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家計

大学の進学費用はいくら?大学無償化についてもわかりやすく解説

大学進学を控えている学生またはその保護者にとっては、大学進学費用について不安が多いことでしょう。

実際、大学進学費用は、入学費用はもちろん授業料や教材費など在学中に支払う費用の負担も含まれるため、その金額は小さくありません。

そこで本記事では、大学進学にかかる費用をまとめたうえで、大学無償化と呼ばれる制度(大学等における修学支援制度)を紹介します。

大学進学費用を貯める方法や支払えないときの対応方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

先にある程度の目安を紹介します。国公立大学では入学費用で約77万円、1年間の在学費用に約115万円(月額9.6万円ほど)準備が必要です。私立理系の場合では、入学費用で約94.2万円、在学費用で約192.2万円(月額16.0万円ほど)です。

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大学進学前に準備すべき費用はいくら?

まずは、大学に進学する前までに準備すべき費用を紹介します。かかる費用の内訳は次のとおりです。

  • 受験費用:受験料および交通費・宿泊費
  • 学校納付金:入学金・前払い授業料・教材費・寄付金など
  • 入学しない大学の納付金:いわゆるキープ代

入学前までの費用は国公立なのか私立なのか、私立ならどの学部なのかによっても変わってきます。また、自宅外通学をするのであればさらに費用(平均39.3万円)がかかってしまいます。

それでは、入学費用について詳しく確認していきましょう。

なお以降では、日本政策金融公庫の調査結果「教育費負担の実態調査結果」をもとに解説します。2020年9月の調査で、4,700人から回答を得てまとめられた統計結果です。

学校納付金だけでなく通学費や塾・家庭教師の月謝なども含んでいますので、実態に沿った調査結果となっています。

大学の種類 入学費用
私立短大 58.2万円
国公立大学 77.0万円
私立文系 95.1万円

※自宅外通学のための費用は平均39.3万円

参照:令和2年度「教育費負担の実態調査結果」|日本政策金融公庫

国公立大学の入学費用は約77.0万円

国公立大学の入学費用は、約77.0万円という調査結果でした。内訳は次のとおりです。

  • 学校納付金:31.6万円
  • 受験費用:30.5万円
  • 入学しない大学の納付金:14.8万円

自宅外で通学するなら、その準備費用(敷金や家具の購入費)として約39.3万円が加わります。

私立文系の入学費用は約95.1万円

私立大学の文系学部では、約95.1万円が入学費用の目安です。

  • 学校納付金:50.3万円
  • 受験費用:35.5万円
  • 入学しない大学の納付金:9.3万円

国公立大学と比較すると、学校納付金と受験費用が増えてしまっています。また、自宅外通学なら約39.3万円が加わることも注意しておきましょう。

私立理系の入学費用は約94.2万円

私立大学の理系学部では、約94.2万円が入学費用の目安であり、文系学部と大きく変わらない調査結果が出ています。

  • 学校納付金:51.9万円
  • 受験費用:31.9万円
  • 入学しない大学の納付金:10.5万円

これまでと同様、自宅外通学なら約39.3万円が加わります。

自宅外通学のための費用は約39.3万円

何度も紹介していますが、自宅外通学のための費用は約39.3万円です。39.3万円の内訳は、賃貸物件の契約費用(初期費用)や家具・家電の購入費となります。

ちなみに、賃貸物件を契約する際にかかる費用はおよそ家賃の5~6ヶ月分と言われています。

賃貸の費用を抑えるためには敷金・礼金・仲介手数料が意識されますが、これらの費用が安いかわりに、クリーニング代・消毒代・鍵交換代などの費用がかさむことがあります。

そのため、賃貸を探すときには初期費用全体で比較することがおすすめです。

大学進学後(在学)にかかる費用はいくら?

