ワンルーム投資の勧誘で「金利0.5%台の住宅ローンが使えます」と言われた場合、提案の中身はフラット35の不正利用にあたる可能性があります。フラット35は自分か親族が住む住宅のためのローンであり、賃貸に出す投資用物件には制度上まったく使えません。
ワンルーム投資でフラット35が使えない理由は、次の2つに整理できます。
- 資金使途が自己または親族の居住用に限定されている
- マンションは床面積30平方メートル以上という要件がある
記事では制度の要件を確認したうえで、不正利用へ誘導する営業トークの特徴と、発覚したときに何が起きるかを整理します。住宅ローンと不動産投資ローンの金利差が月1万3,000円に及ぶことが不正の誘因になっている構造まで解説します。


ワンルーム投資でフラット35は使えるのか
フラット35は住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンで、資金使途は申込者本人か親族が住む住宅の取得に限られています。賃貸に出して家賃収入を得る投資用物件は資金使途の対象外であり、契約の時点で利用できません。
加えて対象となる住宅には床面積の要件が設けられており、マンションであれば30平方メートル以上であることが条件です。投資用ワンルームの専有面積は20平方メートルから25平方メートルが中心のため、資金使途を問う以前に面積の要件で対象から外れます。
| 要件 | 内容 | 投資用ワンルームの場合 |
|---|---|---|
| 資金使途 | 本人または親族が住む住宅 | 賃貸に出すため対象外 |
| 床面積 | マンションは30平方メートル以上 | 20〜25平方メートルが中心で不適合 |
| 借入額 | 100万円以上8,000万円以下 | 金額としては範囲内 |
| 返済期間 | 15年以上35年以下 | 期間としては範囲内 |
| 技術基準 | 機構の定める適合証明が必要 | 物件によっては取得可能 |
フラット35は自分か親族が住む住宅に限られる
フラット35の資金使途は、申込者本人が住む住宅または申込者の親族が住むための住宅の建設や購入に限定されています。購入した住宅を賃貸に出すことは資金使途に反するため、借入後に貸し出した時点で契約違反となり、残債の一括返済を求められる根拠が生じます。
親族が住む場合であっても、家賃を受け取る形で貸し出すのであれば投資用の扱いとなり、資金使途の要件から外れます。申込みの際には住民票や居住予定の申告が求められ、融資実行後も居住の実態が確認される仕組みが設けられています。
制度の原資には財投機関債などの公的な資金が使われており、政策的な低金利で国民の住宅取得を支援することが目的です。投資目的の利用が広がれば制度の趣旨から外れてしまうため、住宅金融支援機構は不正利用に対して一貫して厳しい姿勢を取っています。
フラット35には団体信用生命保険の加入が任意という特徴があり、健康状態に不安がある人でも借りられる設計になっています。全期間固定金利で返済額が最後まで変わらない点も含めて、自宅を長期にわたって保有する人に向けた商品として組み立てられています。
賃貸に出す前提の物件は返済原資が家賃収入になるため、本人の給与から返済する住宅ローンとは審査の考え方が根本から異なります。
マンションは床面積30平方メートル以上という要件
フラット35の対象となる住宅には床面積の下限が定められており、一戸建てで70平方メートル以上、マンションでは30平方メートル以上が条件です。投資用ワンルームの専有面積は20平方メートル台が中心のため、資金使途の問題を別にしても床面積の要件で対象から外れます。
床面積の判定には登記簿上の内法面積が使われ、販売資料に載る壁芯面積より3%から5%小さくなります。壁芯で31平方メートルの物件でも内法では29平方メートル台になることがあるため、境目に近い物件は登記事項証明書で確認する必要があります。
東京23区のワンルーム条例は最低専有面積を25平方メートル前後と定めているため、30平方メートルを超える新築ワンルームの数は多くありません。単身者向けの物件でフラット35の面積要件を満たすのは、1LDKに近い広さを持つ一部の物件に限られます。
床面積の要件は購入者の属性や返済能力とは無関係に適用されるため、年収が高くても要件を外れた物件では借りられません。要件を満たすかどうかは登記事項証明書の1行で判断できるので、勧誘を受けた段階で確認しておくと迷いがなくなります。
投資用ワンルームが要件を満たさない理由
投資用ワンルームは賃貸に出して家賃収入を得ることを前提に設計されており、購入者が住むことを想定していません。販売時点ですでに入居者がいるオーナーチェンジ物件では、購入者が住むことが物理的に不可能なため、住宅ローンの審査は通りません。
