年収3,000万円ともなると、税金の負担が重くのしかかっているはずです。どうにか税負担を抑えられないかと悩んでいる人も多いでしょう。
そこで、この記事では年収3,000万円におすすめの節税方法5選を紹介します。将来的に年収3000万円を目指す方にとっても、手取りを増やすためのコツも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
年収3000万円の高所得サラリーマンにおすすめの節税対策5選
年収3,000万円の高所得サラリーマンにおすすめの節税対策5選は次のとおりです。それぞれ詳細を解説します。
年収3,000万円の高所得サラリーマンにおすすめの節税対策5選
- 節税対策①不動産投資で課税所得を抑える
- 節税対策②資産管理会社(法人)の設立を検討する
- 節税対策③iDeCoで老後資産を形成しながら課税所得を抑える
- 節税対策④NISAを使って非課税枠内で投資をする(少額投資非課税制度)
- 節税対策⑤ふるさと納税でお得に返礼品をもらう
節税対策①不動産投資で課税所得を抑える
まず、年収3,000万円であれば節税対策として不動産投資を検討してみましょう。
事業所得や給与所得ですでに多額の所得がある場合は、所得控除を利用した節税方法では効果が限定的です。そこで、不動産所得の赤字を出して、事業所得や給与所得と損益通算することにより課税所得を抑える方法をおすすめします。
「赤字を出す」というのは、あくまでも所得計算上の話です。不動産投資の現金収支を黒字のまま所得を赤字にすることも可能です。
不動産所得で赤字を出して節税する流れ
- 減価償却費を大きくとって不動産所得の赤字を出す
- 給与所得などから不動産所得の赤字を差し引く(損益通算)
- 課税所得を抑えられるので毎年かかる所得税や住民税を抑えられる
- 物件売却時の譲渡税率と所得税の超過累進税率との差を利用して節税をする
不動産投資で節税する詳しい仕組みについては、以下の記事を参考にしてみてください。
節税対策②資産管理会社(法人)の設立を検討する
課税所得が高いほど、個人にかかる所得税の税率は高くなります。給与年収が3,000万円の場合、所得税の税率は最大40%、住民税の税率は10%で合計50%程度です。
そこで検討したいのが、資産管理会社(法人)の設立です。法人税等の税率は実効税率33.58%程度(課税所得800万円超えの中小企業)のため、仮に給与年収3,000万円をそのまま法人の所得に置き換えると、法人のほうが税負担を抑えることができます。
しかし、資産管理会社の設立は法人に利益(資産)を残すうえでは有効であるものの、個人(役員)の手取りを増やす効果はあまり期待できません。その理由は、役員報酬を支払うときに約30%もの社会保険料負担が発生するからです。
個別の状況や目的により資産管理会社を設立すべきかどうかは変わります。いずれにしても、事前に慎重にシミュレーションしておくことが重要です。
節税対策③iDeCoで老後資産を形成しながら課税所得を抑える
iDeCoとは、自分で掛金を拠出し、自分で年金資産の運用指図を行うことができる私的年金制度です。
原則60歳まで資産を手元に戻すことはできませんが、投資した額(拠出額)の全額が小規模企業共済等掛金控除の対象で、課税所得を抑えられます。
いくらまで拠出して課税所得を抑えられるかというと、サラリーマン(国民年金第2号被保険者)は状況によりますが最大で年額27.6万円です。月2.3万円まで拠出できます。自営業者(国民年金第1号被保険者)は最大で年額81.6万円です。月6.8万円まで拠出できます。
節税対策④NISAを使って非課税枠内で投資をする(少額投資非課税制度)
課税所得を抑える節税方法ではありませんが、少額の投資が非課税となるNISAの活用も検討しておきましょう。本来は譲渡益に対して約20%の税率で税金が発生しますが、非課税口座内の取引には課税されません。
一般NISAは個別株や投資信託を年間120万円まで購入でき、購入した年から5年間非課税口座内で保有できます。
つみたてNISAは一定の投資信託のみ年間40万円まで積立購入でき、購入した年から20年間非課税口座内で保有できます。
節税対策⑤ふるさと納税でお得に返礼品をもらう
ふるさと納税は、税金を前払いして実質2,000円の負担で自治体からの返礼品をもらえるお得な制度です。厳密には節税ではなく消費の節約となりますが、多額の納税に悩んでいるほど、ふるさと納税を利用して多くの返礼品をもらえます。
年収3000万円の税金に関する3つのデメリットとは?
