国民年金の第1号被保険者なら、国民年金保険料を納めなければなりません。「保険料がもう少し安かったら」と一度は誰もが考えるものです。
経済的に余裕のある人が利用したい制度として前納制度があります。口座振替や現金払いなど複数の方法があり、まとめて支払うことで保険料が割り引かれることが特徴です。
今回は、国民年金保険料の前納制度をご紹介します。毎月の支払いよりも保険料の負担が軽くなるため、余裕のある人は前納を検討してみましょう。
国民年金保険料は前払いできる!前納制度とは?
自営業の人や学生といった国民年金の第1号被保険者は、国民年金保険料を支払う義務があります。令和2年度の国民年金保険料は1ヶ月あたり16,540円で、1年間に換算すると198,480円にもなります。
国民年金保険料をまとめて前払いできる制度のことを前納制度と言います。
国民年金保険料は現金での支払いの他に、口座振替とクレジットカード払いなどがあります。いずれの納付方法であっても、まとめて支払うことにより保険料の金額が安くなるという特徴があります。
手持ちの資金に余裕があればぜひ前納制度を利用したいものです。
国民年金前納割引制度には「前納」「早割」の2種類があり、納付方法も組み合わせて以下の4種類があります。
- 口座振替での前納
- 現金払いでの前納
- クレジットカード払いでの前納
- 口座振替での早割
納付方法によって割引額が異なるので、確認しましょう。
口座振替での前納
コンビニや金融機関窓口にて現金で払うと、手間がかかり納付が面倒と感じる人も少なくありません。一般的には保険料の支払いの手間や負担を軽くするために、口座振替を利用することが推奨されています。
口座振替で国民年金を納付するには5つの選択肢があり、選んだ方法ごとに割引額が違うため、自分の考えや状況に合う方法を選びましょう。
口座振替の5つの振替方法
口座振替を利用した国民年金保険料の払い込み方法は5つあります。いわゆる一般的な口座振替は翌月末振替で、この方法の場合のみ割引はありません。
以下の5種類から前納期間を選ぶことができます。
- ①2年前納(4月~翌々年の3月分)
- ②1年前納(4月~翌年の3月分
- ③6ヵ月前納(4月~9月、もしくは10月~翌年の3月分)
- ④当月末振替※早割
- ⑤翌月末振替※割引なし
なお、④の早割制度についてのちほど詳しく解説します。
振替方法ごとの割引額(令和2年度)
続いて、前納期間に応じた割引額の詳細を以下の表に示します。1年や2年の長期間になると割引額も大きくなるため、前納期間を長くするほど前納制度を利用するメリットは大きくなります。
以下の表は令和2年度分の納付額や割引額です。今後、国民年金保険料の改定が行われた場合はこの限りではありませんので、注意しましょう。
振替方法 | 1回あたり の 納付額 |
割引額 | 2年分に 換算した 場合の 割引額 |
口座振替日 |
---|---|---|---|---|
2年前納 | 381,960円 | 15,840円 | - | 4月30日 |
1年前納 | 194,320円 | 4,160円 | 8,320円 | 4月30日 |
6ヵ月 前納 |
98,110円 | 1,130円 | 4,520円 | 4月30日 11月2日 |
当月末 振替 |
16,490円 | 50円 | 1,200円 | 当月末 |
翌月末振替 (割引なし) |
16,540円 | なし | なし | 翌月末 |
参考:日本年金機構「国民年金前納割引制度(口座振替 前納)」
なお、口座振替日は月の末日です。末日が金融機関の休業日にあたる場合は翌営業日となります。
納付方法
口座振替を用いた前納制度を利用するためには、「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書」を提出する必要があります。この申出書は年金事務所、もしくは以下の日本年金機構のホームページからダウンロード可能です。
基礎年金番号を記入した申出書を預金口座のある金融機関か年金事務所に提出、もしくは郵送して手続きします。
この記事の内容の他にも、「お金が貯まる29の知恵」を1冊にまとめました。
今ならLINE登録するだけで、無料でプレゼントしています。
この機会に是非一度LINE登録して、特典を今スグ受け取ってください。
現金払いでの前納
