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資産運用

仕組債とは?3つの特徴とデリバティブ要素を入門者向けにわかりやすく解説

「仕組債」というものを知ってはいるものの、「仕組債ってどのようなものなのだろう?」と考えているひとも多いのでは無いでしょうか?

仕組債とは、デリバティブ要素が組み込まれた債券のことです。一般的な債券よりも利率が高く魅力的である分、リスクが高めという特徴があります。

仕組債に投資するときは、少し複雑なリスクについて、十分に理解して投資判断することが重要です。

そこで本記事では、一般的な債券の基本をおさらいしたうえで、仕組債の基礎とリスクを入門者向けに解説していきます。

ぜひ自分に合った資産運用方法を考えるためにお役立てください。

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仕組債とはデリバティブ要素が組まれた債券のこと

債券投資は、国や企業などの発行体にお金を貸し、定期的に利子(クーポン)をもらいながら、償還期限(返済期日)になったら貸したお金が戻ってくる(償還)投資のことです。

ひと言でいうなら、お金を貸して利子を狙うのが債券投資だといえます。

一方、仕組債「SB(Structured bonds)」とは、一般的な債券にデリバティブ要素を組み込んだ債券のことです。

「デリバティブ要素」が、仕組債を複雑にしています。デリバティブ要素の詳細は後述しますので、まずは一般的な債券(個人向け国債3年)と仕組債で50万円投資したときの違いを見てみましょう。

なお下表における仕組債の数値は、一般的な仕組債の範囲内で仮定したものです。

比較項目 個人向け国債 仕組債
最低購入単位 1万円 50万円
購入金額 50万円 50万円
年利率(単利) 0.05% 10.00%(※1)
償還期間 3年 3年(※2)
受取利子 750円(※3) 15万円(※4)
償還金額 50万円 50万円(※5)

※1:デジタルクーポンの場合、利率が低下することがある
※2:早期償還条項付の場合、償還期間より早く満額が償還されることがある
※3:端数処理によって少し減ることがあり、税金は未考慮
※4:デジタルクーポンおよび早期償還条項付の場合、受取利子が減ることがある
※5:ノックイン条項付の場合、減ることがある

上表のとおり仕組債は、「うまくいけば」一般的な債券よりも受取利子(リターン)が大きくなります。押さえておきたいのは、「うまくいけば」というところです。

仕組債は高いリターンが見込まれるかわりに、貸したお金(償還額)や利子(クーポン)が減ってしまう不確実性(リスク)も相応に高くなっています。

この不確実性は、表の下に記した「早期償還条項」や「ノックイン条項」といったデリバティブ要素を債券に仕組むことにより実現しています。

仕組債を理解するための3つの特徴(リスク)

仕組債は複雑で不確実性(リスク)が高い債券です。ただし、リスクのない金融商品はなく、リスクがあるからこそリターンを得ることができます。例えば、株式投資は株価が変動するという不確実性があり、株価の変動によって利益を得るのです。

そのため、リスクをきちんと把握して投資判断することが重要となります。

先ほどは、仕組債はおもに「早期償還条項」や「ノックイン条項」といったデリバティブ要素が仕組まれていると述べました。具体的にお伝えすると、株価指数や株価の変動によって満期で満額を受け取れなかったり、利子が減ったり、または予定より早く満額返済されて高い利子を受け続けられなくなることがあります。

参考:日本証券業協会「『仕組債』とは?」

以降では、上記仕組債の特徴を3つに分けて解説します。

特徴①デジタルクーポンで受取利子が減る可能性がある

仕組債のメリットは、受け取る利子が大きいことです。しかし、「デジタルクーポン」の記載がある銘柄は、利率が下がってしまう可能性があります。

具体的には、定められた判定日に参照している株価等が判定価格未満なら、低い利率が適用されてしまうのです。

例えば額面50万円で、通常は13.25%の利率が1.00%になってしまうことがある仕組債を考えます。利子をもらえる日(利払日)が1年に4回ある場合、判定日に判定価格未満なら、1回あたり1,250円の利子しか受け取れません。

  • 判定価格以上ならハイクーポン13.25%で利子は16,563円(50万円×13.25%/4回)
  • 判定価格未満ならロークーポン1.00%で利子は1,250円(50万円×1.00%/4回)

このように、高利率(ハイクーポン)と低利率(ロークーポン)が設定されているものをデジタルクーポンと呼びます。

特徴②ノックインで償還金額が減る可能性がある

ノックイン条項とは、貸したお金が減額されて返ってきてしまう条件のことです。元本割れリスクに該当します。例えば、当初の株価が1,000円でノックイン水準が63.50%なら、株価が635円以下になったら減額されてしまいます。

