駅周辺の再整備、大阪まで電車で20分台 | 街の魅力と通勤需要が高まる |
タワマン規制で都心の住宅供給が絞られた
神戸市は2020年7月1日から、三宮駅を中心とする約314ヘクタールの範囲でタワーマンションを含む住宅の建築を規制しています。中心部の都市機能高度集積地区では新たな住宅の建築が禁止され、周辺部でも住宅部分の容積率が400%以下に制限されたため、大規模な分譲マンションは建てられなくなりました。
規制の範囲内で住宅を新しく建てられないということは、すでに建っている駅近の物件が今後増えない希少な資産になることを意味します。三宮や元町の徒歩圏にある既存のワンルームは、規制によって競合となる新築の供給から守られている状態です。
規制が導入された背景には、都心部にタワーマンションが集中して人口が偏り、郊外の衰退が進むことへの危機感がありました。中央区にはすでに24棟のタワーマンションが建っており、市は住宅を中心部から周辺の駅前へ分散させる方針を取っています。
規制後は大規模な分譲マンションに代わって、小規模な投資用ワンルームの供給が規制範囲の外側で増える傾向が見られます。範囲の外側にある物件を検討する場合は、周辺で新築のワンルームが続けて建てられていないかを確認し、将来の競合を見込んでおく必要があります。
人口減少のなかで中央区は人口が増えている
神戸市の人口は2023年10月に22年ぶりに150万人を下回り、市全体では減少傾向が続いています。一方で中央区の人口は2020年から2026年にかけて3.4%増え、タワーマンション規制の範囲内に限れば9.7%増と、市全体の流れに逆らって増加しています。
増加の中心は利便性を重視する単身者や共働き世帯で、職場や商業施設に近い都心部に住まいを求める動きが強まっています。郊外の北区や西区から中心部へ移り住む人も多く、市内での人口の移動がワンルームの賃貸需要を下支えしています。
ただし規制範囲内の増加率は2015年から2020年の20.2%から、規制後は9.7%へと鈍化しています。人口の増加が今後も続くかどうかは規制や景気の動きに左右されるため、増えている今の数字だけで将来を楽観しないことが大切です。
中央区のなかでも、三宮や元町の駅に近い地区と、山側の住宅地では人口の動きに差があります。区全体の数字だけでなく、物件の最寄り駅周辺で賃貸物件の空室がどれだけ出ているかを、不動産ポータルサイトの掲載件数で確かめておくと需要を具体的につかめます。
三宮の再開発と大阪への近さ
三宮駅周辺ではバスターミナルを備えた複合ビルの建設や駅前広場の再整備が進んでおり、街の中心としての機能が強化されつつあります。再開発によって商業施設やオフィスが集まれば、職場に近い住まいを求める単身者の需要が増え、駅近のワンルームの家賃も下支えされます。
三宮から大阪駅まではJRの新快速で20分台で移動でき、大阪に勤めながら神戸に住むという選択をする人も少なくありません。大阪の家賃が上がるほど通勤圏内で割安に住める神戸の魅力が高まるため、大阪の経済の動きが神戸の賃貸需要にも波及します。
再開発の完成時期は計画によって異なり、2020年代後半から2030年代にかけて段階的に進められる予定です。完成前の期待で価格が先に上がっている面もあるため、再開発の効果が家賃に表れるまでには時間がかかることを見込んでおきます。
市全体の人口は減っていますが、中央区は2020年から2026年で3.4%増えています。神戸では市単位ではなく区単位で需要を見る必要があります。
神戸のワンルーム投資で狙いやすいエリア
神戸市は東西に細長い地形で、鉄道が海沿いに並行して走っているため、駅から近いかどうかと中心部への距離で賃貸需要が大きく変わります。単身者の需要が厚いのは三宮を中心とする中央区と、JR・阪急・阪神の3路線が並行して走る東部の灘区と東灘区です。
主なエリアの特徴を整理すると次のとおりです。
| エリア | 主な駅 | 入居者の中心 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 中央区 | 三宮・元町・神戸 | 社会人 | 商業とオフィスが集まり家賃が最も高い |
