子どもの進学や親の住み替えをきっかけに、保有している投資用マンションを親族に貸せないかと考える人は少なくありません。空室を埋められて家族の住まいも確保できる方法に見えますが、ローンの契約や家賃の決め方を誤ると、一括返済を求められたり経費が認められなかったりするリスクがあります。
本記事では、投資用マンションを親族に貸すときに確認すべきローンの条件、税務上の家賃の決め方、生計を一にする親族に貸す場合の扱い、トラブルを防ぐ契約の結び方までを具体的に解説します。


投資用マンションを親族に貸すことはできるか
投資用マンションを親族に貸すこと自体は法律で禁止されておらず、所有者の判断で貸し出せます。投資用と居住用という区別は物件の性質ではなく購入の目的とローンの種類による分け方で、建物の構造や設備に違いがあるわけではないためです。
実際に、子どもの大学進学や親の住み替えに合わせて、保有中のワンルームを親族の住まいとして使う例は珍しくなく、条件を守れば有効な活用方法の一つになります。
ただし親族に貸せるかどうかや確認すべき点は、物件を現金で買ったかローンで買ったか、ローンが残っているかによって次のように変わります。
| 物件の状況 | 親族に貸せるか | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| 現金で購入した | 貸せる | 家賃の額と税金の扱い |
| ローンを完済した | 貸せる | 家賃の額と税金の扱い |
| 投資用ローンを返済中 | 条件付きで貸せる | 金融機関の承諾、家賃の受け取り |
現金購入や完済済みの物件なら自由に貸せる
現金で購入した物件やローンを完済した物件は、金融機関との契約に縛られないため、所有者の判断で親族に貸し出せます。貸す相手や家賃の額を決めるのは所有者自身で、第三者に貸す場合と同じように賃貸借契約を結べば問題ありません。
注意すべきなのは、家賃の額によって税金の扱いが変わる点です。無償や相場より大幅に安い家賃で貸すと、経費が認められなくなることもあるので、後述する家賃の決め方を確認しておきましょう。
投資用ローンの返済中は金融機関の確認が必要
投資用ローンを返済中の物件を親族に貸す場合は、事前に融資を受けた金融機関に相談し、契約上問題がないかを確認する必要があります。投資用ローンは第三者に貸して家賃収入を得ることを前提に審査されており、貸し方によっては融資の条件から外れるためです。
親族から相場並みの家賃を受け取る賃貸であれば、第三者への賃貸と同じ扱いで認められることもあります。一方で無償で住まわせる場合は、融資の前提が崩れるので認められない可能性が高いでしょう。
投資用ローン返済中に親族に貸すときの注意点
投資用ローンの返済中に親族へ貸すときに最も気をつけたいのは、金融機関との契約に違反しないことです。投資用ローンと住宅ローンでは融資の前提と金利が大きく異なり、契約の内容と違う使い方をすると、残りのローンの一括返済を求められる事態も起こり得ます。
投資用ローンの金利は2〜4%前後が中心で、住宅ローンの変動金利より高めに設定されています。
投資用ローンと住宅ローンの主な違いは、以下のとおりです。
| 項目 | 投資用ローン | 住宅ローン |
|---|---|---|
| 対象 | 第三者に貸す物件 | 本人や家族が住む物件 |
| 返済の原資 | 家賃収入と給与 | 給与 |
| 金利の目安 | 2〜4%前後 | 変動で1%前後 |
| 住宅ローン控除 | 使えない | 使える |
投資用ローンは家賃収入を返済の原資として審査している
投資用ローンは、物件から得られる家賃収入を返済の原資の一部として審査しているため、家賃が入らない使い方は融資の前提から外れます。金融機関は物件の収益性を評価して融資額を決めており、家賃収入がなくなれば返済の見通しが変わるからです。
親族から家賃を受け取らずに住まわせると、金融機関から見れば収益物件ではなく自宅と同じ状態になります。家賃を受け取るかどうかが、金融機関の判断を左右する大きなポイントです。
無断で自己居住と同じ状態にすると一括返済を求められる可能性がある