年収3,000万円の高所得者は、税金の負担が低所得者と比較すると大きくなります。次に、年収3,000万円の税金に関する3つのデメリットについて確認していきましょう。
年収3,000万円の税金に関するデメリット
- デメリット①超過累進税率によって負担が大きくなる
- デメリット②基礎控除や配偶者(特別)控除などの人的控除が適用されない
- デメリット③住宅ローン控除が適用されなくなる
デメリット①超過累進税率によって負担が大きくなる
所得税は超過累進税率を採用しているため、高所得者ほど負担が大きくなります。なお、住民税の税率は10%と固定されており税額は所得に比例するため、比例税率と呼びます。
所得税の税率は、所得の大小にかかわらず一律に一定税率を課する比例税率でなく、所得が増加するにつれて、その増加部分に、順次、高い税率を適用するという制度を採っている。これを「超過累進税率」という。したがって、所得の大きい者ほど金額においてはもちろんのこと、その所得に対する割合において、より多くの所得税を負担することになる。
デメリット②基礎控除や配偶者(特別)控除などの人的控除が適用されない
給与年収3,000万円を超えてくると、ほとんどの人的控除が適用対象外となってしまいます。所得控除が減ると同じ給与年収でも課税所得は高くなり、税負担が大きくなってしまうのです。
なお、人的控除とは基礎控除や配偶者(特別)控除、扶養控除などの所得控除を指します。ただし、扶養控除と障害者控除には本人の所得要件はありません。
人的控除の制限(本人所得要件)
- 勤労学生控除:合計所得金額75万円超えで受けられない
- ひとり親控除:合計所得金額500万円超えで受けられない
- 寡婦控除:合計所得金額500万円超えで受けられない
- 配偶者(特別)控除:合計所得金額900万円超えから控除額が下がり、1,000万円超えで受けられない
- 基礎控除:合計所得金額2,400万円超えから控除額が下がり、2,500万円超えで受けられない
デメリット③住宅ローン控除が適用されなくなる
年末の住宅ローン残高1.0%相当が税額控除される住宅ローン控除ですが、住宅ローン控除にも、「本年分の合計所得金額が3,000万円以下」という所得要件があります。
給与年収3,000万円だけであれば合計所得金額は2,805万円なので適用可能ですが、給与年収3,195万円を超えると適用対象外です(所得金額調整控除は未考慮)。
また、令和4年度税制改正では所得要件が2,000万円以下に引き下げられる予定となっています。
住宅ローン控除の適用対象者の所得要件は合計所得金額2,000万円以下(現行:3,000万円 以下)とします。
引用元:令和4年度税制改正(案)のポイント「個人所得課税」(PDF)
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年収3000万円の高所得者が不動産投資で節税する2つのメリット
年収3,000万円の高所得者が不動産投資で節税するメリットを2つ紹介します。
不動産投資で節税するメリットの一例
- メリット①株式やFXのように時間や労力を割かずにできる
- メリット②大きな節税効果を狙える
メリット①株式やFXのように時間や労力を割かずにできる
不動産投資は、物件を選んで購入した後は、入居者の募集や家賃の集金など多くの業務を管理会社に委託することができます。そのため、株式やFXのように売買タイミングを見極めるために、市場価格の変動をこまめに気にする必要はありません。
本業に忙しい人であっても、本業に専念しながら不動産投資が可能です。
メリット②大きな節税効果を狙える
サラリーマン(給与所得者)は節税が難しいものの、不動産投資を始めて不動産所得者となると、減価償却費によって大きな節税効果を狙えます。
参考として、サラリーマンができる節税の例を以下にまとめました。
サラリーマンができる節税
- iDeCo(小規模企業共済等掛金控除):課税所得の低減は年間24万円程度が上限
- 生命保険料控除:課税所得の低減は年間12万円が上限(所得税の場合)
医療費控除なども所得控除としてありますが、あくまでも医療費負担に対して税負担を抑えるものであり、節税とはいえません。また、サラリーマンの経費ともいえる特定支出控除の適用を受けることは簡単ではありません。
