政府の地震調査委員会は、南関東でマグニチュード7クラスの地震が今後30年以内に発生する確率を70%程度と評価しており、都心では震度6強から7の揺れが想定されています。内閣府の被害想定では最悪のシナリオで死者約1.8万人、全壊・焼失約40万棟、経済被害は約83兆円という規模が示されました。
物件を1棟または1戸だけ都内に持っている投資家にとって、首都直下地震は分散のきかない一点集中のリスクになります。旧耐震の物件は倒壊率が新耐震のおよそ3倍とされ、被災後は家賃収入と資産価値の両方が同時に失われる展開も想定しておく必要があります。
首都直下地震と不動産投資について、次の4点を整理して解説します。
- 被害想定と発生確率の具体的な数字
- 倒壊・賠償責任・家賃下落という3つのリスク
- 耐震基準とエリアから見た物件の選び方
- 地震保険で補償される範囲と区分マンションの注意点


首都直下地震の被害想定と発生確率
首都直下地震はひとつの震源を指す言葉ではなく、南関東の直下で起こるマグニチュード7クラスの地震群をまとめて呼ぶ名称です。政府はマグニチュード7クラスの地震が今後30年以内に発生する確率を70%程度と評価しており、投資判断において無視できる水準ではありません。
東京都内に限っても、今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は47%と公表されています。物件を保有する期間が20年や30年に及ぶ不動産投資では、保有期間中に大きな揺れを経験する前提で計画を立てる必要があります。
震源の位置によって被害の中心となる地域は変わり、都心南部が震源になるケースでは23区の広い範囲で震度6強以上が想定されています。自分の物件がどのシナリオでどの程度の揺れを受けるのかは、東京都が公表する被害想定の資料で確認できます。
30年以内に70%という発生確率をどう読むか
70%という数字は、地震の起こりやすさを長期的な平均から推定したもので、明日起きる可能性もあれば30年間起きない可能性もあり、時期を予測できる性質の数字ではありません。
投資判断で重要なのは、起きるかどうかではなく、起きたときに耐えられる状態にしておくかどうかという点になります。確率が70%であっても、耐震性の高い物件を地盤の強いエリアで持ち、地震保険を掛けていれば損失は限定できます。
阪神淡路大震災も東日本大震災も、発生前の段階では明日起きるとは考えられていなかった点が共通しています。確率の高低にかかわらず、保有期間中に一度は大きな揺れが来るという前提で備えを組み立てるほうが現実的です。
備えにかかる費用は、耐震性の高い物件を選ぶことによる価格の上乗せと、地震保険の保険料が中心になります。年間で数万円から十数万円の負担で、数千万円の資産を失うリスクを大きく下げられる計算です。
反対に旧耐震の木造アパートを木密地域に1棟だけ持っている状態は、確率がいくら低くても取り返しのつかない損失につながります。分散の効かない資産だからこそ、確率の高低よりも被害の大きさで判断する視点が求められます。
内閣府が示す被害想定の規模
内閣府の想定では、被害の規模は都市機能を根底から揺るがす水準で、最悪のシナリオで死者は約1.8万人、全壊・焼失する建物は約40万棟、経済被害は約83兆円と見積もられています。
被害の中心になるのは建物の倒壊と、倒壊に続いて発生する火災による焼失だと分析されています。とくに老朽化した木造住宅が密集する地域では、同時多発的な出火と延焼によって被害が広がる可能性が指摘されました。
電気やガス、水道といったライフラインの停止も長期化すると想定されており、建物が無事でも入居者が住み続けられない事態が起こります。建物の被害がゼロでも家賃収入が止まるリスクを、収支計画へあらかじめ織り込んでおく必要があります。
投資判断で見るべきは発生確率ではなく、起きたときに耐えられるかどうかで、確率が70%でも、耐震性の高い物件を地盤の強いエリアで持ち地震保険を掛けていれば、損失は限定できます。
南関東でマグニチュード7クラスの地震が起きる確率は30年以内に70%程度、東京都内で震度6弱以上に見舞われる確率は47%と公表されています。
| 項目 | 想定される数値 |
|---|---|
| 発生確率(南関東・M7クラス) | 30年以内に70%程度 |
| 都内で震度6弱以上 | 30年以内に47% |
| 都心の想定震度 | 震度6強〜7 |
