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生命保険料控除の計算方法|5つの注意点や手続き方法までわかりやすく解説

生命保険料控除とは、生命保険料として支払った金額に応じて所得が引かれることで、課税額が少なくなり、所得税・住民税が軽減される仕組みです。年末調整や確定申告で控除申請をしたことがある人も多いでしょう。

この記事では、生命保険料控除の計算方法や注意点、新たに始まった電子的交付について、わかりやすく解説します。ぜひ役立てて下さい。

生命保険料控除とは

生命保険料控除とは、生命保険料として支払った金額に応じて所得が引かれ、所得税・住民税が軽減される仕組みです。年末調整や確定申告の際に控除申請をすることで節税することができます。

この生命保険料控除は新旧の制度によって違いがあります。以下で詳しく説明します。

新制度と旧制度がある

新制度と旧制度の大きな違いは、生命保険料控除の種類の区分と控除額です。どちらの制度で控除されるかは、生命保険の契約時期によって決まります。2010年12月末までに契約した保険は旧制度となり、2011年1月以降に契約した保険は新制度が適用されます。保険料控除証明書には、どちらの制度が適用されるかも記載されているので確認しましょう。

なお、旧制度適用の保険でも、更新や保証の見直しなどによって再契約をすると、新制度が適用されます。
 

新制度の生命保険料控除

新制度の控除区分は3つあるので、説明します。

・一般生命保険料控除(上限額4万円):死亡保障・学資保険などの保険料
・介護医療保険料控除(上限額4万円):介護保険・医療保険・がん保険などの保険料
・個人年金保険料控除(上限額4万円):個人年金保険契約の保険料

上記のように、それぞれ控除額の上限が決まっていて、合計12万円まで生命保険料控除が受けられます。控除される分は所得から差し引かれ、課税額が少なくなります。
 

旧制度の生命保険料控除

旧制度の控除区分は2つあります。それぞれ説明します。

・一般生命保険料控除(上限額5万円):死亡保障・医療保障・学資保険・介護医療保険などの保険料
・個人年金保険料控除(上限額5万円):個人年金保険契約の保険料

上記のように、それぞれ控除額の上限が決まっていて、合計10万円まで生命保険料控除を受けることができます。旧制度においては、介護医療保険は一般生命保険料控除の対象です。

おさえておきたい!生命保険料控除5つの注意点

生命保険料控除を適用する際の注意点について、説明します。控除を申請する際に参考にしてください。
 

節税効果は人それぞれ

節税効果は所得によって異なるため、「控除額=節税額」ではないことに注意しましょう。新制度が適用された控除額12万円で例を挙げます。所得税45%の高所得者の場合は、12万円(控除額)×45%(所得税率)=5万4,000円が、所得税が5%の人の場合は、12万円(控除額)×5%(所得税率)=6000円が控除されます。

節税できるとはいえ、保険料の支払いで結局支出は増えます。節税を目的に不要な生命保険に加入することは本末転倒ですので避けましょう。
 

各区分で最大額が決まっている

生命保険料控除の上限は、各区分で決まっています。控除額を最大にするためには、保険区分のバランスを取るしかありません。そのため、特定の保険だけ手厚くしながら合計の最大控除額を受けることは不可能です。また、パートナーに所得がない場合、控除申請は一人分となるので、各区分や合計で控除上限に達してしまいやすくなります。

申告しなければ控除がうけられない

会社員は年末調整によって、個人事業者や自営業などは確定申告によって、生命保険料控除を申請します。申請していない場合、後から控除してもらうことはできません。申請に必要な「保険料控除証明書」は毎年10~11月ごろに届くので、きちんと保管しておいて申請準備をしておきましょう。なお、紛失した場合は、事業者への依頼により再発行が可能です。

対象外の保険がある

外貨建ての保険を国内の保険会社で契約した場合は、控除の対象です。しかし、外国の生命保険会社や損害保険会社などと海外で契約した保険は、控除の対象外となります。他にも、保険期間が5年未満の貯蓄保険や貯蓄共済も控除対象外です。また、身体傷害のみに対して保険金が発生する傷害特約や災害割増特約の保険料も、新制度で対象外となりました。
 

誰の控除にするかで節税効果が変わる

夫婦ともに所得がある場合、基本的に所得税率の高いほうの控除としたほうが、節税効果が高くなります。一般生命保険と介護医療保険は、受取人が配偶者や親族(6親等以内の血族、3親等以内の姻族)であっても控除が可能です。個人年金保険料の場合は、本人または配偶者の場合に控除申請できます。

