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年金

繰り下げ受給で年金額アップ!?手続きする前にチェックしておきたい注意点を徹底解説

「年金だけでは、ゆとりある老後生活は送れない」と、何らかの備えを検討している人も多いのではないでしょうか。年金の繰り下げ受給とは、年金の支給開始を遅らせることで、支給額を増やすことができる制度です。この記事では、繰り下げ受給の仕組みと注意点、判断に迷った場合の対応などを解説しています。年金による老後生活に不安を感じ、繰り下げ受給で年金額を増やそうと計画している人は、ぜひ参考にしてください。
 

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そもそも年金制度とは

年金制度には、公的年金と私的年金の2種類があり、一般的に3階建て構造といわれています。1階部分は自営業者や会社員、専業主婦など全員が加入する国民保険で、2階は会社員や公務員が加入する厚生年金が該当します。3階部分には、任意で加入する、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)や確定給付企業年金、保険会社が運用する私的年金などがあります。

また、公的年金の種類には、大きく分けて老齢年金・遺族年金・障害年金の3つです。繰り下げ受給は、老齢年金に関係した制度です。
 

年金の「繰り下げ受給」とは

ここでは年金の繰り下げ受給とは何か、仕組みや対象となる年金、手続きなどについて解説します。

受給を遅らせて年金額を増やせる制度

老齢年金には、国民全員がもらえる老齢基礎年金と、会社員や公務員だった人がもらえる老齢厚生年金があります。年金の「繰り下げ受給」とは、65歳から始まる老齢年金の受給を、月単位で遅らせる制度です。この制度を利用するメリットは、「0.7%×繰り下げた月数」の割合で、増額された年金を受け取れることです。繰り下げられるのは70歳までで、最大で「0.7%×12カ月×5年=42%」の増額が可能です。

繰り下げ受給ができる条件

繰り下げ受給ができる条件は、昭和17年4月2日以後に生まれて、原則66歳に達している人です。「達する」とは、誕生日の前日を指します。昭和17年4月1日以前に生まれた場合は、平成19年4月1日以後に、老齢年金を受けられる人が条件です。ただし、障害厚生年金や遺族厚生年金など他の年金は繰り下げ受給ができません。

老齢基礎年金と老齢厚生年金どちらも繰り下げできる

老齢基礎年金と老齢厚生年金のいずれも、繰り下げ受給の対象です。また、片方だけ繰り下げたり、両方繰り下げたりするなど、自由に選べます。年金受給を早める「繰り上げ受給」は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同じタイミングで受給するのが原則ですが、繰り下げの場合は異なるため注意しましょう。選び方次第で、老後のプランにあわせて活用できます。
 

手続きは65歳になるときに行う

繰り下げ受給の手続きは、65歳になるタイミングで行います。誕生月の初めごろに、日本年金機構からハガキが届いたら、繰り下げを希望するという項目に丸を付けて、月末までに送ります。1日生まれの人は、前月末日が締め切りです。ハガキが届いてから考え始めると余裕がないため、事前にどうするか決めておきましょう。
 

年金支払いを早める「繰り上げ受給」制度もある

繰り上げ受給とは、繰り下げ受給の逆で、年金受給を月単位で早められる制度です。対象となる人は、60~64歳で年金を受給できる権利を持っている人です。繰り上げ受給では、老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則として同時に繰り上げ(全部繰り上げ受給)となります。この場合は「0.5%×繰り上げた月数」の割合で、支給額が減ります。

また、特別支給の老齢厚生年金の定額部分だけを、繰り上げることもできます。これを一部繰り上げ受給といいます。この場合、特別支給の年金だけが、「0.5%×繰り上げた月数」の割合で減ります。
 

繰り下げ受給の計算式

繰り下げ受給をする場合の年金受給額は、以下の計算式で求められます。

・繰り下げした場合の受給額=本来の年金の額×(1+0.7%×繰り上げた月数)

ただし、実際には、何カ月分の繰り下げ受給をするのかを、具体的に決めている人は少ないのではないでしょうか。増額率の目安として、以下の表を参考にしてください。
 

受給を始める年齢 増える割合
66歳0カ月~66歳11カ月 8.4~16.1%
67歳0カ月~67歳11カ月 16.8~24.5%
68歳0カ月~68歳11カ月 25.2~32.9%
69歳0カ月~69歳11カ月 33.6~41.3%
70歳0カ月~ 42.0%

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繰り下げ受給を選ぶ前に注意しておきたいポイント

繰り下げ受給を選ぶか選ばないかによって、さまざまな違いがあります。ここでは、事前に確認しておきたいポイントについて解説します。

加給年金は増えない

加給年金とは、厚生年金加入者(扶養する人)が65歳になってから、配偶者など(扶養される人)が65歳になるまでに、もらえる年金です。この年金は金額が決まっているため、繰り下げ受給を選んでも支給額は増えません。なお、加給年金を受けるには、被保険者期間が20年以上など、一定の条件もあります。
 