空室の物件であっても、購入後に賃貸募集をかける前提であれば資金使途に反し、金融機関は売買契約書の記載や賃貸借契約の有無、物件の仕様から投資用かどうかを判断しています。
投資用ワンルームを購入する場合に使えるのは不動産投資ローンで、物件の収益性と本人の属性の両方が審査の対象になります。金利は住宅ローンより高く設定されますが、賃貸経営を前提とした正規の借入であるため、後から契約違反を問われる心配はありません。
販売会社が用意する提携ローンも不動産投資ローンであり、フラット35が選択肢として提示されることはありません。提携先の金融機関名と商品名は重要事項説明を受ける前に確認できるため、契約を急がされたとしても書面で示すよう求めます。
フラット35は資金使途と床面積の2つの要件で投資用ワンルームを除いており、どちらか一方でも満たさなければ利用できません。
ワンルーム投資でフラット35を使うよう誘われたときの見分け方
不正利用の多くは購入者が自分から思いついたものではなく、販売業者側の誘導によって起きています。2019年には住宅金融支援機構の調査で100件を超える不正利用が確認され、当事者の多くは20代から30代の会社員でした。
不正へ誘導する営業トークには共通した特徴があります。
| 営業トーク | 実際の意味 |
|---|---|
| 融資のため住民票を移してください | 居住の実態を偽装する |
| 数年住んでから貸せば問題ありません | 完済までの賃貸は契約違反 |
| 金利0.5%台で買えます | 住宅ローンを流用している |
| 契約書にサインするだけで大丈夫です | 内容を確認させない意図がある |
| 今の借金は当社で処理します | 審査を通すための債務の肩代わり |
住民票を移すよう求められる
投資用物件を購入するだけなのに住民票の移動を求められた場合は、居住の実態を装う目的だと考えて差し支えありません。実際には住んでいない住所へ住民票を移す行為は住民基本台帳法に違反し、5万円以下の過料が科される可能性があります。
販売業者は「融資の手続き上どうしても必要です」「あとで戻せば問題ありません」といった説明を重ねて応じさせようとします。住民基本台帳法は実際に生活している場所を届け出るよう求めており、融資のための便宜的な移動を認める規定は置かれていません。
金融機関に対して虚偽の居住実態を示す行為が不正の起点になるため、どのような理由を示されても応じるべきではありません。住民票を移していない場合でも、購入する物件の住所と申込者の現住所が異なる時点で、金融機関は投資目的での購入を疑います。
融資の審査段階で居住する予定について書面と口頭の両方で確認されるため、偽装が最後まで通ることはほとんどありません。仮に融資が実行されたとしても、返済期間中に居住実態を確認される機会は何度も訪れることになります。
住民票を移す提案を断った時点で商談が止まるようであれば、販売業者は不正利用を前提に話を進めていたと判断できます。
金利が住宅ローン並みに低い
不動産投資ローンの金利は1.5%から3%台が中心であり、0.5%前後で推移する住宅ローンとは明確な差があります。投資用物件の話で金利1%を下回る条件が提示された場合は、住宅ローンを流用する前提で話が進んでいると考えられます。
2,000万円を35年で借りた場合、金利0.5%なら月々の返済は約5万1,900円、金利1.9%なら約6万5,200円になります。月1万3,300円、35年間では約559万円の差が生まれることが、不正利用に手を出す動機として指摘されています。
提示された金利が相場より大幅に低い場合は、どの金融機関のどの商品を使う前提になっているのかを、書面で必ず確認します。商品名を答えられない、あるいは書面で示さないという対応が返ってくるようであれば、商談を打ち切る判断が必要になります。
不動産投資ローンの金利は都市銀行で1%台後半、地方銀行や信用金庫で2%台、ノンバンクで3%台というのが目安です。同じ物件でも金融機関によって0.5%以上の差が出ることがあるため、複数の提携先を持つ販売会社であれば比較を依頼できます。
二重の売買契約書を作る
融資額を引き上げる目的で、実際の売買価格より高い金額を記載した契約書をもう1通作成するという手口も報告されています。金融機関へ提出する契約書と実際の契約書を使い分ける行為は私文書偽造にあたるため、購入者自身も刑事責任を問われる立場に置かれます。
頭金を用意できない購入者に対して、販売業者が一時的に資金を貸し付けて自己資金があるように見せかける手口も存在します。通帳の残高を作るためだけに行われた資金移動は、審査を通す目的の偽装として金融機関から厳しく扱われます。
契約書の内容を読ませずにサインを求められた場合は、署名を保留して書類を持ち帰り、内容を確認する時間を確保します。売買価格や引渡日、特約の内容を自分の目で読み合わせる時間すら取れないような契約に、無理に応じる必要はありません。