年収3000万円の不動産投資による節税で注意したいポイント
不動産投資で節税するメリットを紹介しましたが、注意したいポイントもあります。解説していきますので、事前に把握しておきましょう。
不動産投資による節税で注意したいポイント
- 建物の割合を増やして購入する
- 突発的な修繕費の発生に注意する
- デッドクロスや譲渡税率に注意して売却時期を見極める
建物の割合を増やして購入する
節税のためには、ローンを組んで購入するとき、建物の割合を多くとらなければなりません。土地は減価償却資産ではないことから、少しでも建物の減価償却費(必要経費)を多くとるためです。
また、不動産所得の赤字は土地にかかるローンの利息を超えていなければ損益通算できません。そのため、土地の割合を減らす意味合いもあります。
突発的な修繕費の発生に注意する
減価償却費を大きくとるために、築年数が経過した築古物件を購入することがあります。築古物件は状態によって想定外の修繕が発生することがあるため、事前に物件の状態などをよく確認しておくことが重要です。
デッドクロスや譲渡税率に注意して売却時期を見極める
不動産投資による節税は、売却時期も重要な要素の1つです。具体的には、譲渡税率が高くなるより後で、デッドクロスによってキャッシュフローが悪化する前に売却することが理想といえます。
譲渡税率が高くなるより後に売却すべきというのは、土地や建物を売ったときにかかる税金は、短期譲渡所得なら39%、長期譲渡所得なら20%と税率に大きな違いがあるためです。
また、デッドクロスとはローンの元金返済額が減価償却費を超えてしまう状態(元金返済額>減価償却費)を指します。デッドクロスについては以下の記事を参考にしてください。
年収3000万円の節税対策に関するQ&A
年収3,000万円の人におすすめしている節税対策に関するQ&Aをまとめます。
節税スキームとは?
節税スキームとは、節税をする仕組みや枠組みのことです。裏ワザのように捉えられることもありますが、少なくとも違法な方法は取るべきではありません。
なお、過去に行われていた不動産による節税スキームは、現在では違法となっている(封じられている)ものがあります。例えば、海外中古不動産による損益通算や、自販機設置による消費税還付スキームです。
赤字を出して節税するというのは損しているのでは?
赤字はあくまでも不動産所得の赤字であり、現金収支(キャッシュフロー)は黒字にすることも可能です。減価償却費が大きくローンの元金返済額が小さいほど、不動産所得に対して現金収支は良くなる関係にあります。
減価償却費とは?
減価償却費とは、建物のように時間が経つにつれて価値が減る資産を、税法で定められている一定の年数にわたって必要経費に落としていくときの金額です。
不動産投資の損益通算とは?
損益通算とは、不動産所得や事業所得などが赤字になったとき、その赤字分だけ他の所得から差し引いて総所得金額を計算することです。損益通算を行うことにより課税所得を抑えられ、結果的に税金が減ります。
不動産投資におけるデッドクロスとは?
デッドクロスは、「減価償却費<ローン元金返済額」となる関係のことです。減価償却費は一定期間まで変わりませんが、元金返済額は返済が進むにつれて増えていきます(元利均等返済方式の場合)。
デッドクロスが生じると、現金収支(キャッシュフロー)より不動産所得のほうが高くなるため、税負担が増えキャッシュフローが悪化する可能性があります。
海外不動産でも節税はできる?
海外不動産の節税スキームは、2021年から利用できなくなりました。具体的には、「国外中古建物の不動産所得の損益通算等の特例」が設けられています。
不動産投資で節税できるのは嘘なのか?
不動産投資で節税できるのは嘘ではありません。ただし、一定以上の所得がない場合や物件によっては節税効果が生じないことがあります。
節税効果が生じるかどうか検討するためには、事前にシミュレーションをしておくことが効果的です。
まとめ:年収3000万円の節税対策は不動産投資を検討しましょう
年収3,000万円の人におすすめの節税対策は、不動産投資です。さまざまな節税方法がありますが、そのなかでも不動産投資は高い節税効果が見込めます。
しかし、不動産投資をすれば必ずしも節税できるわけではありません。この記事で紹介した注意点などを踏まえながら、ぜひ不動産投資による節税を検討してみてください。