「持病があるから」と保険の加入を不安に思っていませんか。実は、健康状態に制約があっても入りやすい「引受基準緩和型保険」というものが存在します。
しかし、引受基準緩和型保険には良い面だけではなくデメリットもあります。そのため、引受基準緩和型保険は、内容をしっかりと理解した上で入るべき保険です。
この記事では、引受基準緩和型保険に入るべきなのかを解説しつつ、仕組みやメリット・デメリット、選ぶときのポイントまでご紹介します。
引受基準緩和型保険とは?
引受基準緩和型保険とは、保険会社が設ける引受基準が通常の生命保険・医療保険よりも緩い商品のことです。
引受基準緩和型医療保険は医療保険の一種で、「引受基準緩和型定期保険」や「引受基準緩和型終身保険」という死亡保険もあります。
保険の申込みを行う際は、自分自身の健康状態や病気の経験などを、保険会社に伝えなければなりません。ところが、引受基準緩和型医療保険は、最初から告知することが少なく引受基準がゆるいため、持病のある人や病歴の多い人でも加入しやすいという特徴があります。
なぜ持病があると保険に入りにくいのか
持病があると保険に入りにくくなるのは、持病があると給付金の支払い対象になる可能性が高くなるためです。
保険料は統計データに基づいて、年齢や性別などに応じてリスク度合いを計算して設定されます。高齢者の場合、病気にかかりやすい傾向があり、入院期間も長くなることから保険料が高くなるのです。たとえば、高血圧や糖尿病などの持病がある場合、保険会社はそれに関連するリスクを考慮し、保険料を設定します。
保険料はリスクに応じて設定されるため、持病があると保険に入りにくくなるのです。
誤解されやすい引受基準緩和型保険に関しての真相
引受基準緩和型保険は、持病のある人でも入れる保険料が割高の保険と思っているかもしれませんが、それだけではありません。
ここからは、引受基準緩和型保険でよくある6つの誤解について解説します。
- 通常の保険に入れない人が加入できるわけではない
- 1つの保険に入れなかったら全部の保険に入れないわけではない
- 持病があるからといって通常の保険に入れないわけではない
- 緩和型医療保険は持病が悪化しても保障される
- 保険を契約した1年目からでも十分な保障を得られることもある
- ネットでの申し込みはプランが限定されることもある
通常の保険に入れない人が加入できるわけではない
緩和型医療保険は持病がある方でも入れるという誤解がありますが、実際には告知項目が緩いだけで、誰でも入れるわけではありません。
告知項目の例を見ると、入院や手術の経験、がん治療歴などが含まれます。
通常の医療保険ではより詳細な情報を提供しなければなりませんが、緩和型保険では比較的シンプルな情報で申込が可能です。しかし、最終的な加入可否は保険会社の判断によります。告知事項をクリアしていても、他の条件によっては加入できないケースもあります。
緩和型医療保険なら、持病や疾病歴があっても自動的に加入できるわけではないことに注意が必要です。
1つの保険に入れなかったら全部の保険に入れないわけではない
緩和型医療保険に関する誤解の一つに、「ひとつの保険に入れなかったら、全ての保険が無理だ」というものがあります。
しかし、緩和型保険の告知項目は各社で異なります。したがって、一つの保険に入れなかったとしても、他の保険には入れる可能性が残されているのです。
保険選びでは、複数の保険を比較し、自分の条件に最も合ったものを選ぶ必要があります。
また、加入できなかった場合には、無選択型医療保険などの選択肢があることも覚えておきましょう。
持病があるからといって通常の保険に入れないわけではない
緩和型医療保険が持病がある方向けの唯一の選択肢であるという誤解があります。
しかし実際には、通常の医療保険にも特別条件をつけることで、持病のある方も加入できる場合があります。例えば、保険会社が特定の部位や疾病を保障対象から除く「特定部位不担保」を条件にすることで加入できる場合があります。
通常の医療保険には条件付きでの加入が可能なケースもあるため、まずはそちらを検討しましょう。
緩和型保険は保険料が割高な傾向があるので、コスト的にはまずは通常の医療保険の選択肢を探ることが賢明です。保険の選択は個々の状況によって異なるため、専門家に相談することで適切な選択ができるでしょう。
緩和型医療保険は持病が悪化しても保障される
緩和型医療保険は持病の悪化を保障しないという誤解があります。しかし、実際には基本的に持病も保障の対象です。
通常の医療保険や無選択型医療保険と異なり、緩和型医療保険では持病も保障されます。一部の商品や特定の条件を除き、基本的には持病に関連する治療も保障の対象です。ただし、申込前に医師に勧められた入院や手術などは対象外となる場合があるため、注意が必要です。保険の申請漏れを防ぐためにも、保険商品の細かな条件を確認しましょう。
保険を契約した1年目からでも十分な保障を得られることもある
