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税金

節税にはどのくらい種類がある?所得控除や税額控除の種類を紹介します

節税にはいくつかの方法があります。経営者や個人事業主はもちろんサラリーマンでも節税は可能です。納める税金が少なくなれば、事業の資金繰りや家計のやりくりに余裕が生まれます。

この記事では、主として定年後に向けて資産を増やす方法を検討している年収500万円以上のサラリーマンと個人事業主の人に向けて、節税の主な種類や所得控除、税額控除などについて解説します。家計や企業財政の改善に向けて、自分にあったやり方で節税しましょう。

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サラリーマンや個人事業主の節税対策

節税とは、法律の範囲内で税負担を軽減することです。悪意をもって納税の義務を免れようとする脱税と違って、違法ではありません。主な節税のポイントを3つ紹介します。

所得控除や税額控除を申告して所得税や住民税を減らす

サラリーマンや個人事業主の節税のポイントは、所得控除と税額控除の活用です。所得控除によって課税対象額を減らし、税額控除によって税額自体を減額します。

  • 課税所得=所得-所得控除
  • 所得税額=課税所得×所得税率
  • 実際の税額=所得税額-税額控除

参考:国税庁「所得税の算出のしくみ」

所得控除や税額控除は、原則年末調整や確定申告による申告が必要です。種類が多く内容が複雑な控除もあるため、慣れないと申告漏れで損をすることも考えられます。所得控除や税額控除の種類や内容を理解して、漏れなく申告することが節税の基本です。

個人事業主は必要経費の申告も重要

個人事業主の節税のポイントは、所得控除・税額控除とともに必要経費を活用することです。事業収入から必要経費を差し引いたものが事業所得です。

  • 事業所得=事業収入-必要経費

必要経費とは、事業で利益を得るために支払った費用のことです。確定申告で必要経費を申告しないと余計な税金を支払うこととなるため、個人事業主にとっては必要経費の種類や内容を理解して、漏れなく申告することも重要です。

所得税・住民税以外の税金も節税できる

サラリーマンや個人事業主が支払う税金は、所得税と住民税だけではありません。保有資産によっては固定資産税や自動車税、資産をもらったときは贈与税や相続税、個人事業主は事業税など、さまざまです。

所得税と住民税以外でも税金を抑えられれば、節税効果は高まります。すべての税金について節税対策を解説することはできませんが、主な節税対策を後で解説します。

なお、本記事では複雑な税金の説明を簡素化するために、復興特別所得税を省略して税率などを解説します。

所得控除を活用した節税(所得控除の種類)

まず最初に、所得税控除の種類と内容について解説します。

所得控除①:給与所得控除(サラリーマン)

給与所得控除は、給与所得を計算するときに給与収入から控除できる金額のことです。控除が適用されるのはサラリーマンなど給与所得者だけで、個人事業主は使えません。

  • 給与所得=給与収入-給与所得控除
控除額は、給与収入によって55万円(給与収入162.5万円以下)~195万円(給与収入850万円超)です。

所得控除②:青色申告特別控除(個人事業主)

個人事業主の確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告では複式簿記を用いるなど会計処理が複雑になる一方、税制上の優遇措置が受けられます。

青色申告特別控除は、確定申告で青色申告を選択した個人事業主に適用されます。申告方法によって事業所得から控除できる金額は10~65万円です。白色申告した場合、控除はありません。

e-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して所定の確定申告をすると65万円の控除が受けられるため、個人事業主にはおすすめです。

所得控除③:基礎控除

基礎控除は、納税者全員が使える控除です。総所得金額などから差し引くことで税金を減らせます。2020年分から控除額が10万円引き上げられて48万円(所得金額2,400万円以下)になりました。

ただし、納税者の所得金額が高くなるにつれて控除額は段階的に減額されます。所得金額に応じた控除額は、次の通りです。

  • 所得金額2,400万円以下:控除額48万円
  • 2,400万円超2,450万円以下:32万円
  • 2,450万円超2,500万円以下:16万円
  • 2,500万円超:0円

所得控除④:配偶者(特別)控除

配偶者控除は、納税者と生計を一にする所得金額48万円以下の配偶者がいる場合に使えます。控除額は38万円(年末時点で配偶者が70歳以上なら48万円)です。本人の所得金額によって段階的に減額されます。

配偶者特別控除は、配偶者の所得金額が48万円超133万円以下の場合に使えます。控除額は配偶者の所得金額によって3~38万円で、配偶者の所得金額が133万円を超えると0円になります。

ただし、配偶者控除も配偶者特別控除も、本人所得が1,000万円を超えると使えません。

所得控除⑤:扶養控除

扶養控除は、所得税法上の扶養親族がいる場合に使える控除です。扶養親族とは、納税者と生計を共にする配偶者以外の親族などのうち所得金額48万円(給与のみなら103万円)以下の人を指します。

