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税金

所得税を確定するために「確定申告」を行います。確定申告にはさまざまな項目があることをご存知でしょうか?

所得税の計算においては、項目ごとに金額を入力して計算を行い、納税額や還付金を確定します。その計算項目の中に「退職所得」という項目があります。しかし、何が退職所得に該当するのか知らないと、適切に確定申告して正しい納税額を把握することができなくなるでしょう。適切ではない確定申告は再申告などの手間がかかりますし、余計なトラブルの原因になる可能性もあります。

本記事では、退職所得とは何か、その基本的なことについて解説します。確定申告において該当しそうな収入がある方や見込まれる方はぜひ本記事の内容をよく確認して、正しく確定申告を行ってください。

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退職所得とは

「退職所得」とは、簡単に言えば「退職金」のような、職場を退職する際に受け取る収入のことです。この項目では、以下の2つのポイントについて解説します。

  • 退職所得の概要
  • 退職所得の性質

退職所得=退職時に受け取る所得のこと

退職所得とは、退職に起因して受け取る収入のことです。一般的には「退職金(退職手当)」がこれに該当しますが、その他にもさまざまな名称の収入が退職所得に該当します。具体的に何が退職手当に該当するのかについては、後ほど詳しく解説します。

退職所得の税制上の性質

退職所得も所得の一種であるため、所得税の計算の対象です。ただし、一般的な収入と比較して税制上いくらか優遇されています。

退職所得は、「定年退職」のように、これから収入が減少する人に支給されるお金です。収入減少後の生活の原資となるため、一般的な収入とは区別して税制上優遇することで少しでも納税額を抑えられるような措置がとられています。

退職所得に含まれるもの

国税庁は、以下の8種類の収入を退職所得であると記載しています。基本的に「職場を退職する(した)ことに起因して支払われるお金」が、退職所得です。

  • 退職手当等
  • 引き続き勤務する人に支払われる給与
  • 執行役員への就任によって支給される退職手当等としての一時金
  • 掛金を拠出することで退職に際して支払われる一時金
  • 過去の勤務に基づき支給される年金代わりの支払われる一時金
  • 解雇予告手当
  • 「確定給付企業年金法」の規定に基づく一時金
  • 「未払賃金立替払制度」に基づく未払賃金

その① 退職手当等とみなされるもの

退職手当は退職所得に含まれます。具体的に何が退職手当に該当するかについて、国税庁では15種類を挙げています。

参考:国税庁「No.2725 退職所得となるもの」

その② 引き続き勤務する人に支払われる給与で退職手当等とされるもの

「引き続き勤務する人」に支払われるもののうち、その後に支払われる退職手当の計算において退職手当の基礎となったもので一定条件を満たしたものは、退職手当等とされます。詳しい条件等は上記参照ページを確認してください。

その③ 使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金

使用人執行役員に就任した人に対して、「就任前の勤続期間」にかかる退職手当等として支払われるもののうち、執行役員制度が以下2つともに該当する場合は退職手当等に該当します。

  • 執行役員との契約が委任契約またはこれに類するものであり、執行役員退任後の「使用人としての再雇用」が保障されていない
  • 執行役員に対する報酬等の待遇が役員に準じたものであり、その任務に反する行為等により使用者に生じた損害を賠償する責任を負う

その④ 受給者が掛金を拠出することにより退職に際して使用者から支払われる一時金

在職中に、使用者に対して掛金拠出により退職に際して支払われる一時金は、退職手当等とされます。ただし、その金額は一時金の額から受給者が拠出した掛金の額と、支払日までに掛金の運用益として元本に繰り入れた金額との合計額を差し引きます。

その⑤ 過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金に代えて支払われる一時金

過去の勤務に基づいて使用者だった者から支給される年金の受給資格者に対して、その年金の代わりに支払われる一時金については、そのうち「退職の日以後その年金の受給開始日までの間に支払われるもの」については退職手当等とされます。

なお、年金の受給開始日後に支払われるものは、基本的に「雑所得」とされます。ただし、年金の受給開始日後に支払われるもののうち、「将来の年金給付の総額の代わりに」支払われるものについては、退職手当等として扱われます。

その⑥ 解雇予告手当

使用者が予告なしに使用人を解雇する(労働基準法第20条)場合において、使用者から支払われる「予告手当」は退職手当等とされます。

その⑦ 確定給付企業年金法等の規定に基づいて支払われる一時金

「確定給付企業年金法の規定に基づいて支払われる退職一時金」等のうち、一定の条件に該当するものは退職手当等とされます。

その⑧ 未払賃金立替払制度に基づき国が弁済する未払賃金

何らかの事情により賃金の支払を受けられずに退職した人に対して国がその使用者に代わって未払賃金を弁済する「未払賃金立替払制度」に基づいて受けた弁済は、「退職した日の属する年分」の退職手当等とされます。

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退職所得の税金の計算方法

前述の通り、退職所得に該当する収入は、一般的な収入と比較して税制上の優遇措置を受けられます。この項目では、以下3つの計算に分けてその計算方法を解説します。

  • 退職所得の計算方法
  • 退職所得控除額の計算方法
  • 退職所得の税額の計算方法

退職所得の計算方法

退職所得は、源泉徴収される前の退職金等から退職所得控除(次の項目で解説)を差し引き、その金額を半分にした金額を退職所得として扱います。

つまり、退職所得は退職金等からある程度の控除を受けたうえで、その半分だけが所得税の計算に組み入れられます。計算上、退職金等の半分以上は課税対象外になるので、一般的な所得と比較すると大幅に優遇されているといえます。

退職所得控除額の計算方法

退職所得控除は、退職する職場での勤続年数によって2種類の計算方法があります。

「勤続年数が20年以下」の場合は、勤続年数に40万円をかけた金額が退職所得控除になります(最低80万円)。

「勤続年数が20年より多い」場合は、勤続年数から20年を差し引いた年数×70万円に、800万円を加えた金額が退職所得控除になります。例えば勤続年数が30年の場合、10年×70万円+800万円=1,500万円が退職所得控除です。勤続年数が長いほど、多くの退職所得控除を適用できます。

退職所得の税額の計算方法

所得の種類が多い場合、それらを合計したものに税率をかけて所得税を計算しますが、退職所得は他の所得とは分けて税額を計算します。

税額の確定については、退職金の支払いにおいて「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合は特に何もしなくても問題ありません。提出していない場合は一定率で源泉徴収されているため、別途確定申告して納税額を確定させて過不足分の精算をする必要があります。

まとめ:退職所得は退職時に税制上で優遇される所得

本記事では、退職所得について解説しました。以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

  • 退職所得=退職時に受け取る収入のこと
  • 勤続年数に応じて所得控除が用意されている
  • 他の所得とは分けて税額を計算する

退職所得は他の所得と分けて専用の計算式で税額を確定する必要があります。さまざまな収入が退職所得に該当する可能性があります。そのため、「退職に起因して受け取る所得」があれば退職所得のための確定申告の必要性の有無を確認しましょう。

税金の計算は複雑な場合が多く、確定申告しないと正しい納税額を確認できないこともあります。本当は還付を受けられるはずなのに、確定申告の必要性を知らなかったために余計に納税しているケースも珍しくありません。

退職所得など特殊な収入があった際には確定申告が必要になります。不明な点があれば、納税関係の窓口に問い合わせましょう。正しく確定申告することで再申告などの余計な手間を省き、過不足なく納税できます。

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