金融機関に無断で親族を無償で住まわせ、実質的に自宅として使っている状態が発覚すると、契約違反として残りのローンの一括返済を求められる可能性があります。低い金利で借りられる住宅ローンとの使い分けを守らない行為は、金融機関との信頼関係を損なうためです。
一括返済を求められた場合、数百万〜数千万円の残債をすぐに用意できず、物件を急いで売却することになりかねません。親族に貸す前に、必ず金融機関の担当者に相談して書面か記録で了承を得ておきましょう。
投資用ローン返済中に親族へ貸すときは、事前に金融機関へ相談し、家賃を受け取る賃貸であることを伝えて了承を得ましょう。
相場並みの家賃を受け取るなら認められることが多い
親族であっても賃貸借契約を結び、相場に近い家賃を毎月受け取るのであれば、第三者に貸す場合と同じ扱いとして金融機関に認められることが多くあります。家賃収入から返済を続ける収益物件としての性質が、親族に貸しても変わらないためです。
金融機関によって判断が異なるので、相談の際は賃貸借契約書の案と家賃の額を示して説明すると話が進みやすくなります。家賃の振込記録を残しておけば、後から確認を求められたときの証明にもなるでしょう。
親族に貸すときの家賃の決め方
親族に貸すときの家賃は、税務上の扱いを左右する最も重要なポイントです。家賃が安すぎると賃貸ではなく無償で貸す使用貸借と判断され、固定資産税や減価償却費などの経費が認められなくなり、不動産所得の計算自体が成り立たなくなります。
親族への援助の気持ちから家賃を低く設定しがちですが、家賃の額は税金の扱いを決める基準になるため、相場を調べたうえで慎重に決めましょう。
家賃の水準ごとの税務上の扱いの目安は、以下のとおりです。
| 家賃の水準 | 税務上の扱いの目安 | 経費の計上 |
|---|---|---|
| 無償 | 使用貸借 | 認められない |
| 固定資産税相当額以下 | 使用貸借と判断されやすい | 認められない可能性が高い |
| 相場より大幅に安い | 個別に判断される | 一部が否認される可能性がある |
| 相場に近い | 通常の賃貸 | 認められる |
無償で貸すと使用貸借になり経費が認められない
親族に家賃を受け取らずに貸すと、民法上の使用貸借となり、固定資産税や管理費、減価償却費などを不動産所得の経費として計上できなくなります。家賃収入がない以上、経費を差し引く対象の所得が存在しないと考えられるためです。
無償で貸している期間は、物件の維持費をすべて所有者が自己負担することになり、損益通算による節税の効果もなくなります。親族への援助が目的でも、税金面では不利になる点を理解しておきましょう。
固定資産税相当額以下の家賃も使用貸借と判断されやすい
家賃を受け取っていても、金額が固定資産税や都市計画税に相当する程度にとどまる場合は、使用貸借と判断されやすくなります。最高裁の判例でも、固定資産税程度の負担では建物を使う対価とは言えず、賃貸借ではないとされた例があります。
年間の固定資産税が6万円の物件で、月5,000円の家賃を受け取っているだけでは、賃貸とは認められない可能性が高いでしょう。家賃は固定資産税の額を目安にするのではなく、相場を基準に決めましょう。
相場に近い家賃にすれば通常の賃貸として扱われる
親族に貸す場合でも、周辺の同じ広さ・築年数の物件と比べて相場に近い家賃を設定すれば、第三者に貸すのと同じ通常の賃貸として扱われます。家賃の相場は、ポータルサイトで同じマンションや近隣物件の募集家賃を調べれば確認できます。
親族だからといって相場より大幅に安くすると、差額が贈与と見なされたり、経費の一部を否認されたりする可能性があります。相場を調べた資料を保管し、家賃を決めた根拠を説明できるようにしておきましょう。
家賃は周辺相場を基準に決め、調べた募集家賃の資料を保管しておきましょう。固定資産税相当額以下は使用貸借と判断されやすくなります。
家賃は口座振込で受け取り記録を残す
親族からの家賃は現金の手渡しではなく、毎月決まった日に口座振込で受け取り、支払いの記録を残しておきます。税務調査で賃貸の実態を確認されたとき、振込の記録が家賃を受け取っていた最も確かな証明になるためです。
手渡しで受け取っていると、実際に家賃を払っていたのか、途中で免除していたのかを客観的に示せません。賃貸借契約書と通帳の記録をセットで保管し、確定申告の根拠資料にしましょう。
生計を一にする親族に貸す場合の税金の扱い