仕送りなどの経済的援助をしている場合は別居していても控除の対象になります。控除額は扶養親族の年齢や同居の有無によって38~63万円になります。

所得控除⑥:社会保険料や生命保険料、地震保険料の控除

納税者が生命保険や地震保険、社会保険などの保険料を支払ったとき、所得控除が受けられます。控除額は所得控除の種類や保険料などによって異なります。

  • 社会保険料:支払った保険料の全額
  • 生命保険料:生命保険の種類や加入時期、保険料などにより最大12万円
  • 地震保険料:支払った保険料により最大5万円
自分が支払った親族の社会保険料は全額控除できます。

所得控除⑦:小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除は、対象となる共済制度の掛金を支払ったときに適用される所得控除です。控除額は支払った掛け金の全額で、対象は次の共済制度です。

  • 小規模企業共済
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)
  • 企業型確定拠出年金(企業型DC)
  • 自治体の心身障害者扶養共済

小規模企業共済と個人型確定拠出年金(iDeCo)は、任意加入の年金制度です。掛け金以外にも税制上の優遇措置の充実した個人型確定拠出年金(iDeCo)は、サラリーマンにも個人事業主にもおすすめです。

小規模企業共済は個人事業主などを対象とし、加入者は低金利の貸付制度を利用できるなどのメリットもあります。

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税額控除を活用した節税(税額控除の種類)

次に、税額控除の種類と内容について解説します。

税額控除①:配当控除

配当控除は、上場株式等の配当所得を受け取ったとき「総合課税を選択して確定申告」すると、所得税額(※)から配当所得の一定額を差し引ける税額控除です。

※課税所得に所得税率を掛けた税額で、税額控除前の金額。

配当金からは20%の税金(所得税15%、地方税5%)が源泉徴収されていますが、確定申告で総合課税を選択すると、その他所得と合算して税金が課されます。確定申告しなければ配当金受け取り時に納税が終わっているため、対応は不要です。

課税所得が1,000万円以下の場合、控除額は配当金額の10%です。高収入で所得税率の高い人は、総合課税を選択するとかえって税額がアップするので注意しましょう。

税額控除②:外国税額控除

外国税額控除は、外国での所得に課税されている場合、所得税額から外国で課税された所得税額分(限度あり)を差し引ける税額控除です。日本と外国との二重課税を避けるために設けられています。

外国税額控除を申告する場合は、確定申告時に海外での課税を証明できる書類を提出しましょう。

税額控除③:寄附金特別控除

寄附金特別控除は、政治資金団体や認定NPO法人、公益社団法人などに所定の寄付を行った場合、所得税額から一定額を差し引ける税額控除です。前述の寄附金控除(所得控除)と寄附金特別控除(税額控除)は併用できないため、どちらか一方を選択して確定申告します。

控除額は寄附先や寄附金額によって異なり、上限金額が設けられています。

住宅借入金等特別控除

住宅借入金等特別控除は、マイホームの新築や取得、増改築などのために住宅ローンを利用した場合に「住宅ローンの年末残高の一定割合」を所得税額から差し引ける税額控除です。

新築・増改築の時期や住宅の区分(認定長期優良住宅や認定低炭素住宅など)によって、控除額や控除期間などが異なります。2022年1月から2023年12月までに入居した場合、控除率は住宅ローンの年末残高の0.7%、控除年数は13年です。

また、住宅ローンを利用しない場合であっても、個人が既存住宅を建て替えたり改修した場合に次の税額控除を受けられます。

  • 住宅耐震改修特別控除(住宅耐震改修をしたとき)
  • 住宅特定改修特別税額控除(バリアフリー改修工事や省エネ改修工事などを行ったとき)
  • 認定住宅等新築等特別税額控除(認定住宅を新築したとき)

必要経費を活用した節税(経費の種類)

個人事業主の人向けに必要経費(以下、経費)の種類と内容について解説します。経費処理することで事業所得を抑え、所得税などを低減できます。

  • 事業所得=事業収入-経費

経費①:事業にかかわる費用

経費とは、事業を行うために必要なサービスや商品などの購入費用のことです。たとえば、人件費や原材料費、事務所の家賃、通信費、作業用・事務用の備品代などです。

広告宣伝費や接待交際費、損害保険料なども事業にかかわる費用は、経費処理できます。

経費②:消費税や固定資産税

消費税や固定資産税など事業にかかる税金は、経費にできます。事業に用いている建物などによる固定資産税や、主に事業にのみ使用している自動車の自動車税なども同様です。

ただし、所得税や住民税は経費になりません。

経費③:減価償却費

自社ビルを建設したり社有車を購入した時の費用は、事業にかかわる費用ですが全額をその年の経費として処理できません。自社ビルや社有車は会社の資産(固定資産)として、次年度以降も活用できるからです。

固定資産は耐用年数を法律で定め、耐用年数に応じて取得価額を分割して経費処理します。取得価額を分割した金額を減価償却費と呼びます。たとえば、100万円で購入した資産の耐用年数が10年の場合、毎年10万円を減価償却費として経費計上します。