口座振替を利用せず、現金でまとめて支払うという人も前納制度を利用できます。口座振替と異なり、現金での前納方法は、2年前納・1年前納・6ヵ月前納の3種類です。
前納期間によって割引額が変動するため、以下で算出した割引額を参考にしてください。
6ヵ月前納:6ヵ月分を前納する場合(令和2年度)
通常、6ヵ月分の保険料を毎月支払うと16,540円×6ヵ月=99,240円です。現金で前納すると810円の割引となり、6ヵ月分の保険料の合計は98,430円です。
1年前納:1年度分を前納する場合(令和2年度)
1年の保険料を毎月支払うと1年分の国民保険料の総額は16,540円×12ヵ月=198,480円です。現金での前納制度を利用すると3,520円が割引されて、1年度分の支払い額の合計は194,960円です。
2年前納:2年度分を前納する場合(令和2年度+令和3年度)
まず、令和2年度と3年度分の保険料の総額を算出します。令和2年度は16,540円×12ヵ月=198,480円です。令和3年度の国民年金保険料は毎月16,610円ですので、令和3年度は16,610円×12ヵ月=199,320円です。
両年度の合計が397,800円になるのに対し、2年度分を現金で前納すると合計383,210円で14,590円も割り引かれることになります。
納付方法
現金による前納の場合、納付方法には窓口もしくは電子納付の2種類があります。
金融機関や郵便局、コンビニの窓口を利用する場合、前納用の納付書を添えて支払います。なお、納付書は4月上旬に郵送にて送付されます。1年度分、6ヵ月分の納付はこの納付書を利用します。2年度分の納付の場合は、年金事務所に申し出るようにしましょう。
インターネットバンキングなどを利用した電子納付であれば、自宅から納付が可能です。
クレジットカード払いでの前納
国民年金保険料は口座振替と現金払いの他に、クレジットカードを利用した納付が可能です。現金で前納する場合と同じく、2年前納・1年前納・6ヵ月前納の3つの選択肢が用意されています。
クレジットカード払いの手続きには以下の4つが必要です。
- 国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書
- 基礎年金番号がわかるもの
- 支払いに利用するクレジットカード
- 国民年金保険料クレジットカード納付に関する同意書※被保険者とカードの名義人が別の場合
また、クレジットカード払いの際は、利用上限額や有効期限を必ず確認しておきましょう。
口座振替での早割
すでに口座振替を利用し、毎月国民年金保険料を支払っているという人でも、早割制度を利用することでわずかでも保険料の負担を軽くすることができます。
早割制度とは、本来翌月に払う保険料を当月に変更するだけでを割引が発生する制度です。納付期限より1ヵ月早く口座振替が行われるだけですので、毎月の口座振替という面では従来と何ら変わりありません。
早割の仕組みや注意点について以下で解説します。
早割の仕組み
早割を申し込んだ翌月に限り2ヵ月分を領収することで、従来の「翌月払い」から「当月払い」のサイクルに前倒して支払うことになります。
早割制度を利用することにより、毎月50円の割引となり、1年間に換算すると割引額は600円です。
早割利用時の注意点
少しでも国民年金保険料の負担を軽くしたいという人には早割制度がおすすめですが、利用にあたり、いくつか注意点があります。
- 口座振替の手続きが完了するには2ヵ月程度かかる
- すでに口座振替を利用している場合でも、早割制度の申し込みが必要
- 口座振替による前納よりも割引額は小さいため、前納から早割の切り替えには注意
- 早割制度は口座振替に限り、現金支払いの場合には適用されない
特に前納の利用者が早割に切り替える際は、割引額が小さくなる点については予めよく確認しましょう。
まとめ:前納制度や早割制度を利用してお得に納付しよう
必ず納付しなければならない国民年金保険料は、一定期間の保険料を前払いすることができます。期間が長くなればなるほど割引額も大きくなり、保険料の負担額は従来の支払いよりも少なくて済みます。
口座振替やクレジットカード、現金での支払いから選ぶことができ、経済状況やライフスタイルに応じた前納が可能です。また、口座振替によって期日よりも1ヵ月早く保険料を支払う早割を利用するだけでも保険料の負担は軽くなります。
国民年金保険料は年々引き上げられているため、前納制度を利用したお得な支払いを検討しましょう。