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資産運用

近年は、確定拠出年金制度を利用して老後に備えている人も増えています。確定拠出年金の場合、転職や退職の際に手続きが必要です。具体的にどのような手続きをすべきか、ご存知でない人も多いでしょう。

そこで本記事では、確定拠出年金の概要と、企業型確定拠出年金がある企業から転職するときに必要な手続き、iDeCo利用者が転職するときに必要な手続き、退職するときの手続き等をご紹介します。突然の転職や退職に迫られてもあわてずスムーズに手続きができます。

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確定拠出年金と退職金はどう違う?

確定拠出年金も退職金も、現役時代の働きが反映されて退職後の生活に役立てる点が共通しています。しかし、両者には違いがあります。退職金は会社が社員に、勤続年数にもとづいて退職時に一時金や年金として支払うお金です。そのため勤続年数が短いと受取額も少なくなることも。

いっぽう、確定拠出年金は運用方針を自分で決め、転職時もそのまま持ち運べる年金資産です。受取額は拠出額と運用実績にもとづいており、ひとつの会社での勤続年数は関係ありません。

近年は運用環境が厳しいため、会社が退職金を年金として準備するのが難しく、退職金制度から確定拠出年金へ移行している傾向があります。また、働く側にとってもひとつの会社で生涯働くのではなく転職も選択肢になっているため、確定拠出年金の存在感は増しています。

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企業型確定拠出年金がある企業から転職するときに必要な手続き

企業型確定拠出年金がある企業から転職する際は、どのような手続きが必要となるのでしょうか。転職先に企業型確定拠出年金制度がある場合とない場合で、手続きが異なります。それぞれについて以下でご紹介します。
 

転職先に企業型確定拠出年金制度がある場合

転職先に企業型確定拠出年金制度がある場合、転職前の企業で積み立てた資金を引き継ぐことができます。確定拠出年金の持ち運び(ポータビリティー)を活かして、転職先の企業型確定拠出年金に資産移動します。

年金資産の移換手続きは転職先で行ないます。手続きは会社によって異なるため、転職先の担当部署に方法を確認してください。また、企業型確定拠出年金制度がある場合でも、会社によって運用金融機関や扱う金融商品は異なるので資産運用に関する注意が必要です。

転職先が企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金の同時加入を認めていれば、移換を行わず個人型確定拠出年金を継続することもできます。この場合は、国民年金被保険者種別の変更、または勤務先の変更の手続きが必要です。

転職先に企業型確定拠出年金制度がない場合

転職先に企業型確定拠出年金がない場合、企業型確定拠出年金制度の利用は不可能です。そのため、企業型から個人型確定拠出年金に資産を移す必要があります。いったん、企業型確定拠出年金の加入者資格を喪失し、個人型確定拠出年金(iDeCo)の口座を開設します。

そして、既存の企業型確定拠出年金の資産を個人型確定拠出年金(iDeCo)に移換します。運用金融機関は、従前の企業型確定拠出年金と同じままでもかまいませんが、新たに選び直すことも可能です。

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個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用している人が転職するときに必要な手続き

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自分で作る老後の年金として利用者が増えています。この個人型(iDeCo)を利用している人が転職する場合、どのような手続きが必要でしょうか。転職先の企業型確定拠出年金制度の有無で必要な手続きは異なります。以下でご紹介します。
 

転職先に企業型確定拠出年金制度がある場合

転職先に企業型確定拠出年金制度がある場合は、転職先の企業型確定拠出年金に年金資産を移せます。届けによって個人型確定拠出年金の加入資格を喪失し、年金資産を企業型確定拠出年金に移換します。転職先の担当部署に詳細な手続きをご確認ください。

転職先が企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金の同時加入を認めていれば、移換を行わず個人型確定拠出年金を継続することもできます。この場合は、国民年金被保険者種別の変更、または勤務先の変更の手続きが必要です。

転職先に企業型確定拠出年金制度がない場合

転職先に企業型確定拠出年金制度がない場合は、そのまま個人型確定拠出年金に加入継続できます。ただし、国民年金の被保険者種別の変更、または勤務先の変更の手続きが必要です。

個人型確定拠出年金を利用する人のなかには、国民年金第1号被保険者の自営業者や、国民年金第3号被保険者の専業主婦(夫)なども含まれます。そのような人が会社に就職すると、種別は第2号被保険者に変わります。そのため、転職後は運用金融機関に加入者被保険者種別変更届を提出してください。

また、もともと第2号被保険者で個人型確定拠出年金に加入していた場合は、勤務先のみが変わります。運用金融機関に加入者登録事業所変更届を提出しましょう。

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民間企業を退職し、自営業者、公務員、専業主婦になるときは個人型確定拠出年金(iDeCo)へ移換される

企業型確定拠出年金制度があった会社を退職し、自営業者や公務員、専業主婦になる場合は、「転職先に企業型確定拠出年金がない場合」と同様です。企業型から個人型確定拠出年金(iDeCo)に資産を移します。

