「FIRE(ファイア:経済的自立と早期退職)」という言葉を耳にするようになった人は多いのではないでしょうか?株の配当金だけで生活できれば「FIRE」も可能です。
そんな生活に憧れる人の中には「本当に配当金生活なんてできるの?」「元出はいくら必要なの?」「投資先はどうやって選ぶの?」などの疑問を感じる人もいるでしょう。
本記事では、配当金生活を実現するために必要な資金や投資先選別のポイントについて解説します。「FIRE」を目指す人は有力な選択肢の1つとして検討してみましょう。
配当金生活とは
まず最初に、配当金生活とは何かについて確認しましょう。
配当金は株式投資による利益(インカムゲイン)
配当金は株式投資によって得られる利益です。
キャピタルゲインを目的とした投資に比べ、配当金投資は大きな利益を狙えない場合もあります。しかしリスクが低く、収益の予測がしやすいというメリットもあります。
多くの投資家は、毎月または四半期ごとに支払われる配当を収入源として投資生活を送っています。
例えば「配当100万円」を年間目標とする投資家も少なくありません。年間の配当金は平均で300万円程度という調査もあるため、夢の話ではありません。
この目標に到達するためには、配当金の支給時期や予想利益を把握し、長期保有を前提とした戦略を立てることが重要です。
配当金生活とは配当金で生活費を賄うこと
配当金生活とは、株式投資や不動産投資から得られる配当金だけで日々の生活費を賄うことを指します。
株式の値上がり益は売却時のみです。しかし配当金は毎年または毎期、無配当でない限り定期的に受け取れるため、安定した収入源として生活費に充てることが可能です。
しかし株で生活する人の割合は少なく、多くの人にとっては遠い夢のように思えるかもしれませんが、投資生活を実現している人は存在します。
特に米国株の配当金生活は配当利回りが比較的高く、配当の再投資や増配が期待できるため、配当金生活を目指す上で魅力的な選択肢とされています。
配当金生活を実現するためには、当然ながら投資資金を減らさないことが前提です。
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「不動産投資は富裕層のもの」と思われる方も多いかと思います。
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投資だけで生活するためにはいくら必要なのかを計算しよう
憧れだけでいきなり大量の資金を投資に投げ込むのは非常に危険です。
生活費を賄うために必要な配当金の額を正確に計算し、実現可能なプランを立てることが重要です。この章では、安定した配当金生活を送るために必要な資金額の計算方法を解説します。
配当金生活の生活費を設定
配当金生活に必要な資金を計算する際は、まず生活費がいくらかかるかを想定しましょう。例えば毎月の生活費が20万円であれば、年間で240万円の配当金が必要です。
生活費が40万円に増えれば、必要な配当金も480万円に増加し、それに伴い投資資金も増やさなければなりません。配当金生活に必要な資金は、目指す生活水準によって大きく変わります。
2億円を株式市場に投資し、平均的な配当利回りが年間3%であれば、年間で約600万円の配当金を得られます。月々50万円の生活費を賄うには十分な額です。
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必要資金は「生活費」と「配当利回り」で決まる
「投資だけで生活するにはいくら必要か」という疑問は、配当金生活を目指す多くの人が抱くでしょう。いくら必要なのかは、生活費と配当利回りによって決まります。
株式投資からの配当金を主な収入源として生活する場合、必要な資金を計算する式は「年間の生活費÷配当利回り」です。
次の章で詳しくシミュレーションしてみます。
月20万円の配当金に必要な資金のシミュレーション
一例として、毎月の生活費を20万円に設定した場合の必要資金を3つの配当利回りで計算してみます。
- 240万円÷2.33%=1億300万4,292円(※1)
- 240万円÷2.61%=9,195万4,023円(※2)
- 240万円÷1.78%=1億3,483万1,461円(※3)
※1:プライム市場の2024年9月の有配会社平均利回り
※2:スタンダード市場の2024年9月の有配会社平均利回り
※3:グロース市場の2024年9月の有配会社平均利回り
※参考:その他統計資料 | 日本取引所グループ
あくまで、市場ごとの平均利回りで計算した結果であり、実際は銘柄によって配当利回りが異なる点に注意してください。