これまでは、大学進学前に準備しておくべき費用について紹介してきました。

しかし、入学費用を工面できたとしても安心できません。在学中にも授業料などの費用がかかるからです。

そこで以降では、在学中にかかる費用について紹介します。先ほどと同様、日本政策金融公庫の調査結果をもとに紹介していきます。

大学の種類 在学費用(1年間)
私立短大 176.9万円
国公立大学 115.0万円
私立文系 152.1万円
私立理系 192.2万円

参照:令和2年度「教育費負担の実態調査結果」|日本政策金融公庫

なお、私立の学部別の学校納付金額の詳細については、文部科学省が取りまとめた以下の資料が参考になります。あわせて確認してみてください。

参考:令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について|文部科学省

国公立大学の在学費用は1年あたり約115.0万円

国公立大学の在学費用は、1年あたり約115.0万円です。内訳は以下のようになっています。

  • 学校教育費(授業料・通学費・教科書代):105.8万円
  • 家庭教育費(塾やならいごとの月謝):9.2万円

なお、国公立大学の授業料はおよそ53.6万円である程度統一されています。

私立文系の在学費用は1年あたり約152.1万円

私立大学の文系学部の在学費用は、1年あたり約152.1万円です。

  • 学校教育費(授業料・通学費・教科書代):143.2万円
  • 家庭教育費(塾やならいごとの月謝):8.9万円

私立大学になると、学校教育費が国公立よりも37.4万円ほど高くなってしまいました。家庭教育費は国公立と同等です。

私立理系の在学費用は1年あたり約192.2万円

私立大学の理系学部の在学費用は、1年あたり約192.2万円と高めです。

  • 学校教育費(授業料・通学費・教科書代):183.3万円
  • 家庭教育費(塾やならいごとの月謝):8.9万円

理系学部では、国公立と比べて77.5万円、私立文系と比べて40.1万円ほど学校教育費が高くなっています。

大学無償化?大学等における修学支援制度とは?

2020年4月から、大学無償化と呼ばれている制度が開始しました。正式には高等教育の修学支援新制度と呼び、大学等における修学支援のための法律に基づいています。

大学等における修学の支援は、確認大学等に在学する学生等のうち、特に優れた者であって経済的理由により極めて修学に困難があるものに対して行う学資支給及び授業料等減免とする。

引用元:大学等における修学の支援に関する法律 

それでは、修学支援制度で具体的にどのように負担が軽減されるのか確認していきましょう。支援の柱は次の2つです。

  • 入学金と授業料の減免(減額や全額免除)
  • 返済不要の奨学金(給付型奨学金)

入学金と授業料が減免される

一定の要件を満たせば、入学金と授業料が全額免除になったり、減額されたりします。全額免除の場合、原則として下表が減免の上限額です。

  授業料(年額) 入学金 給付型奨学金(月額)
国公立大 535,800円 282,000円 自宅:29,200円
自宅外:66,700円
国公立短大 390,000円 169,200円 自宅:29,200円
自宅外:66,700円
私立大 700,000円 260,000円 自宅:38,300円
自宅外:75,800円
私立短大 620,000円 250,000円 自宅:38,300円
自宅外:75,800円

参照:授業料等減免額(上限)・給付型奨学金の支給額|文部科学省

「原則」と紹介したのは、世帯収入(所得)に応じて減免の額が変わるからです。住民税非課税なら上表のとおりですが、住民税の計算結果に応じて3分の1または3分の2になります。

住民税非課税世帯の減免額では、国公立大学の授業料と入学金は実質無料。ただし、私立大学の授業料については実質負担が生じる見込みです。

世帯収入など、修学支援制度の対象要件については後述します。

返済不要の奨学金がもらえる

先ほどの表にもまとめましたが、入学金や授業料以外の費用負担を抑えるために給付型奨学金もあります。

給付型というのは、返済が原則として不要であることを指しています。つまり、通学費や教科書代のためにもらえるお金です。

国公立大学の在学費用は日本政策金融公庫の調査によると115万円。授業料は実質無料となり、通学費や教科書代が無料。以上から、国公立大学に自宅から通う住民税非課税世帯の実質的な負担をシミュレーションすると以下のとおりです。

目安在学費用1,150,000円 - 授業料実質無料分535,800円 - 通学費や教科書代の給付分350,400円 = 263,800円

このように、約115万円の在学費用が26.38万円ほどに負担が軽減されるのです。

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修学支援制度の対象になる?