具体的にいくら減額されるのかなどは銘柄によりますが、以下のような式で求めることが多いようです。

額面金額×(最終価格/当初価格)
※(最終価格/当初価格)は100%が限度

つまり当初株価から下落幅が大きいほど、少ない金額しか償還されません。ただ、一度ノックイン水準(先の例では635円)以下になっても、最終価格が当初価格以上であれば100%償還されます。

詳細は仕組債によって変わるので、投資判断の際には必ずノックイン条項をチェックしておきましょう。

特徴③早期償還で受け取る利子が減る可能性がある

早期償還条項は、満期よりも早く満額償還されてしまい、高利率のメリットである高い利子を受け取れなくなってしまう条件のことです。

予定より早くお金が返ってくるということなので、一見すると良い条件のようにも思えます。

しかし、仕組債のメリットは高い利率による利子であり、早くお金を返されると利子の受取回数が減ってしまうのです。結果として仕組債のメリットを享受できません。

先ほど解説した「ノックイン」に対し、早期償還条項は「ノックアウト」と表される場合もあります。まさにこのノックインやノックアウトが、デリバティブ要素の考え方なのです。

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仕組債に組み込まれたデリバティブ要素とは

そもそもデリバティブとは、株式や為替などから派生した金融商品のことです。

先ほど、仕組債におけるノックイン条項やノックアウト(早期償還)条項がデリバティブ要素だと説明しました。この要素が、デリバティブのうち、オプション取引と類似しています。

オプション取引は、特定の原資産を、約束した期日に、約束した価格で売買できる権利の取引です。さらに、ノックインすると権利が発生し、ノックアウトすると権利が消滅します。

仕組債は、借りたお金を満期に「額面金額×(最終価格/当初価格)」に減額して返す権利を取引しており、オプション取引の要素を含んでいるのです。

また、これにノックアウト(早期償還)条項が付いている場合、「満期に(減額して)返す」権利が消滅し、早期償還されてしまいます。

それでは、オプション取引になぞって仕組債の実例を見てみましょう。

  • ノックイン条項:A株式の株価が当初価格の80%以下になったときがあれば、「額面金額×(満期日のA株式の終値/当初価格)」で償還する
  • ノックアウト(早期償還)条項:利払日にA株式の終値が当初価格の105%以上であれば、額面100%で早期償還する

この例であれば、A株式の株価が当初の80%以下になってしまうと、満額償還されないリスクがあります。また、利払日の終値が当初の105%以上になると、早期償還されてしまいます。

つまり投資家にとっては、株価が下がったら満額償還されない可能性があり、逆に株価が上がっても早期償還され、その後利子を受け取れなくなってしまいます。

したがって仕組債に投資するなら、ノックインもノックアウトもしないことが最良の状態です。そのため、以下のような仕組債銘柄が投資家に有利といえます。

  • ノックインレベルが低い
  • ノックアウトレベルが高い
  • ノックインレベルとノックアウトレベルの差が広い
  • 対象株式の値動きが落ち着いている

仕組債の種類例

仕組債は、デリバティブ要素の組み入れ方を変えることにより、さまざまな種類の仕組債を発行できます。今回は、以下2つの仕組債を簡単に紹介します。

  • 指数連動債(リンク債)
  • 他社株転換条項付社債(EB債)

指数連動債(リンク債)

指数連動債(リンク債)は、株価指数や株価の変動によって、満期で満額を受け取れなかったり、利子が減ったり、または予定より早く満額償還されて高い利子を受けられなくなるような仕組債です。

投資家の利益やリスクが、株価や株価指数によって変動するため、リンク債とも呼ばれます。なおこれまでの仕組債についての説明は、すべて指数連動債(リンク債)をもとにしています。

他社株転換条項付社債(EB債)

他社株転換条項付社債とは、一定の条件で、債券を発行体と異なる会社の株式に転換できる権利のある仕組債のことです。

仕組みはほとんどリンク債と同じですが、ノックインして満期時の時価が当初価格以下であるとき、「額面×(最終価格/当初価格)」相当が、現金だけではなく株式で償還されることが特徴です。

まとめ:仕組債のリスクを把握して投資すべきか検討しましょう

仕組債は、株価指数や株価の動きによって投資家が得をするか損するか決まる債券です。

高利回り債券として魅力的な金融商品ですが、以下のようなリスク(不確実性)があることを解説しました。

  • 参照している株式の価格がノックインレベル以下に下がると、満期日の株価に応じて満額償還されないことがある
  • 参照している株式の価格が利払日にノックインレベル以上に上がると、早期償還されて高い利子を受けられなくなることがある

また、デジタルクーポン債の場合は、低い利率が適用される場合もあることを忘れないようにしましょう。

仕組債の投資判断においては、ノックインレベルが低く、ノックアウトレベルが高いことなどが投資家に有利な条件です。

この記事で紹介した仕組債の魅力とリスクを参考にしながら、仕組債それぞれの条件をよく考慮し、投資をするか検討しましょう。

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