親族の中でも、同じ家計で生活している生計を一にする親族に貸す場合は、第三者や独立した親族に貸す場合と比べて、税務上の扱いが大きく変わります。家族の間でお金が移動しているだけと見なされやすく、家賃を受け取っても不動産所得として認められない可能性が高いためです。
生計を一にしているかどうかの判断は、同居しているかどうかではなく、生活費の出どころや仕送りの有無など、家計の実態をもとに個別に行われます。
生計を一にするかどうかは、同居の有無ではなく、生活費を共にしているかで判断されます。
投資用マンションの所有者と生計を一にしていると判断されやすいのは、次のようなケースです。
- 親からの仕送りで生活している大学生の子どもに貸す
- 所有者が生活費を負担している年金暮らしの親に貸す
- 同じ家計で生活している配偶者に貸す
仕送りで暮らす子どもへの賃貸は不動産所得になりにくい
親からの仕送りで生活している大学生の子どもに投資用マンションを貸す場合、家賃を受け取っても不動産所得として認められない可能性が高くなります。子どもが払う家賃の元が親の仕送りであれば、親のお金が一度子どもを経由して親に戻っているだけと判断されるためです。
家賃収入として申告し、減価償却費などを経費に計上して赤字にしていると、税務調査で否認されて修正申告を求められることがあります。子どもに貸す場合は、税理士に相談してから申告の方法を決めましょう。
生計が別の親族でも家賃が著しく安ければ否認される
独立して生計を立てている親族に貸す場合でも、家賃が相場より著しく安いと、賃貸としての実態がないとして経費の計上を否認されることがあります。税務署は契約の名目ではなく実態で判断するため、援助が目的の賃貸は通常の賃貸と同じ扱いにならないからです。
社会人になった子どもや兄弟に貸す場合も、家賃は相場を基準に設定しておくことが安全です。親族への援助を優先するなら、賃貸にこだわらず別の方法で支援することも検討しましょう。
否認されると追加の税金と加算税が発生する
親族への賃貸で計上した赤字が税務調査で否認されると、還付を受けた所得税に加えて、過少申告加算税や延滞税を納めることになります。数年分をまとめて修正するケースもあり、節税したつもりの金額以上の負担が一度に発生することがあります。
営業担当者から親族に貸せば節税になると勧められても、確認せずに実行するのは危険です。判断に迷う場合は、税務署の電話相談や税理士に事前に確認しておきましょう。
投資用マンションを親族に貸すデメリット
親族に貸すと空室の心配がなくなる一方で、第三者に貸す場合にはない人間関係のトラブルや、将来の収益の低下につながるデメリットがあります。家族だからこそ言い出しにくいことが増え、投資としての判断が甘くなりやすい点を理解しておく必要があります。
デメリットの多くは、家賃の額や貸す期間を最初に決めずに、家族の間の話し合いだけで貸し始めたことから生じています。
親族に貸す場合に起こりやすいデメリットは、次の4つです。
- 家賃の値下げや支払いの猶予を頼まれやすい
- 売却や建て替えのときに退去を求めにくい
- 親族が退去した後の再募集で家賃が下がりやすい
- 相続のときに他の親族との間で揉めやすい
家賃の値下げや支払いの猶予を頼まれやすい
親族が入居者になると、生活が苦しいときに家賃の値下げや支払いの猶予を頼まれやすく、家族の関係から断りにくくなります。家賃の入金が途絶えても、第三者のように家賃保証会社へ請求したり督促したりすることは難しいでしょう。
家賃が入らない月もローンの返済や管理費の支払いは続くため、所有者の持ち出しが増えていきます。親族に貸す前に、家賃が払えなくなった場合の取り決めも話し合っておきましょう。
売却したいときに退去を求めにくい
親族に貸した後に物件を売却したくなっても、借地借家法で借主が保護されているため、正当な理由がなければ退去を求められません。貸主側から解約を申し入れる場合は6か月以上前の通知が必要で、立ち退き料を求められることもあります。
入居者がいるまま売るオーナーチェンジも可能ですが、親族が相場より安い家賃で住んでいると、利回りが低く見えて売却価格が下がります。売却の予定がある物件は、親族に貸す前に時期を話し合っておきましょう。
再募集のときに家賃が下がりやすい
