中古マンション投資は節税対策になる|新築マンションとの比較で解説!

監修者

牧野章吾

前職:日経証券会社(グローバル・マーケッツ部門)サイト:https://realize-qualification.com

牧野章吾

AFP、FP2級、証券アナリスト、TOEIC905

中古マンションは新築に比べて購入費用が安く済むため、不動産投資の第一歩としておすすめです。また、分譲マンションなど一棟ではなく区分所有できるマンションも、サラリーマンにおすすめの投資物件です。

不動産投資には節税効果があると知って、どのようにすれば相続税や所得税が減らせるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。

この記事では、なぜ中古マンション投資で節税ができるのか、新築マンションとの比較や減価償却費の計算の仕方、節税方法などを具体的に解説します。ぜひ、参考にしてください。

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目次

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中古マンション投資が節税対策になる仕組み

高収入になるほど納税額の割合は増えるので、何とか節税できないかと考える人もいるでしょう。ここでは、なぜ中古マンション投資が節税になるかを説明します。

減価償却を活用した所得税の節税

所得税は、損益通算により税金額を減らすことができます。損益通算とは、不動産所得が赤字なら、給与所得から赤字分を差し引いて税額を計算し、所得税を軽減できる仕組みです。不動産投資による所得税の節税とは、この仕組みのことを言います。

しかし、不動産所得が赤字なら不動産に投資する意味はありません。ポイントは減価償却という制度の活用です。減価償却とは、建物や備品など長期間使用する固定資産を法定耐用年数に応じて少しずつ経費として計上することです。

不動産投資では、賃貸収入から減価償却費や諸経費(管理費、修繕費、ローンの利息)などを差し引いて所得を計算します。諸経費は支出を伴いますが、減価償却費は不動産所得を計算する上で使用するだけで実際の支出はありません。

つまり、実際の収支は黒字でも、減価償却という制度を利用すれば不動産所得を赤字にすることもできるのです。

相続財産の評価減による相続税の節税

不動産を相続する場合、固定資産評価額を基に相続税がかかります。固定資産評価額は一般的に購入価格と比べて大幅に低くなるため、現金で相続する場合に比べて大幅な節税が可能です。

2015年の相続税法改正では、相続税の基礎控除額が大幅に縮小したため、現金を不動産にすることで節税を検討する人が増えています。

中古マンションの減価償却費の計算法

中古マンションの減価償却費は、築年数が法定耐用年数を超えているかどうかで計算方法が違います。

法定耐用年数は、建物の構造別に定められています。耐用年数が長い順で紹介します。

  • RC造(鉄筋コンクリート造):47年
  • 骨格材の厚みが4mm以上のS造(重量鉄骨):34年
  • 骨格材の厚み3mm超~4mm以下のS造(軽量鉄骨):27年
  • 木造:22年
  • 骨格材の厚み3mm以下のS造:19年

築年数が法定耐用年数を超える場合と、そうでない場合を分けて計算方法を解説します。

計算方法①築年数が法定耐用年数を超える物件

築年数が法定耐用年数を超えている中古物件を購入する場合、耐用年数は「法定耐用年数の20%」です。

例えば、築30年の軽量鉄骨の中古マンションを購入した場合、「耐用年数=27年×20%=5年(1年未満の月数は切り捨て)」となり、耐用年数5年として減価償却費を計算します。

減価償却費は「取得価格×定額法の償却率」で計算します。償却率は、国税庁の「減価償却資産の償却率等表」で確認しましょう。

1,000万で購入した物件の耐用年数が5年(償却率20%)の場合、「減価償却費=1,000万円×20%=200万円」となります。

耐用年数が短いと減価償却費は大きくなりますが、償却期間が短い点に注意が必要です。

計算方法②築年数が法定耐用年数未満の物件

築年数が法定耐用年数に達していない場合、耐用年数は「法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%」で計算します。

法定耐用年数22年で建築後12年経過した建物の耐用年数は、「耐用年数=22年-12年+12年×20%=12年(償却率8.4%)」です。

この物件を1,000万円で購入した場合、「減価償却費額=1,000万円×8.4%=84万円」です。前述の耐用年数5年のケースと比較して、減価償却費は少なくなりますが、償却期間が長くなります