売買契約書は買主と売主が1通ずつ保管するのが原則であり、同じ取引について金額の異なる契約書が2通存在すること自体が異常です。金融機関へ提出した契約書の写しを手元に残しておけば、あとから2通の記載内容を突き合わせて照合できます。
見せ金による自己資金の偽装も、通帳の入出金履歴をたどれば短期間で出入りした資金として容易に把握されます。
金利が相場より極端に低い提案は、住宅ローンの流用を疑う材料になり、金融機関名と商品名を書面で確認します。
フラット35の不正利用が発覚する経路とペナルティ
住宅ローンの不正利用というのは、返済さえ続けていれば最後まで気づかれずに済むという性質のものではありません。金融機関とのあいだで交わす郵便物のやり取りや定期的な確認を通じて、本人が居住していない事実は高い確率で判明します。
発覚までの期間は数か月で済むこともあれば数年後になることもあるため、時間が経つほど安全になるという関係にはありません。融資を受けた本人にとっては、完済を迎えるまで発覚の不安を抱え続ける状態が何十年にもわたって続くことになります。
発覚する主な経路は次のとおりです。
- 金融機関からの郵便物が宛先不明で返送される
- 担当者が現地を訪問して居住の実態を確認する
- 同じ業者が関与した案件が一括で調査される
- 業者の従業員による内部告発が行われる
郵便物の不着と現地調査で発覚する
金融機関は返済予定表や残高証明書を登録された住所へ郵送するため、本人が居住していなければ宛先不明で返送されてきます。郵便物の返送は不正を疑う最初のきっかけとなり、返送が繰り返されれば金融機関から居住実態について確認を求められます。
住宅金融支援機構は提出書類の精査に加えて、現地調査や聞き取り、データの分析を組み合わせた多面的な調査を実施しています。1件の不正が発覚した場合には、同じ販売業者が関与したほかの案件までまとめて調査の対象になるという運用も取られています。
購入から数年が経過したあとになって発覚するケースも多く、返済を重ねたからといって安全になるわけではありません。完済までの全期間が確認の対象となるため、返済を続けている限り不正が明らかになる可能性は残り続けることになります。
賃貸に出していれば入居者の住民票が同じ住所に置かれることになるため、居住実態を照会した段階で食い違いが表面化します。管理会社とのあいだで交わした賃貸借契約や、確定申告で不動産所得を申告した記録も、賃貸利用を示す資料として残り続けます。
金融機関が居住実態の確認を求めてきた段階になって事実と異なる説明を重ねると、本人の立場はさらに悪くなります。
残債の一括返済を求められる
不正が確認されると期限の利益を失うことになり、残債の全額を直ちに返済するよう求められます。2,000万円を借りて数年しか返済していなければ残債は1,800万円を超えており、物件を売却しても返済しきれず自己破産に至る事例が報告されています。
期限の利益喪失とは、分割して返済できる権利を失うことを指し、月々の返済を続ける形は認められなくなり、残債の全額を一度に用意しなければならなくなります。
売却しても不足が出る場合は、差額を自己資金で埋めるか、金融機関の同意を得て任意売却の手続きを取ることになります。信用情報に事故として記録されるため、以降の借入やクレジットカードの利用にも長期間にわたって影響が残ります。
一括返済を求められてから物件を売るまでには3か月から6か月かかり、売却できるまで遅延損害金が積み上がっていきます。遅延損害金の利率は年14%前後に設定されていることが多く、残債1,800万円であれば月20万円を超える負担になります。
返済を続けたいと申し出たとしても、期限の利益を失った以上、分割払いに戻す義務が金融機関の側にはありません。
詐欺罪に問われる可能性
虚偽の内容を申告して融資を受ける行為は、金融機関を欺いて金銭を交付させたものとして刑法上の詐欺にあたる可能性があります。詐欺罪は10年以下の拘禁刑と定められており、契約書を偽造していれば有印私文書偽造罪も併せて問われる立場になります。
販売業者に誘導された場合であっても、申込書に署名したのが本人である以上、取引の当事者として責任を問われる立場になります。悪意がなかったという主張が必ず通るとは限らないため、販売業者と並んで責任を問われる可能性は否定できません。
すでに不正利用の状態にあると気づいた場合であっても、放置せずに金融機関か弁護士へ相談するという道は残されています。自主的に申告して繰り上げ返済や不動産投資ローンへの借り換えを進めるほうが、発覚を待つより選べる手段は多くなります。
借り換えができれば資金使途の問題は解消しますが、投資用ローンの審査に通る本人属性と物件であることが前提になります。売却して精算するという選択肢も含めて、できるだけ早い段階で専門家に状況を整理してもらう価値があります。
