不動産投資に必要な初期費用はいくら?初期費用を抑える4つの方法も紹介

監修者

出口慎一

出口慎一

1級建築士、宅地建物取引士、2級福祉住環境コーディネーター、2級建築施工管理技士、2級管工事施工管理技士

不動産投資を検討している人にとって、気になることの1つが「初期費用はいくらかかるのか?
」ということです。初期費用が準備できなければ、お金を貯めてから不動産投資を始めるか、投資を断念するかを選択しなければなりません。

今回の記事では、不動産投資に必要な初期費用はいくらかについて解説します。初期費用を抑える方法についても紹介しますので、不動産投資の資金準備に役立ててください。

目次

目次

不動産投資の初期費用は頭金と諸費用

不動産投資に必要な初期費用は、物件購入の頭金と諸費用に大別できます。それぞれについて解説します。

頭金によって初期費用は大きく異なる

物件購入の頭金は高額になることが多いため、頭金の金額によって初期費用は大きく異なります

頭金の金額は、物件価格と頭金の割合で決まります。頭金を物件価格の10%とした場合、5,000万円の物件を購入すれば500万円、1億円の物件なら1,000万円必要になります。また、5,000万円の物件を購入する場合、頭金の割合を20%とすると1,000万円必要です。

頭金が少なければ初期費用は抑えられますが、毎月のローン返済金額は大きくなります。初期費用にあてられる自己資金と投資開始後の収支のバランスをよく検討して、頭金をいくらにするかを決めましょう。

諸費用は物件価格の5%~10%を目安にする

頭金を除く初期費用を「諸費用」といいます。諸費用の目安は、物件価格のおおよそ5~10%です。5,000万円の物件を購入する場合、250~500万円の費用がかかることになります。

初期費用には、税金など金額が確定したものや、不動産購入の仲介手数料など条件次第で価格が変動するものがあります。また、登記手続きの依頼にかかる司法書士報酬などは、自分で手続きすることで費用をカットすることも可能です。




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不動産投資の諸費用の内訳

不動産投資の諸費用の一般的な内訳を紹介します。実際にかかる費用は、物件の購入方法や不動産投資ローン利用の有無などによって異なりますが、目安として参考にしてください。

1.不動産取得税

不動産取得税は不動産を取得したときにかかる税金で、次の通り計算します。

  • 不動産取得税=課税標準額×税率

課税標準額は、物件の購入価格ではなく固定資産税評価額です。また、本来の税率は4%ですが、特例措置により2024年3月31日までは3%となっています。

5,000万円の物件を購入し固定資産税評価額が7割の3,500万円の場合、不動産取得税は105万円です。実際の税額は、都道府県から送付される「納税通知書」で確認できます。

不動産取得税については税率以外にも軽減措置があります。詳細について知りたい人は、次の記事をご覧ください。

2.印紙代

印紙代(印紙税)とは、不動産購入時に交わす「不動産売買契約書」と「金銭消費貸借契約書」などの書類作成にかかる税金です。印紙税は累進課税のため、次の通り購入金額に応じて異なります。

  • 1,000万円超~5,000万円以下:2万円
  • 5,000万円超~1億円以下:6万円

5,000万円までの物件を購入した場合、印紙代は2万円です。

3.登録免許税

登録免許税とは、不動産の所有権を登記(所有権移転登記)するときにかかる税金で、次の通り計算します。

  • 登録免許税=課税標準額×税率

課税標準額は、不動産取得税と同じで固定資産税評価額です。また、本来の税率は2%ですが、2023年3月31日までは1.5%の税率が適用されます。5,000万円の物件(固定資産税評価額が3,500万円)の登記には、52万5,000円必要です。

ただし、新築物件を購入した場合、建物については「所有権保存登記」の費用として「住宅の軽減税率の適用がない場合」は0.4%の税率が適用され、「住宅の軽減税率の適用がある場合」は0.15%の税率が適用されます。また、ローンを組んだ場合、「抵当権設定登記」の費用として「住宅の軽減税率の適用がない場合」は0.4%の登録免許税が必要で、「住宅の軽減税率の適用がある場合」は0.1%の登録免許税が必要です。

4.仲介手数料

仲介手数料とは、投資物件を不動産会社の仲介によって購入した場合、不動産会社に支払う費用です。仲介手数料は上限額が決められており、物件価格が400万円以上の場合は「物件価格の3%+ 6万円」です。

5,000万円の物件を購入した場合、仲介手数料の上限額は156万円です。

あくまで上限のため、不動産会社や購入するタイミングによっては安く済む場合もあるでしょう。

5.不動産投資ローンの事務手数料

不動産投資ローンの事務手数料とは、物件を購入するために融資を受ける場合に金融機関に支払う費用です。金融機関ごとに事務手数料の料率は異なっているため、ローンを組むときは事前に確認しましょう。

事務手数料は、融資金額のおよそ1%~3%です。5,000万円の物件を購入し4,500万円の融資(手数料が2%)を受けた場合、事務手数料は90万円です。

また、金融機関によっては事務手数料が定額制の場合もあります。(定額制の場合は3万円ほど)
融資金額が大きい場合、定額制の方が事務手数料が安くなることもあるでしょう。