| 死者 | 約1.8万人 |
| 全壊・焼失 | 約40万棟 |
| 経済被害 | 約83兆円 |
首都直下地震が不動産投資にもたらすリスク
地震によるリスクは建物が壊れることだけではなく、賠償責任と収益の悪化という形でも投資家に降りかかってきます。倒壊しなかった場合でも修繕費の負担が発生し、入居者が退去すれば家賃収入は止まります。
とくに見落とされやすいのが、建物の所有者が負う法律上の責任で、入居者がけがをした場合、所有者は過失がなくても賠償責任を負う立場に置かれる可能性があります。
リスクは被災した直後だけでなく、数年にわたって収支へ影響し続ける点も押さえておく必要があります。修繕、賠償、家賃下落、売却価格の低下という順番で、時間差をつけて負担が積み重なる構図です。
建物の倒壊と修繕費の負担
建物が全壊すれば、残ったローンを抱えたまま収入源だけを失う状態になり、建て直すには数千万円が必要になり、地震保険だけでは再建費用を賄いきれないのが実情です。
倒壊まで至らない場合でも、外壁のひび割れや配管の破損、エレベーターの停止といった修繕が同時に発生します。区分マンションでは共用部分の修繕が管理組合の判断になるため、修繕積立金が不足していれば一時金の徴収を求められる展開もあります。
修繕が終わるまでの期間は入居者が住めず、家賃を減額するか退去を受け入れるかの判断を迫られ、ローンの返済は止まらないため、修繕費と返済の両方を手元資金でしのぐ局面が生まれます。
阪神淡路大震災の際は住宅ローンを抱えたまま自宅を失った人が多数生まれ、二重ローン問題として社会的にも取り上げられました。投資用物件でも構図は同じで、収入を失った状態で返済だけが続く事態は現実に起こり得ます。
被災後に返済が難しくなった場合は、金融機関へ返済条件の変更を申し入れるという選択肢もあります。自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインを使えば、信用情報に記録を残さずに整理できる制度も用意されています。
入居者に対する賠償責任
建物の欠陥が原因で入居者がけがをした場合、所有者は重い責任を負い、民法717条の土地工作物責任により、所有者は過失がなくても賠償責任を免れられない仕組みです。
占有者である管理会社が必要な注意を尽くしていたと認められると、責任は最終的に所有者へ移り、地震という不可抗力があっても、建物の設置や保存に瑕疵があったと判断されれば免責されません。
旧耐震のまま補強もせずに放置していた物件は、瑕疵があったと評価されるリスクが高くなります。耐震診断を受けて必要な補強を実施しておくことは、資産を守る対策であると同時に責任を回避する備えでもあります。
賠償責任に備える保険としては、施設賠償責任保険を火災保険の特約として付けられる商品が用意されています。年間で数千円から1万円程度の保険料で、入居者や第三者への賠償に対応できるため加入しておくと安心です。
区分マンションの場合、共用部分に起因する事故は管理組合が加入する保険で対応するのが原則になります。専有部分の設備が原因で入居者がけがをしたケースは所有者の責任となるため、個別の備えが必要です。
家賃下落と資産価値の下落
被災した地域では、人口の流出によって賃貸需要が大きく縮み、建物が無事でもライフラインが復旧しなければ入居者は戻らず、家賃を下げても空室が埋まらない状況が続きます。
売却しようとしても、被災歴のある物件は買主に告知する義務が生じて価格の交渉材料にされ、周辺相場が全体として下がるため、被災前の水準で売り抜けることは現実的に困難です。
復興が進んだ地域では地価が回復する一方、木密地域のように再建が進まない地域では長期にわたって低迷します。エリアによって回復の速度が大きく分かれる点も、投資判断では見ておく必要があります。
民法717条の土地工作物責任により、所有者は過失がなくても入居者への賠償責任を負い、旧耐震のまま補強せず放置していた物件は、瑕疵があったと評価されるリスクが高くなります。
建物が無事でもライフラインが復旧しなければ入居者は戻りません。建物の被害がゼロでも家賃収入が止まるリスクを収支計画に入れておきましょう。
| リスク | 内容 | 投資家への影響 |
|---|---|---|
| 倒壊・焼失 | 建物が使えなくなる | 収入ゼロで残債だけが残る |
| 修繕費の負担 | 共用部分の一時金徴収も | 手元資金の流出 |