従来の緩和型医療保険では、支払削減期間が定められており、加入直後は保障が少なくなることがあります。加入直後から一定期間の間、保証額の引き下げがあるのです。
最近では削減期間のない緩和型医療保険も増えています。特定の給付金のみに削減期間がある商品や、全く削減期間がない商品もあります。削減期間のない緩和型医療保険を選ぶことで、契約1年目から満額の給付金を受け取ることが可能です。
加入の際は、保険料だけでなく削減期間についても比較しましょう。
ネットでの申し込みはプランが限定されることもある
保険の病歴の申告に抵抗がある場合、ネットでの申し込みを選ぶ方もいます。しかし、ネット申込の保険は一部であり、プランが限定されることもあります。
対面での申込を避ける場合は、電話で申し込める保険を選ぶのも一つの手段です。電話での加入なら、電話での説明や書類の郵送で手続きが完了します。
ただし、商品ごとに引受基準が異なるため、自身の病歴に関わらず申し込めるかは判断が難しいことがあります。そのため専門家のアドバイスを受けることが必要です。
最終的な加入の判断は保険会社が行いますが、病歴の申告に抵抗がある場合は、病気の種類ごとに保険を検索することも有効です。
引受基準緩和型保険に入るべきかデメリットを踏まえ決めよう
引受基準緩和型保険には、次の3つのデメリットがあります。
- デメリット①保険料が高い
- デメリット②特約の種類が少なめ
- デメリット③給付金の減額期間が存在する
デメリット①保険料が高め
通常の生命保険や医療保険と比べて、保険料の高さがデメリットです。一般的な保険料よりも高額で、終身保険の方が定期保険よりも人気なケースもあります。
保険料が高い理由としては、給付金の支払い確率が高いと、その分が保険料に加算されるからです。特に既往症や健康上の事情がある方は、給付金の支払い確率が高いので保険料も高くなります。
ただし、持病の悪化や病気の再発が生じた場合にも保障を受けられるため、通常の保険に入れなかった方にはおすすめです。
申し込みを検討されている方は、自己負担額や免責事項などもよくチェックすることをおすすめします。
デメリット②特約の種類が少なめ
他の保険と比較すると、“特約の種類が少ない”という特徴があります。そのため、特約によって個々の状況に合わせた対応ができないことが多いため、前もって注意しておきましょう。
また、商品によって加入後1年間は保障の給付金が半額になることがあれば、引受基準により保険の対象外となる疾患も存在します。
申し込みをする前には、必ず引受基準をチェックし、自身の持つ病気が保障されるかどうかを確かめましょう。
デメリット③給付金の減額期間が設定される場合がある
引受基準緩和型保険には、給付金の減額期間というものがあります。保険に入った後の一定の期間、給付金が半分ほどに減らされる仕組みです。
たとえば、「入会日から1年間は給付金が半分になる」という契約を結んだとします。このとき、入院給付金が1日5,000円の保険でも、発効日から1年間以内の入院では、もらえる給付金は2,500円になります。
さらに、既往症や持病と関係ない入院や手術においても給付金が減額されてしまう可能性があります。
詳細については保険会社によって異なるため、気になる保険を見つけた際には細かくチェックすることが大切です。
引受基準緩和型保険に入るべきかメリットを踏まえ決めよう
引受基準緩和型保険には、次の2つのメリットがあります。
- メリット①一般的な保険と比べて告知項目が少なく審査が緩い
- メリット②既往症や健康上の事情でも保障される
メリット①一般的な保険と比べて告知項目が少なく審査が緩い
医療保険に入る際には、保険会社の審査が必要です。審査では、今の健康状態や持病、既往症などの告知をします。
一般的な医療保険の告知は10項目ほどですが、引受基準緩和型保険は3項目前後の告知のみで申し込みができます。
主な告知内容は次の通りです。
- 3カ月以内に、医者から入院や手術を勧められた
- 2年以内に、病気や怪我で入院や手術をした
- 5年以内に、がん・肝硬変・統合性失調症などの診断や治療を受けた
参考:生命保険文化センター「医療保障に関するQ&A」
上記は一例であり告知の内容や項目数は保険会社によって違いますが、一般的な保険よりも審査が緩いことに変わりありません。
既往症や健康上の事情のある方にとっては、メリットが大きいといえるでしょう。
メリット②既往症や健康上の事情でも保障される
普通の保険では、既往症や健康上の事情は特定部位の保障がないか、もしくは保険に入れないかのどちらかです。
その点、引受基準緩和型保険では、加入前に患っていた既往症や健康上の事情が悪くなった・再発した場合においても保障されます。
ただし、加入時に医師に勧められていた入院や手術は保障されないことが多いので、気をつけてください。
引受基準緩和型保険に入るべき?保障内容は?