業者に勧められた場合でも、申込書に署名したのは本人で、責任を業者に転嫁できる仕組みにはなっていません。
ワンルーム投資で使える正しいローン
投資用ワンルームを購入する際に使えるのは、賃貸経営を前提として設計された不動産投資ローンに限られます。金利は住宅ローンより高いものの、家賃収入を返済原資として認めたうえで融資されるため、後から契約違反を問われることはありません。
審査では本人の年収や勤務先に加えて、物件の立地や築年数から算出される担保評価まで見られることになります。物件の収益力が返済を支えられるかどうかを金融機関が確認するため、審査に通ること自体が物件の質を測る材料にもなります。
住宅ローンと不動産投資ローンの違いを整理すると次のとおりです。
| 項目 | 住宅ローン | 不動産投資ローン |
|---|---|---|
| 資金使途 | 本人・親族の居住用 | 賃貸経営のための取得 |
| 金利 | 0.5%前後 | 1.5〜3%台 |
| 審査の対象 | 本人の返済能力 | 本人の属性と物件の収益性 |
| 住宅ローン控除 | 適用される | 適用されない |
| 借入可能額 | 年収の6〜8倍程度 | 物件の評価額に左右される |
不動産投資ローンの金利と審査
不動産投資ローンの金利は金融機関によって大きく幅があり、都市銀行で1%台後半、ノンバンクで3%台というのが現在の水準です。オリックス銀行や住信SBIネット銀行などが投資用ローンを扱っており、本人の年収や勤務先に加えて物件の担保評価が審査の対象になります。
投資用ローンの審査では、年収500万円以上、勤続年数3年以上といった目安が置かれることが多くなっています。物件の担保評価が低ければ自己資金の投入を求められるため、頭金として物件価格の1割から2割を用意しておくと選択肢が広がります。
金利が高いぶん毎月の返済額は増えることになりますが、支払った利息は不動産所得の必要経費として計上できます。住宅ローン控除が使えない代わりとして、経費計上による所得の圧縮という別の形で税の負担が調整される仕組みです。
固定金利と変動金利のどちらを選ぶかは、保有を予定している年数と金利上昇への耐性の2点から判断します。10年以内に売却する前提なら変動金利、長期保有で返済額を固定したいなら固定金利という組み立てが基本になります。
提携ローンは手続きが簡便な一方で金利が高めに設定されることがあるため、自分で複数の金融機関に打診する余地も残しておきます。
住宅ローンで賃貸に出せる例外的なケース
自分が住むために住宅ローンで購入した物件であっても、転勤などやむを得ない事情がある場合には賃貸に出せることがあります。金融機関の承諾を得たうえで、戻る時期を定めた定期借家契約で貸し出す形であれば、契約違反として扱われずに済みます。
金融機関の承諾を得ずに貸し出してしまうと、やむを得ない事情の有無にかかわらず契約違反として一括返済を求められる可能性があります。転勤が決まった段階ですぐ金融機関へ連絡し、賃貸に出す期間と契約の形態を伝えて許可を得る手順を踏みます。
自宅部分が50%以上を占める賃貸併用住宅であれば、住宅ローンを利用しながら賃貸部分から家賃収入を得ることができます。ただし建築費が大きいうえに収益性は投資用物件より低いため、ワンルーム投資の代替になる選択肢とはいえません。
賃貸併用住宅では自宅部分の割合が50%を下回った時点で住宅ローンの対象から外れ、事業用ローンへの切り替えを求められることになります。設計の段階で床面積の配分を確認しておかないと、完成したあとで融資の条件が変わる事態を招きかねません。
転勤で自宅を貸す場合は、必ず金融機関の承諾を得てから進め、無断で貸すと事情があっても契約違反になります。
まとめ|ワンルーム投資にフラット35は使えない
フラット35は本人か親族が住むための住宅を対象としたローンであり、賃貸に出す投資用ワンルームには使えません。マンションは床面積30平方メートル以上という要件もあるため、20平方メートル台が中心の投資用ワンルームは二重の意味で対象から外れます。
勧誘を受けたときに確認する項目は次のとおりです。
- 提示された金利がどの金融機関のどの商品か
- 住民票の移動を求められていないか
- 売買契約書が1通だけで、金額が実際の価格と一致しているか
- 物件の登記簿上の専有面積が何平方メートルか
不正利用が発覚すると期限の利益を失って残債の一括返済を求められ、詐欺罪に問われる可能性まで生じます。2,000万円を借りて数年しか返済していない状態で1,800万円超の一括返済を求められれば、物件を売却しても足りずに自己破産へ至る事例が実際に起きています。
ワンルーム投資で使えるのは、賃貸経営を前提とした不動産投資ローンだけで、金利1%を下回る条件を提示されたら、金融機関名と商品名を書面で示すよう求めてみましょう。