配当利回りによって必要資金は大きく異なります。配当利回りは確定したものではないため、配当金生活を目指して株式投資を始めるときは、「目標とする配当金利回り」を設定し投資先を選別します。
配当金生活に向けて資金が貯まるまでは別収入が必要
生活費と株式の配当利回りを設定すれば必要資金が計算できます。次は、必要資金の準備です。
すでに株式投資に必要な資金を保有している人以外は、資金を貯めることからスタートします。十分な資金もなく、いきなり配当金生活を始めることはできません。
長期間お金をためながら日常生活費を捻出しなければならないため、無理のない長期的な計画が必要です。資金を貯める方法はさまざまですが、預金ではなく不動産投資がおすすめです。配当金生活の準備として不動産投資は最適な投資対象です。
株式や債券はつみたて投資で複利を活用できるが、軍資金を貯めるまでにはかなりの時間がかかってしまいます。その点、不動産投資であれば、信用を活用して、最初から数千万円のレバレッジをかけて運用を始められます。そのため、実際の手出しは月々5,000円程度でスタートすることが可能です。
そして出口戦略として、月々約7万円の家賃収入や高騰した物件を売却することでキャピタルゲインを手にすることも可能です。
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配当金生活のための投資先を選ぶ際のポイント
必要な資金が貯まった後の株式投資先を選ぶ時のポイントを説明します。主なポイントは次の4つです。
ポイント①:配当利回りとリスクのバランス
高配当株は一見魅力的に見えますが、業績の悪化による株価の下落や減配や無配当などのリスクや危険もあり、おすすめはしません。
配当性向が高いデメリットとしては、企業が利益の大部分を配当に回すことで、将来の成長のための再投資が疎かになる可能性があります。
そのため単純に高配当株を選べば良いわけではなく、高配当株積立を含め、投資戦略を慎重に計画する必要があります。
ポイント②:分散投資
ポイントの2つ目は、「分散投資」です。
分散投資とは、投資先を複数に分ける投資方法で、投資リスクを低減するのに有効です。一つの投資先に全ての資金を投資してしまうと、建て直せなくなるほどの被害を受ける可能性が高いです。
しかし、分散投資によって複数の投資先に資金を分散させていれば、一つの投資先の株価が下落しても、他の投資先でカバーできるため、損失を最小限に抑えられます。
配当利回りとリスクのバランスを熟考して投資先を選んでも、投資リスクをゼロにすることはできません。配当金生活には安定した配当金収入が必要になるため、リスクを抑える分散投資を心がけましょう。
ポイント③:手数料
ポイントの3つ目は、「株式投資にかかる手数料」です。
主に株式を売買するときに発生するため、できるだけ手数料が安い証券会社を利用することで無駄な支出を減らし、利益を最大限確保する必要があります。
証券会社によって手数料は異なるため、投資先を頻繁に入れ替える場合は手数料の安い証券会社を選びましょう。
一般的に、インターネット証券は手数料が安く設定されています。
例えば、SBI証券や楽天証券などは、国内株式取引手数料が無料なので、お得に取引できます。
証券会社によって銘柄の取扱数が異なるため、投資したい銘柄を展開している証券会社の中から手数料が安い証券会社を選んでみてください。
ポイント④:株主優待
ポイントの4つ目は、「株主優待」です。株主優待を日常生活に活用することで、生活費の一部を節約できます。株主優待には、投資先の商品や商品券のほか、どこでも使えるクオカードなどの金券もあります。
投資先を決めるときに、日常生活で使用する商品やサービスを提供する会社の株主優待をチェックするといいでしょう。株主優待の金銭的価値を含めて配当利回りを検討するという方法もあります。
ただし、株主優待で普段は買わないものをもらっても、生活費の節約にはつながらないことは意識しておきましょう。
【資金別】配当金生活を目指す方におすすめの投資先
配当金生活を目指す方におすすめの投資先は、利用可能な資金によって異なります。配当金生活のために銘柄を選ぶ際は、自身の投資可能額を考慮し、最適な投資先を見極めることが重要です。
この章では、資金額別に配当金生活を目指す方におすすめの投資先を紹介します。
投資資金10万円|株ではなく積立投資がおすすめ
10万円で投資を始める場合、直接株式投資を行うよりも積立投資がおすすめです。10万円では配当金生活を実現することは現実的ではありませんが、積立投資で資産を着実に増やしていくことができます。