振替加算は増えない

加給年金を受けていた場合、扶養されていた人の支給は、65歳で打ち切られます。しかし、65歳以降に、老齢基礎年金を受け取る権利を持っている場合は、加給年金による振替加算を受けられます。しかし、加給年金の金額自体が固定であるため、繰り下げ受給を申請しても、金額は増えません。
 

在職老齢年金の減額分は増えない

65歳以降も仕事を続けた場合、収入があるという理由で年金の額が減ります。これは在職老齢年金と呼ばれる制度です。繰り下げ受給を選ぶ際に注意すべき点は、減額した後の年金支給額において、「0.7%×繰り上げた月数」という計算が適用されることです。「思ったほど額が増えなかった」という事態にならないようにしましょう。
 

他の年金を適用した後は繰り下げできない

遺族年金・障害年金など、他の年金を受けている場合は、繰り下げ受給はできません。種類が違うとはいえ、年金受給を遅らせているとはみなされないからです。繰り下げ受給の待機中に、他の年金を受けとれる権利が発生した場合、それ以降の繰り下げはできません。
 

税金や保険料が増えることがある

意外に忘れがちですが、年金は課税対象です。そのため、繰り下げ受給によって増額された分、税金が増えます。また、国民健康保険や後期高齢者医療の保険料が、増える場合もあります。医療や介護を受ける際に、一定の所得を超えることで、自己負担の割合が大きくなることにも注意しましょう。

低所得者の優遇処置を受けられなくなる可能性がある

年金の繰り下げ受給で受給額が増えると、低所得者向けの優遇処置を受けられなくなる場合もあります。たとえば、2019年10月から開始された「年金生活者支援給付金制度」では、所得と公的年金の合計が、老齢基礎年金の満額(約78万円)以下であることなどの条件があります。また、自治体による住民税非課税世帯への支援制度を活用する際にも、影響が出るケースがあるため、注意が必要です。
 

一度手続きすると取り消せない

年金の繰り下げ受給は、一度手続きすると取り消せないため、じゅうぶんに考えてから決めましょう。特に、遺族年金や障害年金等など、他の年金がある場合は、影響を生じます。必要に応じて役所に相談するなど、事前に調べておくことが大切です。

長生きしなければメリットがない

年金は保険のようなものであると考えるなら、増額分にこだわらない人もいるでしょう。しかし、多くの人にとって、元を取れるかどうかは重要なポイントです。老齢厚生年金の繰り下げにおいて、トータルの支給額が増えるかどうかは、78~79歳が目安となります。日本人の平均寿命は、男性81.25歳、女性87.32歳であることを考えると、年金の繰り下げ受給をしたほうが、統計的には得といえるでしょう。
 

特別支給の老齢厚生年金には繰り下げ受給制度がない

特別支給の老齢厚生年金とは、年金の支給開始が60歳から65歳に引き上げられた影響を、少なくするための制度です。段階的に受給開始年齢を引き上げる、調整の役割を果たしているため、繰り上げ受給の対象外です。受給を待っても増額はないため、権利を得たら、すぐに受給開始の手続きをしましょう。

繰り下げ期間に生活費が足りなくなったらどうしたらいい?

繰り下げ受給によって将来もらえる年金額を増やすつもりが、状況の変化などにより、当面の生活費が足りなくなる可能性もあります。この場合は、65歳から受給できた分の一括請求が可能です。ただし、5年間の時効が設けられているため、請求が遅れると、受給の対象外になる期間が生じます。
 

年金の繰り下げに迷ったときは?

「老後に必要な生活費がわからない」などの理由で、繰り下げに迷うケースもあります。65歳を迎えた時点で迷っている場合には、どうしたらよいのでしょうか。

「いつまで」と決めずに自動繰り下げにする

繰り下げを希望する場合は、65歳になった時点で届く書面で返信します。変更手続きをするまでは、自動的に1カ月ごとに受給開始が遅れていきます。一般的には長生きするほど、病気になったり体の自由がきかなくなったりするため、経済的に余裕があると安心です。自動繰り下げにしておけば、年金が「長生きのための保険」となり、老後のリスクに備えられます。
 

老後の生活を最優先して備えよう

年金の繰り下げによって、トータルの受給額を増やすためには、長生きをしなければなりません。しかし、未来のことはわからないのが現実です。近い将来の生活を優先して、繰り下げ受給を選ぶかどうかを決めるという方法もあります。また、繰り下げ受給だけではなく、資産運用や貯蓄など、総合的な対策で老後に備えることが大切です。
 

まとめ

年金の繰り下げ受給は、老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給開始を遅らせることで、年金を増やせる制度です。ただし、増額対象外の年金や、他の制度の優遇処置がなくなることもあるため、注意しましょう。年金だけに頼らない資産運用を検討することも大切です。
 

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