もし、投資の通算損益などで妻と夫の所得額の順位が変わったなどの場合は、控除申請者の変更を検討してみましょう。世帯全体で節税できるかもしれません。
 

生命保険料控除の計算方法

新制度の場合と旧制度の場合、両方ある場合のそれぞれのケースについて、生命保険料控除を計算する方法を紹介します。
 

新制度の場合

新制度の一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除の計算式は保険料によって異なり、以下の表のようになります。

 

所得税の生命保険料控除額

年間の支払保険料など 控除額
2万円以下 支払保険料などの全額
2万円超~4万円以下 支払保険料など×50%+1万円
4万円超~8万円以下 支払保険料など×25%+2万円
8万円超 一律4万円

住民税の生命保険料控除額

年間の支払保険料など 控除額
1万2000円以下 支払保険料などの全額
1万2000円万円超~3万2000円以下 支払保険料など×50%+6000円
3万2000円超~5万6000円以下 支払保険料など×25%+1万4000円
5万6000円万円超 一律2万8000円

※参考:生命保険料控除|国税庁
 

旧制度の場合

旧制度の一般生命保険料控除・個人年金保険料控除の計算式は保険料によって異なり、以下の表のようになります。
 

所得税の生命保険料控除額

年間の支払保険料など 控除額
2万5000円以下 支払保険料などの全額
2万5000円超~5万円以下 支払保険料など×50%+1万2500円
5万円超~10万円以下 支払保険料など×25%+2万5000円
10万円超 一律5万円

住民税の生命保険料控除額

年間の支払保険料など 控除額
1万5000円以下 支払保険料などの全額
1万5000円万円超~4万円以下 支払保険料など×50%+7500円
4万円超~7万円以下 支払保険料など×25%+1万7500円
7万円超 一律3万5000円

※参考:生命保険料控除|国税庁

新制度・旧制度の両方ある場合

新制度と旧制度の両方に加入している場合、旧制度の保険のみ申告、新制度の保険のみ申告、両方申告という選択が可能で、区分ごとに多い額を控除できます。所得税の控除額上限は12万円です。

両方申告したい場合、旧制度の一般生命保険の年間の支払い保険料が6万円超えの場合は最高5万円、6万円以下の場合は最高4万円まで控除できます。個人年金保険料控除も同様に、旧制度の個人年金保険の年間の支払い保険料が6万円以上なら最高5万円、6万円以下なら最高4万円まで控除できます。介護医療保険料控除の場合は、4万円を上限に新制度の計算式で控除額を計算します。

生命保険料控除の手続き方法

会社員の場合とフリーランス・自営業の場合にわけて、生命保険料控除の手続き方法を解説します。また、電子的交付についても説明します。

年末調整(会社員)の場合

年末調整の時期になると、会社から「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」が配布されます。この書類に、保険会社や新制度・旧制度の区別、保険料などの受取人、保険料などを記入して提出します。保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」の提出も必要です。

確定申告(フリーランス・自営業など)の場合

フリーランス・自営業などの場合、確定申告によって生命保険料控除の手続きを行います。確定申告書の第二表に記入欄があるので、必要事項を記入しましょう。会社員の年末調整と同様に、「保険料控除証明書」の添付が必要です。添付書類台帳に貼り、確定申告書と一緒に提出しましょう。
 

平成30年分から控除証明書の電子的交付が可能に

平成30年分から、生命保険会社がオンラインで発行している「電子的控除証明書」で申請できるようになりました。ただし、これを印刷してそのまま提出できるわけではなく、国税庁の専用ソフトを使って「QRコード付控除証明書」に変換する作業が必要です。「QRコード付証明書等作成システム」という専用ソフトを国税庁のサイトでダウンロード(無料)しましょう。

また、e-Taxでの電子申告であれば、QRコード付控除証明書への変換は必要ありません。電子的控除証明書を添付書類としてそのまま送信すればよいので便利です。

※参考:QRコード付証明書等作成システム|国税庁

生命保険料控除は注意点をおさえて正しく活用しよう

生命保険料控除とは、生命保険料に応じて所得税・住民税が軽減される仕組みです。新制度・旧制度の保険区分や控除額、注意点を押さえて正しく活用しましょう。

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