高配当ETFに投資することも一つの方法ですが、長期的な目線でのトータルリターンが低くなる・投資の対象が特定の国に集中する可能性があるなどのデメリットを理解し、長期的な視点での資産運用を心がける必要があります。
また株を10万円から始める場合は、短期的に10万円を100万円にする方法はおすすめできません。安定した米国株やS&P500への積立投資を通じて、リスクを分散しつつ資産を増やす戦略がおすすめです。
投資資金100万円|分散投資がおすすめ
100万円で投資する場合は、分散投資がおすすめです。
分散投資は、リスクを管理しながら資産を成長させる効果的な戦略です。
投資先の選定にあたっては、配当利回りとリスクのバランス・手数料・株主優待を考慮して、長期的な視野で安定した収益を目指すべきです。
そこで100万円投資する際におすすめの銘柄をご紹介します。
銘柄 | 始値 | 配当利回り | 時価総額 | 最低投資金額 |
三菱UFJ | 1,522.0円 | 2.65% | 19,024,750百万円 | 154,200円 |
ENEOS | 648.3円 | 3.40% | 1,960,131百万円 | 64,629円 |
ビックカメラ | 1,300.0円 | 1.39% | 242,144百万円 | 128,700円 |
参考:MINKABU「みんかぶ – 資産形成のための情報メディア・株価予想・ニュース・SNS(旧みんなの株式)」(2024年2月29日時点)
上記に必ず投資する必要はありませんが、参考にしつつ投資先を選んでみてください。
投資資金1,000万円|金融商品以外も視野に入れるのがおすすめ
1,000万円投資するなら、選択肢はさらに広がります。
分散投資の原則をさらに拡張し、積立投資を組み合わせることでリスクを分散しつつ、資産成長の機会を最大化できます。
日本高配当株のおすすめの銘柄に300万円ほどを投資し、残りの資金で不動産投資なども視野に入れると良いでしょう。
1,000万円投資する場合におすすめの銘柄をご紹介します。
銘柄 | 始値 | 配当利回り | 時価総額 | 最低投資金額 |
任天堂 | 8,322.0円 | 2.25% | 10,908,996百万円 | 840,000円 |
SBG | 8,800.0円 | 0.50% | 12,921,258百万円 | 879,000円 |
マクドナルド | 6,950.0円 | 0.60% | 926,731百万円 | 697,000円 |
参考:MINKABU「みんかぶ – 資産形成のための情報メディア・株価予想・ニュース・SNS(旧みんなの株式)」(2024年2月29日時点)
月20万円で配当金生活はできる?シミュレーションしてみよう
先ほど、こちらで月20万円の配当金を得るために必要な資金のシミュレーションをしましたが、実際に月20万円で生活することは可能なのでしょうか。
e-Statという統計データを確認できるサイトで、単身者が何にどれほどのお金を使っているのかを確認し、月20万円で生活が可能なのかを考察してみます。
- 食費:4万2,049円
- 住居:2万3,799円
- 光熱費:1万3,045円
- 保険医療:7,367円
- 交通・通信:2万1,654円
- 自動車関係:1万531円
- 教養娯楽:1万8,794円
- 雑費:1万4,779円
- 合計:15万2,018円
※2023年のデータを参考
※2023年のデータを参考
e-Statには、他にも項目ごとに統計データが記載されていますが、必要最低限の項目を抜き出して足すと、約15万円必要だとわかります。
もちろん、平均的な数字なので、人によっては旅行に行く費用や医療費などの影響によって、さらに高くなることも大いにあります。
ただ、単身で必要最低限の生活ができれば良いという場合には、毎月15万円ほどあれば生活できると言えるため、月20万円の配当金があれば配当金生活を実現できるでしょう。2人以上の世帯になると確実に月20万円では生活できないため、配当金のみで生活することは困難です。
そんな方は配当金以外でも不動産投資を活用して家賃収入で不労所得を得ることをおすすめします。
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配当金生活を実現するための3つの手順
配当金生活を実現させたい方は、次の手順に沿って進めていきましょう。
- 1:最低限必要な生活費を算出する
- 2:必要資金を算出する
- 3:銘柄を選び運用する
1:最低限必要な生活費を算出する
配当金生活を実現させるためには、まず自身に必要な生活費を算出する必要があります。
生活費を算出しないと、どれほどの配当金がああれば生活できるのかがわからないため、はじめに算出しましょう。