| 賠償責任 | 民法717条の無過失責任 | 賠償金の支払い |
| 家賃下落 | 人口流出で需要が縮む | 空室と減額の長期化 |
| 価格下落 | 被災歴の告知義務 | 売却時の値引き |
首都直下地震に備えた不動産投資の物件選び
地震のリスクを下げる最も確実な方法は、揺れに強い建物を地盤の良いエリアで選ぶという購入時点の判断です。購入後に建物の構造を変えることはできないため、物件を決める段階で耐震性を確認しておく必要があります。
判断の材料になるのは、建築確認を受けた時期・構造の種類・耐震等級・立地の地盤という4つの要素です。すべてを満たす物件は価格も高くなるため、どこまで妥協するかを先に決めておくと選定が進みます。
4つのうち優先順位を1つだけ挙げるなら、建築確認の時期を最優先に据えるのが合理的な判断になります。旧耐震か新耐震かで倒壊率も融資の付きやすさも大きく変わり、後から補強で埋めるには多額の費用がかかるためです。
旧耐震と新耐震の違い
最初に確認したいのは、建築確認を受けた時期で、1981年5月31日以前に建築確認を受けた建物は旧耐震基準で、倒壊率は新耐震の建物のおよそ3倍とされています。
新耐震基準は震度6強から7の揺れでも倒壊しないことを目標に設計されており、阪神淡路大震災でも被害の差がはっきり出ました。木造については2000年にさらに基準が強化されており、2000年以降の建物はより高い安全性が確保されています。
旧耐震の物件は価格が安く利回りも高く見えますが、金融機関の評価が低いため融資が付きにくいという弱点があります。自分が買えても次の買主が融資を受けられなければ、出口で売却先が現金購入者に限られてしまいます。
築年数だけでなく、建築確認の日付で判断する点にも注意が必要で、1981年に完成した建物でも、建築確認が前年であれば旧耐震基準で設計されています。
建築確認の日付は重要事項説明書や建築確認済証で確認できるため、仲介会社へ提示を求めましょう。1982年や1983年築の物件は判断が分かれる領域にあたるため、必ず書面で確かめる必要があります。
耐震・制震・免震と耐震等級
建物の地震対策には、3つの異なる考え方があり、耐震は揺れに耐える構造、制震は揺れを吸収する構造、免震は揺れを建物へ伝えない構造という違いがあります。
性能の高さでは免震・制震・耐震の順になり、免震構造は建物と地盤の間に装置を入れて揺れの伝わり方を根本から断ちます。建築コストは免震が最も高くなるため、区分マンションでは大規模なタワーマンションに採用されるのが一般的です。
耐震等級は建物の強さを3段階で示す指標で、等級1が建築基準法の最低水準、等級3は消防署や警察署といった防災拠点と同じ強度にあたります。等級2は等級1の1.25倍、等級3は1.5倍の力に耐えられる設計です。
等級3の建物は熊本地震でもほとんど損傷が見られなかったと報告されており、繰り返す揺れに対しても強さを発揮しました。新築のワンルームを選ぶなら、等級の有無を販売会社に確認しておく価値があります。
販売資料に耐震等級の記載がない物件も多く、記載がなければ等級1相当と考えて差し支えありません。等級の取得には費用がかかるため、投資用のワンルームでは等級を取得していない物件も珍しくない状況です。
木密地域と液状化リスクのあるエリア
建物が同じ性能でも、立地によって被害の大きさは変わり、老朽化した木造住宅が密集する木密地域では、同時多発の出火と延焼によって被害が拡大します。
東京都内では荒川区や足立区、中野区の一部に木密地域が広がっており、東京都が不燃化を進める重点地区に指定しています。自分の物件が耐火構造でも、周囲から燃え移れば被害を避けられない点が木密地域の怖さです。
湾岸部の埋立地では液状化のリスクがあり、江東区や江戸川区、港区の一部が該当し、建物が倒れなくても地盤が沈下すれば傾きが生じ、修繕には杭を打ち直す大規模な工事が必要になります。
反対に、目黒区や世田谷区、大田区の城南3区は関東ローム層の上にあって地盤が固く、液状化のリスクは低いと評価されています。千代田区や文京区も武蔵野台地の上に位置しており、地盤の強さという点では投資先として有利なエリアです。
旧耐震の物件は倒壊率が新耐震の約3倍というだけでなく、金融機関の評価が低く融資が付きにくい点も問題で、次の買主が融資を受けられなければ、出口で売却先が現金購入者に限られます。