大きく負担が軽減される修学支援制度は、どのような人(世帯)が対象なのでしょうか。修学支援制度の対象となる要件は、大まかに以下3つがあります。

  • 世帯収入要件:世帯所得が一定基準以下であること
  • 資産要件:本人および両親などの資産が一定以下であること
  • 学業要件:評定の平均値が3.5以上または学修意欲があること

ただし上記を満たしていても、対象となる学校でなければ減免を受けられないことがあります。注意してください。

世帯所得が一定基準以下であること(世帯収入要件)

修学支援制度を利用するためには、世帯収入が一定基準以下であることが必要です。具体的には以下の計算式で51,300円未満(51,299円まで対象)が要件となります。

市町村⺠税の所得割の課税標準額 × 6%−(調整控除の額+税額調整額)

自分で計算しようとするとかなり難しいものとなっています。以下に簡単な計算の流れを示しますが、所得税と住民税の所得控除の額が異なるうえに、税額調整額の計算が複雑だからです。

  1. 源泉徴収票から給与所得や社会保険料控除の額を確認する
  2. 扶養控除・配偶者控除・社会保険料控除など所得控除の合計額を計算する
  3. 給与所得から所得控除の合計額を引く(課税標準額)
  4. 調整控除と税額調整控除の額を計算する
  5. 課税標準額の6%から調整控除および税額調整控除の額を引く

おおよその目安年収は以下の資料にまとめられていますし、日本学生支援機構のシミュレーションでも対象となるかどうかを大まかに把握できます。ぜひ活用してみましょう。

参考:支援対象者の要件(個人要件)等 <所得に関する要件と目安年収>|文部科学省
進学資金シミュレーター-JASSO

本人および両親などの資産が一定以下であること(資産要件)

資産要件は、世帯収入要件と違って単純です。具体的には、学生本人と生計維持者(両親)の資産合計が2,000万円未満であるのが条件となっています。

持家など土地・建物は含みません。ただし、株式取引を行っている方は資産として数えるため注意が必要です。

ひとり親の場合は1,250万円未満となります。

評定の平均値が3.5以上または学修意欲があること(学業要件)

原則として、学生本人が高2の段階で評定平均値が3.5以上ある必要があります。もし3.5未満であれば、面談やレポートによって学修意欲があるかどうかを確かめられることとなっています。

大学進学費用に備えるためにはどうすればいい?

大学進学費用に備える方法には以下のような手段が考えられます。

  • 無駄な出費を抑える(節約)
  • 児童手当を貯めておく
  • 社内預金や財形貯蓄
  • 定期預金
  • 学資保険
  • 子どもにアルバイトしてもらう
  • 高3の春に奨学金の予約採用に申し込む

学生本人がアルバイトをして収入を増やす方法もありますが、簡単なものではありません。そのため、やはり節約するのが重要であると言えます。

節約のためには、手元のお金を使わないようにしなければなりません。そこで、児童手当を貯蓄口座に入れてそのままにしておくことや、社内預金・財形貯蓄・定期預金・学資保険などの貯蓄制度を積極的に利用するのがコツです。

もし大学進学費用を準備できそうになければ、高3の春に、高校を通じて日本学生支援機構(JASSO)に対し奨学金の申し込みをしましょう。

後述する大学進学費用が支払えないときの対応においても、日本学生支援機構の奨学金は低金利の好条件です。

なお、奨学金の申し込みには原則としてマイナンバーカードが必要です。事前に準備しておきましょう。

大学進学費用が支払えないときはどうすればいい?