親族が長く住んだ後に第三者へ貸し出すと、築年数が進んでいるうえ内装も傷んでいるため、以前より低い家賃でしか募集できないことがあります。親族に安い家賃で貸していた場合は、貸していた期間の相場上昇の恩恵も受けられていません。
親族の退去後は、壁紙の張り替えや設備の交換など、通常より大きな原状回復費がかかることも多いでしょう。再募集の費用と家賃の下落分も含めて、親族に貸すかどうかを判断しましょう。
相続のときに他の親族と揉めやすい
特定の親族に安い家賃で長く貸していると、所有者が亡くなった後の相続で、他の相続人から不公平だと主張されて揉める原因になります。相場との差額が長年の援助と見なされ、遺産の分け方の話し合いで特別受益として持ち出されることがあるためです。
使用貸借で貸していた物件は、相続税の評価で貸家としての減額を受けられない点にも注意が必要です。親族に貸す場合は、家族全員に事情を説明し、遺言書などで扱いを決めておきましょう。
親族とのトラブルを防ぐ貸し方
親族に投資用マンションを貸すなら、第三者に貸すときと同じ手続きを踏むことが、トラブルと税務上のリスクを防ぐ最も確実な方法です。家族の間の口約束で済ませず、契約書と管理の仕組みを整えておくことで、後から問題が起きても冷静に対応できます。
手続きを整えるのは親族を疑うためではなく、家族の関係を守りながら投資としての収益も確保するための準備だと考えましょう。
親族に貸す前に準備しておきたいことは、次の3つです。
- 相場にもとづいた家賃で賃貸借契約書を作る
- 管理会社を通して家賃の回収と契約の管理を任せる
- 貸す期間が決まっているなら定期借家契約にする
賃貸借契約書を作り条件を明文化する
親族に貸す場合でも、家賃や支払日、契約期間、退去時の原状回復の範囲を記した賃貸借契約書を必ず作成します。口約束のままでは、家賃の額や修繕費の負担を巡って意見が食い違ったとき、どちらの主張が正しいかを確かめられないためです。
契約書は税務調査で賃貸の実態を示す資料にもなり、使用貸借ではないことの証明に役立ちます。国土交通省の賃貸住宅標準契約書を雛形に使えば、必要な項目を漏れなく盛り込めるでしょう。
管理会社を通して家賃を回収する
親族に貸す場合も管理会社に管理を委託し、家賃の回収や更新の手続きを任せると、家族の間で直接お金の話をする場面を減らせます。家賃の滞納があっても管理会社が督促するため、所有者が親族に催促しにくいという問題を避けられます。
管理会社の記録が残れば、第三者への賃貸と同じ形で運営していることを客観的に示せます。管理委託の手数料は家賃の3〜5%程度なので、トラブルを防ぐ費用として考えましょう。
期間が決まっているなら定期借家契約にする
子どもの在学中だけなど貸す期間が決まっている場合は、契約期間の満了で確実に終了する定期借家契約を結んでおくと、退去の時期で揉めずに済みます。普通借家契約では借主が希望すれば契約が更新されるため、予定の時期に物件を明け渡してもらえない可能性があります。
定期借家契約は書面で結び、契約前に更新がないことを説明する書面を交付する必要があります。管理会社に依頼して、正しい手続きで契約を結びましょう。
投資用マンションを親族に貸す以外の選択肢
親族の住まいを用意したいという目的だけなら、投資用マンションを貸す以外にも方法があります。ローンの契約や税金の扱いで無理をするより、目的に合った別の方法を選んだほうが、所有者と親族の双方にとって負担が小さくなる場合も多いでしょう。
親族が住む期間の長さや、投資用ローンの残りの年数によって向いている方法は変わるため、複数の選択肢を比べてから決めることが大切です。
投資用マンションを親族に貸す以外の主な選択肢は、次の3つです。
- 投資用マンションは第三者に貸し、家賃収入で親族の家賃を援助する
- ローンを完済してから、親族に貸すか住んでもらう
- 親族が住むための物件を、住宅ローンで別に購入する
第三者に貸して家賃収入で親族を援助する
投資用マンションは第三者に相場の家賃で貸し続け、得た家賃収入の一部で親族の住まいの家賃を援助する方法は、ローンと税金の両面で最もリスクが小さい選択肢です。投資用ローンの前提を崩さず、不動産所得の経費も購入時から変わらず計上できます。