一般的な保険と同じように、引受基準緩和型医療保険は、入院給付金や手術給付金などの保障を提供します。引受基準緩和型定期保険や引受基準緩和型終身保険についても、生命保険と同様に被保険者の死亡時に死亡保険金が支払われます。
さらに、引受基準緩和型保険は、加入前にかかっていた病気も基本的にはカバーされます。
引受基準緩和型保険には、加入後に一定期間は保険金が減額されるものと、最初から保険金が満額で支払われるものがあります。そのため、加入する前に保障内容をよく比べてみましょう。
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持病があっても入りやすい保険とは
引受基準緩和型保険以外にも、持病があっても入りやすい保険は存在しています。
どのような保険であれば入りやすいのかを一覧にしてご紹介します。
- 通常の民間保険
- 引受基準緩和型保険
- 無選択型保険
保障内容や仕組みを確認して、どのような保険が自分に合っているのか検討していきましょう。
通常の民間保険
持病があっても現在の健康状態に応じて通常の民間保険に入れる可能性があります。
民間保険は様々な種類の保険が用意されていることに加えて、保険期間や特約も様々なので契約する人の好みに合わせて商品を選ぶことが可能です。
ただし、持病に関しては保障されないという条件を課せられることが多いため、持病に関する保障も必要だという方は事前に確認しましょう。
引受基準緩和型保険
引受基準緩和型保険は前述の通り、保険加入時に告知する内容が少ないため加入できる可能性が高いです。
そのため、持病があっても加入できることがあり、持病に対する保障を受けられる場合もあります。
ただし、通常の民間保険と比較して料金が割高になる傾向にあったり、付帯できる特約の種類も限られたりとデメリットもあるのでよく検討するようにしましょう。
無選択型保険
通常であれば保険加入時には健康状態の告知が必要ですが、無選択型保険は告知を一切することなく加入することができます。
そのため、持病や既往症があっても保険に加入できるのが大きなメリットです。
ただし、通常の民間保険はもちろん、引受基準緩和型保険よりも保険料が割高になります。
また、保険金や給付金の金額が少ない傾向にあるので、手厚い保障を受けたい方には不向きと言えるでしょう。
引受基準緩和型保険の落とし穴
引受基準緩和型保険は、既往症や健康上の事情があっても加入しやすい保険ですが、その分、いくつかの落とし穴があります。
以下では、いくつかの注意点について解説しますので、加入する前にしっかりと確認してください。
- 通常の保険と比べて毎月の保険料が高い
- 最初の1年間は保険金が減額される可能性が高い
- 特約を選ぶときは、告知内容が変わることもある
通常の保険と比べて毎月の保険料が高い
引受基準緩和型保険は、健康状態が良くない方でも加入しやすいように、告知項目を少なくしています。しかし、その分毎月の保険料は通常の生命保険や医療保険と比べて高い値段になっています。
契約の内容や被保険者の年齢によっては、通常の保険よりも1.5倍から2倍くらいの保険料を支払わなければならない場合もあります。
最初の1年間は保険金が減額される可能性が高い
多くの引受基準緩和型保険では、契約後1年間は支払われる保険金が半分以下になる可能性が高いでしょう。指定期間を超えると保険金が全額に戻りますが、その前は保障が十分でないかもしれません。
契約時から全額の保険金がもらえる引受基準緩和型保険も存在するので、保障期間について気になる方は、選択肢の1つとしてチェックしてください。
特約を選ぶときは、告知内容が変わることもある
引受基準緩和型医療保険は、特約を追加できる場合があります。しかし、特約を選択すると元々の引受基準緩和型保険とは告知内容が変わる可能性があります。
さらに、特約の保険料は高めです。特約を選ぶ際は、自分が望む保障が普通の生命保険や医療保険で受けられないかを調べることが大切です。
引受基準緩和型医療保険の選び方と入る前に確認すべきこと
医療保険は、どうしても必要なものというわけではありません。引受基準緩和型医療保険を選ぶ前に、以下のことをチェックしておきましょう。
- 加入する理由を明らかにする
- 通常の医療保険の加入可能性をチェックする
- 自分の貯金や国の制度で対応できるか検討する
加入する理由を明らかにする
持病を持っていると保険に入れるか不安に感じるのは当然ですが、加入する理由をはっきりさせておきましょう。
保険というのは基本的に期待値がマイナスの商品です。払った保険料よりも多くのお金が戻ってくる商品もありますが、それは必要な保障分の保険料を上回る分を保険会社が貯めて投資しているからです。