ただし、取得価額が10万円未満の費用や使用可能期間が1年未満の費用は減価償却できません。継続的な利益が見込まれる場合、高額の固定資産を取得して減価償却費の経費処理によって税金を抑えるという選択肢もあります。

経費④:事業と家庭で共用する光熱費や家賃など

自宅を職場にしている場合、事業のための費用とプライベートの費用を明確に区分できないこともあります。自宅の家賃や光熱費などです。

区分できない費用については、使用割合でその費用を分担します。1ヶ月の光熱費が5万円で事業での使用が6割、家庭での使用が4割の場合、3万円(=5万円×6割)を事業の費用として経費計上します。

その他の節税

サラリーマンや個人事業主の節税に役立つ所得控除や税額控除、経費について解説しましたが、ほかにも節税方法は数多くあります。主な節税方法をいくつか紹介します。

その他①:NISAを活用した節税

NISA(小規模投資非課税制度)は、国民の投資を促すために国が設けた非課税制度です。投資で得た配当金や譲渡益は非課税で、効率的な資産運用が期待できます。

一般的な投資では、譲渡益などに対して20%の税金(所得税15%、住民税5%)がかかるため、その分税金を節約できます。一時金による投資だけでなく積立型の投資も可能であるため、リスクを抑えた長期投資も可能です。

その他②:不動産投資を活用した節税

不動産投資によって、給与所得や事業所得に対する税金を抑えることもできます。たとえば、サラリーマンが不動産投資をして赤字が出た場合、赤字分を給与所得と損益通算(黒字と赤字を相殺)して課税所得を減らせるからです。

不動産投資で取得した建物の減価償却費を経費処理するため、不動産経営は順調でも赤字になるケースもあります。ただし、不動産投資は投資額が大きくなりがちであるため、リスクを理解したうえで慎重に判断しましょう。

その他③:固定資産税の節税

固定資産税は、土地や建物などの固定資産の保有に対して毎年課税されます。固定資産税を減らすことができれば、継続的に節税できます。

固定資産税は、原則地方自治体が定めた固定資産評価額に税率1.4%(地方自治体によって異なる)を掛けて計算します。固定資産税の節税対策は、税額や固定資産評価額を引き下げる特例などを活用することです。

建物に対しては、新築住宅や認定長期優良住宅に対する税額の減額措置土地に対しては小規模住宅用地に対する固定資産評価額の軽減措置などがあります。

その他④:自動車関連の税金の節税

自動車関連の税金は、購入時にかかる「環境性能割」と毎年かかる「自動車税(軽自動車税)」、車検時にかかる「自動車重量税」の3つです。

  • 環境性能割:取得価額×税率(0~3%)
  • 自動車税:総排気量に応じて2万5000円~11万円
  • 自動車重量税:新車新規登録からの経過年数と車両重量に応じて決まる

自動車関連の税金を節税するには、電気自動車や燃費性能の高い車を利用することです。税金が免除されたり、大幅に軽減されたりします。また、排気量の小さい車や車両重量の軽い車もおすすめです。

その他⑤:贈与税の節税

財産の贈与を受けたときにかかる贈与税の税率は、最大55%と高率です。贈与税の主な節税方法は、基礎控除の活用と特例的な非課税制度の利用などがあります。

1年間(1月1日~12月末日)に贈与された金額が基礎控除額110万円以内なら相続税はかかりません。基礎控除は毎年活用できるため、1度に贈与するより複数年に分けて贈与する方が節税になります。

また、贈与税には次のような非課税制度が設けられています。非課税制度は要件を満たさないと利用できないため、税理士や金融機関担当者など専門家に相談することをおすすめします。

  • 直系尊属からの住宅取得等資金贈の非課税制度:省エネ住宅は上限1,000万円
  • 直系尊属からの教育資金一括贈与の非課税制度:上限1,500万円
  • 相続時精算課税制度:上限2,500万円 など

参考:国税庁「相続税・贈与税」

その他⑥:相続税の節税

相続財産が基礎控除額を超える場合、相続税がかかる可能性があります。基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」です。贈与税と同様、相続税の税率は最大55%です。

相続税の節税方法は、次の方法以外にもさまざまです。どのような方法を選択するにしろ、生前に節税対策を実施することが重要です。

  • 生前贈与(基礎控除110万円の活用など)によって相続財産を減らす
  • 生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人数)を活用する
  • 不動産購入やアパート建設などにより相続財産の評価額を下げる など

まとめ:所得控除や経費などの種類を覚えて忘れずに申告しよう

サラリーマンや個人事業主の節税の種類はいろいろとありますが、まずは所得控除と税額控除、経費の種類と内容を理解することが重要です。

年末調整や確定申告で漏れなく申告するとともに、iDeCoやNISA、不動産投資など節税効果の高い制度の利用も検討してみましょう。

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