親族は自分の希望する立地や広さの物件を自由に選べるため、住まいの満足度も高くなりやすいでしょう。援助の額が年間110万円を超えると贈与税の対象になる点には注意しましょう。
ローン完済後に親族に貸す
ローンの完済が近い物件なら、完済を待ってから親族に貸すことで、金融機関との契約を気にせずに貸し出せます。完済後は家賃の額やローン返済の有無に縛られず、親族の事情に合わせて柔軟に条件を決められます。
繰り上げ返済で完済の時期を早める方法もありますが、手元資金が減りすぎないように注意が必要です。完済までの残りの期間と残債を確認し、親族が住み始める時期と合うかを検討しましょう。
親族が住む物件を住宅ローンで別に買う
親族が長く住む予定なら、親族本人の名義で住宅ローンを組んで物件を購入するほうが、投資用ローンより低い金利で借りられ、住宅ローン控除も使えます。住宅ローンの変動金利は1%前後と、投資用ローンの2〜4%より低いため、返済の総額を抑えられます。
親が子どもの住宅購入資金を援助する場合は、住宅取得等資金の贈与税の非課税措置を使える可能性があります。制度の条件と期限は年度ごとに変わるので、税理士に確認しましょう。
投資用マンションを親族に貸すときのよくある質問
投資用マンションを親族に貸す場面では、相続税対策になるのか、確定申告はどうするのか、自分自身が住むことはできるのかといった疑問もよく聞かれます。判断を誤りやすい3つの質問に、税金とローンの観点から答えていきます。
いずれも営業担当者の説明や知人の話だけで判断すると、後から税金や契約の面で思わぬ負担が生じやすい論点なので、正しい扱いを確認しておきましょう。
投資用マンションを親族に貸す場面について、本章で取り上げる質問は次の3つです。
- 親に貸すと相続税対策になるのか
- 親族に貸した場合の確定申告はどうするのか
- 投資用マンションに自分が住むことはできるのか
使用貸借で親に貸しても相続税の評価は下がらない
親に無償で貸している物件は、相続税の計算で貸家としての評価の減額を受けられず、相続税対策の効果はほとんどありません。相場の家賃で賃貸している物件は、借家権の分だけ建物と土地の評価額が下がりますが、使用貸借の物件は自分で使っている物件と同じ評価になるためです。
相続税対策として親族に貸すなら、相場の家賃で賃貸借契約を結んでいることが前提になります。相続税の試算は物件ごとに異なるので、税理士に依頼して確認しましょう。
家賃を受け取るなら不動産所得として確定申告する
生計が別の親族から相場に近い家賃を受け取っている場合は、第三者に貸す場合と同じく不動産所得として確定申告します。家賃収入から管理費や固定資産税、減価償却費などを差し引き、給与所得と合わせて所得税を計算します。
生計を一にする親族に貸している場合や、使用貸借に近い家賃の場合は、申告の方法が変わる可能性があります。自己判断で赤字を計上せず、税務署や税理士に相談してから申告しましょう。
投資用ローン返済中に自分が住むのは原則できない
投資用ローンを返済中の物件に所有者自身が住むことは、融資の前提から外れるため、原則として金融機関に認められません。住宅ローンより高い金利で借りている投資用ローンの物件に住むと、自宅として使うのに住宅ローン控除も受けられない不利な状態になります。
転勤などやむを得ない事情がある場合でも、住み始める前に金融機関へ相談することが欠かせません。自分が住む予定があるなら、住宅ローンで購入できる物件を別に探しましょう。
まとめ
投資用マンションを親族に貸すことは可能ですが、投資用ローンの返済中は金融機関の了承が必要で、家賃の額によっては経費が認められなくなります。第三者に貸す場合と同じ条件と手続きで貸すことが、ローンと税金の両面でリスクを避ける基本です。
本記事で解説したポイントは、次の4つです。
- 投資用ローン返済中は、事前に金融機関へ相談して了承を得る
- 無償や固定資産税相当額以下の家賃は使用貸借と判断され、経費が認められない
- 仕送りで暮らす子どもなど生計を一にする親族への賃貸は、不動産所得になりにくい
- 賃貸借契約書と口座振込の記録を残し、期間が決まっていれば定期借家契約にする
親族に貸すかどうか迷ったら、まず融資を受けた金融機関と税理士に相談し、条件を確認してから判断しましょう。