保障分だけを考えると期待値はマイナスです。不安だからという理由で加入するのではなく、加入する理由をはっきりさせておきましょう。
通常の医療保険の加入可能性をチェックする
「持病があるから…」「過去に重い病気にかかったから無理だろう…」などと通常の医療保険を諦める前に、まずは通常の医療保険に加入できるかどうかチェックしてみましょう。
症状の重さや治癒からの期間などによっては、通常の医療保険に入ることができる場合もあります。
引受基準緩和型は加入しやすい反面、いろいろな不利な点があるため、通常の医療保険に入れるならそちらのほうがおすすめです。
自分の貯金や国の制度で対応できるか検討する
引受基準緩和型保険に加入する前に、まずは自分の貯金や公的保険(国民健康保険など)で疾病リスクに対応できるかを確認しましょう。
公的保険では、高額な医療費がかかった場合に高額療養費制度を利用できます。さらに、生活費の半年から1年分の預貯金があれば、突然の疾病や入院による急な支出にも対応できます。
そのうえで、公的保険や貯金だけでは賄えない場合に備えて引受基準緩和型保険を検討しましょう。預貯金や公的保険をふまえて検討するだけで、必要な保証額が少なくなり、保険料負担を抑えることにもつながります。
引受基準緩和型医療保険に入る際の注意点
持病のある方が引受基準緩和型医療保険に入る際に注意すべきポイントは4つあります。
- 特約をつけたい場合には告知項目が増えることもある
- 虚偽の申告をしない
- 加入には年齢の上限があるので確認しておく
- 入ってからも内容の見直しは定期的に行う
特約をつけたい場合には告知項目が増えることもある
引受基準緩和型の医療保険は、保障を手薄にせずに加入しやすくするため、告知項目を少なくしています。しかし告知項目の少なさは主契約に関するものであり、特約を追加する際には告知項目が増える可能性があります。
特約を付けて保障を手厚くする場合、保険会社はリスクを正確に評価するために追加の情報が必要です。そのため、特約を付ける際には通常よりも多くの告知項目が追加されることがあります。
たとえば、死亡保障に加えて重病・入院給付特約を付けたい場合を考えてみましょう。この場合、保険会社は特約の内容に応じて、追加の健康情報や病歴に関する質問をする可能性があります。
虚偽の申告をしない
正確な告知をすることは保険契約の基本です。保険契約はお互いの信頼に基づいて成り立っています。
この信頼関係が崩れると、契約は無効となり、保険金や給付金を受け取れなくなる可能性があります。
健康状態や病歴に関する虚偽の申告がある場合、保険契約の信義則に反する行為とされ、保険会社は支払い義務を免れることが可能です。
たとえば、保険加入時に既往症を隠して申告した場合を考えてみましょう。万が一その病気が治療が必要な状態になったとき、保険会社は調査を行い、虚偽の告知があることを発見した場合、保険契約を無効とすることがあります。
加入には年齢の上限があるので確認しておく
引受基準緩和型医療保険に加入する際は、加入できる年齢の上限を確認しましょう。
年齢制限は保険会社や商品によって異なり、一般的には高齢者ほど保険料が高くなる傾向があります。また、高齢になるほど健康リスクが高まるため、保険会社がリスクを適切に評価するために年齢制限を設けています。
たとえば、ある保険商品では65歳までの加入が可能であり、それを超えると加入ができません。また、一部の保険商品では上限が70歳や75歳など高めに設定されていることもあります。
入ってからも内容の見直しは定期的に行う
引受基準緩和型医療保険に加入した後も、定期的に保険の内容の見直しが必要です。
なぜなら持病の改善や医療保険市場の変化により、将来的に通常の医療保険に移行する可能性があるためです。また、保険料や給付内容の変更などもあるため、チェックは欠かせません。
新たな医療技術や治療法が開発された場合にも、保険の見直しを検討する必要があります。
加入後も定期的に保険の内容を見直し、自身の状況や市場の変化に合わせて適切な保険選択を行いましょう。
まとめ:引受基準緩和型医療保険は目的をはっきりさせて選ぼう
引受基準緩和型医療保険は、持病や病歴があっても入りやすく、持病が悪化したり再発したりしても保障が受けられるという特徴があります。
しかし、保険料は高めになっていたり、保障の範囲が限られていたりするというデメリットもあります。申し込みをする前に、保険の内容を十分に把握して、自分がどういう目的で入るのかを明確にすることが大切です。