大学進学費用を準備できそうにない、または大学在学中にお金が足りなくなった場合の対応方法を紹介します。

国民年金保険料の学生納付特例を受ける

もし学生本人が20歳以上で国民年金保険料を支払っているなら、学生納付特例制度を利用するのがおすすめです。所得要件はあるものの、多くの学生が利用できます。

2020年度の保険料は年額にして約20万円ですから、年間20万円ほどの余裕を作れます。

国の教育ローン(教育一般貸付)を利用する

大学の費用が支払えない場合は、国の教育ローンの利用を検討しましょう。正式には教育一般貸付と言います。

日本学生支援機構の奨学金が利用できない場合や、入学時の納付金が支払えない場合に利用しましょう。

日本学生支援機構の金利が固定金利でも年利0.156%程度であるのに対し、国の教育ローンは年利1.68%だからです。他にも、在学中にも利息がつき、在学中に返済しなければなりません。

取扱機関 日本政策金融公庫
融資限度額 350万円
自宅外通学、5年以上大学、大学院、海外留学等の場合は450万円
返済期間 15年以内
ひとり親・交通遺児・世帯年収200万円以下・3人以上の世帯年収500万円以内なら18年以内
金利 年利1.68%(2021年3月11日現在)
上記該当世帯は1.28%
使いみち 学校納付金・受験費用・住居費用・教材費・国民年金保険料
申し込み資格(要件) 子1人:年収790万円
子2人:年収890万円
子3人:年収990万円
※目安
返済方式 元利均等返済

参照:教育一般貸付(国の教育ローン)|日本政策金融公庫

生活福祉資金貸付制度の教育支援資金を利用する

生活福祉資金貸付制度とは、低所得者・障害者・高齢者世帯を対象とした生活福祉資金の貸付制度です。

さまざまな種類がありますが、教育支援資金として教育支援費と就学支度費があります。

  教育支援費 就学支度費
対象 低所得者 低所得者
融資限度額 月額6.5万円以内 50万円以内
金利 無利子 無利子
返済方法 卒業後6ヶ月据え置き、20年以内に完済

参照:生活福祉資金貸付条件等一覧|厚生労働省

借りたお金を卒業してから6ヶ月経ってから20年以内に完済すれば良いというかなり条件の良い制度です。

ただし、「必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯」が対象ですので、本記事で紹介した国の教育ローンや日本学生支援機構の奨学金を利用できなかった場合の選択肢です。

母子父子寡婦福祉資金貸付制度の修学資金を利用する

同じく国からお金を借りる制度で、母子父子寡婦福祉資金貸付制度というものがあります。

  修学資金 就学支度資金
対象 ひとり親の児童または寡婦の児童 ひとり親の児童または寡婦の児童
融資限度額 短大:月額9万円まで
大学:月額9.6万円まで
国公立大学・短大:38万円
私立大学・短大:59万円
金利 無利子 無利子
返済方法 卒業後6ヶ月据え置き、20年以内に完済

参照:母子父子寡婦福祉資金貸付金制度 | 内閣府男女共同参画局

生活福祉資金貸付制度の教育支援資金と同等の制度ですが、融資限度額がやや高めになっています。

ただし各市区町村で実際の融資限度額が異なりますので、詳細は各市区町村の役所に問い合わせください。

まとめ:早めに大学進学費用を準備しておこう!

大学進学費用は、国公立と私立で差が出ます。大まかですが、大学入学のためには事前に100万円ほど必要です。

さらに、1年間あたりに必要な在学費用は160万円ほどですので、これら大学進学費用を支払う準備をしなければいけません。

大学進学費用を準備する際には、本記事で紹介した内容を参考にしていただき、できるかぎり早めに取り掛かりましょう。

それでも不足してしまいそうなら、高3の春に日本学生支援機構の奨学金に申し込むことを検討してください。文部科学省が所管する日本学生支援機構の奨学金が最も返済負担を抑えられます。

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