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銀行手続きにマイナンバーが必要?義務化を巡る状況も紹介

銀行で新規に口座を作る際にマイナンバーの届出を求められます。個人情報漏洩などが気になり、「マイナンバーの届出をしたくない」「本当に届出しないといけないのかな」と考える人もいるのではないでしょうか。

今回の記事では、銀行での手続きに本当にマイナンバーが必要なのかについて解説します。また、マイナンバーの利用拡大を巡る状況についても解説しますので、マイナンバーの今後の活用について考える機会にしてください。

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マイナンバーの利用拡大

新型コロナウイルス感染症の感染拡大対策として昨年支給された特別定額給付金(10万円)を巡り、迅速な給付を目的とした銀行口座へのマイナンバーの紐付けが話題となりました。まずは、マイナンバーとは何か、どのように利用されているのかについて確認しましょう。

マイナンバーとは

マイナンバーは「社会保障・税番号」ともよばれ、日本国内の住民と法人すべてに割り当てられた12桁の個人番号(法人は13桁の法人番号)です。個人番号をマイナンバー、法人番号を法人マイナンバーと呼び分けることもあります。

マイナンバーは個人と法人に対し次の通り定義されています。

  個人番号 法人番号
番号の桁数 12桁 13桁
通知元 市町村長 国税庁長官
通知方法 通知カード(※) 書面通知
利用目的の制限 あり※法令・条例で定めた範囲内でのみ利用可能 なし※官民を問わず自由に利用可能
番号の検索 不可

※令和2年5月26日以降は「個人番号通知書」に変更。

これから説明するマイナンバーは、法人番号ではなく個人番号を中心に解説します。

マイナンバーの目的

マイナンバー制度を創設した理由は次の3つです。

  • 公平・公正な社会の実現(国からの給付金の不正受給防止など)
  • 国民の利便性の向上(行政手続きの簡素化など)
  • 行政の効率化(国や地方公共団体の業務の効率化など)

従来の社会保険制度は、雇用保険番号や健康保険番号、基礎年金番号など、制度ごとに縦割りの相互に利用できない番号で管理されていたため、各制度が関連する手続きでは複数の公的機関に行く必要がありました。

各制度共通の番号を使い各機関が情報連携すれば、利用する個人も管理・運営する行政側も手続きが簡素化・効率化するというメリットを得られます。

マイナンバーの利用分野

マイナンバーの利用範囲については、マイナンバー法(正式には「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」)で次の3分野に限定されています。

  • 社会保障(雇用保険や健康保険、公的年金の手続きなど)
  • 税金(確定申告など税金に関する手続きなど)
  • 災害対策(被災者への支援金手続きなど)

マイナンバー制度は平成27年にスタートした制度であるため、現状では上記分野のすべての手続きがマイナンバーでできるわけではありません。具体的な利用範囲をどこまで広げるかについては現在も検討されています。

金融分野における利用範囲の拡充

マイナンバー法改正により、金融分野におけるマイナンバー利用範囲が拡充されました。具体的には「銀行口座へのマイナンバーの付番」によって、次の業務を可能とするものです。

  • 預金保険機構等によるペイオフのための預貯金額の合算におけるマイナンバー利用
  • 社会保障制度の資力調査や税務調査でマイナンバー付番の預金情報の効率的利用

金融分野においても、マイナンバーの利用範囲をどこまで拡大するかは議論されており、特に銀行口座へのマイナンバーの付番の義務化は現在の大きな課題です。

マイナンバーが必要な銀行手続き

銀行での手続きにおいて、マイナンバーの届出が必須であるものと任意であるものがあります。それぞれについて紹介します。

マイナンバーの届出が必須の銀行手続き

銀行での手続きの際、必ずマイナンバーの届出が必要な手続きは次の通りです。平成28年1月より義務化されました。

取引 手続の内容
投資信託・債券 ・新規の口座開設
・特定口座、NISA口座の申込
・住所・名前の変更
外国送金 ・国外向けの仕向送金、仕向送金小切手
・国外からの被仕向送金、被仕向送金小切手
・クリーンビル買取・取立
マル優・マル特 ・新規の申込
・非課税限度額・住所・名前・取引店等の変更
財形預金(住宅・年金) ・新規の申込
・住所・名前・取引店等の変更
金融商品仲介 ・証券口座の開設
・特定口座、NISA口座の申込
・住所・名前の変更
教育資金贈与信託・結婚・子育て支援信託 ・新規の申込

平成27年12月末までに投資信託・公共債の口座を開設している個人については、マイナンバーの届出が猶予されていました。しかし、令和4年1月以降(※)に上記取引に異動(解約や配当金支払など)が生じた場合には届出が必須です。

※令和3年12月末までにマイナンバーの届出を求める銀行もあります。

マイナンバー登録を推奨される銀行手続き

マイナンバーの届出が必須ではありませんが、銀行の窓口で届け出を求められる手続きとして預貯金用の銀行口座の開設や異動手続き(住所や氏名の変更)です。

マイナンバー法では、銀行に対して銀行口座へのマイナンバーの紐付けを義務化しているのに対し、個人に対してはマイナンバーの届出を義務付けていません。そのため、銀行ではマイナンバーの届出を勧奨されますが、届出をしなくても口座開設や異動手続きは可能です。

つまり、自分の銀行口座にマイナンバーを紐付けするかどうかは任意で決めることができます。

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銀行口座へのマイナンバーの紐付けの今後の展開

当初、令和3年度末に銀行口座へのマイナンバー紐付けが義務化される予定でしたが、現時点では実施されていません。このような背景となったマイナンバーの紐付けを巡る現状について説明します。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大をきっかけに義務化を検討

平成30年のマイナンバー法改正時に、3年後に個人への義務付けの検討が決まっていました。しかし、令和元年に支給された特別定額給付金(10万円)の支払いが滞ったため銀行口座へのマイナンバーの紐付けが大きな関心を集めました。

政府としては正しく税金を徴収するためにマイナンバーの紐付けを進めたいという意向も考えられますが、災害時の支援金手続きなどを円滑に行うメリットを強調しながら義務化を図ることを謳い議論となりました。

令和2年11月27日に義務化を見送り

政府は銀行口座へのマイナンバーの紐付け義務化を図ろうとしましたが、個人情報漏えいへの危惧や個人情報を政府に管理されたくないという反発が強く、国民の十分な理解が得られませんでした。

その結果、令和2年11月27日に平井デジタル改革大臣が「国民に対して義務化はしない」と発表し、義務化は見送られました。

今後は義務化されるのか

平井デジタル改革大臣の会見では、義務化見送りと同時に「国民が任意で銀行口座を登録し、緊急時の給付金申請手続きなどを簡素化・迅速化する制度」案を検討しているとの発言がありました。

当面の義務化はなくなりましたが、行政のデジタル化を推進する中で今後も義務化を進める議論が再燃することも予想されます。

まとめ:国民として今後のマイナンバー活用について考えてみよう

金融分野におけるマイナンバーの利用範囲の拡充に伴い、投資信託や債券、外国送金などの取引においてマイナンバーの届出が義務付けられました。

銀行口座の開設や異動については、当面はマイナンバーの届出は任意です。マイナンバーの利用は個人情報漏洩などの危惧もありますが、膨大な行政コスト削減や行政手続きの簡素化というメリットもあります。

国民全員に関わる国の重要政策であることを理解し、国民の1人として今後のマイナンバー活用について考えてみましょう。

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