つまり、企業型確定拠出年金の加入資格を喪失した後、個人型確定拠出年金(iDeCo)の口座を開設し、年金資産を個人型確定拠出年金に移換します。
 

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企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金(iDeCo)へ移換するときは6カ月以内に手続きを

企業型確定拠出年金から個人型確定拠出年金(iDeCo)に変更する場合は、6カ月以内に手続きをする必要があります。6か月以上手続きをしなくても、ペナルティーはなく自動移換されますが、さまざまなデメリットが発生するので、自動移換は避けておきたいです。

以下で

  • 自動移換とは
  • 自動移換された場合のデメリット
  • 自動移換されてしまった場合の選択肢は4つ

についてご説明します。なぜ自動移換を避けるべきか、ご理解いただけます。

自動移換とは

自動移換とは、企業型確定拠出年金の加入者が転職や退職で加入者資格を喪失したとき、6カ月以内に手続きを行わなかった場合になされる処置です。年金資産が自動的に売却および換金され、国民年金基金連合会に自動的に移されることを自動移換と呼びます。

自動移換された場合のデメリット

自動移換されると大きなデメリットが発生します。次の3点です。

  • 資金が現金のままで管理され、資産の運用がされず指図や給付請求もできない
  • 運用はされないが管理手数料は毎月発生する
  • 自動移換中の期間は老齢給付金の受給要件となる通算加入者等期間に算入されないため、受給可能年齢が遅くなりうる

自動移換では資産運用はできないのに、管理手数料だけかかり、しかも受給年齢が先延ばしされるおそれがあります。運用してきた確定拠出年金の利益を損ない、老後の計画にも影響を及ぼしかねません。なんとしても避けておきましょう。

自動移換されてしまった場合の選択肢は4つ

転職や退職の多事で忙しく、確定拠出年金の手続きを忘れてしまい自動移換に陥った場合はどう対処すればいいのでしょうか。次の4つの選択肢があります。

  1. iDeCoに資産を移換して、掛金を拠出する(つまりiDeCoの加入者になる)
  2. iDeCoに資産を移換して、掛金は拠出せずに支給開始年齢(原則60歳)まで運用のみを行う(iDeCoの運用指図者になる)
  3. 脱退一時金として受け取る(ただし、脱退一時金の受給要件を満たされている場合のみ可)
  4. 企業型確定拠出年金のある企業に転職した場合は、その企業の企業型確定拠出年金に資産を移換する

自分の年金資産を守るために、気づいた段階で可能な限り早く4つの選択肢の中から適切な方法を選び、自動移換状態から脱出しましょう。

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転職、退職を機に確定拠出年金を解約できる?

転職や退職といった大きなイベントの中で、まとまったお金が必要になることもあります。「確定拠出年金を解約すればラクにクリアできる」と思うかもしれません。転職や退職を機に確定拠出年金を辞められるのでしょうか。

結論、確定拠出年金の解約は可能であり、中途脱退することで、運用してきた年金資金を一時金として受け取れます。しかし、満たすべき条件が厳しく、実際に解約するためのハードルは高いです。以下で、中途脱退をするにはどのような条件を満たさなければならないか、ご紹介します。
 

企業型確定拠出年金の中途脱退条件

企業型確定拠出年金を中途脱退するためには、次の3点をすべて満たす必要があります。

  1. 企業型または個人型確定拠出年金の加入者・運用指図者ではない
  2. 個人別管理資産額が1万5,000円以下
  3. 企業型確定拠出年金の資格喪失日の属する月の翌月から起算して6カ月を経過していない

個人型確定拠出年金の中途脱退条件

個人型確定拠出年金(iDeCo)を中途脱退するためには、次の5条件をすべて満たさねばなりません。

  1. 国民年金保険料の全額免除または一部免除、納付猶予を受けている(障害基礎年金裁定通知を受けた人および国民年金法第89条第1項第3号の施設に入所している人は除く)
  2. 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではない
  3. 通算拠出期間が3年以下(注)、または個人別管理資産が25万円以下
  4. 企業型または個人型確定拠出年金の加入者資格を最後に喪失した日から2年以内
  5. 企業型確定拠出年金の加入者資格喪失時に脱退一時金を受給していない

(注)掛金を拠出しなかった期間は除く。

なお、企業型または個人型確定拠出年金の加入者資格を最後に喪失した日が平成28年12月31日以前の場合、脱退一時金の受給に経過措置が認定されています。

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まとめ:企業型確定拠出年金に加入している人は特に気を付けよう

確定拠出年金の概要と、企業型確定拠出年金がある企業から転職するときに必要な手続き、iDeCo利用者が転職するときに必要な手続き、退職するときの手続き、解約条件をご紹介しました。企業型確定拠出年金は導入する企業も増え、利用者も増加しています。

転職や退職の際は目の前のことに追われがちですが、うっかり確定拠出年金を放置していると損をしてしまうこともあります。事前に手続きを知っておくことで、忙しい中でも状況に応じた処置が行なえるので、確認をしておいてください。

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