| 灘区 | 六甲道・王子公園 | 学生・社会人 | 神戸大学に近く学生の需要が厚い |
| 東灘区 | 住吉・岡本・御影 | 社会人・学生 | 大阪へのアクセスが良く住環境の評価が高い |
| 兵庫区 | 湊川・兵庫 | 社会人 | 中央区に近く価格が抑えめ |
中央区(三宮・元町・神戸駅周辺)
中央区は商業施設やオフィスが集まる神戸の中心で、職場の近くに住みたい社会人の単身者から安定した需要があります。タワーマンション規制によって新しい住宅が建てられない範囲に既存の物件が多く、競合となる新築が増えにくい点で長期保有に向いたエリアです。
三宮駅から徒歩5分以内の新築ワンルームは家賃7万8,000円前後が相場で、築年数が進んでも駅に近ければ大きく下がりにくい傾向があります。元町や神戸駅の周辺は三宮より価格が抑えられており、中心部に近い立地を比較的手の届く価格で購入できます。
一方で港に近いポートアイランドや沿岸部は、南海トラフ地震の際の津波浸水想定区域に含まれる場所があります。同じ中央区でも山側と海側で災害リスクが異なるため、ハザードマップで物件の位置を確認してから判断します。
中央区の物件は価格が高いぶん利回りは低めになるため、家賃収入よりも資産価値の維持と売却のしやすさを重視する投資家に向いています。利回りを優先したい場合は、中央区に隣接する兵庫区の湊川や兵庫駅の周辺も比較の対象に入れると選択肢が広がります。
灘区・東灘区(3路線が並行する東部)
灘区と東灘区はJR・阪急・阪神の3路線が東西に並行して走り、三宮にも大阪にも出やすい交通の便の良さが特徴です。灘区には神戸大学があり、東灘区には甲南大学があるため、学生の入居需要が厚く、社会人と学生の両方を入居者として見込めるエリアです。
学生の入居者は3月に退去が集中し、卒業と入学が重なる時期に一斉に入れ替わります。空室が出ても次の入居者が決まりやすい反面、退去のたびに原状回復費と広告料がかかるため、入居期間が2年から4年で入れ替わる前提で収支を組み立てます。
東灘区の住吉や岡本、御影の周辺は住宅地としての評価が高く、治安や住環境を重視する社会人の単身者に選ばれやすいエリアです。大阪の梅田まで電車で20分台で出られるため、大阪に勤める人の住まいとしても需要があります。
学生向けの物件は大学からの距離が家賃を左右し、キャンパスへ徒歩や自転車で通える範囲にあるかどうかで入居の決まりやすさが変わります。大学の移転や学部の再編が起きると需要が大きく変わるため、大学の将来計画もあわせて確認しておきます。
中央区は社会人、灘区と東灘区は学生と社会人の両方が入居者の中心です。入居者の層によって退去の時期と頻度が変わります。
神戸のワンルーム投資で注意する点
中心部の需要が底堅い一方で、神戸市全体では人口が減っており、エリアを誤ると空室と家賃の下落に長く悩まされることになります。地震や津波といった災害のリスクと、価格の上昇によって利回りが下がっている現状もあわせて確認したうえで判断する必要があります。
神戸は関西のなかでもブランド力のある都市ですが、都市の知名度と個別の物件の収益性は別のものとして切り分けて考える必要があります。
購入前に確認しておく項目は、次のとおりです。
- 物件のある区の人口が増えているか減っているか
- ハザードマップで津波や土砂災害の想定区域に入っていないか
- 1995年以降に建てられた物件か、耐震診断の結果はどうか
- 利回りが上がって価格が下がった場合でも収支が成り立つか
市全体の人口は減っている
神戸市の人口は2023年に150万人を下回り、北区や西区、垂水区といった郊外の区を中心に減少が続いています。郊外のワンルームは価格が安く利回りも高く見えますが、単身者の需要が細っているため、空室期間が長引いて実際の利回りが想定を大きく下回ることがあります。
区ごとの人口の推移は神戸市の統計で公表されており、過去5年間の増減を確認すれば需要の方向性をつかめます。人口が減っている区で購入する場合は、駅から徒歩5分以内など立地の条件を厳しくして、競合の物件より選ばれやすい物件に絞る必要があります。
