幼稚園や保育園での生活がスタートすると、園から園児向けの保険を案内されることがあります。「園児向けの保険は必要なの?」「どんなときにこの保険が使えるの?」と、保護者の中には疑問を抱く人もいるでしょう。
今回は幼稚園や保育園から案内される園児向け保険について、保険の内容を紹介した上で、加入する必要性があるのかどうかを解説します。
子供は病気や怪我など、思わぬトラブルに巻き込まれるものです。万が一の事態を想定し、必要に応じて園児向けの保険への加入を検討しましょう。
園児向け総合保険が使えるのはこんなとき
登降園中や休日の怪我や病気など、子供はいつどのようなトラブルに巻き込まれるかわかりません。場合によっては他人や物に損害を与えてしまう可能性もあります。園児の日常生活における傷病やトラブルに総合的に備えられるのが園児向け総合保険です。
園児向け総合保険は例えば以下の4つのケースで使うことができます。
- 病気で入院したとき
- 怪我をしたとき
- 他者への怪我や物損を与えたとき
- 保護者が死亡したとき
それぞれのケースについて解説します。
①病気で入院したとき
病気を治療するため、園児が1泊2日以上入院した場合に園児向け総合保険を使うことができます。他にも、病気による手術や放射線治療が対象です。
ただし、同一の病気の場合入院の限度日数が60日になる点や、先天性の疾患は加入後に診断された場合でも支払いの対象外となる点には注意しましょう。
②怪我をしたとき
遊具から落下した、階段を踏み外したなど、園児には怪我が付きものです。突然かつ偶然な外来の事故が原因の怪我も園児向け総合保険の補償対象です。幼稚園や保育園での怪我に加え、帰宅後や休日の怪我も補償されます。
さらに熱中症や食中毒になってしまった時の備えとして等、以下の特約を付加できることがあります。
天災危険補償
地震や噴火などの天災によって生じた怪我で、園児が死亡した場合や入院した場合に補償を受けることができる特約です。
細菌性食中毒補償
細菌性食中毒等による園児の死亡や入院を補償します。細菌性食中毒とは、病原性大腸菌やノロウイルス等によるウイルス性食中毒のことを指します。
特定感染症補償
O-157などの特定感染症による入院や通院が対象です。なお、特定感染症補償では園児の死亡や手術は支払い対象とならない点に気を付けましょう。
熱中症補償
夏は園児の熱中症にも気を付けなければなりません。熱中症補償特約は熱中症による死亡や後遺障害、入院を補償します。熱中症による通院も補償対象に含まれるため、念のため付加しておくと安心です。
③他者への怪我や物損を与えたとき
園児が自転車で走行中に歩行者と接触して怪我を負わせた場合や、陳列している商品を誤って壊した場合など、人や物に損害を与えた際は個人賠償責任補償を使うことができます。
この補償は、日常生活における偶然な事故によって他人に怪我又は物損を与えたために、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる仕組みです。なお、この補償に加入しておくと、園児だけでなく同居の親族も保険を使うことができます。
④保護者が死亡したとき
園児の保護者が死亡した場合は、育英費用補償として保険金が支払われます。重度後遺障害によって園児が扶養されなくなった場合も対象です。
園児向け総合保険に加入する前のチェックポイント
園児のさまざまなトラブルやアクシデントに備えることができる園児向け総合保険の保障内容は、公的制度や保護者が加入している保険で既にカバーできていることがあります。内容をよく確認せずに、園児向け総合保険に加入すると補償が重複することにもなりかねません。
園児向け総合保険に加入する前に確認しておきたいチェックポイントは以下の3つです。
- 自治体の医療費助成制度
- 自動車保険や火災保険の補償内容
- 学資保険や生命保険の保障内容
ポイント1:自治体の医療費助成制度
園児が対象となる公的制度の1つに乳幼児医療費助成制度があります。自治体が医療費の一部を助成する制度で、対象年齢は0歳から18歳としていることもあれば、15歳までとしていることもあります。
自己負担額は無料、もしくは1回の受診の自己負担額が500円という自治体が一般的で、園児への医療費はこの医療費助成制度である程度カバーできます。ただし、入院時の差額ベッド代などは助成の対象外です。
ポイント2:自動車保険や火災保険の補償内容
自動車保険や火災保険といった損害保険に、個人賠償特約が付加されていないか確認が必要です。この個人賠償特約は対物、対人のトラブルの際に利用できます。個人賠償特約がついていると、家族が起こしたトラブルも補償の対象です。
入院や手術に備える保険は複数加入していると、それぞれから給付金を受け取ることができます。しかし、この個人賠償保険は仮に複数加入していても支払われるのは1つの契約のみです。
そのため、複数の個人賠償特約を付加していると必要のない保険料を支払うことになりますので、加入している損害保険の内容を改めて確認しましょう。
ポイント3:学資保険や生命保険の保障内容
保護者が死亡した際に保険金がもらえる育英費用補償は、学資保険や保護者本人が加入している生命保険と同じ内容です。そのため、保護者本人がさまざまな生命保険に加入している場合や、学資保険に加入して教育資金を積み立てている場合は、園児総合保険の育英費用補償によってさらに補償が手厚くなります。
万が一の事態を想定することは非常に重要ですが、必要以上の保障(補償)額を設定していないかチェックしておくと安心です。
幼稚園や保育園から案内される保険は必要?
入園や進級といったタイミングで、幼稚園や保育園から園児総合保険を案内されることがあります。「子供に万が一のことがあったらどうしよう」「他人とのトラブルに備えておきたい」と、加入を検討する人も多いのではないでしょうか。
園児総合保険は病気や入院をはじめ、日常のさまざまなトラブルに備えることができる保険です。家庭で話し合い、万が一に備えた補償が欲しいと考える場合は園児向け保険の必要性は高いと言えます。保険によっては複数のプランが用意されており、適切な補償額のプランを選ぶと良いでしょう。
まとめ:園児向けの補償は必要性を考えてから加入しよう
園児向け総合保険は、日常の入院や手術に加え、人や物に損害を与えた場合にも補償されます。また、万が一保護者が亡くなった場合には育英費用補償から保険金を受け取ることができます。
非常に広い範囲をカバーする園児向け総合保険ですが、保護者が加入している保険内容と重複がないかを加入前に確認しましょう。また、公的制度である乳幼児医療費助成制度も対象ですので、園児にかかる医療費の多くは自治体から助成されます。
現状の保障内容を確認した上で、必要に応じて園児向け総合保険への加入を検討しましょう。