旧耐震かどうかは築年数ではなく建築確認の日付で決まり、1981年に完成した建物でも、建築確認が前年なら旧耐震基準の設計です。
| 確認する項目 | 望ましい条件 | 確認先 |
|---|---|---|
| 建築確認の時期 | 1981年6月1日以降(木造は2000年以降) | 建築確認済証・重要事項説明書 |
| 構造 | 免震・制震、なければRC造 | 販売資料・管理規約 |
| 耐震等級 | 等級2以上(記載なしは等級1相当) | 住宅性能評価書 |
| 地盤 | 台地・ローム層、木密や埋立地を避ける | 自治体のハザードマップ |
首都直下地震に備える地震保険
地震による損害は火災保険では補償されないため、備えるには地震保険への加入が前提になり、地震を原因とする火災は火災保険の対象外になる点も、見落とされやすい重要な仕組みです。
ただし地震保険は損害を全額補填する保険ではなく、被災後の生活再建を支える位置づけで設計されています。補償の上限を理解したうえで、不足分を手元資金でどう埋めるかを決めておく必要があります。
保険料は政府と民間の保険会社が共同で運営する制度のもとで決まっており、どの保険会社で加入しても金額は変わりません。比較すべきは保険料ではなく、セットで契約する火災保険の補償内容と特約の充実度になります。
補償は火災保険金額の30〜50%が上限
地震保険は単独で加入できず、火災保険とセットで契約する仕組みです。保険金額は火災保険の30%から50%の範囲でしか設定できず、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度額になります。
建物の火災保険を2,000万円で掛けている場合、地震保険で設定できる上限は1,000万円までという計算になります。全壊しても建て直しの費用には届かないため、差額は自己資金か新たな借入で埋める必要があります。
支払われる保険金は損害の程度に応じて4段階に分かれ、全損で契約金額の100%、大半損で60%、小半損で30%、一部損では5%です。ひび割れ程度の被害では一部損の判定にとどまり、修繕費の一部しか回収できません。
判定は保険会社の調査員が主要構造部の損害割合を測って決めるため、被災後は写真を残しておくと手続きが進めやすくなります。片づけを急いで現状を変えてしまうと、損害の程度を証明できず判定が下がる可能性もあります。
保険料は建物の構造と所在地で決まり、東京都のRC造なら年間で数万円という水準になり、木造は保険料が高く設定されており、同じ補償額でもRC造の2倍前後かかるのが一般的です。
区分マンションは専有部分と共用部分で分かれる
区分マンションでは、保険の対象が2つに分かれる点に注意が必要で、共用部分は管理組合が加入し、専有部分は区分所有者が個別に加入する仕組みになっています。
管理組合が地震保険に加入していなければ、外壁や共用廊下の被害は修繕積立金と一時金でまかなうことになります。総会の議事録や管理規約を確認し、共用部分の保険がどこまで掛けられているかを購入前に把握しておきましょう。
専有部分については、投資用の場合は建物部分だけを掛けるのが一般的で、家財は入居者の持ち物になるため、オーナーが家財の地震保険を掛ける必要はありません。
入居者に対しては、借家人賠償責任保険を含む火災保険への加入を賃貸借契約で義務づけておきます。入居者の失火や地震後の二次被害に備える意味でも、契約更新のたびに加入状況を確認する運用が有効です。
地震保険の保険金額は火災保険の30〜50%が上限で、全壊しても建て直し費用には届きません。火災保険2,000万円なら地震保険は最大1,000万円で、差額は自己資金か借入で埋める前提になります。
地震を原因とする火災は火災保険では補償されません。地震保険に入っていなければ、火事で全焼しても保険金は支払われない仕組みです。
| 損害の程度 | 支払われる保険金 | 判定の目安 |
|---|---|---|
| 全損 | 契約金額の100% | 主要構造部の損害が50%以上 |
| 大半損 | 契約金額の60% | 主要構造部の損害が40%以上50%未満 |
| 小半損 | 契約金額の30% | 主要構造部の損害が20%以上40%未満 |
| 一部損 | 契約金額の5% | 主要構造部の損害が3%以上20%未満 |
首都直下地震のリスクを下げる実務