あくまで一例ですが、次のような項目ごとに最低限必要な費用を決めて合計を算出してみてください。
- 住居費
- 光熱費
- 通信費
- 保険料
- 医療費
- 食費
- 娯楽費
- 自動車関連
- 交通費
- 雑費
生活費を算出したら、どれほどの金額をどれほどの配当利回りで運用すれば良いのかがわかります。
2:必要資金を算出する
生活費がわかったら、必要資金を算出しましょう。
必要資金は「年間の生活費÷配当利回り」で求められます。例えば、年間の必要な生活費を360万円として、配当利回りが3.0%の銘柄に投資する場合の必要資金の計算式は次のとおりです。
360万円÷3.0%=1億2,000万円
配当利回りは、証券会社の公式サイトに記載されているデータを参考にしてみてください。
3:銘柄を選び運用する
生活に必要な配当金と必要資金がわかったら、配当金生活に必要な配当金を得られる配当利回りの銘柄を選びましょう。
しかし、闇雲に配当利回りが高い銘柄を選べば良いわけではありません。
株価が下落したら大きな損失を被る可能性があるため、投資先の企業の業績や将来性を考慮して銘柄を選ぶ必要があります。
自身の資金で希望する配当金を得るために、どれほどの配当利回りの銘柄に投資すれば良いのかは、以下の計算式で求められます。
希望する配当金(年間)÷投資資金×100
例えば、年間360万円の配当金を受け取りたい、投資資金は4,000万円ある、という場合は、
360万円÷4,000万円×100=9%
上記のとおり9%の配当利回りの銘柄に投資しないと、年間360万円の配当金を受け取ることができません。
自身の資金で希望する配当金を受け取るためには、どれほどの配当利回りの銘柄に投資する必要があるのかも考慮して、投資先の銘柄を選んでみてください。
配当金生活に関するよくある質問
ここでは、配当金生活に関するよくある質問に回答します。
ナンピン買いを成功させるコツは?
ナンピン買いを成功させるコツは、まず市場のトレンドを理解することです。価格が一時的に下落している質の高い銘柄を見極め、長期的な視点で投資することが重要です。
ナンピン買いを行う際は、冷静な判断と投資する銘柄の業績や市場環境に基づく徹底したリサーチが必要です。
またポートフォリオ全体のリスク管理を怠らず、資金配分を慎重におこなうと成功に近づきます。
高配当株はやめとけといわれる原因は?
「高配当株はやめとけ」と言われる主な原因は、高配当が持続不可能な業績の悪化を隠している可能性があることです。
高い配当利回りを提供する企業は、資金繰りに問題を抱えているか、将来の成長投資を犠牲にしている場合があります。
そのため高配当株に投資する際は、企業の財務健全性や配当の持続可能性を慎重に評価する必要があります。短期的な利益よりも、長期的な安定性を重視する姿勢が重要です。
配当金は毎月得られるの?
配当金が毎月得られるかどうかは、投資する銘柄やファンドによって異なります。配当金を毎月もらうためには、月々配当を提供する特定のETFや、月次配当を行う銘柄に投資する必要があります。
また複数の銘柄に分散投資し、それぞれの配当支払いスケジュールを調整することで、毎月安定した配当収入を得ることも可能です。
三菱UFJフィナンシャル・グループへの投資は配当金生活に向いている?
三菱UFJフィナンシャル・グループは、安定した経営基盤と堅実な配当政策により、配当金生活を目指す投資家にとって魅力的な選択肢です。
長期的な視野で見た場合、銀行セクターの大手企業は経済の変動に強い傾向があり、安定した配当収入を求める投資家にとって安心材料となります。
ただし、金融セクターへの投資は市場の変動や金利の影響を受けやすいため、投資判断を行う際には慎重に検討する必要があります。
日本郵船への投資は配当金生活に向いている?
日本郵船への投資は、配当金生活を目指す上で注意すべきと言えます。
海運業は景気循環や貿易量の変動に敏感であり、配当の安定性に影響を与える可能性があります。したがって、日本郵船への投資を検討する際には、長期的な視点を持つ必要があります。
東京海上ホールディングスの株価は?
東京海上ホールディングスは保険業界の中でも安定した業績を誇り、投資家にとって注目の銘柄です。
同社の株価は、堅実な経営と安定した配当政策に支えられていますが、投資判断を行う際には保険業界の市場環境や経済全体の動向を考慮することが重要です。
スマート配当ってなに?
スマート配当とは、情報商材に誘導するためのサービスです。
アプリがApple Store未承認なので、非常に危険です。スマート配当にかかわらず、甘い言葉に惑わされて投資詐欺に引っかからないように注意しましょう。