中古マンションをおすすめする理由|新築マンションと比較

中古マンションへの投資が節税になることを説明しましたが、新築マンションではダメなのでしょうか。中古マンションをおすすめする理由を説明します。

理由①:中古マンションは節税効果が高い

中古マンションをおすすめする理由の1つは、一般的に新築マンションより節税効果が高いからです。

減価償却ができる期間(償却費間)は、耐用年数と同じです。中古マンションは新築に比べて耐用年数が短いため、減価償却費が高額になります。そのため、中古マンションは短期間に大きな節税効果を得やすいです。ただし、減価償却できる期間は新築より短く、耐用年数を過ぎると減価償却による節税効果はなくなります。

理由②:中古マンションは購入費用が手頃

中古マンションをおすすめする理由の2つ目は、中古マンションの方が購入費用が安いためです。投資額とリスクを抑えることができるため、節税目的で初めて不動産投資をする人にはおすすめです。

中古マンション投資で知識と経験を積み、資金的な余裕ができてから、投資先を新築マンションやアパート1棟などに広げていく方法もあります。

理由③:中古マンションは表面利回りが高め

中古マンションをおすすめする理由の3つ目は、一般的に中古マンションの方が表面利回りが高めであることです。表面利回りとは、物件の購入費用に占める家賃収入の割合のことを指します。表面利回りの計算式は「表面利回り=年間家賃収入÷物件購入価格×100」です。

新築物件と比較した場合、家賃収入も低くなりますが、それ以上に購入費用が安くなることが多いため、中古マンションの方が表面利回りが高くなります。ただし、築年数が古いために入居者が集まらなかったり、修理費用がかさむ等期待通りの利回りが得られないというリスクに気を付けましょう。

中古マンション投資による節税対策の注意点

中古マンションへの投資で節税をすることは可能ですが、売却時にかかる税金や資産運用に与える影響など注意しておきたいこともあります。確認しておきましょう。

注意点①:修繕費など維持・管理費が高くなる

注意点の1つ目は、中古マンションは維持・管理費が高くなることです。新築物件と比較して、建物や住宅設備の老朽化による修繕費がかかりやすく定期的なメンテナンス費用も高くなりがちです。

購入費用が安くても維持・管理費が高額になると中古マンションに投資するメリットが少なくなります。購入前に物件の状況を確認し、修繕費などを考慮して収支計画を立てましょう。

注意点②:空室発生や家賃低下のリスクがある

注意点の2つ目は、空室発生や家賃低下のリスクがあることです。新築物件でも同様のリスクはありますが、築年数が古いほど入居者が集まりにくく、また入居者を確保するために家賃を下げざるを得ないケースも出てきます。

周辺エリアの築年数ごとの家賃相場などを参考に、将来、一定の空室発生や家賃低下のリスクがあることを前提に不動産投資する必要があります。

注意点③:耐用年数が経過すると減価償却できない

注意点の3つ目は、建物などの耐用年数が経過すると減価償却できずに節税が難しくなることです。中古マンション投資は投資初期の減価償却費が高いことがメリットですが、償却期間が短いことがデメリットです。

また、住宅ローンの元本返済分は経費計上できないため、実際の収支は赤字でも不動産所得は黒字になり課税されるというケースがあります。減価償却費の経費計上は黒字を抑える(または赤字化する)効果を持ちますが、償却期間が終わると減価償却の効果が失われます。

注意点④:減価償却が進むと売却時の税金が高くなる

注意点の4つ目は、減価償却が進むほど売却時の税金が高くなることです。

不動産を売却したときには譲渡所得として所得税が課されます。譲渡所得は「売却価格ー取得費」で概算できますが、取得費は「購入価格ー減価償却費」で計算します。つまり、減価償却が進むほど取得費は低くなるため、不動産売却時の譲渡所得が大きくなり税金が高くなるのです。

まとめ:中古マンション投資のメリットと注意点を理解して投資判断を!

中古マンション投資によって、相続税や所得税を減らすことも可能です。新築物件と比較して、中古マンションは耐用年数が短く減価償却費が高いため、投資初期の節税効果が高くなります。購入費用も安く、初心者にもおすすめの投資先なので、投資先の1つとして検討してみましょう。

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