物件を選び保険を掛けたうえで、保有中にできる備えを積み重ねておくと被災後の対応が変わり、ハザードマップの確認と管理組合の状態把握は、購入前でも保有中でも今日から着手できる作業です。
すでに都内に物件を持っている場合は、エリアを分散させて一点集中のリスクを薄める考え方も有効になり、首都圏の外に物件を持てば、同じ地震で両方が被災する可能性は大きく下がります。
被災した直後にどう動くかを決めておくことも、実務的な備えのひとつになり、管理会社との連絡手段、入居者の安否確認の手順、保険会社への連絡先を1枚にまとめて保管しておきましょう。
ハザードマップと管理組合の状態を確認する
自治体が公開するハザードマップは、無料で誰でも確認できる基礎資料で、揺れやすさ・液状化・延焼のしやすさが地図上で色分けされており、購入を検討する段階で必ず見ておくべき情報です。
東京都は建物や地盤の危険度を町丁目ごとに評価した地域危険度測定調査を公表しており、5段階のランクで比較できます。同じ区の中でも町丁目によってランクが分かれるため、区単位ではなく町丁目まで絞って確認しましょう。
区分マンションでは、管理組合の修繕積立金の残高と長期修繕計画も重要な判断材料になり、積立金が不足している管理組合では、被災時に一時金を求められる可能性が高くなります。
購入前に取得できる重要事項調査報告書には、修繕積立金の総額や滞納状況、共用部分の保険加入状況が記載されています。仲介会社に依頼すれば取り寄せられるため、契約前に必ず目を通しておきましょう。
管理組合が耐震診断を実施しているかどうかも、あわせて確認しておきたい項目になり、診断の結果が総会で共有されていれば、補強工事の計画や費用負担の見通しまで把握できます。
エリアを分散して一点集中を避ける
物件が1つのエリアに固まっていると、被災したときに逃げ場がなくなり、都内に2戸持つより、都内と関西や福岡に1戸ずつ持つほうが同時に被災する確率は下がります。
大阪市の北区や天王寺区、福岡市の中央区や早良区は人口の流入が続いており、賃貸需要という点でも都内の代替になり得るエリアです。福岡は活断層が少ないと評価されており、地震リスクの面でも分散の効果が見込めます。
ただし遠方の物件は自分で現地を確認しにくく、管理会社の質に成否が左右される点は理解しておく必要があり、分散の効果と管理の難しさを比べたうえで、無理のない範囲で進めましょう。
1戸しか持たない段階であれば、分散よりも都内で地盤と耐震性の良い物件を選ぶほうが現実的で、戸数が増えてきた段階で、次の1戸をどこに置くかという形で検討を始めれば十分に間に合います。
東京都は町丁目ごとに危険度を5段階で評価した地域危険度測定調査を公表しており、同じ区でも町丁目でランクが分かれるため、区単位ではなく町丁目まで絞って確認しましょう。
重要事項調査報告書には修繕積立金の残高や滞納状況、共用部分の保険加入状況が記載されており、仲介会社に依頼すれば契約前に取り寄せられます。
- 自治体のハザードマップで揺れやすさ・液状化・延焼リスクを確認する
- 東京都の地域危険度測定調査を町丁目単位で調べる
- 重要事項調査報告書で修繕積立金と共用部分の保険を確認する
- 賃貸借契約で入居者の火災保険加入を義務づける
まとめ
南関東でマグニチュード7クラスの地震が起きる確率は30年以内に70%程度とされ、都内で震度6弱以上に見舞われる確率は47%と公表されています。内閣府の想定では死者約1.8万人、全壊・焼失約40万棟、経済被害は約83兆円という規模です。
投資家が負うリスクは建物の倒壊だけでなく、民法717条による無過失の賠償責任、家賃下落、資産価値の下落まで及びます。建物が無事でもライフラインが止まれば入居者は戻らず、家賃収入だけが失われる展開も想定しておく必要があります。
地震保険は火災保険金額の30%から50%が上限で、全壊しても建て直しの費用には届きません。区分マンションでは共用部分を管理組合が、専有部分を区分所有者が掛ける仕組みのため、管理組合の加入状況も確認しておきましょう。
購入前に確認しておきたいのは、次の4点です。
- 建築確認の日付(1981年6月1日以降、木造は2000年以降)
- 耐震等級と構造(免震・制震の有無、記載なしは等級1相当)
- ハザードマップと東京都の地域危険度(町丁目単位)
- 管理組合の修繕積立金と共用部分の地震保険
地震が起きる確率で判断するのではなく、起きたときに耐えられる状態をつくっておきましょう。