6.不動産投資ローンの保証料

不動産投資ローンの保証料とは、不動産投資ローンを組むときにローン保証会社に支払う保証料です。保証料を支払うことで、借り手がローンを返済ができなくなった場合、保証会社が借り手に代わって金融機関に返済してくれます。

保証料は融資を受けたときに一括で支払う方法と、毎月のローン返済額に金利を上乗せする形で支払う方法があります。

  • 一括で支払う場合:借入金額の2%程度
  • 金利に上乗せして毎月支払う場合:借入金額の0.2%~0.3%程度

一括で支払う方が総額は安くなります。また、金融機関の中には保証料不要のところもあるため、ローン申し込み先を選ぶときは確認してみましょう。

7.司法書士への報酬

司法書士への報酬とは、不動産登記の手続きを司法書士に依頼するときに支払う報酬です。司法書士事務所によって異なりますが、相場としては10~15万円程度の報酬を想定しておくと良いでしょう。

登記の手続きを自分自身で行う場合は、費用を抑えることができます。ただし、必要書類の数が多く専門性の高い作業となることから、司法書士に依頼することが一般的です。

8.火災保険料

火災保険料は、投資物件が火災や自然災害によって損害を受けた場合に備える火災保険の保険料です。不動産投資ローンを組むときは、融資の条件として火災保険への加入が必須です。

保険会社や保障内容、物件の所在地などによって、火災保険料は異なります。また、地震保険にも加入すると、費用がかさみます。不動産投資の必要経費ではありますが、保険料と保障内容のバランスを考えて加入内容を検討しましょう。




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初期費用を抑える4つの方法

次に、不動産投資に必要な初期費用を抑える方法を4つ紹介します。

方法①:価格の安い物件に投資する

初期費用を抑える1つ目の方法は、価格の安い物件に投資することです。頭金を物件価格の10%、諸費用を10%とした場合、初期費用は物件価格の20%です。物件価格が3,000万円なら初期費用は600万円で済みますが、5,000万円なら1,000万円の初期費用が必要になります。

初めて不動産投資をする人で自己資金が十分でない場合は、価格の安い中古アパート、マンションから始めることをおすすめします。

方法②:頭金を減らす

2つ目の方法は、物件購入の頭金を減らすことです。物件の購入代金はいつかは支払わなければいけませんが、頭金を減らしローン割合を増やすことで先送りできます。

ただし、頭金を減らすと毎月のローン返済負担は大きくなります。また、頭金が少ないと、ローンの審査自体が通らなくなる可能性もあるため、極端に減らすことは難しいでしょう。

頭金0円で物件の購入代金全額を融資で賄うフルローンという借り方もあります。フルローンについて詳しく知りたい人は、次の記事をご覧ください。

方法③:諸費用を抑える

3つ目の方法は、諸費用を抑えることです。税金など確定している費用を抑えることは難しいため、仲介手数料の安い不動産会社や不動産登記報酬の安い司法書士を選択すれば、諸費用を抑えられます。

また、不動産投資ローンを利用するときの事務手数料の安い金融機関や、保証料の安い保証会社を探すのも一つの方法です。

方法④:保証料や火災保険料を分割払いにする

4つ目の方法は、保証料や火災保険料を分割払いにすることです。保証料や火災保険料は一括払いまたは分割払いが選択できます。分割払いを選択することで、初期費用を抑えられます。

ただし、一括払いのほうが保証料や火災保険料の支払総額は少なくて済むため、資金に余裕がある場合は、一括払いを選択するのもいいでしょう。




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不動産の運用にかかる費用も注意が必要

不動産投資の費用には、初期費用だけでなく、投資が始まってから必要になる税金や物件の維持・管理費などがあります。さまざまなリスクを考慮して長期的な収支計画を立てるとともに、急な出費に備えた余裕資金を準備することも重要です。

定期的にかかる主な費用を紹介しますので、資金準備に役立ててください。

  • 固定資産税(物件の所在地によっては都市計画税も必要)
  • 不動産管理会社に支払う管理費
  • マンション管理組合に支払う管理費と修繕積立金(区分マンションの場合)
  • 分割払いの保証料や火災保険料 など

そのほかにも、入居者を募集するときの広告費や、リフォーム費用など不定期に発生する費用もあるので注意しましょう。




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まとめ:初期費用と運用開始後の費用を考慮して余裕のある資金計画を!

不動産投資を行うときは、物件購入の頭金以外にもさまざまな初期費用がかかることを念頭に置いて、予算計画を立てることが重要です。支払金額や支払時期などを入念に調べたうえで、資金を準備しましょう。

初期費用は、うまく節約するほかに、頭金を減らしたり保証料などを分割するなど支払いを先延ばしにすることでも抑えられます。しかし、その後の支払いは増えるため、初期費用と運用開始後の費用を考慮して余裕のある資金計画を立てることが重要です。

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