若い世代が大阪へ流出していることも神戸市の課題として指摘されており、市は子育て支援や都心の再整備で人口の流出を食い止めようとしています。市の施策の効果が表れるまでには時間がかかるため、投資の判断は現在の人口の動きをもとに行います。
郊外の区でワンルームを保有している場合は、空室が長引く前に家賃の見直しや設備の追加で競争力を高めるか、需要が残っているうちに売却するかを早めに判断します。
地震と津波のリスクを物件ごとに確認する
神戸は1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた経験から防災意識が高い都市ですが、南海トラフ地震による津波の浸水が想定される区域もあります。震災後の1995年以降に建てられた物件は耐震性の基準を満たしているものが大半ですが、沿岸部では建物の強さとは別に津波や液状化のリスクを確認する必要があります。
神戸市が公表しているハザードマップでは、津波の浸水想定区域と土砂災害の警戒区域を住所から確認できます。浸水が想定される区域の物件は、地震保険の保険料や将来の売却価格に影響するため、購入前に必ず位置を照らし合わせておきます。
六甲山のふもとに広がる山側のエリアは津波の心配が小さい一方で、急な斜面に近い場所では土砂災害の警戒区域に指定されていることがあります。海側と山側で注意すべきリスクが異なるため、物件の位置に応じて確認する項目を変えます。
地震保険は火災保険とセットで加入する仕組みで、保険料は建物の構造と所在地の都道府県によって決まり、兵庫県は全国のなかでは中程度の水準です。建物が1981年6月以降の新耐震基準で建てられていれば保険料の割引も受けられるため、建築確認の時期を確認しておきます。
価格上昇で利回りが下がっている
2年間で平均価格が1.28倍に上がった結果、神戸のワンルームの表面利回りは東京とほとんど変わらない5%台前半まで下がっています。割安さを理由に神戸を選ぶという判断は以前ほど成り立たなくなっており、今から購入する場合は価格が上がりきった局面で買うリスクを織り込む必要があります。
今後金利が上がって市場の求める利回りが6%まで戻れば、1,723万円の物件は約1,476万円まで下がる計算になります。値上がり益を期待するよりも、家賃収入で返済と経費をまかなえるかどうかを基準に、頭金の額や借入期間を決めることが大切です。
すでに神戸でワンルームを保有している場合は、価格が高い今の局面が売却を検討するよい機会になります。相場が上がっているうちに複数の不動産会社で査定を取り、保有を続けた場合の収支と比べて判断します。
売却を検討する際は、所有期間が5年を超えているかどうかで譲渡所得税の税率が39.63%と20.315%に分かれる点も確認が必要です。
同じ神戸市内でも、人口が増えている中央区と減っている郊外の区では需要がまったく違います。区単位の人口の推移を必ず確認します。
まとめ|神戸のワンルーム投資は中心部の駅近に絞って判断する
神戸市の投資用ワンルームは2年間で平均成約価格が1.28倍の1,723万円まで上がり、表面利回りは5.14%と東京23区に近い水準まで下がりました。三宮周辺のタワーマンション規制で都心の住宅供給が絞られ、中央区の人口が増えていることが、中心部の物件の価格を押し上げています。
神戸でワンルーム投資を検討する際に確認する項目は次のとおりです。
- 中央区や灘区・東灘区の駅から徒歩10分以内の物件か
- 区の人口が過去5年で増えているか
- ハザードマップで津波や土砂災害の想定区域に入っていないか
- 利回りが6%に戻った場合の価格でも損失に耐えられるか
市全体の人口が減るなかで需要が保たれているのは中心部に限られるため、価格の安さや利回りの高さだけで郊外の物件を選ばないことが大切です。検討している物件があれば、まず周辺の成約価格を3件以上集めて提示価格と比べ、ハザードマップで立地のリスクを確認してみましょう。












